23話 煉獄炎
代わりになる武器――もぬけの殻となった銃砲店にて、
警官、井田亮太は上下二連式散弾銃と予備弾5発、へレーネは護身用拳銃デリンジャー、予備弾無しを手に入れた。
はっきり言って全く心許無い。
「不安だ、不安過ぎる」
「そうですねぇ」
「まあ、青田くんよりはマシだけどな…」
「私もいますから、大丈夫ですよ…多分」
二人は市街地を北方向へ歩いて行く。
すると、とある曲がり角から学生服姿の猫獣人の少女が現れた。
「……」
少女――テトは、警官と思しき男と白髪に黒い身体の竜のような生き物の姿を確認する。
「…井田さん」
「どうした、へレーネ」
「あの子、何か、嫌な感じがする…」
「え…?」
先程までへらへらとしていたが、今は真面目な表情になっているへレーネが亮太に警告した。
「……」
テトは、無言のまま、二人に近付く。
武器は装備していない、腰に短機関銃と思しき物を差しているが、抜く気配は無い。
しかし、何も言葉を発せず自分達に接近する猫少女は亮太とへレーネに言い知れぬ恐怖を与えた。
「ま、待て、君! そこで止まるんだ」
散弾銃の銃口を向け止むなく威嚇する亮太。
引き金には指を掛けていない、撃つつもりは無いのだ。
テトが足を止める。距離はおよそ8メートル程。
「…俺は、井田亮太。見てくれれば分かると思うが警官だ」
「私はへレーネって言うの…あなたの名前、教えてくれる?」
二人はテトに話し掛ける。
「…テト、よ」
自己紹介すると、テトは右手を二人に向けて突き出した。
それが一体何を意味するのか、亮太とへレーネには分からなかった。
「…悪いけど…死んで」
炎。
亮太とへレーネの身体が、突然炎上した。
「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!?」
炎はあっと言う間に二人の身体を飲み込み、皮膚を焼き、焦がす。
何が起きたのか理解出来ぬまま、激しい苦痛にもがき苦しむ亮太とへレーネ。
黒煙が立ち上り、肉の焦げる臭いが周囲に立ち込める。
やがて、二人は動きを止め、アスファルトの上に倒れた。このまま、炎に焼かれ灰と化すであろう。
「う…ぐ」
二人を焼き殺した張本人、テトもまた、身体が燃えた。
もっとも二人に比べれば軽微で、衣服と毛皮が少し焦げ軽い火傷で済んだが。
「…『力』は一応、使えるみたいね…」
煙を上らせている自分の右手を見ながら言うテト。
彼女はある神の力を降ろして自分に宿し、様々な能力を使う事が出来る。
そう言った一族の生まれなのだが、まだ身体が未熟なため、能力を使う度、反動を受けてしまう。
「でも、あんまり多用出来ないな、やっぱり…」
テトは先刻殺した少年から奪ったイングラムM10短機関銃を装備する。
今回能力を使ったのは、この
殺し合いにおいてどの程度能力が使えるか試す目的があった。
やはりきつい反動を受けるため多用するのは危険と判断した。
「これを使った方が、まだ安全かしら…ね!」
そしてイングラムM10を構え、背後を振り向く。
そこにはピューマ獣人の若い女性が。
「あ―――」
「隙を突いて私の後ろを通って逃げようとしたみたいだけど、残念ね、じゃあ、さようなら」
「――――!!」
ピューマ獣人、相馬祐実は持っていたコルトパイソン回転式拳銃を咄嗟に構え、引き金を引いた。
ダァン!!
「うぐっ!」
.357マグナム弾の銃弾はテトの左肩を抉り赤い華を咲かせる。
衝撃で後ろに転ぶテト。祐実はテトとは反対方向の道路へ一気に走り出した。
「このぉ…ふざけやがって!!!」
肩の激痛に耐えながら、普段の彼女からは想像もつかない乱暴な言葉を発し、
テトは逃げ去ろうとするピューマ獣人女性の背中に向けイングラムM10を掃射した。
ダダダダダダダダダダダッ!!
「ぐあっ、う゛っ」
背中を殴られたような衝撃と共に、焼けるような熱を感じる祐実。
二発の.45ACP弾が祐実の身体に突き刺さった。
「ぐ、あ、あああああああああああああっぁああああああああぁあああ!!」
それでも祐実は大声を張り上げ激痛から気を逸らし、とにかく走った。
立ち止まれば待っているのは「死」だったから。
そして祐実の姿はテトからは確認出来なくなった。
「はぁ、はぁ、うう……」
獲物に逃げられた上手傷を負わされた事は悔しかったがまずはその手傷の手当てが優先だと、
テトは傷口付近に右手を翳す。どうやら弾は貫通したいるようだった。
ぼうっ、と、優しい光が右手から放たれ、そして徐々にテトの銃創が癒えていく。
やがて傷口は完全に塞がり痛みも無くなったが、短時間で能力を二回も使った代償は大きかった。
「はぁ…はぁ…流石に、まずいかな…力を使い過ぎたわ……」
まるで何時間も運動した後のような疲労感がテトを襲う。
実際、疲労していた。力を使い過ぎ、下手をすれば命の危険もあった。
「どこかで休んだ方が良いわね……」
ふらふらと、テトは燃え盛る現場から、どこか休める場所を捜し歩き始める。
……
撃たれた傷がとても痛んだ。
背中から入った弾は貫通し、祐実の自慢の乳房のすぐ下辺りに穴が空いていた。
そこから温かい血液がドクドクと流れ出ている。
「痛い…痛いよ…」
泣きながら傷を押さえ、ふらふらと歩く祐実。
「もう嫌だ……変だよこんなの……美帆…圭人ぉ……」
今更ながらに、なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのかと、主催者を激しく呪う。
会いたい。仲の良い友達二人にとても会いたいと祐実は切に思った。
「うっ…えぐっ……あー……ぐすっ」
涙で顔をしわくちゃにしたピューマの女性は宛ても無く市街地を歩き続ける。
【井田亮太@オリキャラ:死亡】
【へレーネ@オリキャラ:死亡】
【残り:35人】
【朝/F-2市街地:路上】
【テト@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]肉体疲労(大)、衣服が少し焦げている、軽い火傷、精神に異常
[装備]イングラムM10(18/32)
[持物]基本支給品一式、イングラムM10のマガジン(5)、焼夷手榴弾(3)、洞爺湖の木刀(血塗れ)@銀魂、果物ナイフ
[思考・行動]
0:皆殺しにする。主催者も殺したい。
1:一度どこかで休む。
2:クラスメイトの中でも太田太郎丸忠信、愛餓夫、壱里塚徳人、吉良邑子は惨たらしく殺す。
[備考]
※本編最終話直後からの参戦です。
※能力は特に制限されていないようです。
※相馬祐実の容姿を記憶しました。
【朝/F-2、E-2境界線付近】
【相馬祐実@オリキャラ】
[状態]肉体及び精神疲労(大)、胴体に貫通銃創(出血多)、嗚咽
[装備]コルト パイソン(5/6)
[持物]基本支給品一式、.357マグナム弾(12)、FN M1906(6/6)、FN M1906のマガジン(3)
[思考・行動]
0:死にたくはない。圭人と美帆を捜す。
1:痛い…もう嫌だ…。
[備考]
※テトの容姿を記憶しました。
※井田亮太、へレーネの死体及び所持品はF-2市街地:路上にて炎上しています。
最終更新:2011年07月10日 21:30