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正々堂々

道の所々を、弱弱しい街灯が照らしている。それらに道を照らす力はあまりなく、申し訳程度にしかなっていない。
それでも、懐中電灯があるおかげで何とか歩いて行けるくらいにはなっている。
……しかし、殺し合いとは驚いた物だ。いつもの様に、出掛けようかと思っていた時に、急に気が遠くなって。
気がついたらこんな場所にいたのだから、普通ならまず驚くだろう……。
しかし、自分はあまり驚きはしない。どこか能天気な気があるからだろうか?

(……殺し合い、か。別に死ぬのが怖い訳でもねえが……別段、殺しあう理由もねえな)

この異常な状況も気になるが、自分に配られていたこのバッグも、気になる。
中には、丸い形の物――レーションとか言うらしいが――と手榴弾のような物、そして1つの指輪が入っていた。
指輪には、1枚の紙が一緒にくっついていた。その紙に書いてあったのは……。

「……『勇気凛々』?勇敢に物事に立ち向かう、とか言う意味だったか、確か」

こんな時にこんな四字熟語を見せて何をする気なんだろうか?勇気を出して殺しあえ、とでも言いたいのだろうか。
それとも、別の意味でもあるのだろうか?例えば、この指輪を付ければ勇気が湧いてくるとか。
そんな事を考えながら、指輪を指に嵌めてみるが、何も起こらない。勇気が湧いてくる気配もない。
何だ、何もないのか。と思い、指輪を抜こうとするが……抜けない。強く引っ張っても、抜けない。

(このままじゃ、指の方が先に抜けちまう……仕方ねえ、このままで行くか)

とりあえず、指輪を嵌めたまま、再度道を歩いて行くことにした……が。向こうから、誰かが向かってくる。
誰だろうか……と思い、目を細めてよく見てみるが、分からないものは分からない。
声をかけてみようか、それともスルーするか。

「……声かけてみっか。おーい!そこのアンタ!」

返事はない。まあ、見ず知らずの相手にいきなりなれなれしく話しかけられて、普通に返すような奴はいないだろう。
釣れない奴だ……と思って、再度歩き出そうとした時。
歩いてくる相手が、いきなり速度を早めてこちらに向かって来たのだ。一体、何のつもりだろうか?
1人で心細かったところに、自分が現れた物だから、嬉しくてこちらに向かっているのか?

(ふふん、嬉しいねえ……って、何かおかしいぞ……?)

近づいてくるにつれて、姿が鮮明になってくる。
相手は、俺とそう変わらないような歳であろう男。肩にはバッグのヒモが見える。そして、手には。
―――キラリと輝く、刃物が。
これから察するに、相手は嬉しくてこちらに来ているんじゃなくて、俺を殺すためにこちらに来ている……?

「……何ぃぃぃぃ!?やべぇ、どうすんだ俺!?」

あたふたしている内にも、ぐんぐん男との距離が短くなっていく。
ソッコー背を向けて逃げ出すか?いや、俺はそこまで足は早くない。どう見ても、相手の方が足は早い。
適当な所に隠れてやり過ごすか?いや、もう既に見つかっているのに今更隠れても意味が無い。
逃げることも、隠れることもできない。なら、どうすればいいのか?

「……一か八か、戦ってみるか!あの紙に書いてあった通り、『勇気』出してやらぁ!!」

こうやって腹を据えて構えてみると、自分の思った以上に勇気と言う物は湧いてくる物なんだなぁ、と思う。
結構、度胸あるじゃねえか、自分……。こういう時って、自分でも気づかない所が分かるとか言うが……。
いつもふざけてるような自分にこんな物があるとは。思わず苦笑いしてしまう。

(しかし……どうすっかな。武器がねえし……!?)

