~始まり~
主催は言った。
ここで生活しろ、と。
僕の感想はと言うと、本当に簡単で捻りもないけど。
だから簡潔に言わせてもらうけど、
「ふざけるな」
僕をそんな遊びに付き合わせるな。
お前らみたいな低能とは違って僕は忙しいんだ。
皆を幸せにするために。
水倉神檎を探すために。
…………しかしこうして連れてこられたのは僕の落度だろう。
仕方ない。徹底的に潰してやる。
というわけで、僕はまずはこの現状から顧みることとする。
まず、昨日までいたのはどっかのホテルの一部だ。
水倉神檎を探す旅に出て、九州を巡っている最中ということとなる。
そう。そのはずだ。
しかし現実は、次に目が覚めた時は、あのよく分からないホールだ。
目を隠されて、手足を縛られて、首輪をさせられて。
そう、首輪。
説明書を読んだところ、僕たちを縛る枷とみて問題ないらしい。
何かルール違反をしたら、爆発させるとかとか。まぁそんな感じだ。
それで………あのよく分からない二人の声をBGMとしながら僕は不快な眠りに就いたというわけだ。
恐らく催眠ガスの類だったと思う。空気が漏れる音がしていたし。
ふむ、この主催は何なんだ?
………と。
ここまで考えたところで僕は一時思考を中断せざる負えなくなってしまった。
「とりあえず、じっとしていて貰えるかしら」
女の声。
うなじの辺りに、違和感。
鋭く、冷たく、痛い。
突起物が僕の首を指している。
貫きはしていない。ただ触れている。
それだけで背筋が凍りそうだ。
僕には無縁な話だが。
さて、―――――――――――どうしようか。
~続く~
僕は『魔法使い』と名乗るものを知っている。
次いで、『魔法』使いと名乗るものを知っている。
だから今さら魔法少女なんて存在を否定もしないし、疑問ももたないだろう。
いや、もたない。断言できる。
魔法少女は、僕の知り合いの中にも2人ほどいる。
赤き時の魔女、水倉りすか。
城門管理委員会創始者、ツナギ。
そんな傍から見たらチートじみた能力の二人を駒に持つ僕。
こんな程度で満足している訳でもないが、小学のうちにしては中々の実績だと思う。
しかし、これではまだ足りない。
人類を皆幸せにする、という目標は叶わない。
まだ駒は必要だ。
それもとびっきり優秀な駒が。
ぶっとんで常識はずれな駒が欲しい。
そしたら僕は確信してこう言える。
絶対に他の奴らなんかより僕の方が上手く使える。
お前の魅力を最低限200%引き出してやる、と。
嘘じゃない。
僕がそんなところで嘘をつく理由がない。
なんだったら、1000%と上位修正してやってもかまわないぐらいだ。
そう。
だから。
「お前は僕の駒になれ」
僕は頬を歪めながら言う。
後で分かった話だが、背後にいる、女。
黒き時の魔女…………。
否、黒い魔法使い、暁美ほむらに囁いた。
~終わり~
「何であなたが私にそんな事言う権利があるの?」
この女は僕に向かってそう尋ねる。
怪訝な声色を隠すこともなく、それでもただ機械的に僕に尋ねる。
ますます面白い。
この女は分かっている。
殺し合いについて。
というかもはや手馴れている、という感じか。
僕の言えたことじゃないがこの女はどのような理由からここまで達観できるんだろうか。
それなりの道なりを歩いてきたに違いない。
僕が考えうる中、知りうる中では、
もしかしなくても『魔法使い』だろう。『魔法』使いだろう。
一般人如きにここまでできるわけがない。
これでも僕は見る目は高い。
そうでなければ、こんなことが務まるわけがないだろう?
まずは振り返ろう。
この女と遭遇した当初の事を。
そう、あれは振り返る話でもなかった。
気が付いたらこの女は僕の背後にいて、冷たい尖ったものを僕の首に突き付けた。
それだけの話だ。ちなみに現在進行形。
僕が誰かに背後を取られるなんて、そうそうないだろう。
場数は切り抜けてきたし、それに伴う経験値は積んでいる。
その中で背後を取られたなんてヘマをやらかすことなんて無かった。
なのにこんなにも簡単に背後を取られた。
それはやはり『魔法使い』で無ければ難しいだろう。
簡単に推理してみると、りすかと同じ運命干渉系と考えるのが妥当なところだろう。
属性は「水」、種類は「時間」、顕現は「操作」。りすかと全く同じとかありえない話ではない…………と思うけど。
しかし、これでも運命干渉系はレアな『魔法』だ。そうそうある『魔法』では無かったはずだ。
そういった場合なら、テレポーターか?
