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THE FALLEN

「ふむふむ……ま、こんなもんだろ」

さらさらと、ショッピングモール内の見取り図を軽くメモ帳に書き写し、スッとメモ帳をポケットに仕舞う。
この殺し合いが始まり、一番最初に自分が辿り着いたのが、このショッピングモールだった。
……まあ、正確に言うなら気がついたら見取り図に寄り掛かった状態で目が覚めたと言うべきだが。
目が覚めた直後は頭がボーッとしていたが、自分の置かれている状況の事を考えると、すぐに目が覚めた。
そして、何かの役に立つかもしれないと思い、見取り図を軽く書き写して、今に至ると言う訳だ。

しかし、こうやって見取り図を見てみると、本当に普通のショッピングモールと言った感じの店だ。
全体的な形はと言うと、長方形が2つ重なって、カッコのような形になっているようだ。
3階建てで、中心辺りに吹き抜けがあって、その周りに食べ物系統の店とファッション系の店があるようだ。
2階にもいろんな店があって、3階にはゲームセンターに映画館がある、らしい。
らしい、と言うのはあくまで見取り図上で確認しただけで、実際に見て確かめた訳ではないからだ。

(ま、多分見取り図通りに店はあるだろ。こんなところでウソついた所で何にもならねえからな)

こんな状況でもなければ、ゆっくりショッピングと洒落こんで喫茶店で一服……と行きたい所だが……。
いつ襲われるか分からない状況で、ゆっくりコーヒーを飲む、と言う訳にもいかないだろう。
……まあ、こんなに広ければ誰かと鉢合わせするようなことはそうそう起こらないとは思うが。

(ちっと座って休憩と行きたい所だが……どこがいいかな……)

今自分がいる場所、1階の広場のような……吹き抜けになっている場所だ。ここからは、星空が良く見える。
そして、広場にはけっこうお洒落な椅子とテーブルが所々に置いてある。街灯のような灯りも、その近くに。
けっこうイイ場所だ……ますます、殺し合いに巻き込まれた事を後悔する。
しかし、ここはあまり良い場所ではないだろう。なぜなら、ここで座っていたら危ないからだ。

(暗い中、街灯の近くにいるってことは……スポットライトを浴びてるようなもんだ)

そんな所でゆっくりなんか出来る訳ない(と言うか、こんな状況でゆっくりするのもどうかと思うが)。
それなら、他に何かないだろうか?そう思い、メモ帳を開いてみる……。
隠れる場所が多いところ……何らかの店舗に入るのがいいと思われるが……そう都合よく店があるだろうか?
今の所、自分の目が届く範囲には、使える店は見当たらない。どれも、解放的すぎるのだ。

「できれば、1つしか入り口が無い店の方がいいんだがな……」

(裏口は別として)入り口が1つだけなら、そこだけを見張っていれば人の出入りはすぐに分かる。
入り口が複数あるなら、当然その全部に気を付けておかなければいけないだろう。
短時間なら問題はないだろうが、長時間そこにいなければならない状況になったら困る。
いつ、誰が来るか分からない緊張感と、いつ襲われるか分からない緊張感を常に感じることになってしまう。
そんな物を長時間続けていれば、自身の精神にかかる重圧はとてつもない物になるだろう。
常日頃から鍛えている人間ならともかく、ただの一般人がこれほどの重圧にいつまで耐えられるか……。

(……えーっと、ここらはショッピングモールの……ちょっと東あたりか)

吹き抜けから離れ、所謂レストラン街と言われるであろう場所に足を踏み入れる。
本来なら、いろんな料理の臭いが漂っていて、沢山の人で賑わっているはずの場所だが……。
今は、自分の足音以外、何の音もしない。これほど静かだと、ある意味無気味だ。

(レストランが沢山あるな。こりゃあ、いいかもしれねえ)

とりあえず、近くにあるレストランに入ってみる……。丁度、入り口も1つだけ、だ。
というか、ここらの店は軒並み同じような感じの店ばかりだ。まあ、提供する物の違いはあるだろうが。
スタスタと歩いてゆき、入り口を見張りやすい席に腰かける。



