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業火に身を焼かれ火槍に貫かれ

3話 業火に身を焼かれ火槍に貫かれ

教会に近付く竜人の少女。
木製の大きな扉のノブに手を掛ける。ギイイ、と軋んだ音を立てて、扉は開いた。
正面にパイプオルガンとステンドグラス、説教檀がある広い礼拝堂。

「誰もいないのかな」
「ここにいるよ」
「!!」

背後から聞こえる青年の声に驚き竜人少女は振り向く。そこにはスーツ姿の人間の青年がいた。
入口の扉によって死角となり最初入ってきた時は見えなかったのだ。
スーツの青年は穏やかな雰囲気で竜人少女に話し掛けてきた。

「驚かせてすまない。僕は岡田重治」
「……私は久保村菜々子……」

久保村菜々子と名乗った竜人少女は岡田重治と名乗った青年に近寄ろうとはしない。
その目は決して友好的では無くむしろ宿しているのは「殺気」。

「……初対面で、会うなり悪いけれど」
「ん? 何だい」
「死んで」

菜々子はスカートの腰部分に差し込んでいた物を取り出し重治に向ける。
旧式のリボルバー拳銃、コルトM1877サンダラー。
自分に何が向けられたのか察した重治の表情が凍り付き、射手の菜々子に勝利の確信をもたらす。
そして菜々子が引き金を引いた。

ダァン!

聖堂内に銃声が木霊する。

「!?」

しかし銃弾は重治に当たる事は無かった。
咄嗟に身を屈め重治は銃弾を紙一重でかわす。一見優男にしか見えない青年がそんな芸当をするとは、
菜々子は夢にも思っていなかった故に、驚きの声をあげる。
そして重治はスーツ上着の右ポケットに手を突っ込み何かを取り出し、それを菜々子の足元目掛け投げ付けた。
オレンジ色をした小さな水晶玉――それが菜々子の足元で砕け散ったと同時に、紅蓮の炎が巻き起こる。

「ああああぁああああ!!?」

炎に襲われるなど思ってもいなかった菜々子が対応出来るはずも無く。
竜人の少女の衣服に炎が燃え移り炎上する。
悲鳴を上げ、菜々子は火を消そうと床を転げ回った。

「熱! 熱!! あっつーーーーーー!!! はぁ、はぁ、はぁ」

何とか炎は消す事は出来たが、はいていたスカートは消滅、ブレザーも一部焼け焦げ、
下半身は軽度ではあるが火傷していた。穿いているパンツが無事だったのは幸いだっただろうか。
火傷の痛みと下半身が下着一枚と化した恥ずかしさで菜々子の目に涙が滲む。

ダァン!

「がっ」

しかし、彼女が感じる痛みに、更に焼けた槍で身体を貫かれる激痛が加えられた。
乳房に穴が空き、真っ赤な液体が飛散した。
菜々子の意識が一気に遠のき、息が上手く出来なくなる。
視界の中に、聖堂の天井、壁の大きな窓、次いで、自分がさっきまで持っていた銃を構えた青年の姿が映る。

ダァン!!

衝撃と激痛が再び菜々子を襲う。
喉の奥から熱い液体がこみ上げ口から溢れ出るのを感じた。
痛みと言うには適当でない今まで感じた事の無い感覚が撃たれた箇所から全身に広がって行く。
それは菜々子に自分の行き先を嫌でも示す。

(え? 私、死ぬの? やだ、信じられ、ない――――)

その思考を最後に久保村菜々子の意識は闇の中に溶け、二度と戻らなかった。
重治はサンダラーをズボンのベルトに差し込み、菜々子の持っているデイパックを開け中身を漁る。
そして予備の.41LC弾と、トウガラシスプレーを手に入れた。
自分に支給された物が先程竜人少女に使ったファイアクリスタル――焼夷手榴弾のような物――のみだった事を考えると、
武装が増えるのは心強い。

「ちょっとヒヤヒヤしたけど……俺の勝ちだな」

くくっと笑いながら、重治は菜々子の死体を奥の部屋へと引き摺り始めた。


【久保村菜々子  死亡】
【残り42人】


【早朝/F-4教会:礼拝堂】
【岡田重治】
[状態]健康
[装備]コルトM1877サンダラー(3/6)
[所持品]基本支給品一式、.41LC弾(12)、トウガラシスプレー、ファイアクリスタル(2)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:久保村菜々子の死体を隠しておく。
[備考]
※久保村菜々子の死体を引き摺っています。


※久保村菜々子の死体及びデイパック(基本支給品一式入り)は教会のどこかに隠されるようです。



≪キャラ紹介≫
【久保村菜々子】(くぼむら ななこ)
緑色の身体の竜人の少女。18歳高校生。スポーツ万能で身体能力は高い。
やや自己中心的で協調性に欠ける所がある。

【岡田重治】(おかだ しげはる)
テレビなどにも取り上げられている青年実業家。25歳。
元々油問屋だった自家を有数の製油会社に育て上げた。温厚そうに見え根はかなり冷酷。
趣味で射撃場に通っており銃の腕はそれなりに良い。

≪支給品紹介≫
【コルトM1877サンダラー】
1877年にコルト社が開発したコルト社初のダブルアクションリボルバー。
内部構造が複雑で稼働率に問題があったと言われるが、かの有名なアウトロー、
ビリー・ザ・キッドが使用していた。本ロワ登場の「サンダラー」モデルは.41口径。

【トウガラシスプレー】
猛獣や暴徒などに対する自衛手段として用いられる催涙スプレーの一種。
主成分はカプサイシンで、吹きかけられると目や粘膜の痛みと一時的な盲目を引き起こす。
後遺症が残らないため非致死性の兵器、護身用具として用いられる。

【ファイアクリスタル】
炎の魔法を封じ込めた小型の水晶。RPGファンタジー世界における投擲武器の一種。
言わば焼夷手榴弾のような物で投げ付け砕けると火炎が巻き起こる。


002:トゥデイ 目次順 004:悲劇と憤り

ゲーム開始 久保村菜々子 死亡
ゲーム開始 岡田重治 :[[]]

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最終更新:2011年09月25日 20:48
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