属性は「風」、種類は「移動」、顕現は「改変」といったところか。
ふむ、何にせよ今手駒がこの広大なエリアに手放された今は駒を手に入れるのが最優先な訳だし、
事のついでだ。『魔法使い』、もしくは『魔法』使いならば口説き落とすとしよう。
「簡単な話だ。僕はお前を十二分使いこなせるから僕の駒になれと言った。それだけだよ」
「あら、私は今すぐにでもそのか細い首を刎ねることができるのよ」
「無理なハッタリはつかない方がいいと思うよ。立場を失うだけだ」
「…………その無駄な自信はどこから湧いてくるのかしら。いえ沸いてくるの方が正しいわね」
「はぁ……、なら刎ねてみろよ。あ、勿論その突起物を一度も離すことがなく………ね」
「なら遠慮なく――――――――――――といきたいところだけれども無理な相談をされても困るわ」
「なら面向かって話そうぜ。その突起物を僕の首から離してさ」
「……………」
そのまま僕のうなじを刺していた突起物は無言のまま離れる。
ついでに念には念を入れて、さっさと僕は後ろを振り向くことにした。
「さて、とだ」
目の前にいたのは、中学生ぐらいの少女。
黒髪ロングストレートに漆黒のカチュ-シャ。
右腕には、菱形の盾の様なものがあった。
………恐らくあれが今まで僕の首を刺していたんだろう。
「はぁ………。どうして分かったの?」
「考えればそこらの保育園児でもできる。
まず第一に序盤に探し人の情報交換を求めると言うのがそもそもおかしいだろう。
お前以外に参加者に会ったとしたら、こんな時間だ。まだ話し込んでいる時間、もしくは一緒にいる可能性が格段に多い
じゃあ、僕は今までどんな参加者とも会っていないことを意味するんだ。それこそ殺し合いに乗った奴に襲われた以外ならな」
「確かにそうね」
「そこで、襲われていたのであれば僕はこんなにピンピンしている訳がないだろう?
襲ってくるということはやはり刃物か銃火器辺りを持っていると考えるのが妥当だと思うけど?」
「そうなった場合はあなたが殺されているのが目に見えているということね」
「そういうことだ、だからその線も消えてなくなる。
ただ単純に仲間になりたいだけなら、そんないきなり突起物を向けるのはやってはいけないことだ。
いくら防衛のためとはいえ、それでは信用を失うだけ、何の得になる訳もない」
「正論だと思うわよ、―――――――――けど質問に答えてない」
「まぁ待て。……それに加え、お前は僕からディパックを奪い去らなかった。幾ら男女差とはいえ、小学生と高校生だと思うけど、その筋力差なら、
十分に僕から武器含みディパックを奪えた。なのにしなかったということは情報を一方的に欲しがっていたということになる」
「否定しないけど」
「そうしてみた場合、確かに首筋にあてたのは本物の刃物だった可能性があるけれど、
そんな実力者、『魔法』を扱うお前がこういうことしないわけがない」
「こういうことって?」
「視覚的な攻撃だよ」
「あぁ………なるほどね」
「普通、気配もなく背後に近づける奴なら、馬鹿でもない限り一度対象者にその刃物、もしくは銃火器を眼前につきつける方が手っ取り早い。
そっちのほうが絶対的な恐怖は湧いてくる訳だし、知ってる情報を白状させやすくなる。相手がプロになると、護身術の類の心配がなきにあらずだから、
しないかもしれないけど、さっきも言ったが僕は小学生それ相応の体躯しかもたない。そうなってくると刃物が偽物であったて言う方が確率的には高いだろう?」
「もし私が、馬鹿でド素人で、そのくせ刃物だけは本物だった場合はどう説明するの?」
「素人がプロの物を全く同じという風にできないように、プロが素人を演じると言うのは意外と疲れるし、難しいものだ。
まぁ、そんな考えよりもお前の態度自体が、お前を素人とさせなかったのが一番の要因だ。分かったか」
「そうね………」
「だからお前は、小学生である僕を脅して少しでも何かしらの情報を欲したんじゃないか?」
「………はぁ、困ったものね」
「僕とお前とじゃ格が違うんだよ。格が」
「それは置いといて。まぁ概ね納得できたわ。確かに言われると矛盾だらけだったわね」
ふむ、これはいいペースだ。この調子で口説き落とせばいい。
