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リアル隠れんぼ

「くそっ、殺し合いだなんて何て事を……!」

 暗闇の森林を走り抜ける人影があった。
 足元も安定せず、周囲も暗闇に染まった中でその人影は物凄い速度で駆ける。
 心中に宿るは、余りに真っ正直すぎる正義感。
 こんな殺し合いでは誰も殺させない。例え殺し合いに乗った人がいても説き伏せてみせる。
 少年は純粋だった。
 純粋なまでに正義を心酔し、それを実行するべく駆けていた。
 少年の名は枢木スザクという。
 スザクは己が信じる正義を想って、行くあてもなく疾走していた。
 弱きを助け、殺し合いを打開する為に。
 軍人として、何より大きな罪を犯してしまった罪人として。
 枢木スザクは夜中の森林を駆け抜ける。

 既に殺し合いが始まって数十分の時間が経過している。
 スザクは殺し合いの時間の殆ど全てを走り続けているが、不運なことに他の参加者と出会うことはなかった。
 本当に殺し合いが始まっているのか、疑問に思えるほどの静寂がスザクを包んでいた。

(早く殺し合いを止めなければ、犠牲者が増えていく……! だが、止めようにもこの首輪がある。
 首輪により命が握られている現状で、人々を止めることができるのか……!? ルル-シュ、君だったらどう動く……!)

 心中を占める正義感の裏には、誤魔化しようのない焦燥感があった。
 命が握られている現状に、活路が見出せない。
 首輪を外し、殺し合いを止め、先の謎の存在を打倒する。
 思わず脳裏に、自分より遥かに頭脳明晰な親友の姿が浮かぶ。
 彼ならば、彼ならば、もしかしてこの五里霧中の状況すらも打開できるのではないか。
 この場に呼ばれてもいない親友の姿に、ありもしない希望を抱いてしまうスザクであった。
 森林が開ける。
 建物があった。
 横長の四階建てほどの巨大な建物が、脈絡もなく唐突に森林のど真ん中へ鎮座していた。

「……これは……」

 視界一面を覆う建築物にスザクは走りを止める。
 スザクはデイバックから地図とライトを取り出し、灯りを灯しながら地図を見た。
 この殺し合いの場は五キロ四方の森林から成り立っているようであった。
 五キロ四方の会場は、更に一キロ四方の二十五の区域にて分けられている。
 殺し合いの場にはいくつかの施設があるようであった。
 おそらく自分が辿り着いたこの建物も何らかの施設なのだろう。
 そう思考しながら、スザクは地図と建物とを見比べる。
 建物の正面口。ガラスの自動ドアの上部に、看板が設置されていた。
 本来は存在しなかったものを後から追加したのだろうか。
 その看板はスザクからすると何だか浮いているように感じた。
 看板には『機動六課隊舎』と記されている。
 機動六課とはどのような組織なのか、今は亡き日本軍にもブルタニア軍にもそのような名の部隊はなかった筈だ。
 スザクは小さな疑念を思いながらも自動ドアの前に立つ。
 この施設の中に誰かいるかもしれないと考えての行動であった。

「あ……!!」

 そして、彼の予想は見事に命中した。
 自動ドアを開いて直ぐのところにあるロビー。
 大きく開けたその空間に、一人の女性が立っていたのだ。
 肩まで伸びた茶色がかったショートヘアに、服装は……何というか奇抜なものであった。
 白を基調としたジャケットに黒のインナーにミニスカート。
 何より目を引くのがその背中に光る、黒色の翼(?)のようなものが六枚。
 そしてその華奢な手が握る、円と十字架が組み合わさった作り物が先端に付けられた金色の杖。
 容姿からしてスザクよりも大分年下、おそらく小学生だろうが、どうにも大人びた印象を受ける女性だ。
 何より顔が整っている。後数年もすれば美人な女性になるのだろう。
 少女は堂々と入口から入ってきたスザクに気付く様子はない。
 一人で真っ暗なロビーの真っ暗な天井を見上げている。

「あの、ゴメン」

 念のための警戒を抱きつつ、何があろうと直ぐさま対応できるよう身構えながら、声を掛ける。
 女性は驚いたように体を震わせ、スザクの方へと顔を向けた。
 正面から見る少女は、やはりながら可愛らしいものであった。

