国分哲也。
彼は、魔王。
魔界という世界を統べる王。
視界に入れば、誰もが畏れ退き。
鼓膜に届けば、誰もが震え出し。
鼻孔を擽れば、誰もが嘆き狂う。
そんな化物。
そんな怪物。
そんな災害。
そんな公害。
そんな禁忌。
そんな怪奇。
轟々なる咆哮は極上であり。
神々なる暴力は最上であり。
絶対的な権力と。
相対的な知力に。
具体的な富力と
主体的な圧力を。
常に兼ね備えた、王者に。
常に保ち続けた、魔王に。
――――――――――――になりたかった男。
彼は人間だ。
普通の人間で、普通に生きて、普通に死んで、普通に魔界に行った。
ただそれだけ。
魔界、とさらりと言ったが、ようは死後の世界。
死後の世界に行った男。
それが国分哲也。
彼は、魔王になりたかった。
万事を圧倒させる力があり、
万事を崩壊させる力があり、
万事を愚弄させる力があり。
そんな化物になりたかった。
そんな化物になれなかった。
理由はただ一つ。
国分哲也が悪人だったから。
普通の人間で、普通に生きて、普通に死んで、普通に魔界に行った。
ありとあらゆる面で、普通に生きた。
当然の如く罪を犯したつもりはない。
必然の如く罰を喰らうつもりはない。
――――――――それが、それ自体が、刑罰。
面白みのなさすぎる人生が、罪となり、罰となり、仇となる。
人ならば、何かしらの波乱万丈なるイベントは起こるものだ。
例えば、入学。
例えば、就職。
例えば、進級。
例えば、犯罪。
彼は、その何もしなかった。
3歳という未熟すぎる時間の中、人生を終えた。生を終えた。
理由も大したこともなく、交通事故。
母の、普段の子育ての疲労から成った居眠りが招いた事故。
ただ、それだけの人生だった。
それだけの人生だったが故に、魔王としては認められなかった。
死んでから、早―――――いや、遅。14年。
彼は魔界にて成長した。
今は高校生ぐらいの背丈になって、相も変わらず普通を極める。
勿論のこと、意に返して、だ。
本人としては、常識を踏み外しているつもりであるのに、そうはならない
ただ、魔王には全然届かない。
魔王とはムチャクチャが、最低条件として成り立つ。
そのムチャクチャに、届かない。
理由としては、いくつかある。
その中で、一番とするのが、彼が魔界で育ったことと言えるだろう。
まず、魔界には魔界なりの常識がある。
その常識は人間界―――と言うと語弊があるので、生の世界の常識とは中々外れている。
なので、死の世界に送られた人間は、悪魔から見て、面白いように常識を外してくれるが、
彼は、なまじ常識が同じなだけに、その常識以上の思考に至らない。
勿論のこと、魔王になるにはそれ以上の何かは必要なのだが、彼の場合それにすら満たさないので話にならないのだ。
そんな彼は、魔王になる旅路の中、この
殺し合いに巻き込まれる。
場面は、住宅街の一角。そのとある住宅街の建物玄関前。
そこに魔王為り損ないの死人。国分哲也は降臨した。
「―――――――――ってえ! もっと丁寧に扱えよ………」
どうやら転送の超能力は少し誤作動が発したようで、尻餅をついて呼ばれたようだ。
そんな彼の身体的な特徴は、高校3年に当たるにしては、少し小さい
髪は、黒髪。
艶はそこまで無く、ただ不潔と言う訳でもない。
瞳は、濁った茶色。
死んだ魚の目。そんな感じの目。
「……………。コロシアイねぇ……。テツヤにとってはどうでもいいんだが」
何しろ、彼は既に死んだもの。
死んだ世界戦線の面子の如く、死の概念に関してはとても軽い。
というよりそもそも、死と言う概念すらない。
例え血まみれで倒れていたとしても、それはただの睡眠。
それ以上それ以下それ未満それ以外それ以内もない。
「……………知り合いの名前もないか………当たり前だけど」
彼のスタンスは、殺し合いには乗らない。
理由は、魔界人っぽくなくて、逆に面白い。
それだけである。
彼にはインパクト、それだけが頼りであった。
彼には魔王に満たす人生なんて無かったから。
彼には人間に満たす人生なんて無かったから。
だから、衝撃が欲しい。
その為に、敢えて乗らないというのも面白いだろう。
「……………。さて、ここはどこだろうな。こんな建造物見た事ねえが。
それ以前にこれは建造物なのか? ドアがあったから適当に言ってみただけだがよ」
と、ここで。
ドアに手を懸けた。
