狂った親子◆0dK8cK8EyQ
「おのれ…殺し合いだと…!この吉良吉影が………誰よりも平穏を望むこの私がなぜこのような目にッ!……なぜ…なぜ……。」
男、吉良吉影は爪を噛みながら夜の街でつぶやき続ける。爪から血が流れ出ているが全く噛むのをやめることはない。
よほどショックなのだろう、周りの様子を気にする様子もなく。傍らに落ちているディバッグにも気づきもせずに。
だからであろうか、意識を少しも向けていなかった足元から突然声が聞こえたのに、彼は最初は驚いた。しかしその正体を知ると…。
「おお……。わしの愛しの息子、たった一人の息子、吉影よ…。かわいそうに……。」
ディバッグの中から自力で這い出てきたのはなんと老人の上半身が飛び出している写真であった。何も知らない者が見たら、さぞや驚き震えあがることであろう。
しかし吉良吉影はこの写真の事を知っている。それもこのゲームの参加者で最も詳しく。
この―写真といえばいいのか、老人といえばいいのか―の者の名は吉良吉廣、通称写真のおやじ。何を隠そう吉良吉影の実の父親である。
癌で亡くなった後も自らのスタンド能力で写真に取り憑き吉影をサポートし続けたこの男は、このゲームでの吉良吉影の唯一の味方といっていいだろう。
写真のおやじはなおも吉影に語り続ける。
「おお……今おまえは爪を噛んでおるのかい…。人間は誰でもこの世に思いどおりにならない事がある事を幼い時に学習する………。
吉影………おまえはそんなどうしようもない時に決してわめいたりする子供ではなかったが爪をよく噛む子じゃった………。
絶望した時おまえは血が出るほど爪を噛む……。かわいそうに~~~おまえはいまとても『絶望』しているのだね……。」
「……親父。来ていたのか…。」
「突然訳のわからんところに連れてこられたかと思えば、これまた訳のわからん男に
ルールを説明された後、お前は支給品になれとな。
しかしまさかおまえのところに配布されるとは…。運がよかったよ。わしもおまえもなァ。」
その言葉を聞いた瞬間、吉影は爪を噛むのをやめ、写真を両手に掴み怒りを全く隠さぬ口調で怒鳴り返す。
「運がいいだとーーッ!こんな悪趣味なゲームに連れてこられた時点でどこが運がいいといえるッ!」
「すまんかった。すまんかった。そんなに怒鳴らんでくれえ~。他の参加者にも聞こえるかもしれんしのぉ~~。」
その時吉影はやっと他の参加者の事を考える。そして考えたとたんには彼の脳内にはぬぐい取れない嫌な予感が生まれていた。
「そういえば最初に説明してた僧どもが書類を配布していると言っていたな。その中に参加者の名簿もあるかもしれない。」
「それなら確か名前が羅列された紙が入ってあったわい。」
そう聞くとすぐにディバッグを漁り始める。食料だとか水だとかをかき分けながら、どう見ても見た目以上に中身が入ってあるのにも気づかずに探し続けお目当ての書類を見つけると一人も読み飛ばすことなく上から読んでいく。
読みながら吉影の体中からどんどんと汗が流れ出てくる。さすがに不自然に思った写真のおやじは思わず尋ねる。
「なんじゃッ!いったいどうしたんじゃッ!誰の名前が載ってたというんじゃッ!」
「『岸辺露伴』……『虹村億奏』……『広瀬康一』……『東方仗助』ッ!……。私を追っている奴らが4人もッ!
他の参加者の事を考えた時から嫌な予感はしていた…。だがまさか4人もいるとはッ!