当惑していた自分の右手に……何故か、日本刀が握られている。
どうして刀が?いつから持っていた?なぜ、今まで気がつかなかった?一気に疑問が沸き上がってくる。
だが、今は疑問を解決する前に、向かってくる男を何とかしなければ。謎を追求するのは、後でもできる事だ。

……しかし、困ったことに自分は刀なんて使ったことが無い。と言うか、触ったこともない。
普通に考えれば当然だろう。剣道とか居合いでもやるなら触ったりつかったりしてもおかしくは無いが……。
俺はただの一般人。使う訳が無い。その道の人ですら、今時刀で戦ったりはしないだろうし。

「……ええい、ゴチャゴチャ考えるのは止めだ!!やると決めたからにはやるしかねぇ!!」

なんとなく、自分の中のあいまいなイメージ通りに刀を構えてみる。
……不意に、今まで走っていた男が立ち止まり、何故か歩いてこちらに寄って来る。

「一体、何のつもりだ?さっきまで走ってたのに、歩くなんて。息切れか?」
「……そうじゃない」

感情を感じられないような声で、男は喋った。
いつ襲ってくるんだ……?一瞬たりとも、気が抜けない。気を抜いたら最後、ブスリとやられるだろう。
相手だって、自分と同じで俺がどう出るか伺っているはずだ。こっちの方が、攻撃出来る範囲が広いのだから。
だが、(これはあくまで予想だが)強さではこの男の方がはるかに上だ。

「ふん、お前が来ねえなら……俺から行くぜ!!」

うおおおおおおお、と大声を上げながら一気に走り、男の懐目掛け力一杯切り払う。
……しかし、全く手応えが無い。
その直後、頬を掠めてナイフが襲い掛かる。掠めた所に手をやると、血が……切られてしまったか。
しかし、怪我としては大した物ではない。手で血を拭い、再度構えなおす。

(長期戦は無理だな。戦いが長引けば長引くほどあいつが有利になる。それに、俺もキツいし)
「おいお前!何で俺を襲ったんだ!?」
「……理由なんて無い。お前がそこにいたから襲った。それだけだ」
「もし俺が強かったらどうすんだ?お前今頃あの世行きだぜ?」
「強さを見極められないほど愚かじゃない」

……やはり、こいつは本当に強い。いくら刀があるとはいえ、このままでは埒があかない。
しかし、この状況を打破出来る物はあるか?デイパックを弄ってみると―――あった。
自分への支給品の1つ、手榴弾のような物。これを投げて相手が防御体勢を取っている隙に逃げる……。
上手く行くか、五分五分と言ったところだが……まあ可能性があるなら、やってみるのも悪くない。

「悪いな、あんま遊んでられねえし、ここらで終わりにしようぜ!!」
「ふん」

カバンから1つ、支給された手榴弾を引っ掴み、ピンを引いてその場に放り投げる。
相手も自分も、爆風と衝撃に備え、距離を取る。後は、爆発するのを待つだけだ。
そして、一瞬手榴弾が眩く光り、爆音と共に、辺りを吹き飛ばした……はずだったのだが。
手榴弾のあった場所には傷一つなく、周りには爆風の代わりに銀色に光る物が舞っている。これは一体……?

「……これが、お前の秘策か?」
(あ、あれ?おかしいな……)

……この手榴弾が何であれ、自分の作戦は見事に失敗してしまったのは間違いない。
計画も思い通りに行かず、むしろ無駄に相手をイラ付かせただけ……状況は、さっきより危なくなってしまった。
思えば、この失敗だって手榴弾の種類をよく見ておかなかった自分のミスだ。

「……止めにしておこう」
「何だって?ビビっちまったのか?」
「そうじゃない。今のお前を殺したところで、1つも面白くない」
「どうしてだ」
「……お前は弱い。俺に比べると、な」

……少々頭に来るが、こいつの言う事は間違ってはいない。それ故に、言い返したりすることもできない。
こっちが悔しさで地団太踏んでいる内に、男は背を向けて来た道を戻り出した。

「今度会った時は……テメーを倒してやる」
「……それまでに、お前が死なない事を願うよ」


【一日目・深夜/E-5】
【潮田淳一@オリジナル
[状態]:健康、憤り、頬に軽い切り傷
[装備]:『勇気凛々』の指輪@四字熟語バトルロワイヤル
[所持品]:支給品一式、レーション@MGS3、チャフグレネード×4@MGS3
[思考・行動]
基本:殺し合いは……する気はないな
1:あいつめ……覚えてろよ……!
※E-5で電波障害が起こっています。このため、一時的に電波を発する電子機器が使用不能になりました





(なかなか面白い奴だったな……)

あの男と別れ、少し経っただろうか?
時計なぞ見ていないから、正確な時間までは分からないが、多分1・2分も経っていない。
それに、あいつと対峙した時間も含めて、5分くらいか。正確ではないが、まあそのくらいだろう。

