この世には、あまりにも特異すぎる性質を持った人間が居る。
人格面での異常――――多重人格ならまだ、珍しくはあるがあくまで『珍しい』止まり。もっと、その遥か上を行く特異体質。
高嶺清麿は、その片鱗を持っていた。
『答えを出す者(アンサー・トーカー)』。
脳内で、どんな事象や疑問にも瞬時に答えを出すことが出来る。
例えば、超難問の計算式が有ったとしよう。普通なら、段階を踏み、少しずつ回答に迫っていく。だが、『彼ら』の場合。段階を踏むことをせず、瞬時に『回答』に至ることが出来るのだ。
それは学者や、或いは戦争の兵士としても優秀な性質だ。
敵の作戦を破る方法なども直ぐに解き明かす性質は、きっと酷く重宝されることだろう。
とにかく、一般人が持つよりはそういった、特殊な立場の人間が持つことが丁度いいくらいの特異な能力なのである。
高嶺清麿も、ある意味では『一般人』ではなかった。
千年に一度の、魔界の王を決めるための戦い。百人もの『魔物の子』たちが戦い、最後の一人まで戦い抜き、王座を奪い合う。
しかし、魔物たちが戦うためには人間の力が必要。
彼らが自らに与えられた『術』を行使するには、彼らと波長が一致した人間にパ『本の持ち主(パートナー)』となってもらう必要がある。
清麿は、金色の魔物――――『ガッシュ・ベル』の本の持ち主だ。
彼ら二人は、他の魔物たちや様々な人たちと絆を築き、見事に『戦い』を勝ち抜くのだが。
『とある脅威』に対抗するために、清麿は――――正確にはその少し前に発現していた性質を、自らのものにする。
それこそ、『答えを出す者(アンサー・トーカー)』。
不完全だった彼のそれを、戦いに備えて完成させた。
つまり、今の清麿は『答えを出す者』を完全な形で使用することが出来る。
不幸にも、彼は実質二度目の『バトルロワイアル』を経験することになってしまう。
高嶺清麿。彼には、最初から強大な能力者たちにも対抗し得る力が在った。
が。清麿は。完成された『答えを出す者』を行使できる青年は、その力に似合わない焦りを見せていた。
「どういう事だ――――何で、主催者(あいつら)の正体が解らない?」
第三者から見れば何を当然の事を、と笑われるだろう。
本人と、彼に携わった一部の人間たちにしか彼の真意は分からない。
高嶺清麿の『常識』――――『答えを出す者』への信頼が、見事に裏切られた驚きが、彼を焦らせていた。
とはいえ、答えの無い事象がこれまで無かった訳ではない。
『消滅の魔物』――――クリア・ノートとの戦いでクリアが用いた、『シン・クリア・セウノウス』によって完全体へと変貌を遂げたクリアへの答えも、出すことが出来なかった。
だが、単なる簡単な考察如きで、答えを出せなかったのはこれが初めてである。
出せた僅かな答え。
『主催者の人数』―――――――――『複数』
『呪縛の原理』――――――――――『魔法』
『呪縛の解除法』―――――――――『上条当麻』
上条当麻。
『幻想殺し』と云う、異能を無力化する右腕を持つ『イレギュラー』。
取り敢えず、呪縛を解除できる鍵にもなり得るこの人物を探せば、
殺し合いの打倒に一歩近付けるだろう、と清麿は考察する。
清麿は、今まで『答えを出す者』無しでも様々な困難を乗り越えてきた経験がある。
清麿という一人の人物は、そんな性質を抜きにしても生まれながらの、正真正銘の『天才』だった。
◆
その前方から、一人の男性が歩いてくる。
歳は清麿より下に見えるが、その纏う雰囲気はデュフォーやシェリーのような、どこか『違う』オーラを感じさせる。
彼の名は◆sWPde7Q8zk。
このバトルロワイアルにおける、ある意味では上条当麻に匹敵する『イレギュラー』―――――『書き手』。
しかし、今の◆sWPde7Q8zkはどこか、違った。
何かを心の底から悟っているような、そんな表情。
「――――あなたは殺し合いに乗っていないようですね」
何も口にはしていないと云うのに、sWはそう呟いた。
警戒。
清麿はその行為に値する状況と判断する。
