機械人形の館 ◆1U4psLoLQg
早朝から行動を開始し、目的地にたどり着いた次の瞬間。
二人の耳にも、その放送が届いた。
『……今回の放送帯での死亡者を発表………死亡順での報告になり………【
カギ爪の男】 ……今回の死者は以上……それでは…』
ストン・・・と尻餅をつく音が辺りに響いた。
「そんな……!」
その放送の内容に
ファサリナは全身から力が抜け、地面に崩れ落ちる程の衝撃を受けていた。
それは彼女にとって、考えうる限り最悪の事態。
起こりうる可能性として意識はしていた、しかしまさか本当にこんな事になってしまうとは。
これからだったのだ、紆余曲折あったが何とか一人の心強よい協力者を得ることができた。
この絶望的な状況でやっと少しの希望が見えてきたというのに。
ようやく、これから彼女の信じる一人の男、いや彼女の夢そのものを守るために動き出そうとしていたというのに・・・。
「同志…」
まさか、その対象がこんなにもあっさりと死んでしまうとは・・・。
同志の悲報にファサリナは一瞬目の前が真っ暗になった。
(私は……これからどうすれば…)
行動の指標を失った彼女は、ノロノロと思考する。
根本的に行動方針を変えなければならない。
(残された道は……殺し合いに乗る?)
優勝し・・・同志を生き返らせて元の世界に帰る。
しかし、それは正に茨の道だろう。
主催者の強大さをいち早く理解した彼女は、この殺し合いがいかに過酷な物か…他のどの参加者よりも理解している。
(それでも…やらなくては…世界の…私の夢が…)
絶望的状況に突き動かされ、彼女が一つの意志を固めようとしたその時。
「感情に従って行動するのは正しい」
傍らに立つ少年の声が聞こえた。
「だが、動揺に駆られた短絡的行動は必ず取り返しの付かない失敗に繋がる、冷静になれ…ファサリナ」
これはヒイロ自身に経験の在る事だった。
トレーズ・クシュリナーダの罠に嵌り、自ら連合の平和主義者達を手に掛けてしまった事を、ヒイロは忘れたことが無い。
そんな経験があるヒイロの言葉だからこそ、それは異様な説得力を伴ってファサリナの胸に響いたのかもしれない。
「ヒイロ……」
湧き上がってきていた絶望感と焦りが、少しだけ引いていくのをファサリナは感じた。
「すみません…取り乱してしまって……」
心中で半ば混乱しかけていた自分と違って、この少年は常に冷静だ。
「別にいい、だが状況が変わった、一度物事を整理する必要がある。いったん館の内部で落ち着くべきだ」
「そう…ですね」
今は兎に角、いったん状況を整理する必要がある。
一人で途方にくれながら考えるより、この少年の意見が聞きたい。
自分がこれからどう行動するか決めるのは、それからでも遅くは無いだろう。
未だ重苦しい顔つきだが、ファサリナはなんとか立ち上がり、そして見上げた。
エリアC-3
そこに立つ『憩いの館』を
◇◇◇◇◇◇
第一回放送前、二人は同志および他の参加者と接触するために、この憩いの館へとやって来る事を決めていた。
ファサリナは南下しようと提案したが、ヒイロが反対し、山中に行こうと言い出したのだ。
「どうしてですか?山中などに長く留まろうとする者は少ないはず、より多くの参加者に接触するならば、工業地帯に向かうべきでは?」
「いや、それだと出会う人物があまりに無差別すぎる、あくまで俺たちが探すのは同志だけだ」
「同志が、山中にいる可能性が高いという事ですか?」
「そうだ、殺し合いに乗った者は人が密集しそうな地域に行くだろう、なら逆に平和主義者である同志が向かいそうな場所は?」
「なるほどぉ、人があまり集まらない場所……ですか」
「推測だがな」
「分かりました、では一度この『憩いの館』まで行ってみましょう、そこで誰も居ない場合は、南下することも考慮する、ということで良いですか?」
「……それでかまわない」
こうして、二人は徒歩で山中を歩き、憩いの館までやって来た。
時間軸は現在へと戻される。
館の外観は、一見してホラーハウスのようだった。
三階建ての木造建築物が、もはや倒壊寸前の如く傾いている。
「これは…中に入っても大丈夫なのでしょうか・・・?」
「入り口付近の状況しだいでは、侵入は諦めた方が適作かもしれん」