「僕は枢木スザクっていうんだ。えっと、君は……」

 殺し合いに乗っていますか、という問いを何とかオブラートに包んで言おうとした瞬間であった。
 スザクは、気付く。
 眼前の少女が醸し出す異様な雰囲気に。

「ほう、興味深いな。少年、私に気付かれることなくどうやって接近した」

 整った顔立ちとは裏腹の、歪と断じるには些かの躊躇いも覚えぬほどの、殺気。
 スザクは女性の問いに、返事を返すことができなかった。
 外見からはまるでかけ離れた殺気に、スザクは動きを忘れていた。

「警戒を怠っていた訳ではない。ここには、花も散らさぬ顔をして中々味のある魔法少女もいることだしな」

 その少女……少女のような姿をした何かは、笑みを浮かべてスザクを見据える。
 数秒の時間の経過が、スザクを窮地から救った。
 無言で息を吸い、スザクは裂帛の気合いとともに右足を振りぬいた。
 歪んだ笑みをたたえた女性の顔面へと。

「効ーかなーいよーー」

 スザクのハイキックは、少女の笑みを崩すことさえできなかった。
 余裕綽綽で受け止められた一撃に、スザクの表情が焦燥で染まる。
 手加減などない全力の一撃であった。
 なのに少女は易々と反応し、受け止めた。
 見た目は小学生程でしかない少女が、日本拳法の熟練者であり、軍人として体を鍛えぬいてきたスザクの蹴りを止める。
 異質な光景が薄暗い世界に広がっていた。
 何より掴まれた足を通して伝わる女性の力。
 人間離れした何かを、スザクは感じ取っていた。

「く……そぉっ!」

 掴まれた右脚を軸にして、スザクは完全に身体を地面から浮かし、左脚を振るう。
 不安定な体勢で放たれた筈の一撃は、少女からしても予想外の一撃だったのか、その側頭部を叩く。
 右脚の戒めが僅かに緩み、少女も僅かに体勢を崩す。
 その隙に、スザクは全力で疾走した。
 スザクの瞳は赤色に染まっていた。

「私から逃げるつもりか。だが、そう簡単に逃がすと思うか?」

 スザクを追って、少女も動く。
 スザクが飛び出していったガラス戸から外に出て、周囲の様子を確認する。
 少女とスザクのタイムラグはほんの数秒。
 幾ら外が暗闇で周囲が森林であったとしても、たった数秒で少女の知覚の外域へと逃げられる訳がない。
 だが―――、


「……ほう」


 スザクの姿は、消えていた。
 少なくとも、少女が認識できる範囲からは。
 まるで存在そのものが消え失せてしまったかのように。
 忽然と消えてしまった。
 少女は笑みをより深く、歪なものへと変貌させた。


「面白い。面白いぞ少年。私から、この私から、犬畜生のように逃げ果せるというのか」

 堪え切れぬ笑い声を外へ漏らしながら、少女はどのような原理か空に飛びあがった。
 そして金色の杖を掲げ、スザクが逃げて行ったであろう眼下の森林を見やる。
 白銀の光が掲げられた杖の先端へと集結していき、球体状に蓄積されていく。
 光は徐々に巨大化していき、遂には少女の身長と同等程の大きさとなった。

「―――ディアボリック・エミッション」

 そして、振るわれた杖に伴って、光が炸裂した。
 光は森林へと直進し、地面に激突すると同時にドーム状に広がっていく。
 木々を薙ぎ倒し拡大していく光の渦に、数瞬ながら世界を染め尽くされた。
 破壊は凡そ十数秒にも及び、世界に甚大な傷跡を残して消え去った。
 およそ半径二百メートルほどのクレーターが出来上がり、森林が焦土と化す。
 これに巻き込まれれば人間の一人や二人など影も残さないだろう。
 壊滅の森林を見下ろしながら、少女は大きく笑った。
 狂ったように、笑い続けていた。



【一日目/深夜/B-5・機動六課隊舎前】
【八神はやて(DFMG)@遊戯王なのはMAD】
[状態]健康、レベル3、CV(中田譲治)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:殺し合いを満喫する
1:参加者を殺害して回る
2:なのは(WDMG)、フェイト(BKMG)はどうするか保留。とりあえず警戒はしておく
[備考]
※再戦! 遊戯・獏良vs社長・凡骨 【中編Cパート】からの参戦です



