【あ】
大和田紋土は、暴走族である。
と。
この程度の説明では些か彼に失礼だともいえよう。
では、改めて。
大和田紋土は、超高校級の暴走族である。
日本中で一番の暴走族の頭。
日本一の暴走族、「暮威慈畏大亜紋土(クレイジーダイアモンド)」の二代目総長を務めるほどの力の持ち主だ。
――――――それが褒めるべき事柄かは別として。
そのためか、暴走族の中ではカリスマ性が高く、全国の暴走族から憧れを受けている。
しかしその裏はと言うと、親分肌にして、面倒見のいい普通に普通な優しい人物。
自らがした《男の約束》はどんな状況に陥ろうとも
、絶対に破らない。
そんな男の中の男である。
そんな漢の中の漢である。
ちなみに一代目総長である、大和田大亜は既に他界している。
それには、とある理由もあるのだが、この場では、
その死が大和田を変えた、とでもいおうか。
何はともあれ、彼は二度目のコロシアイに参加させられた。
ルールは、より凶悪に代わり―――――――。
【い】
回想である。
↓
↓
↓
大和田紋土はコロシアイ学園生活に参加していた、言うところの、《超高校級》の一人である。
そこには、自らを含め15人――――――否、16人の人間がいた。
幸運。
アイドル。
野球選手。
御曹司。
文学少女。
ギャンブラー。
プログラマー。
風紀委員。
同人作家。
スイマー。
格闘家。
占い師。
ギャル。
そして大和田の暴走族ときて。
最期まで大和田は知ることができなかったが、探偵が一人。
最後に、軍人、及び絶望。
この中の1人を除く15人で、コロシアイ。
そこには、絶望が生まれ。
そこでは、希望が削られ。
そこには、願望が育まれ。
繰り広げられる滑稽な物語。
大和田もその滑稽に飲み込まれていった。
願望の為に、人を殺して。
挙句の果てには絶望に染まり、絶望に溺れ、絶望に死んだ。
自分の弱さを誤魔化して、他人の強さに嫉妬した。
それが大和田紋土。
ヒトゴロシ。
それが大和田紋土。
殺人者。
それが大和田紋土。
敗北者。
それが大和田紋土。
失格者。
それが大和田紋土。
例え、自分が嫌になろうとも、
例え、自分が嫌いになろうとも。
事実は事実。
真実は真実。
不変は不変。
不動は不動。
殺人は殺人。
犯人は犯人。
大和田紋土はヒトとして、終了していた―――――――。
↑
↑
↑
回想である。
【う】
「ちっ、クソがぁああ!」
大和田紋土は、この受け入れるに堪えがたい現状に吠える。
一度死んでいるのにも係わらず、今ここで立っているという謎な事実に。
呼ばれた場がまたしてもコロシアイという受け入れ難い現実の残酷さに。
「オレは………どうして……………」
不二咲を自分の《弱さ》の所為で殺してしまったという真実の冷淡さに。
誰よりも弱く、誰よりも《強い》不二咲を殺してしまった。
そんな悲しい、されど同情できる話でもないこの口実なき話に。
再び絶望の輪廻は巡りだす。
例えば、ここに幸運、いや超高校級の希望、苗木誠がいたならば、
彼が再び希望を持つことは、容易いとまで言わないにしろ可能性が大きくなれる。
ただ、今はこの場にいない。
近く、はたまた遠くにいるにしろ、このエリアには存在していないのだから、影響を与えるのは難しい。
例えば、ここに太陽の子、そんな風に称される娘、エステル・ブライトがいたならば、
同じく希望は照らされていただろう。しかしそんな彼女もここにはいない。
と、他にもいるが、やはり彼を正すには何かが足りない。
場所にしろ。
力にしろ。
知恵にしろ。
秘めたる希望の大きさにしろ。
何かが足りない。
どうにかするにも、方法は無く。
どうにもできなく、結論は着く。
大和田は捕らわれた。
絶望の世界に。
そんな、絶望を奏でる場において、絶望する少年の前に、一人の少女が現れる。