しかしさりげなく『魔法』っていうワードを組み込ませてみたが、反応なしか。
ならば、こいつは『魔法使い』か『魔法』使いとみてもさほど問題はないだろう。
「なるほどね。少年なのになんで魔法の存在を知っているかは後で聞くとするわ」
「ん? なら僕と組むってことでいいのかい」
「とりあえずね。今の私はある1種類の技以外何にも使えないのよ」
「けど僕は小学生だぜ? そんなんで大丈夫か?」
こういうときは一旦自分の立場を下げて交渉する。基本技術だ。
「言っておくけど私はある一人の人物を守るだけなら何でもするつもりよ。
逆に言うのであれば利用できるものは利用するつもりなだけ。例え小学生とてその価値があるのであれば利用する」
簡単に言ってくれるもんだな。
…………ただ、簡単な上下関係はできた。
「はん、まぁいいよそれで。――――ただし、僕の側に付くなら僕の言うことは聞けよ」
「…………納得できる範囲内ならやってあげるわ。………それにしても本当にあなたは小学生なの?」
「生憎これでも僕は小学生だ。悪いか?」
「いえ? さっきも言ったけど、別に役に立つようならばどうでもいいわ」
「そう、なら僕は思う存分お前を使うとしよう」
「………………まぁだけど、私が満足に動けるようになったらあなたを殺して自由に動くとするけど」
「随分な余裕だな。っは! しかし安心していろ。直ぐに僕のそばから離れなくしてやるさ」
「随分な余裕ね。けど安心して。私の身体はそう軽いつもりはないから」
全くもって面白い。
自信もそこまで砕かれていないし、あくまで協力関係。
扱うとしたらこのぐらいで丁度いい。
「じゃあ、同盟成立ってことでいいかな」
「ええ、今の私にあなたを殺すほどの力はない訳だし。やれたとしても面倒なだけ。魔力は取っておきたいの」
こうして同盟が成立したらしい。
馬鹿な女でなくて助かった。
まぁしかし、まずは情報交換からだ。
~始まる~
「何なのよ………!」
私は、立ち尽くす。
この理解不明な状況に。
この意味難解な現状に。
それに、この名簿の意味に。
「美樹さやか…………? 佐倉杏子…………? 巴マミ…………?」
知っている。
この『名前』は知っている。
『名前』だけなら。
けれど――――――――私はこの人たちを知らない。
美樹さやか。彼女は魔女になり彼女としては死んだはずだ。いや、彼女としてじゃなくとも死んだはずだ。
佐倉杏子。彼女は美樹さやか………美樹さやかが変貌した魔女と一緒に自爆して死んだ。
巴マミ。とある魔女に油断していたのかあっさりと殺されてしまった。
言っておくけど、あれから私はタイムリープをした覚えはない。
じゃあ、何で?
何故生きているの?
死人が生き返るのに、どんな魔法があるのだろう。
………考えられるのは、キュゥべえ。あいつしかいなかった。
ここでただ単純に殺し合いに乗れ。何ていわないところなんかは、主催があいつだったと言えば、最悪納得できる理由ではあるわ。
しかし、そうなると一つ疑問点が残る。
名簿にどう考えても男にしか見えない名前があること。
確かあいつの話をそのまま鵜呑みにするならば、魔法少女に向いている、エネルギーの効率がいいのは、
私たちの様な、第二次成長期の少女。希望と絶望の相転移。
別に男だから成れないとか、大人だからできない。なんてことは知らないけれど。
同じ労力を使うならば、効率のいい少女を選ぶべきだ。
あいつの目的は私たちを絶望させることでは無く、エネルギーの回収。絶望を与えるのは性癖の部類だろう。
ならばここで男を選ぶ理由が特別ない。
じゃあキュゥべえじゃないの?
じゃあ何なの?
………………………………………………………………………………………。
「…………まどか」
気付いたら、私は一人の少女の名を呟いていた。
鹿目まどか。
私の、守りたい人。
私を、勇気づけた人。
私を、友達と呼んでくれた人。
他にも、ある。
ある。あった。あった。
「まどかも―――――――――――――――」
呼ばれている。
ある意味で虚脱感。
ある意味で高揚感。
ある意味で絶望。
ある意味で希望。
ある意味で死亡。
ある意味で――。
「守らなきゃ………」
守る?