しかし館の内部はその外観とは間逆にしっかりとした館のようだった。
壁や床は小奇麗でしっかりと掃除されいる、とても倒壊寸前には見えない。
玄関から入って正面はいきなり壁で、左右に長い廊下が続いていた。
清潔な絨毯が廊下の奥へと伸び、壁に掛けられた幾つものランプに照らされている。
左右どちらの廊下を覗いても階段は見当たらない。
廊下突き当たりの曲がり角の奥にあるのだろうか。
「外と中とで全然違いますねぇ…」
「ここまでくると異常だな、外観はホログラムか何かで偽装しているのか、何の目的があってのことかは知らないが、少なくとも倒壊の危険は無さそうだな」
そうして、二人が左右どちらの廊下を進もうか決めかねていた時。
『キミを見てるといつもハートDOKI☆DOKI 揺れる思いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ♪』
左の廊下奥から、やたら甘ったるい歌詞の曲が大音量で流れ出してきた。
「何でしょうか……歌?」
「既に人が居るのか?いくぞ」
「あ…ちょっと…待ってください!」
すぐさま、左側に向かって走るヒイロを追って、ファサリナもまた廊下を駆けた。
流れる歌を聴きながら。
『いつもがんばる(いづもがんばる)キミの横顔(ギミの横顔)』
きっと、この歌を作り上げた人達は、本当の意味で平和な環境に身を置き、自分の世界を愛していたのだろう。
この曲には、ファサリナにそう思わせる何かがあった。
最低でも彼女は、自分のいた惑星で、このような歌を聴いたことが無かった。
(きっと…素晴らしい人達なのでしょうね……)
だが、この島で出会いたくはないとファサリナは思う。
これから決める方針によっては……誰であろうと排除しなければならないのだから
◇◇◇◇◇◇
その歌は左の廊下の突き当たりにある部屋の中から聴こえてきていた。
ファサリナが部屋の扉の前にたどり着く頃には、既にヒイロは部屋の中へとずんずん進んでいた。
「これは…音楽室?」
部屋奥の四並べられた机の上にCDラジカセがあった。
謎の曲は、ここから流れていたらしい。
『ふわふわ時間(ふわふわ時間)ふわふわ時間(ふわふわ時間)ふわふガチャ!!……』
ヒイロがラジカセの停止ボタンを押すと、曲の再生は即終了した。
背後から何故か残念そうな顔をしたファサリナが部屋に入ってくる。
「どうかしたのか?」
「…いいえ、別になんでもありませんよ」
「……?」
その部屋は、とある女子高等学校の音楽室そのものだった。
参加者の内、数人の少女がこの部屋を見れば、一瞬日常に回帰したと感じてしまうかもしれない。
館の中に何故こんな部屋があるのかまったくもって謎だが、そもそも外観の仕掛けからして謎なのだ、考えても仕方がないと二人とも思った。
机の横にはホワイトボードがあり『めざせ武道館!!by軽音部!』と記されている。
「武道館を目指せ…だと?この軽音部と言う奴はなんだ?主催の仲間か?」
しかし地図上に『武道館』などという地名は無く、このメッセージは現状意味不明だ。
「さて、この辺で良いだろう」
「そうですね」
並べられた四つの机に対応するように、傍らに4つ椅子が並べられている。
二人はそこに、向かい合うように腰掛けた。
正直気が休まる場所ならもう何でも良かったと言うのが本音だろう。
ヒイトとファサリナはとりあえずこの「軽音学部の部室」を現状整理の話し合いの場とした。
これからが本番。
歩きつかれた足を休ませる事が出来ても、まだ彼等が緊張を解く事は無い。
「まずは現状を確認する」
最初にヒイロが口火を切った。
「俺達は同士を探すためにこの館までやって来た」
「ですが…既に同志は亡くなられていた…」
「そうだ、だが本当に同志は死んだのか?」
「え…?」
「正しい現状は、『同志が死んだ』じゃない、『同志が死んだと放送された』だ」
今の放送が虚偽である可能性の示唆。
彼女とて、それを考えないでもなかったが。
「正確だろう…と言ったのはあなた自身ではないのですか?」
『このルールに説得力を持たせるつもりでいるのなら、予定されている放送、特に一回目は正確に事実を提示するだろう』