(銃を使っていれば、勝負は一瞬でついただろうが……それじゃ面白くない)

実は、自分に支給されていた武器はこの弱弱しい果物ナイフだけでは無かった。
サイガ12―――マガジンタイプのショットガン。セミオートで、散弾を発射できる優れ物だ。
前にも言ったが、こいつで出会い頭に1発、もしくは2発程度ぶち込んでやれば、それで終わりだった。
しかし、それをしなかったのは……楽しみたいからだ。この、殺し合いと言うゲームを。

(簡単に殺してしまっては意味が無い。正々堂々戦うのが俺の好みなんでね……)

真っ向から相手と戦い、勝利する。これほどの快感があるだろうか?
それに比べると、不意打ちやだまし討ちなどで得られる快感なぞ、何の価値もありはしない。
自身の命の危機を掻い潜り、相手を正々堂々打ち破る。これぞ、我が戦いにおける哲学のような物だ。
他の人間がどうなろうと、知ったことでは無い。自分は、この哲学を貫き通すだけだ。
……さっきは自分でそれを破りかけてしまったが。まあ、破らなかっただけ良しとしよう。

(……このゲームが終わるまで、どれくらいかかるのだろうか)

そうだ。このゲームが終わるまで、どれほど時間が掛かるか分からないのだ。
長いゲーム中で、何度も戦うことになるだろう。他人の戦いに巻き込まれる可能性だってある。
そんな時、自分はどうするべきか。正々堂々と戦いたい自分としては、どちらに肩入れする気もない。
しかし、無理矢理巻き込まれてしまう可能性も、また存在する。

(そうなる前に自分は退避しておきたいが……そうも行かない時もあるだろうな)

逃げ出そうとすれば、その背中を攻撃されることだって有り得るし、逃げ道を塞がれることも有りえる。
……そんな展開になると、もう戦闘から逃れることはできないだろう。
もちろん、そんな事になっても戦わずに傍観すると言う選択肢もあるが、それはかなり危険だ。
傍観してる間は、無防備になってしまう。その隙をつかれると、命を落としかねない。
自分が死んでしまっては、元も子も無い。

(……まあ、今の所はそんな展開が来ない事を祈るしかないな)


【一日目・深夜/E-5】
【成田一輝@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:果物ナイフ
[所持品]:支給品一式、サイガ12(5/5)、マガジン×2
[思考・行動]
基本:正面からぶつかり合って、優勝する。
1:これから、どうするべきか……
2:さっきの男……楽しみだ……


≪参加者紹介≫
【名前】 潮田淳一
【性別/年齢/職業】 男/24歳/フリーター
【特徴】 チャラチャラした一面もあるが、本当は熱い一面も持つ、いい男。
【備考】 何かスポーツ等をしている訳でも無いが、体力はそれなり。


【名前】 成田一輝
【性別/年齢/職業】 男/32歳/無職
【特徴】 フラフラとその日暮らしをしてはいるが、心には殺人衝動を秘めている。
【備考】 どこか近寄りがたいオーラを発しているお陰で、友人もあまりいない。
      また、時々考えていることと噛みあわないような行動を取ることも。

≪支給品紹介≫
【『勇気凛々』の指輪@四字熟語バトルロワイヤル】
高橋純一に支給。
元々は「四字熟語バトルロワイヤル」の参加者、『勇気凛々』の能力だったのだが……。
それを、主催者側が何らかの方法で能力のみ入手し、指輪の形として具現化させたらしい。
また、主催者の手によってりんりんソードの形が何故か日本刀のような形状になっている。

【レーション@MGS3】
同じく高橋純一に支給。
スネーク曰く、「とてもマズい」らしい。
だが、スタミナの回復量はそんなに悪くない。また、軍用糧食だけあって腐らない。

【チャフグレネード@MGS3】
同じく高橋純一に支給。
ピンを抜いて投げると、少しの間の後爆発して、辺りに金属片を撒き散らし電波をかく乱する。
……が、ゲームの時代設定が設定(60年代前半)なだけに、用途が限られてしまうのが難点か。


THE FALLEN 投下順 ツミナガラ…と彼は謂ふ
GAME START 潮田純一 [[]]
GAME START 成田一輝 [[]]

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最終更新:2011年12月27日 23:26
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