できるの?
できたの?
私に?
私が?
今までの事も出来なかったのに?
今まで以上の難関な条件で?
そんなの、無理だ。
あんなの、殺し合いを強要しているのと同じ宣言を、聞いてなお、壊れない人間なんていない。
先日の美樹さやかなど、(非)日常生活でも壊れたのに?
無理だ。
誰かしら、殺し合いには乗っている。
なのに………。
フワァ
光に包まれて、私は魔法少女に変身する。
首には相変わらず鬱陶しい首輪がはめられてこそいるが、その変身に支障はなかった。
右腕には、菱形の盾が装備されている。
その裏側。
いつもなら、多数の武器が格納されているはずだった。
「予想通り…………ないわね」
銃火器はおろか、石ころ一つ入っていなかった。
当然の話だ。
こんなもの最初から渡すわけがなかった。
どうやって取り上げられたかは分からないけど、取り上げられてもおかしくない。むしろ取り上げなかったら
逆に主催の頭を尚更心配する。よく分からないが、酷く頭の悪そうな会話しかしていなかったし。
「けど――――――――――やらなきゃ」
無理でも、無茶でも、無駄でも。
私はまどかを守らなければいけない。
その義務がある。その責任がある。
「そうだ。ディパック………」
近くにあったリュック型の小型なバックを手に持ち中身を覗く。
しかし結果は残念な物だった。
「………殺傷能力のなさそうな物ばかりね」
―――――――本格的にどうしましょうか。
こうなってくると私は時を止めれるだけの少女となる。しかもその力も無限ではない。
今の私の武器は、多少の武器知識と戦闘経験。勿論あとは時を止めれる力。
ちなみに今は遡行はできない。――――まだワルプルギスの夜が到来する日を迎えていない。
だから、できない。
「まずは情報が欲しいわね」
と。本当にタイミングがいい。
丁度遠く彼方で小さな男の子の姿を捕らえた。
そうね、まぁまずはあの子から聞くとしましょうか。
けれどこれ以上魔法だのなんだのに関わらせるのも可哀相だし、多少強引な方法を取らせてもらうとしましょう。
―――――まぁ戯言だけど。本当は誰にも油断しないっていうのが本音なんだけど。
その辺りはどうでもいいわね。それじゃあ行きましょう。
私はその場から消えて、男の子の背後に立った。
そして盾を突きつけた。
~続ける~
「お前は僕の駒になれ」
何を言っているのかしら。
どこからこの余裕が出てくるのかしら。
これ以上私の悩める種を蒔かないでくれないかしら。
だから、
「何であなたが私にそんな事言う権利があるの?」
思ったことをそのまま口に出してみた。
特に気になった訳でもないけれど聞いて損する話でもないし。
けれど油断はしない、一瞬たりとも警戒は外さない。銃を隠し持っている可能性も無きに在らずだし。
「簡単な話だ。僕はお前を十二分使いこなせるから僕の駒になれと言った。それだけだよ」
………何を見てそう思ったのかしら?
少し頭の心配をするわ。
「あら、私は今すぐにでもそのか細い首を刎ねることができるのよ」
あくまで私優位は崩してはいけない。だからハッタリを噛ます。
勿論この盾にそんな便利な殺傷能力は無い。
「無理なハッタリはつかない方がいいと思うよ。立場を失うだけだ」
「…………その無駄な自信はどこから湧いてくるのかしら。いえ沸いてくるの方が正しいわね」
さすがに一瞬焦った。
一応は軽口で返させてもらったが、どこかにばれるような要素あったかしら?
