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強者たちのバトル・ロワイアル


『球磨川禊。箱庭学園3年-13組在籍』

時風瞬は黙ってコーヒーを喉の奥に流し込みながら、その資料を眺めていた。
球磨川禊。『過負荷(マイナス)』と呼ばれるその少年のことを特に気にしていた訳でもないが、適当に資料を読み漁っていくと、やはり一際異常なーーーいや、『過負荷』な内容に目を奪われた。
彼が転校してきた学校は次から次へと廃校になり、その野望は箱庭学園のエリートたちを皆殺しにすること。普通の人間の考えることではない、まさしく狂気の沙汰。
更にその能力名は『大嘘憑き(オールフィクション)』。
すべてを虚構(なかったこと)にする能力。下手をすれば世界を滅ぼしてしまいかねないほどに、凶悪すぎる。呆れるほどに非現実的だ。

「(全てを虚構にする、か………。)」

思い出す最悪の光景。自分にこんな力があったなら、こんな事にはならなかったのに。
時風は思う。誰か、この殺し合いを潰す鍵となってくれ、と。
球磨川禊の資料をしまい、おもむろにその仮面を外す。

「頑張れよ……理樹」

頼れるリーダーの顔で、ただ一言呟いた。
時風瞬は、ただ仲間たちを見守っている。
たとえ直枝理樹が生還できずに、他の奴が優勝したとしても。主催側にある願いを叶える力とやらを強引にでも奪い、理樹を元の世界に帰す。

永い悪夢は、まだ始まったばかりだ。





球磨川禊。彼は何を思い、何のために戦うのか。彼の表情や動作からは窺い知れないが、きっとそれを知っても常人の理解の外にあるのだろう。
球磨川は二つの意味で普通の人間ではない。
彼は『過負荷』と呼ばれる特殊な―――――いや、それこそマイナスな存在だ。
誰よりも弱く、生涯一度も勝利を収めた試しが無い。
もっとも、球磨川禊という人間の持つ二つ目の『普通ではない』点を用いれば、彼は世界最強になれるほどの素材となるのだが。
それこそが、主催者の一人・時風瞬が気にかけ、密かにこの殺し合いを覆し得ると考えた彼の『過負荷』――――――――――――『大嘘憑き』。
彼が本気でこの力を行使すれば当然、この殺し合いを虚構に変えてしまうことも出来る『筈』だったのだが、今の彼にはちょっとした異常が発生していた。大嘘憑きを全開で使用することが何故かできないのだ。
球磨川はまず、自分の体に仕掛けられた『呪縛』を解除しようとした。しかし、彼の過負荷が呪縛を消すことはなかった。
他にも検証してみた結果、どうにも『ゲームバランスを崩す、またはゲームそのものを破綻させかねない』彼の力には何らかの規制がかかっているらしい。
過負荷を弱体化させる。そんな芸当ができる人物は世界に二人ほどしかいない。少なくとも、球磨川禊が知る限りでは、たった二人だけだ。
一人目は他ならぬ彼自身『球磨川禊』。
しかし、彼の『大嘘憑き』では過負荷を完全に消し去ることはできないと考えられた。それは江迎怒江の過負荷に対して過負荷を使った時。結局『荒廃した草花(ラフラフレシア)』を完全に打ち消すことは不可能だった。
二人目に思い当たる人物はすぐに脳裏に浮かんだ。
だが、『彼女』が殺し合いの主催側に居る可能性だけは考えたくなかった。もし『彼女』があちら側なら、球磨川で相手になるかは疑わしい。
安心院なじみ。
球磨川に『大嘘憑き』を『貸し与えた』張本人であり、一京ものスキルを持つ。
球磨川禊の初恋の相手であり、黒神めだかと対決するきっかけにもなった人物。
ここまでえげつないことも、彼女ならやってのけるかもしれない。

『何てことだ。相手があの安心院さんかよ』

自虐的とも取れる笑いを漏らしたが、次には圧倒的な『殺意』―――――――――いや、違う。殺意に似ているが、もっと別な、言葉では表せない感情が、球磨川禊の全身から滲み出ていた。
怒りのような、だが何かが決定的に違う、そんな感情。
幼子が泣き出すほどの感情を押し隠した後、球磨川は片手にいつもの大螺子をどこからか出現させると、『いい笑顔』でそれを地面に勢いよく突き刺した。

