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冷戦

C-1のデパート内には、殺し合いにおける便利グッズになりそうな物がたくさんある。
例えばガムテープ。拘束用、時には破壊された武器の補修を受け持つことが可能だ。
他には包丁やカッターナイフなど本格的な凶器、マッチやロープなど『あって困らない』物が置いてあるため、最初にこのエリアに飛ばされた者はラッキーかもしれない。
そこに、早速物色をしている青年の姿があった。

「まず、ロープは絶対必要……場合によっちゃあガムテも使えるかもなァ」

一つ確認しておくが、彼の言う『使える』は、殺し合いの為に使うという意味ではない。彼の嗜好をよく知る者なら、すぐに意味を理解してため息を吐くだろう。
青年の名は沖田総吾。
真選組一番隊隊長にして、どんな女性をも調教するドSな性格をしている。

しかし。残虐非道の主催者・古戸ヱリカにはそんな感情さえ芽生えることはなかった。
斬る。あの悪女には必ず自分の手で引導を渡したいという気持ちが、沖田を支配していた。ヱリカは彼の知り合いであり時には戦友にもなった夜兎族の少女を見せしめと称して殺した。
どうやって自それと同時に、自分の中に燃え上がる怒りの感情も押し殺す。
冷静さを欠いた戦は死に戦になる可能性が高い。確実にヱリカに一矢報いるには、ここは冷静に仲間を集めたり、弱者の保護に勤めるのが得策だと思ったからだ。

デイパックを乱暴に開くと、まず最初に目に入ったのは明らかに危険な薬品の瓶。沖田は顔をしかめ、瓶の蓋をそっと開け、床に一滴滴を垂らしてみる。
ジュウウゥゥウウウウ、というまるで焼けた鉄板の上に油を敷いたような音がして、床から煙が立ち昇りはじめる。彼は知らないかもしれないが、それは物理的に見ればこの世で最悪クラスの危険薬品ーーー濃硫酸。よく推理もので用いられる、死体を溶かしたりできる薬品。

「(こいつを使う機会は…無い方がいいな)」

これを人間が浴びればどうなるかなど想像もしたくない。
慎重に瓶に蓋をし、デイパックからもう一つの支給品を取り出す。
……イヤホン付きの、携帯型音楽プレーヤー。つまりip○d。完全な外れだ。
神様は俺に何か恨みでもあるのかね、と心の中で毒づき、顔写真付きの参加者名簿に視線を落とす。そこには、彼のよく知る人物たちの名前が記載されていた。
坂田銀時、志村新八、土方十四郎。分を此処に連れてきたのか、一体此処は何処なのか。そんな疑問を全て押し殺す。


皆殺し合いに乗るとはどうしても思えないし、各個が主催打倒の要になるような人物たちと沖田は記憶している。心配は無用だと思い、名簿をディパックにしまう。

「(さて…頼りにしてますぜィ土方さんよ)」

自らが命を狙う『鬼の副長』土方十四郎に心の中で告げ、沖田は立ち上がる。
デパートの店内に調理具置き場があったのを沖田は記憶していた。支給品の代わりに失敬しようと考え、三階・調理品売場に足を動かす。数分後に、彼は早くもバトル・ロワイアル最初の戦いを経験するとは微塵も知らずに。



沖田総吾が調理品売場に向かっているのと同時刻に、調理品売場には先客がいた。
帝都ヨコハマ。探偵と怪盗の戦いの影で治安を維持する『警察』内でも指折りのエリート集団『G4』のリーダー、明智小衣。彼女もまた、殺し合いの参加者である。
殺し合いの主催者、古戸ヱリカの逮捕に向けて探索行動を開始していた。
その小柄な体駆からは想像もつかないほどの正義感は、恐れというものを捨てている。

「(馬鹿のシャーロックに、譲崎ネロ…後は小林オペラか。あの馬鹿が一番危なっかしいわね)」

小衣の言う『あの馬鹿』は既にこの世には居ないのだが、そんな事は知る由もない。
まず、一番頼りになるのはあの名探偵ーーーー小林オペラ。
使い物にもならなかったミルキィホームズを優秀な探偵に育て上げたのは彼の実力があってこその功績だ。小衣は皮肉りながら、内心彼を高く評価していた。
まずはシャーロックとネロを探すために小衣は探索を行っていたという訳だ。

「……刀なんて扱える訳ないじゃない」

口を尖らせて小衣は毒づく。
彼女の支給品は刀。かつて妖刀『紅桜』に対抗するために打たれた刀である。
だが、剣の心得など皆無の小衣には無用の産物。


せめて仕事上訓練を受けている銃なら良かったのに、とぼやきながら小衣は探索する。
彼女には、一つだけ幸運だったことがある。

彼女の着用しているのは、支給された防弾服だったこと。

それが、明智小衣の運命を変えた。
ダァン!という銃声がしたな、と小衣は最初他人事のように感じていた。
直後、小衣の胸元に強く鈍い衝撃が走り、彼女の意識を奪い去った。
意識を失う前に見たのは、一人の少年が銃を向けている姿。