 ◇



「ハッ、ハッ……何なんだ、あの女の子は」

 そして、破壊し尽された森林の直ぐ近くで、枢木スザクは肩で息をしながら座り込んでいた。
 おおよそ彼が出せる全力で逃亡をした。
 その超常的な身体能力も相まって、驚異的な範囲攻撃からも逃げ切ることができたのだ。

「くっ、あの特技がなければ今頃は……!」

 何より、もう一つ。
 枢木スザクが先の少女から逃げ果せるのに必要不可欠な能力があった。
 いや、この能力があったからこそ逃げられたと言った方が正しいだろう。
 その特技とは、『背景にまぎれ、自分の存在を他者から限りなく認識しづらい状態にする』といったもの。
 特技というよりは最早能力というべきか。
 少女が外に飛び出し周囲を見渡していた時、スザクは、その視界内で隠れることもできずに森林に向かって走っていた。
 だが、そのスザクの姿を少女は認識できていなかったのだ。
 最初の邂逅時、スザクが少女の警戒網を縫って接近できたのもそう。
 スザクの能力があったからこそ、少女はスザクを認識できていなかった。
 この能力がなければ少女に捕まり、スザクは早々に死亡していただろう。

「どうする……あの女の子は何としてでも止めなくては……! くそっ、そもそも何故僕はあの女の子から逃げたんだ……!?
 あのような危険な存在こそ、僕が止めなくてはいけないのに……!」

 軍人としての自分と自分が選択した行動とのギャップに戸惑いながら、スザクは小さく舌を打つ。
 その戸惑いは『ギアス』というまた別の理由が存在するのだが、それは今の彼に知る由はない。


「ニャ、君はレアモノかにゃ?」


 そしておそらくは、これから先の未来も―――。

 『他者から認識がされない』スザクの目の前に現れたのは、先の少女以上の奇抜な恰好をした存在であった。
 中性的な顔立ちにネコのような獣耳と尻尾。
 ピコピコと耳と尻尾とを愛くるしく震わせながら、その存在はスザクを正面から見据え、『認識』していた。
 ただ愛くるしい様相とは裏腹に、やはりながらの殺気が―――ともすれば先の少女以上に禍々しい殺気が、スザクを包んでいた。
 どうやって自分をこの森林の中から探し出した?
 何故、自分を認識できる?
 何故? どうして?
 疑問が限り無く沸き立つ混乱状態の中、スザクは無意識の内に動き出していた。
 ただ『生きる』為だけに。

「うーん。今は王もこの場にはいないし、君はさっきの子と違って戦力にはならなそうだし……」

 だが、弱者が見せる儚い抵抗など、絶対的強者からすればないに等しい。
 逃げ出すスザクの背中を見詰めながら、それは余裕綽綽に楽しげな笑顔を浮かべるだけであった。


「―――食べちゃおっか♪」


 言葉の後で、それは一歩だけ前に踏み出した。
 軽く踏み出したその一歩は、スザクが見せた全力の逃亡に易々と追いすがる。



(生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ、生きろ……!!)



 ―――ガブリ。



(生き―――あ、)



 スザクが最後に認識した音は、ただ生々しいものであった。



【枢木スザク@ニーサン  死亡確認】






「うーん、レアモノじゃなかったのかな? あんま美味しくないや」

 スザクを殺害した存在―――ネフェルピトーは、期待外れといった様子でそんなことを呟いた。
 遠くから見た森林を焼き尽くす光に、光を放った人間。
 そして『円』にて発見した、森林にて隠れていた人間。
 何故だか、自分を見て信じられないものを見たかのように驚いていたが何だったのだろうか。
 隠れているにしては不用心であったし、『円』ではその存在が克明に感じ取れた。
 食べてみても、あまり美味しくない人間であった。食用としても及第点に届かないハズレだ。
 もう一人の光を放っていた人間は利用価値があると感じた。
 見た感じでは殺し合いに乗っている様子であったし、何よりあの強大な力。
 利用できる、とピトーは思っていた。