『でも、安心院さん以外の奴を許してやる道理はないよね。よおし決めた。参加者をみーんなぶっ殺して、他の主催の奴もぶっ殺す』

彼は未だ気付いていない。
主催者の中に、彼の危惧する安心院なじみは居ないということを。
代わりに、ありとあらゆる奇跡を齎す魔女が君臨していることを。






「そうか。それは見逃すわけにはいかないな、少年」


ドバァッ、と、球磨川禊の肉体が薙ぎ払われる。
球磨川はゆらり、と攻撃の主に顔を向けると、そこに居たのは見た目だけなら球磨川以上に『異質』な人物だった。
右肩から、歪な、肉塊のような腕が空中に浮いている。
どんなトリックかは知らないし、魔術については何も知らない球磨川にとってはそれがどれほど恐ろしく、一撃必殺級の威力を秘めているかも知らない。

右方のフィアンマ。『第三次世界大戦』の黒幕であり、ローマ正教20億人の信徒のトップ『神の右席』の実質的なリーダー。
かつては世界を歪んだ方法で『救済』しようとしてきた彼だが、『幻想殺し』の少年に敗れてから、自分の愚かさを自覚し、彼もまた『対主催』となった。

『わー酷いなあお兄さん。僕が普通なら脊椎が逝ってる怪我だぜ』
「――――――ほう。中々出鱈目だな、お前は」

平然と、傷一つ無く立ち上がってきた球磨川を見てフィアンマは微笑む。
球磨川は無言で大螺子を出現させ、フィアンマの方をじっと見続ける。
出方を窺っていることはフィアンマにも理解できたし、この少年が『上条当麻』に近しい能力を持っていることも直感で理解できた。

再び、『第三の腕』が振るわれる。球磨川は螺子でそれを受け止めようとしたが、それさえも儚い抵抗にしかならず、再び彼は宙を舞った。

『………これも消せないのかあ。じゃあもう君の心臓に直接これを突き刺すしか方法はない訳だ』

球磨川は走り出す。またもその体に傷は無い。
フィアンマも流石に怪訝な顔をする。球磨川禊の戦闘能力はあの再生能力を除けば『低くはない』が『第三の腕』の火力の前には羽虫程度に過ぎない。
これでは勝負にならないし、決着もつけられない。

「つまらんな。その程度なら、立ち上がらない方が楽だぞ」
『生憎、ぬるい友情、無駄な努力、むなしい勝利が信条でね』

今度は『第三の腕』の薙ぎ払いを右腕を犠牲にして避け、フィアンマの懐に潜り込む。
右腕はあらぬ方向に曲がっていたが、気にしない。

フィアンマは適当に球磨川の腹を蹴り上げる。
しかし、球磨川は左手だけで螺子を突き出し――――フィアンマの右肩を僅かに抉る。
一歩後退したフィアンマの『第三の腕』が、球磨川の首にヒットする。
ゴキリ、という鈍い音の後に、再び地面に球磨川が叩きつけられる。

「(…………おかしい。あの距離でなら、首骨折では『済まない』筈)」

フィアンマもまた、自らの力の異常に気付いた。
信じられない話だが、フィアンマの普段の力は今の比ではない。簡単に言えば、魔術的礼装を纏ったローマ正教の教皇を一撃で撃破するほどの威力だ。
魔術対策の無い球磨川なら、フィアンマの攻撃を食らった瞬間に人体の欠損くらいは避けられない筈だが、先程右腕に当たった攻撃では『骨折』しか出来なかった。

―――舐めた真似をしやがって。

フィアンマもまた、主催者たちへ怒りの炎を燃やしていた。
球磨川が再度立ち上がる。首と右腕をへし折った筈だが、そんな様子はまったく見受けられない。面倒な敵だ、とフィアンマは溜め息を吐く。
『第三の腕』を再度身構えさせ、攻撃の準備をする。
今度は頭だ。
流石に頭を吹き飛ばされれば生きてはいられないだろう。
球磨川は何故か螺子を出さずに、ただ立っているだけだ。
好機、とフィアンマは笑みを浮かべ、何度目かも分からない攻撃を放とうとし、そして―――――――――――――