そう語ったのはヒイロ自身、そしてヒイロは今もそう思っている
「そうだ、この放送は恐らく真実、だがもう一つ考えられる、そもそも、同志がこの島にいなかった可能性だ」
ようやくファサリナにも彼が何を言いたいのかが伝わってきた。
つまり、名簿が虚偽である可能性。
この島に同志とそれに従うファサリナが呼ばれ、この早期に同志が死亡したと言う放送。
もしかしたら、主催者側はこの放送を聞いた彼女が何を思うか計算していたのではないか。
彼女を殺し合いに乗せる為だけに、名簿に「カギ爪の男」を記し、早い段階で死んだと放送する。
また、虚偽でなくとも何故同士だけが「カギ爪の男」などと抽象的な表記なのか?
ファサリナは、自分や
ヴァンの名前が名簿にあることから同志本人だと解釈したが、この表記では「誰か別のカギ爪をつけた男」である可能性も出てくる。
「それは……いくらなんでも…」
「だが可能性が無いでもない…当然放送が虚偽である可能性もだ、放送だけで同志が死んだと断定するのは早計だろう」
「同士が…まだ生きているかもしれない可能性…」
そうであってくれればどれだけいいかとファサリナは思う。
だが、これはあくまで希望的観測だ。
しかし、ありえないと言い切れる話ではない。
最低でも同志本人が死ぬ場面を目撃した者に出会うまでは・・・。
(確かに…まだ決断する訳にはいきませんね…)
確認しなければならない。
同志が生きている可能性が少しでもある以上、迂闊に殺し合いなど始められない。
「だが同志が生存している確率は低い、俺はもう主催者への反撃を第一に行動する、同志の捜索に付き合う気は無い」
可能性があるとはいえ、それを前提にして行動する事はできないとヒイロは判断する。
「ファサリナ、お前はどうする?」
これ以上協力しないと断言した上で、彼はファサリナに今後の行動方針を尋ねた。
当然彼女も同志が生きている事を前提に行動するつもりは無かった。
確認したいとは考えていたが、当面は死んでいる事を前提に行動するだろう。
その行動のスタンスを、ヒイロは問いかけている。
(この少年は強い…)
そして、ファサリナは少年の強さに感心する。
肉体的強さだけではない、なにより心が強いのだ。
(彼は、この異常事態においてもまったく自分の軸がぶれない…)
いきなり、こんな訳の分からない所に連れてこられ、殺し合いを強いられた。
ほとんどの参加者は主催者側の言う事をすべて信じ込み、自分自身のの冷静な判断を下せなくなるだろう。
ファサリナほどの達観者でも主催の強大さに畏怖し、同志が死んだと聞かされた時も、とっさには、それを鵜呑みにして殺し合いに乗ることしか浮かばなかった。
さまざまな、異常事態に遭遇したにもかかわらず、己の価値観で冷静な判断を下せる、この少年の精神力の強さは半端な物ではない。
ファサリナはあの民家の中での彼の発言を思い出す。
『主催者の技術を奪い、反撃する』
主催を倒すなど、正直到底不可能な事ではないかと思う。
(だけど…この少年ならもしかしたら……)
この少年ならば、あるいは本当に可能なのではないか。
彼の強さに賭けてみる価値が有るのではないか。
「あなたは『主催者の技術を奪い反撃する』といいましたね」
「そうだ」
「それが本当に成功すれば、彼らから『人を生き返らせる力』とやらも奪えるかもしれません」
ヒイロと共に主催者を追い詰める。
主催者から死者蘇生の技術を奪い、同志を生き返らせる。
優勝以外にも、まだその方法が残されている。
「だから…俺に協力すると?」
「私は少し、貴方に賭けてけてみたいと思います」
(ここはもう少し待ってみましょう)
今はヒイロと共に主催者打倒に向けて行動し、その過程で同志の死を確かめる。
そして、もしヒイロと共に主催者を追い詰めることが出来るのなら良し。
だがもし、何も出来ないままヒイロが死に、参加者が順調に減っていってしまうような事になれば・・・。
(このゲーム盤が主催者打倒に傾くのなら私も主催打倒に徹し続けましょう…けれどヒイロが死亡し、ひたすら殺し合いが苛烈するようならば、私も殺し合いに乗ります)
これが今より彼女の行動方針となったのだ。
