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その視聴者が最後に見たアナタの姿は全力でした

◇





「今度は、死なせてもらえるんやろうな……」


それは、二度目の死だった。
一度目の死とはまるで違って、何も怖くなどなかった。
やっとだ。
やっと、この地獄が終わる。



「誰も死なせずにやろうなんて……そうそうできるもんやないで……難しすぎるっちゅうねん」



「俺もそう思う」



二度目の死の傍らには、一人の男がいた。
生き残りの中で、唯一アイツを知る男。
気に食わないモジャモジャ頭の男だ。



「面倒なもんに絡んでもうたで……まったく」



「ああ、そうだな」



聞こえてきた同意の言葉は、本心からのように感じた。
そう、何とも面倒な出来事だった。
面倒で、最悪で、最低の、喜劇であった。




「悪運の強い連中やで……」



「死んだ人間にしてやれることはない。同じように、死んだ人間ができることなんてのもないんだ。
 仮に俺達を皆殺しにできたとしても、お前はそうやって惨めに笑ってただろうさ」



「言ってくれるで……好きで死人やってた訳……ちゃうっちゅうねん」



自分の下らない最後の足掻きは、結局何もなすことはなかった。
生きるべき者は生き、死する者は死すだけだ。
死ねるのか。
今度こそ、死ぬ事ができるのか。




「なぁ……分かるか……二度目の生っちゅうもんが……地獄やった気分が」

「……あぁ、分からんでもない」

「最悪、やろ……?」

「いや」


 お馴染みの、ドカンという炸裂音が響き渡った。
 男が最後に何を言ったのかは、聞こえなかった。



◇



 目を覚ます。
 そこは地獄だった。
 思わず笑えていた。
 地獄だ。また、地獄だ。
 これが仕打ちなのか。
 畜生に身を染めた男の、末路。
 地獄が、続いていた。



◇



「おい~~~! どうなってんだよ、おい!! スタッフ~~~~!!」

 一人の死をもって始められた殺し合い。
 自分以外の死をもってでしか生き延びる事のできないゲーム。
 そんな殺し合いの場に、男は立っていた。

「おいしすぎるだろ、オイ!! どーーして、これに他の芸人を参加させる!! 俺だけで充分だから、こういうの!!」

 事態を完全に勘違いした状態にて、男は叫ぶ。
 男はこう考えていた。
 これはドッキリだと。
 何処かでカメラが回っていて、こういう極限状態にある自分を面白おかしく撮影しているのだろう、と。
 ならば、自分は何時もどおりに動くだけだ。
 スタッフや視聴者の望んでいる通りに、お茶の間に『笑い』を届ける為に、身体を張りまくる。
 それが芸人としての自分が行うべきことだ。

(ん? あいつは……?)

 そして、男は発見した。
 暗闇の中で陰鬱な表情で俯いているタキシード姿の男。
 何というか、一目で分かる陰鬱さだ。
 生きる気力というものが見受けられない。
 下手すれば今すぐにでも自ら死を選択してしまいそうな、そんな雰囲気を醸し出している。
 この世のネガティブというもの全てを引き受けたかのような雰囲気。
 そんなタキシード姿の男を見て、もう一人の男は自身の中で何かを燃やし始めていた。
 これはスタッフからの挑戦状だ、と思う。
 この鬱全開の男を、この状況下で笑わせてみろと言っているのだ。

「ン~~~~!」

 男は、全力疾走をもってタキシード男へと近付いていく。
 止まる気があるのかという勢いで。
 というか、近付くにつれて速度を増していきながら。
 男は走る。
 走り、近付き、そして

「ドーーーーーーーーン!!!」

 思い切り、そのケツからタキシード男へとぶつかっていった。
 タキシード男は、受け身すら取ろうとせずに地面へと転がっていく。


「ンンン~~~~!!」


 地面へ転んだ男を見詰めながら、男は流れるような動きで必殺の技を繰り出す。
 脚を上に、頭を下に。
 両腕と頭を地面に付けての三点倒立。
 そして三点倒立からの、前転。
 前転による急接近と共に、男は唯一身に纏った黒タイツを流れるような動作で脱ぎ捨てる。
 倒れる男をまたぎながら仁王立ちし、そのまま前後に腰を振るう。


