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> シキ

和服の少女が悠然と佇んでいる。
長い黒髪と白い肌、極めつけの美顔。こうも『美しい』人間はそういないだろう。
しかし、彼女を見た目通りの清楚かつ誠実なお嬢様と考えるのは余りに早計過ぎる。
少女の名前は、両儀式。
数年前の交通事故による昏睡から目覚める対価に、人格の破綻と必殺の力を入手した一言で片付けるなら『異常』な少女ーーーー。

殺し合いに呼ばれた事自体は、彼女にとって嫌なことではなかった。
両儀式は殺人を好む嗜好がある。元々彼女の中にあった『両儀識(リョウギシキ)』の人格が持つ嗜好であり、それが彼女に転移した、というのが正しいか。
だからこそ、強敵や自分と同じ破綻者との殺し合いには胸が躍る。
が。この殺し合いは彼女の気には召さなかったらしい。

古戸ヱリカの失策だった。彼女が『あること』を口にしなければ、式は殺し合いに進んで参加し、大いに殺し合いを盛り上げてくれる最高の肴になったかもしれないのに。たった一つ、彼女を怒らせた。
殺人を喜劇と称し、娯楽めいた見せしめの殺害を行ったこと。
式は、殺人に快楽を覚える相手には本気の『敵意』を向ける性格がある。
例えば、歪曲の魔眼を持った浅神の少女。]

彼女は客観的に見れば被害者であったが、その過程で快楽殺人鬼に成り果てた。
式はそれさえ、容赦なく斬り捨てようとした。


―――古戸ヱリカを殺す。あんなヤツに強制される殺し合いなんて楽しくない。


式の中で燃え上がっていた怒りの炎がいきなり消化され、纏っていた殺気も綺麗さっぱり消えている。傍から見れば、今度こそ『清楚な和服のお嬢様』にしか見えないだろう。
B-3右代宮家の屋敷の客席に何の躊躇いもなく腰掛ける。
式はディパックを開け、中身を乱暴にテーブルの上にぶち撒けた。

まず最初に目に入ったのは、不可解な形をした短剣。何も知らない、魔術に疎い者には装飾品にしか見えないかもしれない。式も詳しくはなかったが、これが只の装飾品でないことはすぐに気付いた。
宝具『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』。
刃に触れたものに働くありとあらゆる魔術的効果を打ち消す英霊、魔術師には天敵となる武器だ。宝具に通用しないという欠点はあるが、式だけで倒せないほどの敵すら打開し得る切り札にもなる。
それに、形がどれだけ変でも、式にとって刃物が出たこと自体がラッキーだった。
彼女の持つ『直死の魔眼』との相性が良い為だ。

彼女にとっては正直、もう他に支給品など不要だったのだが、一応もう一つ確認する。

入っていたのは煤けた色のノートだった。
中身に目を通すと、バスケットボールについて書かれているノートらしい。
しかし、後半には恨みや愚痴ばかりになり、最後には『僕と同じ考えを持つ者は体育館に来てほしい』と書かれていた。式は速攻でそれを投げ捨てる。
ため息を吐き、最後の参加者名簿に目を通し始める。
本来見るまでもなかった。この場において、式が殺し合いをしないと決意せざるを得ないほどの式にとって大切な名前が有ることは明白だったのだから。

「……コクトー」

舌打ちをしてからその名前を静かに読み上げる。
黒桐幹也。
周囲からその見た目で浮いていた式に友達として接してくれた貴重な人間。
探偵をやった方がいいくらい調査力や推理力は高いが、戦闘力は一般人でしかない。
はっきり言って、彼が生き残るビジョンはどうしても浮かんでこなかった。
それでも、もし黒桐幹也を殺害した者に出会ったら式は間違いなくそいつを殺す。
式は静かに決意した。
必ずこの殺し合いを潰し、黒桐は自分が必ず守りきってみせる、と。
『破戒すべき全ての符』を片手に。
彼女がかつて戦ったとある魔術師さえも一撃で倒せるような武器を片手に持ちながら。
真っ直ぐに凛とした瞳で前を見据え、振り返らずに歩き出す。

―――古戸ヱリカ。彼女はきっと、途方もない力を持っている。

―――式の力では遠く及ばないかもしれない。



―――だからどうした。オレは、直死の魔眼遣いだ―――



「神様だって、殺してみせる」

両儀式は往く。最悪の外道を殺すために。

【深夜/B-3】
【両儀式@空の境界】
[状態]強い決意
[所持品]破戒すべき全ての符@Fate/stay night
[思考・行動]
0:古戸ヱリカを殺し、黒桐幹也を守る。
1:襲ってくる者には容赦しないが、殺人は控える
※原作終了後からの参加です
※直死の魔眼に制限はありません
※バスケ部のノート@学校であった怖い話 を捨てました

執行 投下順 正義/正偽の味方-Umlimited brade works-
GAME START 両儀式 [[]]

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最終更新:2011年08月28日 23:22
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