(すべては同志の夢のために、どちらの道を行く事になろうと…私は必ず成し遂げてみせます…)
彼女はここに決意を固めた。
「了解した、今はひとまずお前と協力することにしよう」
「ありがとうございます」
「だがもし、お前が俺の障害になるような事になれば…」
「私を殺す……ですか?」
少年はただそれに対して、無言で頷いた。
◇◇◇◇◇◇
ここまで話が纏まったにもかかわらず、主催に対抗する為にまず何をするのかは、意見が分かれた。
まず、この屋敷を十分に探索して、それが終わるまでに他の参加者が現れなれば移動を開始する。
ここまでは二人とも同意見だった。
しかし、「どこに移動するか」で二人の意見が分かれたのだった。
「まずこの間欠泉に向かう」
「さらに山を上るのですか?何故です?」
「これだ」
そう言ってヒイロは一枚の紙を見せた。
それはヒイロの支給品の一つ。
『【B-2】と記された小さな紙切れ』である。
「そのような紙切れ一つの為に行動するのですか?」
「一人三つしかないと思われる支給品の一つがただの紙切れ…あまりに素っ気無さ過ぎて逆に不自然だ、これで何か無い方がおかしい、もしかすると主催に繋がる何かが有るかもしれない」
「私は反対です、主催者に対抗するならすぐに南下して、一人でも多くの新たな同志を集めなくては……」
「ならお前がそうしろ、ここからはしばらく別行動だ」
「いけません、私達はまだたったの二人、単独行動など…」
「俺は一人でもいい、そのほうが慣れている」
「………わかりました、一旦休題にしましょう、先に屋敷内の探索を済ませてからもう一度話し合う事にしましょう」
「わかった」
こうして二人の議論は一旦幕を閉じる。
部室に有ったティーセットとお菓子で少しお腹を満たした後、二人は屋敷の探索を開始した。
外観的には三階建ての館だったのだが、内装がここまで違ってはそれすらも断言はできない。
とりあえず、二人は今いる1階を探索した後、階段を発見できれば順に二階、三階と順に探索していく事にする。
意外と階段はすぐに見つかった。
部室を出て左て、つまり玄関側からは曲がり角で見えない位置に階段があった。
ただし、その階段は上の階に向かう物だけではない。
「地下…か」
上方へと昇る階段の横に、地下へと続く階段がある。
「どうしましょうか?」
「これより潜入する」
「ええっ…ちょっと待ってくださいな」
ヒイロは勝手にどんどんと地下へと降りていく
またしてもヒイロを追いかけながらファサリナは、今後もずっとこの調子なのだろうか?と少し苦笑いを浮かべる。
しかし、行動方針をまとめた彼女の心はさっぱりとしていた。
前を走る少年の背中が頼もしく見える、依然としてヒイロはこの殺し合いの島における彼女の希望だった。
◇◇◇◇◇◇
率直に表現すると地下は温泉とゲームセンターだった。
地下面積の大部分は巨大な温泉が占め、温泉の入り口からすこし右手の小規模な空間にゲームセンターがあった。
まるで旅館の地下のような状態だ。
温泉の方は後で調べる事にして、二人は隣のゲームセンターを優先して捜索する事にした。
備え付けられた、ゲームの種類はそう多く無い。
特に目を引くものは
- ギャンブルゲーム(麻雀)
- パチンコゲーム(CR戦国BASARA)
- アクションゲーム(ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~戦場の絆~)
この三つだった。
もはやこの島の定番になりつつある麻雀ゲーム(オンライン対戦可能、血液掛け可能)に触れながらファサリナがたずねる。
「ヒイロ、これらはいったい何の機械ですか?」
「麻雀をゲームで出来るようにした機械だ、知らないのか?」
「麻雀を機械で……では牌の移動などもすべて機械が?」
「そうだ全て画面の中で行われる、というかゲームを知らないのに麻雀は分かるのか」
次にパチンコ。
これは、なんだか五月蝿かったのでスルーした。
最後に、アクションゲーム。
これには、二人とも強烈に興味を引かれた。
カプセル型の筐体が、でんっ、と四つ並んで置かれている。
その四つの筐体の中間にタッチパネル式のターミナルが有った。
「これは…ガンダムのコックピットか?」
