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執行

◆VxAx.uhVsMは殺し合いの物語を幾つも知っている。それは彼自身が物語を生み出し、完結させてきたから。綴り手が参加者となるとは、流石に思いもしなかったようだ。
そしてもう一つ。Vx、彼が最も戸惑ったのは、彼に突然宿ったある『能力』だった。

『◆VxAx.uhVsMさん 能力名:静寂戯画(モノクロームチルドレン)』

そう書かれた紙が、ランダム支給品の中に入っていた。
裏面には説明が書かれており、やはりそれは信じがたい説明書きだった。

「視覚した無機物を一度に一つまで『操る』ことができる……ねえ」

そんな漫画みたいなことをいきなり言われても困るだけだ。ひどく殺し合いには有利になるのだろうが、Vxは殺し合いに乗る気は無かった。
と言うよりも、彼は『主催者』になりたかったのだから。
殺し合いを、書き手たちも集めて実行してみたい。胸を焦がす悪魔の欲望。
しかし、登場人物に能力を付加する主催など見たことがない。甘すぎる。
主催はいかに殺し合いを狂気と絶望に支配させるかが仕事だ。殺し合いを喜劇とする主催者には勿体無い宴だとVxは思う。だからこそ、彼の心の闇は彼に囁く。

「俺が…リスタートすればいい」

殺し合いの賞品である『願望の成就』を使えば、不可能な願いでは決してない筈だ。
リスタートの暁には主催者である古戸ヱリカを見せしめとしよう。
構想はどこまでも広がっていく。今この目には『静寂戯画』が宿っている。
参加者の中でも球磨川禊やフィアンマなど、厄介な相手が存在することがたった一つ不安因子だったが、彼らほどの怪物には何かしらの制限が課されるのがセオリー。

「(やってやる…俺が新しいゲームを作るんだ)」


ピンク色の髪の少女ーーー湊智花は走っていた。
E-3エリアの遊園地。智花くらいの年頃ならはしゃいでもおかしくなさそうなものだが、遊園地など智花の目には入っていなかった。やっと手に入れた仲間のことしか。

「(真帆……ひなた………昴さん……!!無事で、いて下さい……!!)」

140cm弱という小柄な体駆からはあまり想像できないが、湊智花には天性のバスケプレイヤーとしての類稀なる才能が備わっている。
だが。鍛えたシュートの腕などこんな場においては何の役にも立たないのだ。
三沢真帆、袴田ひなた。まだ幼いし、真帆は混乱して泣き崩れているかもしれない。
けれど。どうしても、二人の血まみれの**だけ。



脳裏にリフレインする『最悪のイメージ』が徐々に智花の精神を蝕んでいく。

――――昴さんは、助けてくれるだろうか。

女バス存続の危機も、昴の戦略と適切な練習により回避された。
竹中夏陽と真帆の仲違いも、遠回しではあるが彼が解決させたと言ってもいいだろう。
ヒーローだった。その昴は、自分たちを助けて、守り抜いてくれるだろうか。
きっと、昴は進んで智花達を守ろうとしてくれるだろう。

「(駄目……。昴さんに、心配はかけたくないもん)」

助けを求めるなどという浅はかな考えを脳内で否定する。
とにかく、今は走るだけ。真帆とひなたを探し、安心させるために。

しかし、智花がどれだけ天才的なバスケットボールの腕前を持っていても、結局は小学生。限界を越えて走り続けるなんてことは不可能と相場が決まっている。
息が切れ、汗と涙が頬を伝う。情けなかった。自分には、何も守れないのだ。

「……どうしたんだい?」

横から、穏やかな男性の声がした。はっとして顔を上げると、少し離れた場所に銀髪の男の姿が確認できた。格好は寺の僧侶か陰陽師といったところだろうか。
穏やかな表情に陰りはなく、稀に見る『いい人』と形容できる。