(さて、と。一旦小休止と行くか。持ち物も調べたいしな)

背負っていたデイパックを机の上に置き、バッグをひっくり返して中身を乱雑に机の上に出す。
メモを取り出す際にも中身はチラッと見たが、あくまでチラッとだけだ。細かい所までは見ていなかった。

(しっかし……これ、本物か?本物の銃ってのは、こんなにゴツいのか)

出てきた物の1つである銃を手に取り呟く。
銃に特別詳しいと言う訳でもないが、確かこれは「イングラム」とか言う銃だったと思うのだが、よく分からない。
……まあ、銃があると言うだけでも結構心強い物だ。もしもの時の護身用に、大いに役に立つだろう。

(それともう1つ。この小瓶は……何々、『薬セット』?何たってこんな物を……)

附属の説明書によると……「睡眠薬」が3つ、「下剤」が3つ、「ビタミン剤」が6つ、そして「毒薬」が1つ、らしい。
最後の毒薬は言わずもがな、他の物も扱いに困る物ばかり。結局、自分には必要無いものだ。
だが、ここに捨てて行くのも躊躇われる。誰かがここに来た時、悪用されては困るからだ。
……とはいえ、この説明書に書いてあることを鵜呑みにするのも、危険な気がする。
例えば、一番数が多いこの「ビタミン剤」。この中に、もしかしたら毒が入っているのかもしれない。

(もしかしたらただの深読みかもしんねえが……ま、どうせ使うことなんてねえからいいか)

薬セットを、念の為にデイパックの底辺りに念入りに仕舞っておく。
こうしておけば、自分からバラさない限りそうそう他の人間に見つかったりしないだろう。
……最後に、武器では無いがデイパックの中にあった懐中電灯と携帯電話。
懐中電灯は至って普通の物で、LEDが使われているタイプの懐中電灯だ。変な仕掛けは、一切無い。
携帯電話も、最近流行ってるらしいスマートフォンだ。しかし、画面に表示されているアイコンはちょっとしかない。

(電話……警察に連絡すりゃ、すぐにこんな馬鹿げた物も終わるかもしんねえな)

110、と入力し発信するが、いつまで経ってもつながらない。圏外かとも思ったが、そうじゃないようだ。
……外に電話はかけられない、と言う事か。普通に考えれば、そんな事されたら困るのはあいつだ。
わざわざ自分が困るような事ができるような物を、俺達に渡す訳が無い。

(そう言えば、ルールにあったな……「会場内のみで通話可能」って。すっかり忘れてたわ)

これで、全ての持ち物を粗方調べることができた。今の所、やるべき事は全て片づけてしまったことになる。
次に、これからどうすべきか、これから何をしなければならないかを決めておかなければ。
何の目的も無く、ただフラフラうろつき回るのでは時間のムダだ。

(とりあえずは、このショッピングモールを調べてみるか?何か、役に立つ物があるかもしんねえし)

今すぐに調べに行く、と言う訳ではないが、それでもおいおい調べに行くことになるだろう。
……しかし、1人での行動は心細い物がある。名簿とやらを見てみたが、自分の知り合いは1人もいなかった。
これが、いい事なのか悪い事なのかは、よく分からないが……とにかく、今の所味方はいない、と言う事になる。
勿論、これから誰かと出会った際に、友好関係を築ける可能性があるが……。
その可能性が存在する以上、友好関係を築けないどころか攻撃される可能性も存在する。

(人を軽々しく信用したら痛い目に会う、ってのは世の常だが……こんな状況じゃ心細いってのもあるだろうしな)

何をするにも、1人で出来る範囲と言うのは限られてくる。ここの探索だってそうだ。
1人では見て回るだけでも骨が折れるだろう。それを2人でやれば、少なくとも1人でやるよりは効率が上がるだろう。
もちろん、リスクの事を忘れている訳ではない。別れ別れになれば、何かあった時に助けられないかもしれない。
……まあ、何だかんだ言っても、まず友好関係が築けなければ話にならないのだが。