それも小学生ぐらいの子に。
「はぁ……、なら刎ねてみろよ。あ、勿論その突起物を一度も離すことがなく………ね」
「なら遠慮なく――――――――――――といきたいところだけれども無理な相談をされても困るわ」
「なら面向かって話そうぜ。その突起物を僕の首から離してさ」
「……………」
さすがにここまできたら諦めざる負えない。
変に粘ったらそれはそれで怪しいから。今ならまだ警戒していた、で済む。
だから男の首から盾を離した。
すると男の子は面白いように直ぐにこちらを振り向いた。
警戒故の行為だろう。早く私の姿を捕らえるべく。
「はぁ………。どうして分かったの?」
「考えればそこらの保育園児でもできる。
まず第一に序盤に探し人の情報交換を求めると言うのがそもそもおかしいだろう。
お前以外に参加者に会ったとしたら、こんな時間だ。まだ話し込んでいる時間、もしくは一緒にいる可能性が格段に多い
じゃあ、僕は今までどんな参加者とも会っていないことを意味するんだ。それこそ殺し合いに乗った奴に襲われた以外ならな」
「確かにそうね」
保育園児でも分かるというのが少し癪だが、それが彼のキャラなのだろう。
気にしないことにする。――――――私だって十分道化なんだから。
「そこで、襲われていたのであれば僕はこんなにピンピンしている訳がないだろう?
襲ってくるということはやはり刃物か銃火器辺りを持っていると考えるのが妥当だと思うけど?」
「そうなった場合はあなたが殺されているのが目に見えているということね」
確かにその通りだ。
それに私はまだここにきて銃声の一つ、悲鳴の一つ聞いていない。
その線は限りなく薄いだろうけど。
しかし話が長いわね。校長の話でも倣っているのかしら?
「そういうことだ、だからその線も消えてなくなる。
ただ単純に仲間になりたいだけなら、そんないきなり突起物を向けるのはやってはいけないことだ。
いくら防衛のためとはいえ、それでは信用を失うだけ、何の得になる訳もない」
「正論だと思うわよ、―――――――――けど質問に答えてない」
さすがに痺れを切らした。
さっさと先に話を進ませないといけないし。
私には――こんなところでグズグズしている暇はない。
「まぁ待て。……それに加え、お前は僕からディパックを奪い去らなかった。幾ら男女差とはいえ、小学生と高校生だと思うけど、その筋力差なら、
十分に僕から武器含みディパックを奪えた。なのにしなかったということは情報を一方的に欲しがっていたということになる」
「否定しないけど」
「そうしてみた場合、確かに首筋にあてたのは本物の刃物だった可能性があるけれど、
そんな実力者、『魔法』を扱うお前がこういうことしないわけがない」
「こういうことって?」
魔法?
思わず聞き返しそうになった。
何でこの子が魔法の事を知っているの?
しかし、それは後で聞くとしよう。
「視覚的な攻撃だよ」
「あぁ………なるほどね」
「普通、気配もなく背後に近づける奴なら、馬鹿でもない限り一度対象者にその刃物、もしくは銃火器を眼前につきつける方が手っ取り早い。
そっちのほうが絶対的な恐怖は湧いてくる訳だし、知ってる情報を白状させやすくなる。相手がプロになると、護身術の類の心配がなきにあらずだから、
しないかもしれないけど、さっきも言ったが僕は小学生それ相応の体躯しかもたない。そうなってくると刃物が偽物であったて言う方が確率的には高いだろう?」
「もし私が、馬鹿でド素人で、そのくせ刃物だけは本物だった場合はどう説明するの?」
「素人がプロの物を全く同じという風にできないように、プロが素人を演じると言うのは意外と疲れるし、難しいものだ。
まぁ、そんな考えよりもお前の態度自体が、お前を素人とさせなかったのが一番の要因だ。分かったか」
「そうね………」
相変わらず小学生の考えることではないけれど、確かにその通りだ。
「だからお前は、小学生である僕を脅して少しでも何かしらの情報を欲したんじゃないか?」
「………はぁ、困ったものね」
たったあれだけでここまで言うなんて………並の子じゃできない。
「僕とお前とじゃ格が違うんだよ。格が」
「それは置いといて。まぁ概ね納得できたわ。確かに言われると矛盾だらけだったわね」
「なるほどね。少年なのになんで魔法の存在を知っているかは後で聞くとするわ」
「ん? なら僕と組むってことでいいのかい」
「とりあえずね。今の私はある1種類の技以外何にも使えないのよ」
「けど僕は小学生だぜ? そんなんで大丈夫か?」
自分の小学生の形を生かしての作戦。
今まで通りあくどい子なのね。この数分で分かるというのはある意味凄いわ。
けれど、こんな子でも。
