◆
「はぁ……不幸だよな、これって」
某ラノベの主人公の口癖を呟き、帝愛グループ幹部ーーーーー遠藤は頭を抱えた。
伊藤カイジに上司の利根川幸雄を失脚させられ、地位はガタ落ち。金銭的にも苦しい生活を強いられていたが、そのきっかけとなったカイジと協力して人喰いパチンコ『沼』を破ったーーーーー筈だった。
その矢先に、この
殺し合いだ。とんでもない額の金を入手できたのに、またも人生は遠藤に幸福をもたらさなかった。ふざけるなよ、と遠藤は思う。
だが、殺し合いに優勝さえすれば願いが叶えられるらしい。
例えば、一生かかっても使いきれないくらいの金を手に入れて、兵藤の目的としていた核シェルターの内部に理想郷を建築してしまうこともできる。
「……悪くねえ話だな」
ディパックには一丁の拳銃が入っていた。見るのは初めてではないが、撃つかもしれない機会に恵まれたのは今回が初めてであった。
それを構えると、とりあえず参加者名簿を一瞥しておく。
伊藤カイジ。一度共闘した相手とはいえ、彼を追いつめたのは間接的にカイジ本人なのだ。正直、個人的な鬱憤が無いといえば嘘になってしまう。
一条。こいつは殺し合いに乗ると確信できた。
それも、姑息に対主催に紛れ込んで時を待ち、一気に殺戮する手を使うだろう。
とりあえず元世界の知り合いは殺せないというほど思い入れのある奴はいない。
遠藤はとりあえずゲームに乗ることにした。優勝さえすれば、死ぬかもしれないリスクがあってもそれに釣り合う報酬が得られる。どうせ何もしなければ殺されるのだから、殺し合いに乗るというギャンブルに出るのもまた一興だろう。
◆
笛吹きハーメルンといえば聞いたことのある者も多いだろう。
そしてまた、同じ名を持つ猫獣人の『作曲家』ハメルンも世界に名を広く知られている天才であった。未だ偏見を持たれることも僅かながらあった獣人への差別意識を更に薄くするのにも一役買った人物であり、彼女のファンは下手なアイドルよりも多い。
そんな彼女もまた、殺し合いに招かれていた。
「困ったなあ…どうしよう」
ハメルンは口ではそう言ったが、彼女には殺し合いに乗ることはきっとできないだろう。彼女は平和主義者だ。悪人を殴ることにさえ動揺してしまうくらい争いを嫌う。
支給された武器はまさかのクレイモア地雷ーーーつまり対人地雷だ。
間違いなく相手は死ぬ、ある意味最高の当たり武器だった。
「……こんなもの使ったら、……」
想像してしまう。自分の仕掛けたクレイモア地雷で相手の体が吹き飛ぶのを。飛び散る鮮血を。相手の断末魔を。耳をつんざくような爆音を。
思わず吐き気がこみ上げてくる。しかしそれを何とか我慢して、再び立ち上がるーー
その時、一発の銃声が響いて、ハメルンの右の太股から血が噴き出した。
◆
神様はつくづく残酷なことが好きだ、と櫛名田眠は思う。
彼女に支給されたのは大鎌。幸か不幸か、それは眠が日常的に行うとある『義務』に用いる凶器と同じ武器であった。
ーーーーー処刑。
色欲に走った『神人』ーーーつまり普通の人間から甘い、魅惑的な匂いを感じる特殊な種族ーーーを取り押さえて、この鎌で首を跳ね飛ばす。
櫛名田の家に生まれたために行ってきた義務。それは、とある事件によって解消されつつあった。あの日。賢木俊一郎の起こしたクーデターにより、神人の存在は公にされた。
それなのに。あの悪魔たちは、再び残虐な贈り物を贈ってきた。
「ーーーーー許せませんね」
静かな怒りを燃やして、櫛名田眠は立ち上がりーーーーー
一つの銃声を聞いた。
そして、櫛名田眠は駆ける。見知らぬ誰かを助けるために。
◆
「ーーーチッ。やっぱり慣れねえと当たらねえな」
「い…た……っ?」
遠藤は片手から硝煙の立ち昇る拳銃を持ちながら言った。
そして、次の瞬間。遠藤の髪数本をかすめて鎌が振り抜かれていた。
「ンだ…あぶねえな」
「申し訳ありませんが、このようなゲームに乗るというなら『祓い落とさせて』頂きますーーー覚悟を」
ダァン!という銃声と同時に、血生臭い戦いが幕を開けた。
【深夜/d-2】
【遠藤】
基本:優勝して、莫大な資産を手に入れる。
1:無理そうな相手なら撤退する。
※『沼』攻略後からの参加です
【櫛名田眠】
基本:主催者を倒す。
1:目の前の男を祓い落とす。
2:九澄くんと合流したい。
※解答編終了後からの参加です。
◆
「あら……酷い傷」
女ドクター石黒恭子は、眠と遠藤の戦いが続く中、ハメルンに近付いていった。
弾は貫通しているようだが、石黒は名医だ。支給された包帯と水があれば簡単に止血することができるだろう。
おびえた瞳で見つめるハメルンに、石黒は言った。
「大丈夫よ…私はドクターだから」
【ハメルン】
基本:誰にも死んでほしくない。
1:怖い……
【石黒恭子】
基本:殺し合いはしない。
1:ハメルンの傷を治す。
【ハメルン】
15歳の猫族で天才作曲家。
争いごとを何より嫌い、平和な日々を何より愛する。
【石黒恭子】
26歳の若さにして天才ドクター。
脳腫瘍の末期や皮膚移植などの難しい手術も簡単にやってのける。
| ペテン師は含み笑う |
投下順 |
[[]] |
| GAME START |
遠藤 |
[[]] |
| GAME START |
櫛名田眠 |
[[]] |
| GAME START |
ハメルン |
[[]] |
| GAME START |
石黒恭子 |
[[]] |
最終更新:2011年07月10日 23:53