「私の友達を……三沢真帆と袴田ひなたっていう子を、知りませんか…!?」
「……残念だけれど、見てないな。僕も友達を一人探してるんだけどね」

男の名は、室野静信というらしい。
彼は尾崎敏夫という医者の友人を探しており、自分も殺し合いに乗る気はない。
智花も名乗った後で、真帆とひなた、そして昴の名前を教える。
彼と行動を共にすれば、見つけられるかもしれない。

「あ、あの、室野さん!ょ、よろしければ私と――――」
「……逃げて、くれ」

静信の胸の中央から、木製の看板のようなものが突き出していた。
静信の背後に見えるのは、両の目が不気味な赤色をした男の姿。
何が起きたのかをようやく認識し始めた時には、男の顔の前で鉛の塊が静止していた。
援軍の狙撃。智花は若干紫がかった髪の、スナイパーライフルを構えた少女に腕を引かれた。近くのアトラクションの陰に引き込まれ、そこでようやく一息吐く。

「私は霧切響子。話は後よ、今は逃げるわ…『湊智花』さん」

何故自分の名前を知っているのか、という疑問さえ浮かばなかった。実際は、顔写真付き名簿に載っていた顔と名前を霧切がすべて記憶していたからだ。探偵の記憶力には朝飯前だ。


「待てよ、逃げるこたぁねえだろ。まあどうせ殺すんだけどな」

Vxは静信の物言わぬ死体を軽く蹴りつけ、二人の隠れた場所に近付いていく。
あの位置なら、観覧車のゴンドラ一つのコントロールで潰せるだろう。
重さの限界は解らないが、もし仮に動かせなくとも二人くらいは容易に殺せる。
観覧車のゴンドラに向けて適当に『静寂戯画』を発動させる。
ゆっくりではあったが、このくらいまでなら動かすことができるようだ。

それっ、という声と共に、ゴンドラが二人の隠れ場所に落ちていく。
霧切は後悔した。Vxの能力を侮っていたことに、激しく後悔した。

「『一番目の執行(ホワイトノートカスタム)』」

落下してくるゴンドラを見事に乱入した人影が受け止め、上手く横に反らす。
見慣れたその外見に、Vxはにやり、と笑顔を見せる。

「よお、◆xzYb/YHTdl氏。俺はこれに乗ることにしたよ」
「……『二番目の執行(ブラックノートカスタム)』」

xzの周りから黒い液状の物体が噴き出し、Vxを覆い隠そうとする。
Vxは少しだけ眉を潜めると、落下したゴンドラを盾にして最小限まで威力を落とす。
xzも能力を得ているとは思いもしなかった。
厄介だな、と思いながらもVxは『静寂戯画』を発動し、近くにあった適当な廃材を弾幕状にしてxzに放つ。しかし、これで仕留められるとは考えていない。
xzは若干焦ったように遊具の陰に隠れ、Vxの攻撃を防ぐ。

「『三番目の執行(グレーカスタムノート)』――――!!」

今度は白い光の輪が現れ、破壊された遊具を修復していく。xzは舌打ちをして、Vxから距離を取って動向を伺い始める。Vxはその時に、xzの最大の弱点に気付く。
xzの能力は運に大きく頼るものだ。本人も何が出るかは分からない―――。そして、その能力はカウンターにしか使えない。自分から奇襲をかけることは不可能―――それはつまり、彼にとっては分が悪い戦いを強いられることになる。
口元をにやり、と歪ませてVxはさっき砕けてしまった廃材を再びxzに向けて放つ。
避けるのは難しい距離の上に、当たればかなりの傷になる。