一番左端の筐体の中を覗きのんだヒイロが驚いたような声をあげた。
筐体の中はヒイロが良く知るガンダムのコックピットだった。
筐体の内部は全方位360度がモニターとなっており、リアルな草原の仮想空間を映し出している。
順に見ていってみると、四つの筐体の中は全て違う様式のコックピットになっていた。
「これは・・・」
右から二番目の筐体を覗いたとき、ファサリナも声を上げた。
そこは、四つの中で一番奇怪なコックピットだった。
そもそも、シートがない所から他とは大きく違う。
更に、他の四つのモニターとは違い、前方しか仮想空間が映し出されていない。
ほぼ全体にわたって、青い炎のような背景を移していた。
「なんだこのコックピットは?」
「これは、ヨロイの操縦席です…それもオリジナルセブンの」
「ヨロイ?」
「私の惑星での戦闘用巨大ロボットの名称です」
「惑星…」
これについても後で話しあう余地が有るなと、ヒイロは思った。
「つまり、自分の動かし慣れているコックピットを内包する筐体に入れということか」
「そのようですね」
ヒイロは一旦、筐体から離れターミナルを見る。
タッチパネル式のモニターには「ルール説明」とだけ表示されている。
ヒイロが指で触れると、ただちに音声による説明が開始された。
~『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~戦場の絆~』ルール説明~
?
インデックスです、これより当ゲームセンターに備え付けられているアクションゲーム『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメア~戦場の絆~』の説明を開始します
?ターミナルの左右にあります4つ筐体の中から、お好きな操縦席をお選びください
?各操縦席に御搭乗なられましたら、内部に取り付けられているスタートボタンを押してください
?筐体のドアが閉じられ密閉状態になりますが心配はいりません、ゲーム終了後にドアのロックは解除されます
?次にモードを選択してください、当機には『練習モード』と『本番モード』があります
?『練習モード』では敗北しても勝利しても特に何もありません、しかし『本番モード』において掛け金ゼロで敗北した場合には敗北者の首輪は爆破されます、逆に勝利者には賞金が与えられます
?なお、『練習モード』は各参加者一人に付き5回までしかプレイできません、ご了承ください
?その後、NPCと対戦するか、プレイヤー同士で対戦するかを選択してください
?ステージと使用機体はランダムで選ばれた物になります
?ステージと使用機体の説明の後、ただちにゲームが開始されます
?最後に、等ゲームはオンライン対戦と乱入システムにも対応しております、この島に取り付けられています全ての操縦席と対戦可能です
?以上で説明を終わります、では皆様心ゆくまでお楽しみくださいませ
ぷちっ
とマイクの切れる音がして、ルール説明は終了した。
「オンラインと乱入か…この機械はこの場所以外にも幾つか点在すると見ていいな」
「そうでしょうねぇ、まさかこんな方法での殺し合いもあったなんて……」
「ゲームを利用した殺人か、これなら弱いものでも身体的実力差は有る程度埋まるか」
「なんだか面白そうですねぇ、一度やってみましょうか?『練習モード』で対戦…」
「遊んでいる暇はない」
「いえいえ、これは遊びではありませんよ?」
「どういう意味だ?」
「負けたほうは、勝ったほうの行動方針に従う、いかがです?」
「つまり、俺が勝ったら、館の探索後は俺の好きに動いていいと?」
「ええ…、ただぁ、私が勝った場合は…一緒に南下してもらいますよ?」
ヒイロは暫く考えた後
「いいだろう」
ファサリナの提案を了承した。
これから、しばらく協力して活動する仲だ。
もう一度お互いのの実力を確認しておきたい。
そういう思考も双方にはあった。
そうと決まれば、二人の行動は素早い。
ヒイロは左端の筐体に、ファサリナは右から二番目の筐体に乗り込んでいった。
◇◇◇◇◇◇
筐体がロックされ密閉状態になったあと、ヒイロは一人、物思いにふける。
(俺は甘いのか?)
