クーガーのT0MMYはエースボーダーである。
全国から選抜された二十の精鋭たち。
その選ばれし二十名の内の一人がT0MMYである。
T0MMYは暗闇の森林に立ち、一人思考していた。
唐突に参加させられた
殺し合い。
先程の存在は一体何者だったのか。
エースボーダーたるT0MMYには察知できていた。
先程の存在は強い。おそらく純粋な一対一では勝利を掴む事は難しいだろう。
しかもそれは自分を縛る枷がない状態での話だ。
首輪を外す方法が分からない現状では、勝負に持ち込むことすら困難極まる。
言ってしまえば、状況は最悪である。
T0MMYは思考する。
生き延びる方法を、ではない。
勝利する方法―――ただそれだけを思考する。
ボーダーとして数多の戦場に赴き、時に勝利し、時に敗北の苦汁を飲んだ。
エースボーダーたる彼であっても常勝などある訳がない。
味方との足並みが揃わなかった、味方がミスを犯した、自分が致命的に判断を誤った。
敗因は戦場によって違う。
だがしかし、そのどの戦場でもT0MMYは変わらず勝利を目指した。
何時如何なる戦いでも、勝利を目指した。
敗北を思って戦ったことなどない。
ただひたすらに勝利を目指し続けた末に、T0MMYはエースボーダーとなったのだ。
生き延びるのではなく、勝つ。
その思考こそが、エースボーダー・クーガーのT0MMYである。
T0MMYは何時の間にか持たされていたデイバックの中を確認する。
ヴォルペ・スコーピオ、強化型Gランチャー、SW-ディアダウナー、AC-マルチウェイ。
自分が愛用している武装は最初から装備されている。
他に何か役に立つアイテムはないか、そう考えてのチェックであったが、アテは外れた。
おそらく他の参加者の名前が記された紙に、おそらくこの殺し合いの会場が記されているのであろう地図。
他に一つ何に使用するか分からないアイテムが一つ。
長細い棒状の金属が一本だけ。
表面には六文字の言葉が刻まれている。
『GUNDAM』―――その単語が何を意味するのか、T0MMYには分からなかった。
T0MMYはその棒状の金属を手で弄びながら、ふと気付いたように暗い森林の中に視線を向けた。
視線と共に、己の主武器たるヴォルペ・スコーピオも掲げて。
T0MMYは暗闇を見る。
「ほう……最初の出会いがまさか君とはな」
突き付けられた銃口をものともせず、その男は森林から現れた。
癖のついた金色の髪に、和な雰囲気を醸し出す緑色の服、そして何より目を引くのはその顔面部を覆う仮面。
男は一言でいうならば異質な恰好であった。
T0MMYは警戒を強めるよう、ヴォルペ・スコーピオを揺らす。
だが、男は語る口も近付く足も止める様子はない。
「会いたかった……会いたかったぞ、ガンダム!!」
こうしてT0MMYが最初に出会った参加者は、ガンダムという存在に心を奪われた男であった。
◇
「そうか、ガンダム。君は殺し合いを止めようとしているのだな」
T0MMYの警戒は本人が思っているよりも遥かにあっさりと解けていた。
会話(といっても殆ど一方的なものではあるが)をしていくにつれ、T0MMYは眼前の男というものが何となく分かってきていた。
主に頭とが少々可哀想な人。
それが、T0MMYの下した男の人物像であった。
「ならば私も共に行こう。ガンダムとしてあのような存在を許す訳にはいかん」
何故だか、押し付けるように額に付けられてしまった『GUNDAM』のプレート。
正直邪魔でしかないが、男は外すことを許そうとしない。
男―――自らをガンダムと呼び、またT0MMYをガンダムと呼ぶ男。
男は自らの名をグラハム・ガンダムと言った。
完全に偽名としか思えない名であったが、名簿の中にグラハム・エーカーという名があった。
グラハム・ガンダムとは通称のようなものなのだろう。
「行くぞ、ガンダム! 私と君とでこの悪趣味な催しを叩き壊す!!」
悪い男ではないのだろう。
少なくともT0MMYにはそう思えた。
T0MMYは少しばかり思考しながら、首を縦に振る。
了承したのだ。
グラハムと共に殺し合いを打開することを、グラハムと共に戦うことを。
「…………」
「む? どうしたのだ、ガンダム?」
だが、行動は始まらない。
グラハムから視線を外したT0MMYは、押し黙ったまま暗闇の森林を睨み付ける。
追随する形でグラハムもT0MMYの見詰める方角へ視線を送る。
しかしながら、グラハムが視線を向けたことに意味はなかった。
視覚よりも先に、最も本能的な感覚が察知していたのだ。
トップエースとして数多の空を飛んできたグラハムの第六感が指し示す。
「―――やぁ、ヒューマン。そして鋼鉄の機械人形君」
圧倒的な力を持った、害敵の存在を。
「我が名はアーカード。ただのしがない吸血鬼だ」
闇の中から現れた人物は、赤色の外套と帽子を身に付けた大男であった。
その姿恰好はまるで血を頭から被ったかのよう。