「さぁてxz氏!カウンターしてみやがれ!」
「『四番目の執行(イエローカスタムノート)』!!」

静寂戯画の動きがコントロールされ、Vxに向かってくる。


しかし、Vxは静寂戯画を切り、更に先ほど転がった観覧車のドアを回転させ、一つの処刑器具としてからxzの首を刈る勢いで放つ。xzにとって完全に不利な戦いだ。
Vxは、xzが一撃で彼を殺せるほどの攻撃が出る可能性を危惧していない。
たとえどんな攻撃が来ようとも、壁を静寂戯画で生み出せば簡単に衝撃を逃がせる。
純粋に、彼は殺し合いを楽しんでいた。

「『五番目の執行(グリーンノートカスタム)』……!!」

今度は黒い球体のようなものが現れる。しかし、それはゆっくりと進み、ドアのギロチンの前にあっさりと引き裂かれた。xzは滑り込むように間一髪で避ける。
速度を失ったドアを再度刃に変化させ、またもxzを殺すために舞う。
楽勝すぎる。このままなら、あと数発でxzを殺害できるだろう。

「『六番目の執行(レッドノートカスタム)』」

空間が突然燃え上がり、ドアを炎の熱によって溶かし尽くす。

「拍子抜けだな…もう終わりか、xz氏」
「いいや、違うな――――あんたの負けだ、Vx氏」

xzは不敵な笑みを浮かべて自信あり気にそう言い放つ。
Vxは確かにドアの刃を失ったが、それでも無制限に攻撃できる彼の方が有利だ。
xzの自信の意味が分からなかったが、やっと能力にも慣れてきたところだ。
観覧車を再び浮かし、超巨大な砲弾とする。完全な詰みの段階に入った。

「終わりだxz氏!これであんたの希望は終わりなんだよ!」
「最終段階『七番目の執行(ブルーノートカスタム)』」

観覧車の動きが止まった。しかし、今度はただその場に制止して動かない。
勿論Vxからの操作も効かないし、xzも操作している風には見えない。

「前方に設定。観覧車と対象をNに――――。」

そして、決着の一撃が放たれた。
Vxの肉体が遥か彼方のお化け屋敷まで吹き飛ばされ、屋敷は倒壊する。
観覧車もまた、xzの後方のコーヒーカップを吹き飛ばし、ばらばらに損壊する。
Vxの敗因は、xzの本質を見誤ったこと。ただそれだけだ。
xz最強の攻撃『七番目の執行』。ランダムではあるが、他と違ってすべてが必殺級の攻撃となる。六回の能力発動を行わなければ発動できないが、それに見合うだけの威力を誇っている―――。

「……すまない、Vx氏」

そう呟き、彼は近くの遊具に腰を預ける。
初めての戦いの終わりは、苦い哀愁の結末となった。


【室野静信@屍鬼】  死亡
【残り128/130人】

【深夜/E-3】
【◆xzYb/YHTdl@非リレー書き手】
[状態]疲労(大)、哀愁
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。
1:Vx氏…すまない…
2:他の書き手さん達と合流したい。
3:今は休み、体力の回復に勤める。
※能力『七番目の執行』を与えられました。


「……とりあえず、眠っているようね」

『超高校級の探偵』霧切響子は、腕の中の幼い少女を見てふっと安堵の息を漏らした。
『絶望』をあれだけ見てきた彼女にとっても先の能力戦は開いた口が塞がらない。
看板が槍となり、ドアが処刑器具となるような戦いを見て、いくらバスケットボールの天才プレーヤーの智花でも、信じられる光景ではなかった。失神するのも無理はない。
結局、襲撃してきた男は彼方まで吹き飛んでいって戦いは終了したようだ。
あの速度で飛ばされれば即死は間違いない。
未経験の狙撃を行うのは非常に心労が募ると霧切は初めて知った。
スナイパーライフルをディパックにしまい、今度は先程戦っていた男を探そうと立ち上がる。彼は彼女たちを助けに入ったのだから、話を聞いてみる価値はあるだろう。
それに、あの不可思議な能力についても気になる。
しかし、まず霧切は探偵としての思考をフルに働かせ、回想と考察を始める。