「……喉乾いたな……レストランなんだし、飲み物くらいあるだろ……」

携帯をポケットに仕舞い、残った銃以外の物をバッグに詰めて肩にかける。
置いたままにしてもいいが、もし誰かに盗まれると困る。万が一の事を考えて、肌身離さず持っておくのが一番いい。
……ここがファミレスなら、ドリンクバー的な物があるのだろうが……。一応、水は幾らでも飲めるようだが。

(……厨房にでも入ってみっか)

スッと厨房に足を踏み入れる。
中は、いかにもレストランの厨房と言った感じで、隅々まで綺麗にされている。自分の家とは大違いだ。
その上、色んな物が自分の知っている物よりもサイズが大きい。これくらい無いと、いろいろ大変なのだろう。
……いいや、見惚れている場合じゃない。何か、飲める物を探さなければ……。
探すとしたら、冷蔵庫の中だろうか?これも、普通の物より1回りも2回りもでかい。

(……無え……)

冷蔵庫の中には、これと言って飲み物は無かった。
その代わりなのかどうかは知らないが、食材だけはぎっしり詰まっている。おそらく、高級な代物だろう。
とにかく、ここにも飲み物は無かったと言うことになる。何故無いのかは分からないが、とにかく無い。


……その後、いろいろ探し回ってみたものの飲み物は見当たらなかった。
いや、ワイン等のアルコール類は見つけたのだが……こんな時に、酒なんか飲んでいる場合じゃない。
酔いが回れば、当然思考や動きが鈍る。自分はそこそこ飲める方だが、飲んで酔わないと言う訳ではない。
酒を飲んだら酔う、当然だ。当然だと分かっているからこそ、みすみす自分から危険に踏みこむ必要もないだろう。

(仕方ねえ、我慢するっきゃねえか)

その時。
レストランの外から、ダダダダッと誰かが走る音が。
その音は次第にこちらに近づいて来て……自分のいるレストランの前で止まった。
これは、どう考えても誰かが走ってこのレストランに来たとしか考えられない。どうしようか?

(とりあえず、隠れて様子見と行こう)

防災訓練のように、スッと机の下に潜り込む。
それと同時に、足音の主であろう人が、ダダダッとレストランの中を駆け抜けて行く。

「ううっ……も、漏れる……!!」
(……?何言ってんだこいつ)

もしかして、腹の具合でも悪いのだろうか。
だとすれば、かなりツイてない奴か、それともストレスに弱い奴かのどちらかだ(あまり大差は無いが)。
その後、バタンと乱暴に扉を閉める音が響いた後、やっとレストラン内は静かになった。
一応、顔だけ出して辺りを伺い、人の姿が見えない事を確認して机の下から這い出てくる。

(……扉の音がした方向には、トイレがあるが……ノックしてみっか)

トイレに入り、気づかれないようにそっと個室のドアに耳をつける。
こんなこと、あまりしたくは無いが……相手が誰かを知るためだ、我慢するしかない。
……何か、呟いているようだ。

「全く……一体どうなっているんだ?ついさっきまで留置所にいたのに……」

留置所?と言う事は、こいつは犯罪者か何かだったのか?しかし、刑務官の可能性だってある。
情報が少ない今は、まだ断定はできない。
それに、もし犯罪者だとしても、腹を下している間は、ろくろく力も入れられず、まともに戦えないないだろう。
また、仮に刑務官だとしたら心強い。刑務所で犯罪者の相手をしているのだ、多少は頼りになる。

「それにしても、また腹が痛くなるなんて……うぅぅぅぅ」

今、この声の主は「また」と言った。と言う事は、こいつはかなり腹がゆるいのかもしれない。
そう考えてみると、さっきの行動も頷ける。……トイレを求め、近くにあったレストランに駆け込む。
おそらく、レストラン街の近くで腹痛を発症し、周りを見るがトイレが無い。そんな時、ここが目に付いた。
それで、慌てて店の中に飛び込んで、今現在、用を足していると言った所か……?