そこから、漏れたのは、電子音だった。
「――――――――? なんだ。げーむって奴か?」
そこから、漏れ出したのは、確かにゲームの電子音だった。
あまりにあまりにこの殺し合いには似合わない、楽観的なBGMが流れている。
「…………??」
やはり、いくら死を軽んじている哲也と言えども、さすがにこれには驚き、疑問が隠せない。
だから、近づく。
不用心も
、不用意も、不要と言わんばかりに、ズガズガと入りこんでいく。
音はだんだんと大きくなっていき、曲調は何かメニューでも開いているのか少し穏やかなものになっていた。
それでも、似合わない。
「……ま、殺し合いに乗ってないのならテツヤとしても気が楽だし、いいだろう」
そして、その音は2階に続いていたもので
一段一段丁寧に昇り始める。
とはいったものの、そこには警戒心なんてものは欠片もなく、
気を抜いていると転びそうなほど急な坂で、転んだら痛い。ただ、それだけである。
なんて考えている内にその音源の許に辿りついたようだ。
今は一番最初に音楽に戻り、軽快な音楽が流れている。
ドアの隙間からは、光が漏れていた。
間違いのない。ここに人がいる証としては十分だった。
「ここか」
ただ、それだけの感想を吐いて、
何も躊躇うこともなく、その扉を、開けた。
そこにいたのは、金髪の美女。
椎名真冬であった。
「おお、いたいた」
「………どちら様でしょうか?」
……国分哲也には、無かったものが、こちら側に在ったかと言うと、こちら側にも――――――なかった。
生憎ながら、どちらとも、緊張感なんてものは無かった。
椎名真冬が電子ゲームをしていた理由はただ一つ。
これは夢なんだなぁ。
という感情を抱いたからだ。
以前彼女は、まるでRPGの世界の様な夢を見ていた。
そこには、杉崎鍵もいて、椎名深夏もいて、桜野くりむもいて、紅葉知弦もいた。
そこには、モンスターもいて、魔王もいて、村人もいて、魔法もあった。
あまりにも非現実的な世界。
こちらも、非現実的な世界。
見知らぬ天井。
覚えなき首輪。
仕舞いには、転送魔法ときた。
だから、安直かもしれないが、夢だと割と本気で思っていた。
今回変身こそしてないが、
これは夢だ。
そうかもしれない。
そうだといいな。
それでいこう。
そうしよう。
それだよ。
それだ。
そう。
元々、そういうオタク脳と言われる彼女にはそういう想像に達するのには時間はかからなかった。
「…………なるほど」
「んー。真冬としても信じがたいんですがどうせ夢ですよ」
二人の、いや。
真冬の情報は開示された。
それに哲也が感じたことは。
「成る程。得心言った。どーりで見たことないと思ったよ」
何もない。
ただ純粋に受け入れた。
「まさか真冬としても受け入れてもらえるなんて思っていませんでした。
―――――流石は夢ですね。ご都合主義万歳です」
これに言った本人も純粋に驚いていた。
夢オチを認められるなんて思っていなかっただろう。
「まぁ、ここはシュミレートだ。ゆっくりしていこうか」
「えぇ、勿論そのつもりです。真冬は遊びまくりますよ!」
こうして不思議な二人はパーティを組んだ。
作戦は「ひたすらくつろぐ」。
――――――お前らそんなのでいいのか?
【一日目/深夜/C-Ⅵ 住宅街】
【国分哲也@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS1、RS(1~3)
[思考]
基本:どうしようかな
1:真冬と行動
[備考]
※夢の世界だということにしてます
【椎名真冬@生徒会の一存】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS1、RS(1~3)、「PS3@現実」
[思考]
基本:のんびりやる
1:とりあえず国分さんと一緒にいる
[備考]
※六花の「夢見る生徒会」直後からの参戦です。
【オリキャラ紹介】
【国分哲也】
[身体的特徴]165cm、黒髪、茶眼
[備考]
※魔界という世界から参戦
魔界の常識の大体は、生の世界の常識を反転としたものなので、凄く凶悪なものなのだが、
こいつはわざとその魔界の常識を外そうとしているので行動自体は凄く優しい感じ。――――矛盾だね
詳しい事は本編参照。
分からないことは自己補完
最終更新:2011年09月11日 22:34