「エクセレス・ザケルガ――――――――!!」


次の瞬間に、上空からX字の巨大な電撃がフィアンマに向かって放たれていた。威力は相当なもの――――いや、絶大といった方がいいか。
『第三の腕』を上空から降り注ぐ電撃に対して放ち、二つがぶつかり合った際には衝撃波というにも生ぬるいほどのエネルギーが発生した。
フィアンマの攻撃はエクセレス・ザケルガを打ち破り、フィアンマの肉体には僅かな電気の余波が襲い掛かる。しかし、微々たる威力のそれを避ける必要はない。

「下らんなあ、実に下らん」
「ちょ!何あの怪物!エクセレス・ザケルガの説明には強力な上級術って書かれてたはずなのに………」
「ウヌウ……クリアの時は確かに強かったのだぞ……?」

乱入者は二人。一人は女性で、もう一人は金髪の少年というにも幼い、まだ『子供』という表現が一番相応しいであろう男の子だ。
しかし、あれだけの威力の電撃を放てるのは普通の人間でないという十分な証拠になる。恐らくは魔術師、それもとびっきりの才能を持っている。

「テ、テオザケ―――――」

「勘違いしているようだが、俺様は殺し合いに賛同はしていないぞ。むしろあのガキが殺し合いに積極的な方だ」

完全な勘違いだったが、無理もない。傍から見れば、フィアンマの一方的な暴力にしか見えなかっただろう。だが実際は、フィアンマも得体の知れない相手と戦う危険性が付きまとう命懸けの殺し合いだった。
フィアンマが振り返った時には、既に球磨川の姿はなかった。
一息吐くと、フィアンマは二人に向けて言った。

「俺様は右方の――――――いや、俺様の名前はフィアンマだ」
「ウヌ、私はガッシュ・ベルなのだ。魔界のやさしい王様を目指しておる」
「私は◆8nn53GQqtyです……あの、さっきは――――」
「いや、いいさ。俺様はあの程度で死ぬことはない」

フィアンマの肩を見て8nは目を見開いた。彼自身も忘れていたが、フィアンマは先の戦いで右肩に僅かだが傷を負っていたのだ。
大した傷では無いが、それを手当てしようとする8nに彼は尋ねた。

「まずは話してもらおうか。お前達二人は、何者だ?」

【フィアンマ@とある魔術の禁書目録】
[状態]右肩に浅い傷(処置中)
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:殺し合いを潰す。
1:上条当麻、ヴェントを探す。
※原作22巻、『ベツレヘムの星』脱出後からの参加です
※『第三の腕』の威力に制限がかかっています

【◆8nn53GQqty@非リレー書き手】
[状態]健康
[所持品]ガッシュ・ベルの魔本@金色のガッシュ!、不明支給品1
[思考・行動]
0:主催者を打倒する。
1:ガッシュ、フィアンマさんと行動する。
※能力は不明です
※ガッシュ・ベルに呪文を指示することができます

【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!】
[状態]健康
[所持品]不明支給品2
[思考・行動]
0:主催者を倒す。誰も死なせたくない。
1:高嶺清麿、カフカ・サンビーム、ロデュウを探す。
※原作完結後からの参加です
※呪文『シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ』を唱えることはできません。



『あー怖かった。いきなりとんでもないのに遭っちゃったなあ』

先の戦いから抜け出した球磨川禊は、傷一つない肉体で歩き続ける。
彼の方針は変わらない。安心院なじみ以外の全ての参加者・主催者の殺害を彼は望み、その為に積極的に殺人をしていく。

最悪の過負荷がゆっくりと動き出す。彼の辿る道はいかに――――――?


【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]健康
[所持品]大螺子@めだかボックス、不明支給品1
[思考・行動]
0:安心院なじみ以外全ての主催者・参加者を殺す。
1:黒神めだかは必ず自分の手で殺す。
※生徒会戦挙、会計戦終了後からの参加です
※『大嘘憑き』に以下の制限がかかっています
  • ゲームのバランスを崩壊させる、ゲームを破綻させる使用の制限
  • 自分に対する使用は連続10分間まで、インターバルは一時間
  • 他人に対する使用は連続一回まで、インターバルは三時間
  • 物体に対する使用は連続一回まで、インターバルは二時間

天使、ハッカー、……あ、魔術師さんいたんですか^^ 投下順 「悲壮」
GAME START フィアンマ [[]]
GAME START ◆8nn53GQqty [[]]
GAME START ガッシュ・ベル [[]]
GAME START 球磨川禊 [[]]

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最終更新:2011年09月05日 18:41
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