1話 忘【ハンテン】
【0】
何故俺は強くなったんだろう。
今からしてみれば、バカらしくて思い出せないような理由だったと思う。
でも、俺は彼女に出会った。
それで、俺は意味を作れたような気がした。
彼女を最後まで守りぬくと誓った。
一生――――ずっと、この先も。
(タスケテ―――)
だが、彼女は殺された。
自分が弱かったせいで、死んだんだ。
彼女は俺を頼ってくれた。
なのに俺は―――――彼女を見殺しにした。
「うがあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!くそ!ふざけやがって!殺す、殺す、殺す!テメエを、この世から跡形もなく消し去ってやる!」
俺は叫んだ、喉が枯れるほど。
そして、殺しにかかったはずだった。
そのまま俺は、眠りに入った。
敵を目の前にして。
【1】
「くそっ、くそっ、くそっ、安心院だか何だか知らないがふざけやがって…。
俺は社長なんだ、お前より偉いんだよ、ふざけやがって…クソッ!」
男は頭を抱えて切歯扼腕としていた。
殺されたはずの自分が生き返っていた。
それだけでも十分以上だというのに、目が覚めたらまた
殺し合い。
これぞまさに奇々怪々である。
「しかも、名前も記憶に戻っていないし…どうなっているんだっ!うぅっ……」
思わず涙が出そうになる。
だが――――今はそんなことをしている場合ではない。
無理やりに涙を抑える。
自分は今度こそ死ぬわけにはいかないのだ。
デイバック―――形は違うがそれを手に取る。
中に入っていたもの、カードゲームのデッキのみ。
「…ふざけるなぁあ!?」
はずれという問題ではない。
まさかのカードゲームである。
マジックザギャザリング、今やっている人がいるのかと言いたくなる。
だが、下手に声を張り上げてはいけない。
張り上げた声で気づかれてるかもしれない。
だからここは我慢して―――――「おい」って来てた!
「な、なっななんだ!お、おぉお前はぁあ!?」
「落ち付けよオッサン」
後ろから声をかけてきた人間。
少し高めの背に死んだ魚のような目。
そして、刀を持った奴だった。
「わ、私に何の用だ…ようが無いなら消えてくれるとッ―――――!」
「チッ、避けやがって――――死んどけよオッサン」
間一髪のところ―――正確には首の部分がうっすらと切れて血が少し出ている。
避けなければ今頃、私の首と胴は離れていただろう。
「な、なにをするんだっ!わた、私は社長なんだ!お前より―――」
「それがどうしたよ、社長だから殺し合いに生き残れるのか?
社長だったら大事な人を生き返らせることができるのか?
お前が言っているのは間違いだらけだ、間違ってないところを探すほうが難しいさ。
まあ――――あんたが何を言おうが自由だ、だがよ…俺には関係ない」
「だから、死ねよ」
心機一転は実感した。
このままでは自分は確実に殺される。
ふと右側にカードがあるのが見えた。
それを思いきり空気中にぶちまけた。
それで古川の動きに隙ができた。
心機一転にとってその隙は十分だった。
胸に飛び込んで触れる、触れているのは両手である。
この瞬間、心機一転の勝利が決まった。
【2】
古川正人は心に『重み』を背負っていた。
三瀬笑子と言う女性を守れなかった『重み』を。
守ると誓った、彼にとっては誰よりも『重い』が強かっただろう。
だが、その『重み』は無くなった。
なくしては行けなかった『重み』―――。
だが、心機一転はそのことは知らない。
だからこそ――――――彼の『重み』を亡くした。
そして、彼は変わった。
【3】
「俺は間違っていた」
三瀬笑子――――死んでしまった彼女。
その重みを背負う?それは違う。
彼女は死んだんだ。
もうそれは戻せない。
だから忘れろ。
それは幻想だから。
じゃあ俺がすべきことは何だ?