(……とにかく、あまりカッコいい奴じゃなさそうだな)
「くそ、いつまで出る……あああぁぁぁっ……」

……これ以上は、自分の鼻が持ちそうにない。仕方無く、次の行動に移ることにした。
軽く、個室のドアをノックしてみる。これで、相手の反応を調べる。

「……入ってるぞ!」

そこそこイラついている声だ。まあ、腹が痛ければイラつきもするだろう。
しかし、そんなこと自分には特に関係が無い。もっと反応を見るために、今度は、2度ドアを叩く。

「入っていると言っているだろう!」

さっきよりもイラついた声で、返事が返ってくる。しかし、それでも自分はやめるつもりはない。
今度は、3回続けて扉を叩く。……ちょっと、手が痛くなってしまった。

「……諦めろ。お前の番は来ない」

今度はさっきとはうってかわって落ち着いた感じの声で返事が返ってくる。
……これ以上、ノックをしてももう意味は無いだろう。そう思い、トイレから出ようとした時。
水を流す音が聞こえ、個室のドアの鍵が外れる音が聞こえた。








「何もそこまで怒る事はねえだろ?たかがノックじゃねーか」
「うるさいっ!俺の集中を乱すな!」
「……悪かったよ。謝るよ」

あの後、トイレから出てきた男に怒られてしまった。俺だって、集中を乱されれば腹を立てるだろう。
それはとりあえず置いておいて(いいのか?)、この男の姿を最初に見た時は驚いた。
―――なにせ、上下両方とも(迷彩柄とかじゃなくおそらく本物の)迷彩服に目出し帽を被っているのだ。
これを見て驚くなと言う方が難しいくらい、笑えてしまう。おまけに、額の部分には「J」と書いてある。

「あんた、これからどうするつもりなんだ?」
「生きて、帰るつもりだ……アメリカに、妻と子供を残してるからな……死ぬわけにはいかない」
「どうやって帰るんだ、まさか、全員殺すつもりじゃねえだろうな?」

もし、ここで「そうだ」と答えるようなら、下痢に効く薬と称して下剤を渡してやろう。
そうすれば、しばらくは身動きが取れなくなるはずだ。

「そんなこと、俺に出来る訳が無い。第一、自分が無事に帰れるかどうかも……ああっ!また腹が……」

……確かに、こんな体たらくでは、とても人なんか殺せそうにない。と言うか、行動することすら……。
とにかく、こんな感じではしばらくはここから動くこともできない。いくら何でも、苦しんでる奴を置いてはいけない。
本人に泣いて頼まれた、とかならともかく、苦しむ人を見捨てて行く程自分は腐ってはいない。

「下痢止めでも持ってりゃあやるんだが……生憎持ってないんでな。許してくれ」
「構わない。暫くすれば何とかなるさ……大丈夫だ」
(大丈夫かよ、こいつ)





【一日目・深夜/D-6:ショッピングモール1F:レストラン】
【高橋純一@オリジナル
[状態]:健康
[装備]:イングラムM10(32/32)
[所持品]:支給品一式、マガジン×3、薬セット(睡眠薬×3、下剤×3、ビタミン剤×6、毒薬×1)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る気はない。この現状をなんとかしたい
1:……大丈夫かよ、こいつ
2:こいつがトイレから出てきたら、いろいろ聞いてみるか……
3:後で飲み物も探したいなぁ


ジョニー@メタルギアソリッド3】
[状態]:健康?、下痢
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給品×3
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。何とかして妻と子供の元に戻りたい
1:は、腹が……
2:さっきから話しかけてくる奴も気になるが……今は、こっちに集中だ


≪参加者紹介≫
【名前】 高橋純一
【性別/年齢/職業】 男/28歳/土木作業員
【特徴】 身長180オーバーするほど背が高く、また職業柄腕っ節も強い。ただし頭脳は平均的。
【備考】 ゴツい見た目とは裏腹に、熱い心と優しい心を持ち合わせる、いわゆる「良い人」。

≪支給品紹介≫
【薬セット】
高橋純一に支給。
本文中にもあるように、4種の薬がセットになっている。
ただし、どれも本当に書いてある通りの効果があるとは限らない。


冷静と不安 投下順 正々堂々
GAME START 高橋純一 [[]]
GAME START ジョニー [[]]

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最終更新:2011年12月26日 19:31
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