「……『円』の範囲にはさっきの人間以外はいないみたいだにゃ」

 今、ピトーがやらねばならぬことは二つ。
 王の元へいち早く帰還する事と―――とある人物の排除。
 優先度で言えば、今現在は後者の方が遥かに高いものとなっていた。
 ゴン=フリークス。
 王にも届きうる牙を有した最重要危険人物だ。

(……ゴンを倒す為には力がいる)

 ピトーには記憶があった。
 驚異の変貌を遂げたゴン=フリークスに殺害されるその記憶。
 ゴンの強さ、恐ろしさを、ピトーは身を以て知っていた。
 そして、そのゴン=フリークスは先の場にいた。
 殺し合いが始まる寸前に集められた、あの謎の空間。
 謎の存在が人間を殺害したあの空間。
 ゴン=フリークスがいたのだ。自分と対峙した時と同様の、圧倒的で絶対的な力を有した状態で。

(大きな代償を払わねば成しえないと思っていた変貌……だが、奴は変わらぬ力とオーラであの場にいた……)

 あの変貌は、自分と戦う事で終了するものとばかり思っていた。
 自分を倒すためだけの、多大な代償を払うことによる超常的なパワーアップ。
 それがあの姿だと思っていたのに、予想は外れていた。
 ゴンは変わらぬ強大さを以て、あの場にいた。
 寒気がする。
 王にも届きうる牙。
 実力的にも、精神的にも、人間の中で最も危険だと断定のできる存在。
 奴がこの殺し合いで生き残り、王の元へと辿り着いてしまったら。
 今までは皆無だった可能性が、万が一ではあるものの、浮かび上がってしまう。
 許せない。許すことのできない事態である。

(ならば、殺す……! どんな手段を使っても、例えこの命が失われようとも、アイツは絶対に……!)

 だから、ピトーは考える。
 ゴンを殺害する方法を。

(幸いこの殺し合いにはされなりに腕の立ちそうな人間がいる。その人間とゴンとをぶつけ合わせれば……)

 他の参加者とゴンとを戦い合わせる。
 勿論、こんな事でゴンが殺害できるとは思えない。
 ただ少しだけ、ほんの少しだけでも、その力を削ぎ取る事ができれば良い。
 体力でも、オーラでも、精神的なものでも良い。
 少しでも弱まったところを、自分が突く。
 全力で戦い、命を捨ててでもゴンを殺害する。
 それが叶うのならば、後はどうでも良い。
 ただ、王の為に。
 それが自分の生きる理由である。

(強者は泳がせ、ゴンとぶつかるまで待つ。邪魔となる弱者はいち早く王の元へと帰還する為にも排除していく)

 ピトーは暗闇の森林を行く。
 他の為に命を賭けられる生物。
 滅私のキメラアントがバトルロワイアルの会場に立つ。

「王……」

 ただ一人の少年を殺害する為だけの剣。
 それが今のピトーであった。



【一日目/深夜/B-5・森林】
【ネフェルピトー@HUNTER×HUNTER】
[状態]健康、満腹
[装備] なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:ゴンを殺害する
1:強者は泳がせ、ゴンと戦わせる。弱者は殺害する
2:『円』で周囲を探りながら参加者を探索。
[備考]
※原作、死亡後からの参戦です



【動画紹介】
  • ニーサン
ニーサンを探せ。背景にさり気無く混ざるニーサンとスザクを探せ!


  • HUNTER×HUNTER


  • 遊戯王なのはMAD
様々なキャラを、遊戯王のオリジナルカードとして参戦させたクロスMAD。元動画は削除されました。
外道王AIBOが繰り出す数多のリリカルカード……この残虐非道な魔法少女たちを止める術はあるのか!?



俺たちはガンダムか!? ~クーガーのT0MMYとグラハム・ガンダムの武力介入に、吸血鬼が介入する!~ 投下順 俺たちはガンダムか!? ~ガンダム馬鹿とAO勢長兄がバトルロワイアルに武力介入……できるのか!?~
GAME START 枢木スザク 死亡
GAME START 八神はやて(DFMG) [[]]
GAME START ネフェルピトー [[]]

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最終更新:2012年02月01日 22:53
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