「どうぞ」
木のナニカを掲げた少女が大和田の前に現れた。
【え】
「――――――ぁあ!?」
まず、大和田から出たのは、いつも通りの怒号である。
しかしそれも当たり前の話で、何しろ自分が許せない。
そんな風に思い悩んでいる中に、暢気な口調で話しかけられて挙句の果てには謎のプレゼント。
普段ならどうかと言われたら、分からないが、この場に限って言うのであれば、
それは当然の反応とも受け取れる。
「んだぁコラァ!?」
いつも通りの怒号である。
ただし、そこに含まれる感情はいつものそれとは一線を超して弱気なものだった。
怒り。
悲しみ。
驚愕。
戸惑い。
情けなさ。
恐怖。
本当に様々な感情に恵まれる怒号だった。
されど、そのことには碌に触れず、ただ、マイペースにこの物質紹介と共に自己の紹介もしていく。
「これはヒトデです。どこからどうみてもヒトデにしか風子には見えません」
どこがヒトデだ。と思わず素でツッコミを入れそうになった大和田だがここは自重しておいた。
それでも、大和田には苛立ちは募らせるばかりで、全然減る兆しが見えない。
むしろ風子が先ほどから増長してくるばかり。
「………で、風子………っていったか。――――――これは何の冗談なんだよ」
大和田は風子が先ほどから大和田に向かって差し出している風子曰くヒトデを指差しそう言った。
大和田はただ単純に許せなかった。
この風子のマイペースさ――――――いや、緊張感の無さが。
伊達にあんな学校で。あんな生活を強いられていた訳ではない。
命の重さも知っているし。
命の軽さも知っているし。
その分、命を軽々しく扱われたら苛立ちは積もる。
自分に奪った命があるからこそ。
自分に奪われた命があるからこそ。
そんな程度の覚悟でいられたらこちらが困るのだ。
「どんなつもりとは何でしょう? 風子はあなたにお近づきになりたかったから
こうして話しかけて大事なヒトデを手放そうとしているだけです」
しかし風子の反応は、相変わらずすっからかんとしたものだった。
どんなに大和田が感情を込めた怒号でも、簡単に返してしまう。
「何でだよ。俺はコロシアイに乗ってるかもしれねぇんだろうが」
「じゃあ風子を殺すんですか!? まさかの殺害予告を受けてしまいましたっ!」
そう言うと急に眼を悲しそうな、まるで殺さないでと言わんばかりの犬の様な眼を大和田に向ける。(この場合案外比喩でもないが)
そんな眼に少し大和田は怯む。
「……………あぁ?」
「最悪です!」
「オイ、いつまでもガキだからって調子乗ってんなよ……!」
「風子はガキじゃありません。高校生です」
「こ、高校生……」
「近所でも実に高校生しているね、と評判です」
そんな評判は如何なものか、とも思いつつ、
大和田は不躾にもある一人の少女―――――――少年を思いかいしていた。
不二咲千尋。
肉体は弱く。
精神は《強く》。
そんな少年。
そんな超高校級。
それを潰したのは、ジブンジシン。
「…………」
そんな不躾な大和田に、無粋な風子は容赦なく声をかける。
「先ほどから思っていたのですが、えーと………李前途さん」
「誰だよ。オレは大和田っつーんだ。ちなみにテメーは?」
「伊吹風子です。では、大和田さん。なぜあなたは先ほどからそんな変な顔してるのですか?」
「ぶっ殺す」
即答だった。
風子は大和田に頭を掴まれ、握力を入れる。
「わーわーわー! 止めてください、セクハラです!」
「何がいいてえんだよ、テメーは」
と、手を離しながら言う。
いい加減あきれた様子で、大和田は返したのだが、
やはり風子にその呆れ具合は伝わらない。
「つまりですね、あなた、つまらなさそうです」
「……………テメーに何が分かるッてんだよ」
「風子は何でもお見通しですよ。あなた、つまんなそうです!」
