連続殺人鬼は狡猾である。作戦を練り、準備し、練習し、手際よくテンポよく人を殺していく。
それが殺人というベクトルにあるのであり、医療とか漫画とかならさしずめ天才と呼ばれるのであろう。連続殺人鬼はアナーキストにしか過ぎない。
そしてその枠のプロの仕事があるわけではないので計画が必ず成功するわけではない。どこかに必ず、穴がある。
なら完全な殺人計画が予めあったとしたら?
火山高夫。彼はそれを持った社会逸脱者、もとい日記所有者であった。
そこは街であった。田舎でもなく都会でもない、北九州のような街並みだ。
だが火山はこんな所は存じない。通常支給品に地図があったが、ここはどこか、誰にも知らない島だそうだ。
にしてもあの神は
殺し合いのためにわざわざ島を作ったのだろうか。できないことはないが派手である。
彼のランダム支給品は以前、彼が持っていたものである。
防弾・対爆仕様の黒いコート、大型ナイフ、そして彼の所有する携帯電話、殺人日記。
そしてこの、殺し合いをしても誰も咎めない場所。
水を得た魚。まさに彼はこの状態にふさわしいだろう。
暗夜の中、彼は日記を見る。どうやら自分は一人、男を殺すらしい。北にいるそうだ。第一弾の獲物である。
通常支給品のコンパスを取り出し、北へ自分の体を向ける。足を踏み出し、日記に従いながら彼は行動し始めた。
暗闇には女のような容姿の大男がいた。スーツを着てハンドポケット状態である。こんな状況なのにずいぶんと余裕である。
火山はコンビニに隠れていた。ナイフは月光でギラつく。まるで彼の殺意のように。
どうやらこのまま突っ込めば殺せるらしい。らしい、と予知能力の割に断定的でないのは理由がある。
日記には結果が書かれていなかった。殺害が成功かどうか、いつもと違って書かれていない。
便利なものにいつも頼っている人間は少し不具合が起きると軽いパニックを起こす。彼とて例外ではない。
しかし矛盾するようだが、それは状況によって変わる。彼はパニックにはならず、むしろ殺す決意を強く固めていた。
優れた支給品、殺しても咎められない状況、相手の余裕さ。この三つが彼の殺意をより動かす。
相手はハンドポケット。殴ろうにも時間がかかる。そして日記もこうすれば殺せると結果はないが書かれている。
大丈夫だ。殺せる。間違いなく殺せる。殺すんだ。殺して、神となり、多くの人間を殺すのだ。
シリアルキラーは携帯をしまいドアを勢いよく開ける。男はこちらに目を向けない。見かけどおり、ぼおっとした人間のようだ。
腕を大きく振りかぶる。狙いは首元。腕が上がらないので的だ。すぐに殺せる的だ。
大丈夫だ。これはシモ・ヘイヘが縁日の射撃場で撃つようなもので、間違いなく首を掻っ切れる。
なんだ。簡単じゃないか。この調子ならこの殺し合いで優勝も夢ではない。自分を殺した1thも楽勝だ。
彼は喜ぶ。捕らぬ狸の皮算用ではあるが仕方ないことだ。むしろ最初の調子も作用する。
だから彼は出鼻を挫かれたのであろう。
彼は男に、ハンドポケットのまま、大きく蹴り飛ばされた。
(摩季)
殺人の目的になられていた男、坂本ジュリエッタはそんなことしか考えてなかった。先ほど殺人鬼に狙われていたというのに。
彼は相川摩季を抱くことしか考えていなかった。この殺し合いの場、それが一番である。
とは言っても二番は殺し合いに関することを考えている。
まずこの場にいれば摩季に会うことはない。だからこの場から抜け出すか、主宰を殺すかして摩季と会う。
これだけだった。もっとも参加者全員を殺すという選択肢がない理由は「めんどくさいから」と適当なものである。
さて、とりあえず仲間でも集めるしかないだろう。あのでかいのを殺すには仲間がいたほうがいい。彼は自分一人で殺せるほど思い上がってはいなかった。
いつも通りいけばなんとかなるだろう。彼は殺し合いで特定されることも恐れず鼻歌を歌う。
「空を飛ぶ。街が飛ぶ。雲を突き抜け星になる」
【一日目/深夜・晴れ/街(中心部)】
【坂本ジュリエッタ@エアマスター】
【状態】健康 ハンドポケット
【装備】不明
【道具】不明 通常支給品
【思考】基本:帰って摩季を抱く。
1:仲間を集めて主宰を殺しか脱出に協力してもらう。全員を殺すのはめんどくさい。
火山は向かいのハンバーガーショップで倒れていた。
ビルを突き破り、調理場へ飛び、フライパンを弾きながら地に倒れる。福本清三でもここまではない。
しかしなんだ。この日記は何の役にも立ちはしない。クソ、こんなことなら頼らなければよかった。
そう彼は嘆くがこの殺人日記、通用することにはする。が、それは相手が武器なしの一般人の場合であり、彼のように強い者にはあまり効かない。
というのもこれはあくまでもレプリカであり本物ではないからだ。パワーバランスの調節のためだが、所有者は困るだけである。
残念ながらこの殺し合い、通常の人間じゃない者は多い。それよりも全員がなんらかの武器を持ってる可能性があるので、運頼みである。
だからこそ彼は慎重に動くべきなのだが、一回仕留められなかったことに挽回するように心を動かした。
ナイフを構え殺人日記を見る。今度は何も書かれていない。逆に彼はホッとした。
だがこれで済むほど、殺し合いは甘くなかった。
【火山高夫@未来日記】
【状態】全体的に打撲
【装備】防弾・対爆仕様の黒コート@未来日記、大型ナイフ@未来日記
【道具】殺人日記のレプリカ@未来日記
【思考】基本:優勝する。
1:速く殺さなければ。
【防弾・対爆仕様の黒コート@未来日記】
火山高夫がいつも着ている物。名前通り銃弾も爆発も効かない高スペック。おそらく重い。
これを持ってて必ず負ける彼はある意味、すごいと言える。
【大型ナイフ@未来日記】
火山高夫の獲物。彼なりのこだわり品。鉄でも斬れる高性能。でも負けるのが彼。
【殺人日記のレプリカ@未来日記】
自分が起こす未来の殺人の状況を記録する能力を持つ。
本来は事前に犯行方法とその結果が分かるがバランス調整のため結果がわからないレプリカとなっている。
要は従っていけば必ず殺せるものなのだがそれでも負けるのが彼。
最終更新:2011年12月26日 18:23