明らかに、普通の雰囲気では無いのだ。
「あんた、何者だ」
答えが出ない。
◆sWPde7Q8zkが何者なのか、答えが出ない。
当然といえば当然。
◆sWPde7Q8zkという人物が、高嶺清麿の世界に存在しているかも解らないのだから、清麿の世界の常識では解明できない。
「俺は殺し合いをする気はありませんよ。それに、殺し合いを潰そうとも思いません――――――どちらも、無意味ですからね」
何を言っているのだろう。
無意味。全てを諦めて現実から逃避している様子ではない。
そう、例えるなら、まるで主催者と会い、全ての答えを得たかのような。
「俺は、全てを知りましたよ。この催しの大元も、彼らが何のために殺し合いを催しているのかも。そして判断しました。殺し合いを打倒することは、絶対に出来ません。『消し飛ばされる』だけですよ」
清麿は、反射的に◆sWPde7Q8zkの胸倉に掴みかかる。
「話せ!この殺し合いの真相を、話せ!」
「話せないんですよねぇ――――これがある限りは」
◆sWPde7Q8zkは首筋の布を僅かにどける。
そこには、清麿たちと同じ――――ではなく。青い、奇妙な薔薇の模様が浮かび上がっていた。刺青では、どうも無いらしい。
「これはですね、俺が真相を話そうとした瞬間に発動する『呪縛』の強化版ですよ―――後は解りますよね?」
呪縛の強化版。
清麿は、問いただすのを止めた。ここで無理に話させても、きっと無駄な一人の人間の犠牲が出るだけ。
しかし、これで次の行動の指針は固まった。『答えを出す者』が導き出した『答え』から推測できる、最大の希望『上条当麻』。
彼を捜し、呪縛を解除してもらう。
清麿自身の呪縛を先に解除し、実験する。命など惜しくはない。『答えを出す者』の回答は絶対な『解答』なのだから。
そして、上条の持つ性質を確かめたら、次に◆sWPde7Q8zkの呪縛を解除する。これで、主催者への答えが手に入る。
「俺は高嶺清麿だ――――悪いけど、一緒に来てもらうぞ」
「俺は◆sWPde7Q8zk。まあ良いでしょう、では宜しくお願いしますね、高嶺さん」
【深夜/B-7美術館】
【高嶺清麿@金色のガッシュ!!】
[状態]健康
[所持品]不明支給品2
[思考・状況]
0:殺し合いを潰す。
1:『上条当麻』を探して呪縛を解き、殺し合いの真相を聞く。
2:ガッシュとも合流したい
※原作終了後からの参加です
※『答えを出す者』に一部制限が掛けられています
【◆sWPde7Q8zk@非リレー書き手】
[状態]健康、無気力
[所持品]不明支給品2
[思考・状況]
0:別段どうする気もない
※能力は不明です
※殺し合いの主催者の大元、真相を知りました
◆
―――――――――――――――――舞台裏。
「いやぁ、最近の子たちは根性があるよねえ。ジョーカーの勧誘を断るシズちゃんも大概だけど、主催への勧誘を断るなんてね」
軽薄な調子の、神経を逆撫でするような声がする。
折原臨也――――情報屋は、時折紅茶を傾けながら、目の前の青年にそう話しかける。
仮面の青年―――――『時風瞬』は、表情こそ見えないものの、臨也への苛立ちがひしひしと伝わってくるようだ。
「――――折原。俺からすれば、『あいつ』の考えていることは分からないし、殺し合いを愉しむお前らも分からないがな」
「おいおい、こんな面白い催し滅多に無いぜ」
笑いながら、臨也は一枚の書類をテーブルの下から出す。
にやにやと笑いを抑えながら、その書類を時風に突きつける。
『新規参加者――――――――棗鈴』
ダァン!という鋭い破裂音がして、臨也の頬に浅い傷が出来る。
「ふざけるな――――『あいつ』、鈴まで使うっていうのか」
八つ当たりの発砲はやめてくれよ、と臨也は苦笑いする。
でも、必要な人数にやっと達したから、もう君の仲間たちが悲しい目に遭うことは無いよ、良かったね―――――と、臨也は言う。
こうして、舞台裏でも物語は動いていく。
最終更新:2011年10月19日 00:06