「どうだ~~~~~~!!」

 渾身だった。
 渾身の動きだった。
 今頃スタッフはあわてふためき、会場のお客さんも女は口に手を当て、男は笑い転げている筈だ。
 腰を振り続ける男。
 男の名は、江頭2:50。
 『1クールのレギュラーより一回の伝説』をモットーに活動するお笑い芸人である。
 戒めから解放された粗末な一物が前後左右に揺れ動く。
 だが、一人盛り上がる江頭とは対照的に、もう一人の男は無反応だった。
 何も言わずにただ虚空を見つめる。
 その瞳は、江頭は勿論、宙で回る粗末な一物すらも捉えていない。
 強敵であった。
 渾身の動きすら通用しない、笑いも引きもせずただ無表情を貫き通す男。
 紛れもない強敵だ。この男からどう笑いを取る。
 江頭は思考する。
 必死に思考するも、元々勢いと体を張ったギャグでゴリ押しするくらいしか芸はない。
 静寂の中で一物を振り回しながら、無情にも時は過ぎていく。


「へ、」


 そこで、救済の神は舞い降りる。


「変態だーーーーーーーーーーー!!」


 何時の間にやら其処にいた少女が、江頭と男との情事を見ていたのだ。
 これ幸いと、江頭はネタの矛先を変える。
 ギラリと光った視線が叫び声を上げた少女を捉えた。

「誰が変態だ、コラあああああああああ!!」
「ぎゃあ、こっちくんなああああああああああ!!」

 一物はそのまま自由奔放に解放したまま、江頭は走る。
 全裸の男に走り寄られる少女は当然逃げる。
 何とも不毛な追いかけっこが開始される中、江頭はほくそえんでいた。
 目の前の赤毛の少女に見覚えはなかった。おそらくは素人の参加者なのだろう。
 このパターンはスタッフからのストップが入るだろうが、確実に笑いは取れる。
 どんな欝野郎だとしても、表情の一つくらいは変える筈だ―――そう、思考しながら江頭は脇目で男を見る。
 そして、




 ―――パン



 そして、軽い炸裂音と共に、余りに呆気なく一つの命が終わった。



「「え」」


 声が、重なる。
 呆然の言葉。
 理解が追い付いていなかった。


「……今…………度は……」


 男が倒れていた。
 頭の半分を吹き飛ばした状態で、明らかに致死量の鮮血を黄色い何かと一緒に撒き散らしながら―――笑って。
 その手には何時の間にか握られていた拳銃。
 自殺だ。
 男は拳銃を用いて自らの脳天を吹き飛ばして死んだのだ。


「死な………せて…………も…………ら…………」


 頭の半分を吹き飛ばした男は、その状態から見るならば、雄弁であった。
 脳髄をなくし、それでも一言だけ言葉を遺せたのだから。
 江頭と少女は、その空虚な言葉を、その空虚な瞳を、見詰めていた。
 言葉を無くし、ただ見詰めていた。




【ニコラス・D・ウルフウッド@アニロワ2nd  死亡確認】




【一日目/深夜/C-2・森林】
【江頭2:50@現実】
[状態]健康、全裸
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:????
1:え


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]なし、ソウルジェム(濁りなし)
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:????
0:どういうことだ、おい……



それは誰もが通るはしかのようなもの 投下順 俺たちはガンダムか!? ~クーガーのT0MMYとグラハム・ガンダムの武力介入に、吸血鬼が介入する!~
GAME START ニコラス・D・ウルフウッド 死亡
GAME START 江頭2:50 ラフ・メーカー
GAME START 佐倉杏子 ラフ・メーカー

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最終更新:2012年05月22日 21:36
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