【回想~霧切響子】
コロシアイ学園生活―――――。

あの悪夢から、私は生還した。記憶を失い、探偵の推理力だけが頼りだった。
結果的に、生き残れたのはたったの6人。
しかし、私たちが勝利を勝ち取れたのは『超高校級の希望』の存在があったから。

苗木誠。
決して疑心暗鬼にならず、どんな人間の死も悲しめる希少かつ不可思議な人間。
表向きは『超高校級の幸運/不運』。だが、最後に全員に希望を与えてくれたのは彼だ。
彼なら――――苗木くんなら、きっとこの殺し合いにおける一抹の希望となってくれるに違いないのに。彼はここには居ない。

【考察~霧切響子】
主催者・古戸ヱリカ一人でこの殺し合いを起こすことは不可能。
もし彼女が何かしらの非科学的な力を有していたとしても、一人でこの殺し合いを起こすのは荷が重すぎる。願望の成就?呪縛?それを彼女一人が担うのは無理がある。
それに、彼女の言動は明らかな『盛り上げ』に見えて仕方ない。
例えるなら、超VIPの客を迎えた際のミュージカル団のように、『主賓』の機嫌を取っているように。間違いなく、古戸ヱリカの背後には数名の黒幕が居ると見える。
黒幕は間違いなく強大な力を有する『怪物』。指先一つで人一人の命を弄べる程の力とその異常な行動を楽しめる心理を持つ外道の中の外道。非常に厄介な相手となる筈。
更に、私たちに掛けられている『呪縛』の解除も行わなければならない。
問題は山積みのようね。

【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
[状態]疲労(中)
[所持品]スナイパーライフル@現実、不明支給品1
[思考・行動]
0:この殺し合いを完全に潰す。
1:先の戦いの人(◆xzYb/YHTdl)と情報を交換する。
2:少女(湊智花)を守る。
3:十神白夜、大神さくらと合流する。
4:セレスティア・ルーデンベルクに警戒する。
※本編終了後からの参加です


【心理~湊智花】
ここは、どこだろう。
暗い、とってもとっても暗い闇だけが永遠と広がっている。
真帆は、ひなたは、沙希は、愛莉は、昴さんは、美星先生は何をしてるんだろう?
もう帰れない?それとも…?
あたまのなかにうかんでくるのは、見慣れたみんなの**。

、**、**、**、**。


帰りたい。もういやです……昴さん、に……

【湊智花@ロウきゅーぶ!】
[状態]気絶、精神疲労(大)
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:みんなに会いたい。みんなを守りたい。
1:………。

瓦礫の中から、◆VxAx.uhVsMはゆっくりと這い出してくる。
屋敷への激突の際、とっさにプラスチックの扉を盾にしたのが幸いした。
負けた筈の彼の顔には、何故か不敵な笑みがまだ貼り付けられている――――。

【◆VxAx.uhVsM@非リレー書き手】
[状態]疲労(中)、全身にダメージ(中)
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:優勝して自らが主催者となりバトル・ロワイアルをリスタートする。
1:とりあえず、手当たり次第に参加者を減らしていく

【静寂戯画】
◆VxAx.uhVsMに与えられる。一度に一つまで無機物をコントロールできる。
速度は自動車の最高時速くらいまでは出せ、重量は1tまでなら平気。だが、重さに反比例して速度が落ちる。

【七番目の執行】
◆xzYb/YHTdlに与えられる。カウンター限定でランダムに発動する能力。
使い勝手は悪いが、七度目の発動はどれも必殺の威力となる

そして呪いは全てを蝕むのか? 投下順 式/シキ
GAME START ◆VxAx.uhVsM [[]]
GAME START ◆xzYb/YHTdl [[]]
GAME START 湊智花 [[]]
GAME START 霧切響子 [[]]
GAME START 室野静信 GAME OVER

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最終更新:2011年09月04日 18:16
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