「(死ぬ、の――――――?)」

そこで小衣の意識は途切れた。
だが、襲撃者の少年からの攻撃が来ることもまた無かったのだ。
少年はとっさに横に飛び退いた。背後から近付いた沖田総吾の飛び蹴りをかわすために。背後からのわずかな殺気を察知できた時点で、沖田はこの少年を侮ってはいけないと確信する。
少年にとっては誰が相手でも変わらない。
手にしたジグザウアーH226を沖田に向けて発砲する。
そこには慈悲も罪悪感も、更には殺意も無かった。空虚。そうとしか形容できない。
沖田は棚の陰に気絶した小衣を抱えて飛び込み、その手の刀を見てにやり、と笑む。

「―――――借りるぜィ」

やっと自分らしい武器が手に入った。
緊張に震える暇があるなら、一手でも多く攻撃をして相手を潰せーーーーー!!

沖田が一歩踏み込もうとするが、桐山の射撃のせいで近付くことさえままならない。
沖田も、桐山の射撃はこちらの命を正確に奪いに来ると理解している。

「(……やっぱり厄介だな。これじゃあ近付けねえ)」
「…」

一旦距離を取ると、桐山は弾を装填する。
その隙を沖田は見逃さない。刀を構えてその懐に潜り込む。
しかし、桐山も応戦するためにジグザウアーH226を沖田に向ける。

ヒュンッ!という風を切る音と、ダァン!という破裂音がほぼ同時に鳴った。

「がっ……!!」
「……」

沖田の右肩に穴が開いて、致命傷にこそならないが血が染みだしてくる。
一方の桐山も、沖田の斬撃によって脇腹を浅く斬られている。
止まっている暇は無い。二人は同時にそれぞれの武器を持ち、再び攻撃しようとする。

沖田の刀は桐山の首の手前で止まり、桐山の銃は沖田の額に突きつけられている。

まさに膠着状態。指一本でも動かせばそれが引き金となって互いに終わる。
沖田はため息を吐いた後、ゆっくりと口を開く。

「…どうだい、ここは一つ」
「……良いだろう」


言葉の意味を理解すると、両者共に武器を下ろす。あの場で意地を張って戦いを続けていれば、確実に死、もしくは致命傷を負う事になるのは見えていた。
桐山と沖田はここで戦いを中断し、互いに互いを見逃すことにしたのだ。

最初に桐山が沖田に背を向けて歩き出す。
不用心にも思えたが、桐山は前回の殺し合いで背後からの奇襲に対して応戦し、逆に射殺している。沖田はそれを桐山の自信と見て苦笑した。
沖田も桐山に背を向け、寝かせてある小衣の元に戻る。

「……どうするかねィ」

ひとまずこいつが起きるまでは動けないな、と沖田は呟き、肩の手当を始める。

【深夜/C-1】
【沖田総吾@銀魂】
[状態]疲労(小)、肩に銃創(処置中)
[所持品]鉄子の刀@銀魂、濃硫酸@現実、ip○d@現実
[思考・行動]
0:殺し合いを潰して、主催者を斬る。
1:ガキ(小衣)が目覚めるまで待つ。
2:万事屋の旦那、新八君、土方さんを探す。
※ラブチョリス編終了後からの参加です

【明智小衣@探偵オペラ ミルキィホームズ】
[状態]気絶中
[所持品]防弾チョッキ@バトル・ロワイアル
[思考・行動]
0:古戸ヱリカを逮捕する。
1:……
2:シャーロック、ネロ、小林を探す
※ゲーム、怪盗L撃破後からの参加です



桐山和雄は、一階に居た。
沖田との戦いで負った傷への処置を行っている。
彼には感情がない。彼に優しさや人としての常識を求めるのは間違いだ。
彼は今回の殺し合いにおいてはどう動くのだろうか。

【桐山和雄@バトル・ロワイアル】
[状態]脇腹に刀傷(止血中、行動に支障なし)
[所持品]ジグザウアーH226@現実、不明支給品1
[思考・行動]
0:優勝する。
1:滝口は死んだのではなかったか…?
※七原たちに殺害される前からの参加です

『魔術師殺し』と『神になった少女』 投下順 そして呪いは全てを蝕むのか?
GAME START 沖田総吾 [[]]
GAME START 明智小衣 [[]]
GAME START 桐山和雄 [[]]

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最終更新:2011年08月28日 23:07
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