「言っておくけど私はある一人の人物を守るだけなら何でもするつもりよ。
逆に言うのであれば利用できるものは利用するつもりなだけ。例え小学生とてその価値があるのであれば利用する」
そう、まどかを救うためならば私は手段を選ばない。
「はん、まぁいいよそれで。――――ただし、僕の側に付くなら僕の言うことは聞けよ」
このぐらいの屈辱だって。
「…………納得できる範囲内ならやってあげるわ。………それにしても本当にあなたは小学生なの?」
「生憎これでも僕は小学生だ。悪いか?」
このぐらいの悪態だって。
「いえ? さっきも言ったけど、別に役に立つようならばどうでもいいわ」
「そう、なら僕は思う存分お前を使うとしよう」
このぐらいの恥じぐらい。
何だってない。
「………………まぁだけど、私が満足に動けるようになったらあなたを殺して自由に動くとするけど」
ここは譲れないけどね。
「随分な余裕だな。っは! しかし安心していろ。直ぐに僕のそばから離れなくしてやるさ」
「随分な余裕ね。けど安心して。私の身体はそう軽いつもりはないから」
ちなみに私がこの子と同盟を結んだ理由は、
ただ単純に魔法についての知識があること。
そんな子を意味もなく敵に回すことはほぼ無力である今の私としては勘弁してほしいところだ。
あと、使えそうだから。
この子の技術は確かに認めるところだわ。
そこは、そこだけは。
あとは………武器を持っているかもしれないから、かな。
「じゃあ、同盟成立ってことでいいかな」
「ええ、今の私にあなたを殺すほどの力はない訳だし。やれたとしても面倒なだけ。魔力は取っておきたいの」
こうして、私たちは同盟を結ばれた。
じゃあ、とりあえず、情報の共通化といきましょう。
~終わる~
この子の名前は供犠創貴と言うそうだ。
『魔法使い』と『魔法』使いの存在は知っているが、
魔法少女の存在は知らないらしい。
まぁ具体的に言うならその『魔法使い』、『魔法』使いの子が少女だから、『魔法少女』の方は知っているらしいけど。
それでもキュゥべえ、インキュベーダーは寡聞にして知らないとのこと。
その世界の『魔法』は、呪文を呼ぶことで魔法が具現化し、初めて魔法が使えるらしい。
そこにソウルジェム、魂を吸い取られることや、魔女との戦いなんてものはない。
しかしその分、痛覚やら、死という概念は普通にある。
差異としてはこのぐらいか。
ちなみに私の能力やら魔法のことを端的に、事務的にさっさと済ませて、
唯一の目的を伝えるだけで終わらせた。
まどかと合流することということを。
それに、供犠創貴は面白そうに頷きを繰り返して、
いつしか口に手を当てて真剣に何やら考え出していた。
恐らく、作戦でも練っているのだろう。
彼を信用しきっては勿論いない。
しかし、ただ唯にして分かったことは、
この子はゲームに乗っていないということだ。
「僕の目的は、皆を幸せにすることだ」
そんな事を言った彼の目は、それこそ小学生みたいにキラキラと輝き、純朴さがにじみ出ていた。
生憎普段のブラックなオーラがそれを完全な白とするのを邪魔していたが、
この子は乗っていない。
けれど、私はそれすらもいつかは殺さなければならない。
心が痛いような、痛くない様な。
いや、痛くない。
私は既に人として終わっているんだ。
まどかの為なら、私は修羅になれる。
まどかの為なら、私は鬼神になれる。
まどかの為なら――――――――――――――――。
「行こうぜ、ほむら」
「ええ、分かったわ。供犠創貴」
まどかの為なら道化にだってなれる………………。
【一日目/深夜/H-2 劇場】
【供犠創貴@りすかシリーズ】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:ゲームを潰す
1:ほむらを上手く使える策を見出す
2:まどかという女の子を探す
[備考]
※九州ツアー中からの参戦です
※
魔法少女まどか☆マギカの世界について知りました
※暁美ほむらと同盟を結びました
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、変身中
[装備]ソウルジェム(魔力少量使用)
[道具]KS×1、RS(1~2)
[思考]
基本:まどかのためにゲームに乗るつもり
1:まどかを探す
2:供犠創貴と行動。
[備考]
※漫画版の第11話から、ワルプルギスの夜が到来するまでのどこか
※RSは、殺傷能力のない、もしくは限りなく低いものです
※新本格魔法少女りすかの世界について知りました
※供犠創貴と同盟を結びました
最終更新:2011年08月27日 16:26