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出身地同じってちょっと親しみ感じるよね

15話 出身地同じってちょっと親しみ感じるよね

青と白の毛皮を持った人狼の女性が森を歩く。
とある国の陸軍のマークと上等兵を表す階級章が肩の辺りにあるハーネスのようなベルト装備をしている。

「森かぁ…久し振りだなぁ」

軍務に就きずっと兵舎で寝泊まりしているせいで、しばらく森を見ていなかったユーディトは、
無機質なコンクリートや金属、油の臭いに満ちた軍事施設とは正反対ののどかな風景を楽しむ。

「……殺し合いなんかさせられてなければもっと良かったのに」

にこやかな表情から一転真面目な表情になる。

「黒沼中尉と、宗形軍曹もいるみたいだし……宗形軍曹ははっきり言ってあれな人だけど、
流石にこんな殺し合いに乗る程愚かじゃないでしょ……多分、捜そう二人」

上官二人の名前を呟き、ユーディトは適当な木の根元に座って自分のデイパックを開ける。
基本支給品の他、自動拳銃Cz75と予備の弾倉二つ、炸裂手榴弾(要は普通の手榴弾)が三個入っていた。
手榴弾は軍で使用している物と同じである(訓練で投げただけだが)。

「ええと、これは……」

手榴弾を一つ手に取り、使い方を思い出そうとするユーディト。

「これを、こうして、こうで、あっ」

安全ピンが抜けた。
手榴弾で安全ピンが抜けると言う事はどうなりますか?

そうだね! 爆発だね!

「………………そぉい!!」

焦ったユーディトはとにかく手榴弾を自分から離さなければと、
適当な方向へ力一杯遠投した。

「……?」

しかし投げた直後ユーディトは気付く。
手榴弾を投げた方向に、こちらには気付いていない様子の自分と同じ人狼族がいた。
このまま行けば、間違い無く――――。

「危ない逃げて!!」
「……え」


ドゴォォォン!!


静かな森に爆発音が響き、爆風で木々が揺れ無数の小鳥が空に飛び去った。

……

「……ああ」
「! 気が付いた!?」

人狼の少年、ユルゲンは身体中の痛みと若い女性の声で意識を取り戻す。

「ええと、俺…」
「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!」

どうやら自分は地面に寝かされているようだ、頭上から女性が必死に謝罪する声が聞こえる。
痛みに耐えて視線と頭を声の方向に向けると涙目になっている自分と同じ人狼族の女性がいた。
何やらベルトのような物を身体に巻いているように見える。

「わざとじゃなかったの、ちょっと手榴弾の使い方復習してたら、
うっかり、安全ピンを抜いちゃって……本当にごめんなさい……」
「……あー……」

段々と、何故自分が身体中に傷を負い、意識を失っていたのか、その理由を思い出してくるユルゲン。
殺し合いに巻き込まれ、これからどうしようか思案しながら森の中を歩いていたら、
突然、背後から大きな声が聞こえ、振り向いた――直後ぐらいだっただろうか。
閃光、爆音――そして自分は意識を失った。
要するに、全てこの人狼の女性のせいらしい。
ゆっくりと上半身を起こす、身体中が痛んだが包帯が巻かれ応急処置がなされていた。

「あなたの支給品に…応急処置セットがあったから…勝手だけど…使っちゃった」
「…いえ…ありがとうございます」
「そ、そんな礼なんて、私が悪いんだし……」
「俺もボーッとしてましたし…」
「……うう」
「俺、ユルゲンって言うんですけど…お姉さんは」
「私はユーディト…」
「ユーディトさん、ですか、その格好…兵士なんですか?」
「え? う、うん…****国軍の陸軍に……元々は、*****国の***森の生まれなんだけど…」
「***森…俺が住んでいる所だ…そう言えば昔、異世界に亡命した人達がいるって聞いた…」
「!? ユルゲン君も***森…!? た、多分、その亡命したのって、私達だと思う…」
「あー…そうなんですか?」

思わぬ共通点に二人は驚く。同郷だったのだ。

「……あの、ユーディトさん、もし良ければ俺と行動してくれませんか」
「えっ?」
「不安なんですよこれから先一人で行くの……知り合いもいませんし」
「良いの…? 大怪我させたの私なのに」
「そんなの…死ななかったんだから良いです。手当てしてくれたじゃないですかそれに。
その気になれば見捨てる事だってユーディトさんは出来たでしょう、でも、それをせずに、
見ず知らずの俺の手当て、してくれた……今更、どうのこうの言う気はありませんよ。気にしないで下さい。
それより…お願いします」
「……」

ユーディトは少し驚いたような困ったような、何とも言えない表情を浮かべ考え込む。
しばらくして、口を開いた。

「分かった、ユルゲン君」
「!」
「責任持って私があなたの事守るから…一緒に行こう」
「…ありがとうございます」

ユルゲンをここに放って行くなど、ユーディトに出来るはずも無い。
負傷させてしまった罪悪感、そして同郷である事の親近感、更には軍人として民間人を守らねばならないと言う使命感が、
連れて行かないと言う選択肢を選ばせなかった。

「…俺の支給品、応急処置セットだけでした? 実は俺支給品まだ見てないんですよ」
「いや、もう一つあったよ、これ」

ユーディトがユルゲンに鋭い刃を持つハンティングナイフを手渡す。

「ナイフですか、まあ使い慣れてるんで、良いですね」
「私のはこの拳銃と、さっき爆発させた炸裂手榴弾、後二つある……一つ、ユルゲン君に渡しておくよ」
「はあ」

そして先程ユルゲンを負傷させた炸裂手榴弾を一つ、本人に手渡す。

「使い方は、ここの安全ピンを抜いて、投げるの。簡単でしょ?」
「…ならなんで誤爆したんですかねぇ」
「…………」
「…冗談ですよ、フフッ」

硬直するユーディトをからかうようにユルゲンが軽く笑いながら言った。


【早朝/C-4森】
【ユーディト】
[状態]健康、ユルゲンに対する罪悪感と責任感
[装備]CZE Cz75(15/15)
[持物]基本支給品一式、Cz75弾倉(2)、炸裂手榴弾
[思考]
0:黒沼中尉と宗形軍曹を捜す。殺し合いには乗らない。
1:ユルゲン君と行動。
[備考]
※特に無し。

【ユルゲン】
[状態]身体中に軽傷(応急処置済)
[装備]ハンティングナイフ
[持物]基本支給品一式、応急処置セット(二回分)、炸裂手榴弾
[思考]
0:殺し合いはしない。
1:ユーディトさんと行動。
[備考]
※特に無し。


※C-4一帯に爆発音が響きました。


≪キャラ紹介≫
【ユーディト】
19歳の人狼の女性。青白の毛皮。元々RPGファンタジー風世界在住だったが、
魔族への圧政を逃れるため幼少時に異世界の日本風国家へ移住した。
両親の生活の足しになればと思い軍に入るがドジが多くよく上官の宗形昌輝にどやされる。
しかし反体制組織の掃討で功績をあげ、二等兵から一気に上等兵に昇進した。

【ユルゲン】
17歳の人狼の少年。茶白の毛皮。RPGファンタジー風世界でも、魔族に対する風当たりの強い地域に生まれ育つ。
目の前で友人が人間に虐殺される所を目撃した事があり、人間が余り好きでは無い。
礼儀正しい性格だが皮肉を言う事も多い。ユーディトと同郷。


014:この遊園地楽しくなーい 目次順 016:あっさりとオシマイ

ゲーム開始 ユーディト :[[]]
ゲーム開始 ユルゲン :[[]]

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最終更新:2011年08月21日 20:12
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