昔の彼ならファサリナと協力関係を続ける事は無かっただろう、同志が死亡したと放送された時点で最早彼女は不穏分子。
危険の芽は早いうちに摘んでおくべきだ、しかしヒイロはいまだ彼女と行動を共にしている。
幾ら主催を倒す戦力になりえるからと言って、殺し合いに乗る可能性のある人物と行動を共にするなど、以前のヒイロなら絶対にしなかっただろう。
こんな風にヒイロを変えたものはなんなのか。
さまざまな人物達との邂逅。
そして、目を閉じた彼の目蓋の裏に一人の女性の姿が映し出された。
(リリーナ……)
彼女の理想を信じられると思っていた。
こんな所で死なせるわけにはいかないと思っていた。
しかし、彼女はおそらくもうこの世にいない。
同志と同じように、彼女の死もまた前提に行動しなければならない。
自分が守らなければならなかったのに。
(くっ…みじめな仕事だ……)
自分がもっと早く行動していれば、救えたのではないか。
そんな自分への憤りに彼は拳をきつく握り締めた。
(人を生き返らせる力…)
それは、どのような物なのだろうか。
それを手にする事が出来れば、彼女を救う事が出来るのだろうか。
そう、ヒイロが考えていた時。
「ヒイロ?ヒイロくん?聞こえてますか?」
いつの間にかサイドモニターに小さくファサリナの顔が映し出されていた。
スピーカーから彼女の音声通信が聞こえてくる。
リリーナの面影を振り払い、ヒイロは目を開いた。
選択されたステージは『廃墟』に決定されたらしい、崩壊したビル群がモニターの向こうに広がっている。
「ああ、聞こえている」
「よかったぁ…眠っちゃったのかと思いましたよ?」
いつの間にか全ての設定が完了し、もうすでにゲームは始まっていたようだ。
しかし、周囲にファサリナの機体の姿は見えない。
「どうやら、お互い離れた位置からスタートするようだな」
「そのようですねぇ…」
レーダーには一つ機影がある、ファサリナの機体の位置だろう。
ここから直接は視認出来ない距離だが、そう離れてもいない。
「本気でいくぞ」
「望むところです、貴方の実力をみせてくださいね」
それきり通信は途絶え、ファサリナの顔もサイドモニターから消えた。
いよいよ真剣勝負という事らしい。
「さて、見た事も無い機体だが、どう戦うかべきか……」
自分にあてがわれた機体は、今まで見てきたMSとは根本的に作りが異なるようだ。
武装も把握しないまま、ファサリナの機体を探しに行くわけにはいかない。
サイドモニターに表示される己の搭乗機の機体情報を読み上げながら、ヒイロは戦略を練る。
おそらく、機体の不慣れさは向こうも同じ。
ならば慣れない機体をいち早く使いこなした方が、勝利する事となるだろう。
やがて、全ての戦闘準備は整った。
「ウェイクアップ、サウダーデ」
彼は、座りなれた操縦席で、使い慣れない機体を起動させる。
現れた敵機体に照準を合わせ、呟いた。
「……ターゲット確認……排除開始」
【C-3/憩いの館(地下ゲーセン内)/1日目/朝】
【ファサリナ@ガン×ソード】
[状態]:健康
[服装]:自前の服
[装備]:ゲイボルグ@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品2個(確認済み)
M67破片手榴弾x*********@現実(ヒイロとはんぶんこした)
軽音部のラジカセ@けいおん(こっそりデイバックに入れた)
[思考]
基本:ヒイロと協力して主催者を打倒する、それが無理だと判断した場合殺し合いに乗る
0:ヒイロに勝つ
1:館内を探索する
2:ヒイロと共に行動する
3:南下して、新しい同士を集めたい(ヒイロに負けた場合はしょうがないから間欠泉まで付いていく)