表情は何とも歪んだ笑みに染まっており、本能レベルでの警戒心を植え付ける。
饒舌だったグラハムは押し黙り、ただ呆けたかのようにアーカードを見詰めていた。
身構えることすらできずに見惚れてしまっていた。
人外の存在との初めての邂逅に、グラハムは初めてガンダムを見た時と同様に見惚れていた。
だが、心中に高揚はなく、種族という枠すら異なる存在に心胆を寒からしめるだけであった。
「さぁ、始めるぞ。我が再びの闘争を――――――!!!」
動けぬグラハムを後目に、吸血鬼が跳ぶ。
再開された殺し合いに胸をときめかせながら、一足飛びで開かれていた間合いを詰める。
一瞬で間合いはその両腕が届く間合いとなった。
「下がれ」
そして、吸血鬼の脳髄が弾け飛ぶ。
ヴォルベ・スコーピオから放たれた三点射の弾丸が、アーカードの頭部を吹き飛ばしたのだ。
銃撃は止まらない。豪雨の如く降り注ぐ弾丸がその身体をも削り殺す。
ワンマガジンを打ち切って、ようやく銃撃は止まった。
場に残されたのは、ボロボロのゴミクズのようになったアーカードの残骸だけであった。
「……すまない、助けられた。流石はガンダムといっておこう」
申し訳なさげな表情を浮かべるグラハムに、T0MMYは視線を向けない。
ただ沈黙をもってアーカードだった物体を見下ろすだけであった。
ヴォルペ・スコーピオの銃口も下がらない。
グラハムの眉根が当惑に吊り上った。
ガンダムは何を警戒している? と思いつつ、グラハムも自身の警戒心を上げる。
「く、はは、」
同時に、再び感じ取った。
本能へと押し寄せる脅威を。
まるでそれぞれが生きているかのように蠢き、赤色が集結していく。
「いいぞ。いいぞ、ヒューマン」
集結した赤は形を成し、個体と化す。
怪物に、アーカードという不死王へと回帰する。
グラハムは今度は驚愕に言葉を失った。
完全に死亡した筈の存在が、まるで何もなかったかのように復活したのだ。
驚愕するなという方が、遥かに無理がある。
「……逃げろ」
ポツリと呟かれたのは、相棒たる存在からの逃亡の指示。
その言葉に、自失にあったグラハムは我を取り戻す。
「ふっ、それはナンセンスだな」
グラハムはデイバックから一丁の拳銃を取り出し、構えた。
決して引かず、T0MMYと並び立ち、復活したアーカードを睨む。
「如何なる物の怪が相手であろうと、私は退かんよ。何故なら、私は―――」
向けられた二つの銃口に、人外の怪物は心底楽しそうな笑みを浮かべる。
その狂気の視線に、グラハムは怯まない。
何故なら、
「―――ガンダムだからだ!!」
彼は、ガンダムだから。
エースボーダー、ガンダム、不死王。
混沌極まる戦いが始まろうとしていた。
【一日目/深夜/B-3・森林】
【クーガーのT0MMY@T0MMYのボーダーブレイク】
[状態]健康、クーガーS型、ガンダム(?)
[装備]ヴォルペ・スコーピオ@T0MMYのボーダーブレイク、強化型Gランチャー@T0MMYのボーダーブレイク、
SW-ディアダウナー@T0MMYのボーダーブレイク、AC-マルチウェイ@T0MMYのボーダーブレイク、『GUNDAM』のプレート@武力介入できないCB
[道具]基本支給品一式、
[思考]
基本:殺し合いを阻止し、勝利する
1:グラハムと共にアーカードを倒す
2:ガンダム……?
[備考]
※姿はクーガーS型そのままです
【グラハム・エーカー@武力介入できないCB】
[状態]健康、ガンダム
[装備]拳銃@現実
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:私がガンダムだ!
1:ガンダムとしてアーカードを倒す
2:T0MMYもガンダムだ!
【アーカード@パロロワMAD(アニロワ1st)】
[状態]健康
[装備]ジャッカル@アニロワ1st
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:見的必殺。殺し合いを楽しむ
1:眼前の人間達と戦う
【動画紹介】
ハイスピードロボットチームバトル「BORDER BREAK」のプレイ動画。
その腕はまさにクーガー全一。数あるボーダーブレイクプレイ動画の中でもトップレベルの腕前。
脅威の目押しとAIM、グレネード狙撃、マルチウェイを使用しての変則高速移動からの近接攻撃など戦闘技術が半端ではない。
機動戦士ガンダムOOのMAD。本編のシリアスさからはかけ離れたネタMADである。
(ド外道集団)ソレスタルビーイングが織り成す人類革新の物語にこうご期待。
【支給品紹介】
武力介入できないCB2nd part3にて、ビリー・カタギリの手によってマスラオに装備されたパーツ
これを付ければ誰でもガンダムに。その効力たるや凄まじいもので、ガンダム馬鹿もガンデレ上級大佐すらもガンダムと認める程の効果がある。
俺も、お前も、ガンダムだ!
最終更新:2011年12月14日 23:17