簡単だよ、何故思いつかなかった。
「すまなかった…その代わりと言っては何だが、俺が護衛についてやろう」
攻撃してしまった彼に対して、償いをすることだ。
何をするという考えもないんだ。
だから、この人を守ってやろう。
そう思ったのだ。
「そ、そうか…じゃあ頼むぞ」
「了解――――――さて、いきなりだが逃げてもらおうか」
「え…ど、どういうことだ」
「そこにいるんだろう、出てこいよ」
俺は気に向かって刀を突き出した。
そこに誰かがいるのが分かっていたからだ。
しかも、結構な強敵だ。
出てきたのは、銀髪で幼い女の子。
手に持たれているのは、すらりとした刀。
「―――――はろー、はろー」
俺の背筋に冷たい感覚が走った。
刀を急いで構える。
本気でやらなければ、殺られる。
それくらいなんだと分かった。
「逃げろ、オッサン」
「オッサンではない!心機一転だ!……分かった、ここはおまえに頼む」
心機一転―――オッサンは走って逃げて行った。
これで邪魔なのはいなくなった。
あのままこの場にいられたら逆に邪魔だ。
「あははっ、はろーっ!」
向こうがこっちに向かってくる。
こちらも防御の体勢で構える。
来る攻撃を次々と刀で受け流す。
剣の使い方的に言えば運動神経だけで戦っているチャンバラ剣法みたいなものだろう。
だからこそ、動きが予想しにくく戦いにくい。
こちらも斬りつけるが、いとも容易く避けられてしまう。
「はろーっ!はろーっ!」
攻撃の速さがさらに増す。
先ほどまである程度対応できてきたが、とうとう左手に斬り傷を負ってしまう。
痛みが無いわけではないが、出来る限り表情には出さない。
そして、動きにも変わりを無いようにする。
そうしないと、殺されるほどだったからだ。
「クソ―――こりゃあ分が悪いな」
思わず口に出してしまう。
「諦めてはいけない」みたいなことを師匠に言われた気がする。
だが、これは不利すぎる状況なのだ。
これでは愚痴の一つや二つは仕方ない。
だがしかし、今考えるのはこの場を切り抜ける方法だ。
「はろーっ!あはははっ!はろーっ!」
向こうがこっちに凄まじい早さで近寄ってくる。
何か対応しようかと思ったがもう手が浮かばない。
自分の実力ではこんなものだ。
生き残るなんていうのは無謀だった。
だが、神は俺に味方をしてくれたらしい。
向かってくる彼女の目の前に現れた、巨大な木。
森だから木があってもおかしくはない。
だが、横から出てくる木なんてのは見たことが無い。
少しの間、俺は驚いていた。
だが、これは逃げるチャンスなのだ。
敵前逃亡、と言えば聞こえ方が悪い。
だから、戦略的逃亡と言っておこう。
【朝/A-4森】
【古川正人@他の方のオリキャラ】
[状態]左腕に切傷、反転
[所持品]、基本支給品、紅鬼@
オリジナル
[思考・状況]
基本:ある程度、死なないように生きる
1:とりあえず、心機一転を追いかける
[備考]
※
DOLバトルロワイアル2ndで青鬼との戦闘直前からの参戦です
※心機一転によりスタンスが変わりました
『三瀬笑子を守れなかった事を重みにして死に場所を探す』→『三瀬笑子を忘れて、意地でも生きる』
【心機一転@他の方のオリキャラ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品
[思考・状況]
基本:死にたくない
1:とりあえず、心機一転を追いかける
[備考]
※四字熟語バトルロワイアル死亡後からの参戦です
※散らばっているマジックザギャザリングのデッキ@現実は放置中です。
【4】
知っている人がいるかもしれないけれど、私には兄がいたの。
私は彼がとても大好きだったの。
あの人といれて幸せだった、ずっと幸せでいれたはずだった。
でも――――その幸せは沖崎翔の手によって壊された。
完膚なきまでに、微塵も残さず。
あいつだけは、私が殺す。
兄さんの敵を――――絶対にとる。
そして、優勝して、兄さんと幸せになる。
だけど、幸先が悪かった。
いきなり現れた木により、私は殺すことを失敗した。
この木がいったい何なのか、私には分からない。
でも、それよりも私にショックを与えたもの。
初めて、殺せなかった。
それでも、これだけの人数がいるのだから仕方ない。
あと少しなの、あと少しで――――沖崎翔を殺せる。
だから、数回失敗したところで問題はない。
「……はろー」
心を、消す。
躊躇いを、消す。
そんなものがあっては、あいつは殺せない。
だから私は、鬼になる。
―――――辻斬りハロー
私につけられた名前。
ナンセンスではあるけれども、異常性はある。
私は止まるつもりはありません。
待っててください、兄さん。
【朝/A-4森】
【柄部霊歌@他の方のオリキャラ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品、直刀@現実
[思考・状況]
基本:沖崎翔を殺して優勝する
1:ここら辺をうろつく
[備考]
※
サイキッカーバトルロワイアル参加前からの参戦です
【5】
「チッ―――逃したか」
肌の黒い、いや―――黒くなっている男がいた。
名前は祀木ジロウ、全国模試1位の秀才。
「三次減算」の能力の持ち主である。
だが、今の彼は彼ではなかった。
「影化」――――本来の性格と反対になる悪魔の状態。
品行方正な彼が影化をすればどうなるかなど一目瞭然である。
「まぁいい―――この能力が使えるのが分かればいい」
ニヤリとして、木に手を触れた。
その瞬間、木は手の平サイズにまで小さくなった。
それをポケットにしまって、歩き始めた。
【朝/A-4森】
【祀木ジロウ@enigma【エニグマ】】
[状態]「影化」
[所持品]基本支給品、不明支給品、小さくなった木@現地調達
[思考・状況]
基本:自分が得をするように動く
1:灰葉たちは早めに始末しておきたい
[備考]
※焼却炉に閉じ込められている途中からの参戦です
※影化を抑えることは出来ますが、かなりの精神力を使います
※三次減算は1時間に一連の動作を3回までしかできません
最終更新:2012年01月22日 16:05