4:「カギ爪の男」が本当に死んだのかを確かめる
5:新たな同志が集まるまではなるべく単独行動は避けたい
6:明確な危険人物の排除。戦力にならない人間の間引き。無理はしない。
7:ゼロを名乗る危険人物の排除
[備考]
※21話「空に願いを、地に平和を」のヴァン戦後より参戦。
※トレーズ、ゼクスを危険人物として、デュオ、五飛を協力が可能かもしれぬ人物として認識しています
※ヒイロを他の惑星から来た人物と考えており、主催者はそれが可能な程の技術を持つと警戒(恐怖)しています
※同志の死に疑念を抱いていますが、ほとんど死んだものとして行動しています
※「ふわふわ時間」を歌っている人や演奏している人に興味を持っています
※ラジカセの中にはテープが入っています(A面は『ふわふわ時間』B面は不明)
【
ヒイロ・ユイ@新機動戦記ガンダムW】
[状態]:左肩に銃創(治療済み)
[服装]:普段着(Tシャツに半ズボン)
[装備]:基本支給品一式
コルト ガバメント(自動銃/2/7発/予備7x5発)@現実、M67破片手榴弾x*********@現実(ファサリナとはんぶんこした)
[道具]:B-2と記された小さな紙切れ@現実
[思考]
基本:主催側の技術を奪い、反撃する
0:ファサリナに勝利する
1:館内を探索する
2:B-2の間欠泉に行きたい
3:ゼロを名乗る危険人物の排除
4:今のところはファサリナと協力する
5:リリーナ……
6:人を生き返らせる方法……
7:ユーフェミアは……
[備考]
※参戦時期は未定。少なくとも37話「ゼロ対エピオン」の最後以降。
※D-1エリアにおいて数度大きな爆発が起こりました。
※ヴァンを同志の敵と認識しています
※ファサリナの言う異星云々の話に少し信憑性を感じ始めています。
※ファサリナのことは主催に対抗する協力者として認識しています。
※それと同時に、殺し合いに乗りうる人物として警戒もしています。
【憩いの館について】
外からはホラーハウスに見える。
三階建て?最低でも二階建て。
玄関から入ってすぐに、廊下の真ん中に出る。
玄関から左側の廊下の奥に、軽音部の部室完全コピー部屋が有る。
部室内の机の上のラジカセはファサリナさんがっこっそり回収しました。
机の上にティーセットが置きっぱなしになってます。
地下あり、構成は温泉とゲームセンター。
割合は温泉が大部分を占める。
これ以外の構成は後の書き手さん任せです。
【憩いの館、地下ゲームセンターについて】
血液使用可能なオンライン麻雀はここにもある。
パチンコがある。
シュミレーターによるアクション対戦ゲームあり。
ルールは以下
- 四つの筐体と中央にターミナルという構成。
- 四つの筐体の内部はシュミレーター、左から順にガンダムw、00、ヨロイ、KMFの操縦席に対応。
- 『練習モード』と『本番モード』がある
- 『本番モード』は掛け金ゼロで負けると死ぬ、勝つとペリカか景品が貰える。
- 『練習モード』は勝っても負けても、何も起こらないが。一人五回までしかプレイできない。
- ステージ及び使用機体は完全にランダム。
- オンライン対戦可能だが、他の施設にもこれ有るかどうかは他の書き手任せ。
- ちなみに乱入も可能。
現在ヒイロとファサリナが『練習モード』で対戦中、以下設定
ステージ:廃墟
ヒイロの機体:サウダーデ・オブ・サンデイ@ガンソード
ファサリナの機体:???
ファサリナの機体は次の書き手任せ
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最終更新:2010年01月20日 00:32