「…………何も知らねえんだよ、テメーは」
「風子はこう考えます、このヒトデを抱いてください! そしたら万時解決です」
「だから何も知らないんだよ! テメーは!」
「何を興奮しているんですか、――――はっ! いくら風子がふかふかぼでぃで魅力的だからって」
「違ぇっつってんだろ!」
「では、話を戻します。全く、大和田さんみたいな人がクラスの雰囲気を壊すんです」
それから、風子の口から開かれたのは。
何故か想い出話。
伊吹公子、芳野裕介の両名の結婚に関わる、ただ単純な物語。
「人生は、決してつまらなくなんてありません」
その話を聞いて、大和田は何を思うのか。
【お】
「そう、か」
大和田はただ、そう返事することで精いっぱいだった。
何だ、結局はこいつも《強い》じゃないかって。
結局は自分の《弱さ》が暴走しただけじゃないかって。
この小さな形にどんな心をもっているのだろう。
この小さな器にどんな大きな心をもっているのだろう。
自分の心はどんな小ささを誇っていたのだろう。
「ちっ、ホント………自分が嫌になるぜ」
「そうですね、あなたは最悪です」
「返す言葉もねぇよ」
「ですが――――――――――」
「生きているじゃないですか、それはとても幸せなことです」
「…………あぁ、そうだな」
素直に認める。
異論も言わず、ただただ、その《強さ》に従った。
自分の《弱さ》。
本当に醜い。
本当に悪い。
本当に汚い。
あぁ、なんて《弱い》んだ。
「さて、というわけで行きましょう大和田さん」
「応! ―――――――って待てよ」
「何ですか。これから伝説のパーティを組みに行くんですよ、忘れたんですか?」
「忘れたも何もねぇだろ………」
なんで伝説のパーティ何だ。
と、悪態づいたところでやはり風子は止まらない。
「伝説のパーティは伝説のパーティです。それ以外何があるんですか」
「――――――はぁ、やれやれだぜ」
今さらながら、大和田はツッコミ役には向いていない。
時にはボケに回ってるぐらいだ。
だかも、もう諦めた。
「あ、そうだった。伊吹」
「何ですか」
「俺はテメーを守ってやる。男の約束だ」
「風子男じゃありません」
「じゃあ、俺が一人でする約束だ。俺は伊吹みてーなつえー奴になってやる」
「そうですか。精々風子の右手となってください。今のところ岡崎さんが風子の右腕もどきです」
「あぁ、そうかよ…………」
大和田は、約束した。
《強く》あろうと。
今度こそ、間違いは起こさせないと。
不二咲の時の様にはさせないと。
この小さな少女に結んだ。
それが、独りよがりのエゴであろうと。
約束は守れていけるのか――――――――――――――。
「さて、どうぞ」
風子が大和田に捧げるは、ヒトデ。
結局、大和田は受け取らなかったが―――――――。
「あぁ、ありがとよ」
しっかりとその手に掴んだ。
少し、削りが粗いな。
と。
大和田は思った。
【一日目/深夜/H-Ⅱ 平野】
【大和田紋土@ダンガンロンパ】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)、木製のヒトデ@CLANNAD
[思考]
基本:強く、生きたい
1:
殺し合いには乗らない
2:伊吹と行動
3:知り合いも探したいが、会ったらどう反応されるかは不安
[備考]
※死亡後からの参戦です
【伊吹風子@CLANNAD】
[状態]健康
[装備]木製ヒトデ×4@CLANNAD
[道具]KS×1、RS(0~2)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:大和田さんと行動して、伝説のパーティを作る(?)
2:知り合いも探したい
[備考]
※風子友人ENDからの参戦です
最終更新:2011年09月04日 13:53