ダーハラとか言ったか、主催者の奴め…!この吉良吉影をどこまでイラつかせれば気がすむんだッ!私が……私がいったい何をしたというのだッ!」
その後、もう一つの書類―ルールブックを読みにかかっている吉良吉影の顔からは苛立ちが目にとれる。
写真のおやじが慌てて吉影をなだめにかかる。
「待てッ!奴らはまだおまえのこの『川尻浩作』の姿に気づいておらんッ!そうとなったらまだやりようはあるぞッ!つまり…」
写真のおやじが次の言葉を発す前に吉影は反論にかかる。
「『偽名』でも使えというつもりかッ!このルールによると6時間ごとに放送が流れ死者の名前が呼ばれるらしい…。
こんなことをされては偽名なんぞ使いようがない。そもそも私にだって4人も知っている奴がいるんだ。この殺し合いに全く知り合いがいない参加者などいないと考えていい。
そうなると偽名を使ってもいつばれるかわからん恐怖に怯えることになる。この平穏を愛する吉良吉影がどんな状況であろうともそんなことにびくびく震えながら生きていくなど絶対に許さんぞッ!」
何年も吉影を見守ってきた写真のおやじにはこの怒りがよくわかるが他に解決策は見つからない。
「だったらどうするつもりなんじゃ。名前を明かさずに信用されるわけがないぞ。」
この写真のおやじの問いに少々の間を置いた後、吉影は決意を込めた口調で答える。
「『優勝』するッ!無力な一般人を演じたまま脱出までこぎつけるのは不可能だ。必ずその過程で『闘い』をしなければならない時はくる。
奴ら4人が『殺人鬼吉良』と『キラークイーン』の能力を併せて広めていく以上そこで正体がバレるッ!
この殺し合い中は協力できても脱出した後に私の正体を知った者が生き残る以上脱出は論外だ。」
しかし亡霊となってまで息子の身を案じ続けた写真のおやじにとってこの判断は納得できない。なぜなら…。
「優勝したからといって奴らが解放してくれる保証はどこにあるんじゃ。そもそも主催者の奴らにバレているのはどうするつもりなんじゃ?」
「それについても今考えているところだ…。主催者の人数が少ないなら優勝した私が下手に出ている間に殺し切れるか…?
だがしかし東方仗助のような正義漢ぶった奴らに私の正体を知られて脱出した後のうのうと見失うのだけは避けなければいけないッ!」
吉影の決意が揺らがないことを知った写真のおやじも従うように決めたようだ。
「ああわかったよ、吉影。最近は不運が続いてたが、それでもおまえは乗り切ってきた。
この殺し合いでも運命はおまえに味方するはずじゃあ!わしはおまえを支え続けるからなぁ~~。」
見事このゲームでの行動方針が決定した二人だが、その目的を果たすためにどう行動するかだ。
「乗るとは決めたが、積極的に闘うことはしない。こういう場でこそ『平穏』を保たなければ。
名簿に『片桐安十郎』という男の名前が載っている。数か月前に通称『アンジェロ』と呼ばれ世間を騒がせていた脱獄囚だろう。
こいつだけじゃない。この殺し合いを成り立たせるために主催者は他に何人も下劣な殺人鬼を呼んできているはずだ。
こういう奴らを利用してうまく立ち回るッ!」
「ウケケケケケ!この殺し合い、人を殺したくはないが主催には勝てるわけがない。そんなどっちつかずな考えの愚か者がいるはず!
吉影よォ!そいつらの扇動はわしに任せるといいわいッ!」
(絶対に私は生き延びてみせるぞ!私は人を殺さずにはいられないという『サガ』を背負ってはいるが、絶対にこの困難を乗り越えて『幸福に生きてみせるぞ!』)
そうして動き出した吉良吉影が先ほどまで噛んでいた爪には『かつ』の二文字が刻み込まれていた。
(吉影よ、わしのたった一人の息子。必ずやこんな場所では死なせんぞぉ!おまえを助けるためならどんな手段を使ってもなァ!ウケケケケケ!
そのために邪魔なのは『東方仗助』!貴様らじゃあ!)
狂った父親は息子の身を案じ続ける。
【C-2/深夜】
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2、写真のおやじ@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
[思考・行動]
基本方針:吉良吉影の正体を知る者なしで生還する
1:マーダーを扇動して効率よく参加者を減らす
2:写真のおやじを心の弱い対主催に与え火種を作らせる
3:できる限り闘わない
4:主催者を殺す方法を考える
※参戦時期は写真のおやじと合流後~岸辺露伴が正体に感づいたことを気づくまでの間です
【写真のおやじ(吉良吉廣)@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]:健康
[装備]:
[思考・行動]
基本方針:吉良吉影を守る
1:対主催に潜り込み扇動する
2:吉良吉影を助けるためには脱出も考慮する
3:↑のために吉良吉影の悪評をばらまかれる前に東方仗助たちを始末する
※参戦時期は吉良吉影と合流後~岸辺露伴が正体に感づいたことを気づくまでの間です
※所有者と20m以上離れることはできません
※所有権は互いの同意があれば変更可能です(所有者が死亡している場合は不要)
※その他の制限は後続の書き手にお任せします
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最終更新:2016年10月08日 00:35