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だからわたしにあいをちょうだい

チトセ・ダンは王宮に勤めるメイドである。

豊かな自然や強力な軍事力を誇る国、ルキフェシル王国。その王宮にて、主に掃除・洗濯を任されているメイドの一人。それがチトセだった。
チトセはルキフェシル王国出身ではなく、ルキフェシルと友好関係にある小さな島国・サイ国の生まれだ。
チトセはなぜ海を渡ってまでメイドをしているのか? 答えは一言。

シャオリン・ユウと共にありたいからだ。

シャオリン・ユウ。サイ国出身の女性で、現在はルキフェシル王国王国軍一番隊副隊長。チトセは彼女を愛していた。
叶うことならシャオリンと同じように自分も軍に入りたかった。しかし、チトセにはシャオリンのように戦う技術が無い。だから彼女はメイドとして働くことを決めたのだ。
シャオリンと対等の立場でなくても良い。シャオリンに傅いても良いから、シャオリンの傍にいたかったのだ――――。

「シャオリン……」
そして、現在の状況。愛して愛して愛してやまないシャオリンが今まさに死にかけているかもしれないのだ。もしシャオリンが死んだら、死んだら!!
「殺させない。シャオリンはこれからもずっとずっとかっこいいんだから……!」
自分よりシャオリンのほうが強い。そんなのは知っている。シャオリンの前にチトセ自身が死ぬかもしれない。そんなのは知っている。三日間生き延びても、その間にシャオリンに会えるかどうかはわからない。そんなのは知っている。シャオリンは守られることを望まないかもしれない。そんなのは、

そんなのは知ったことか。

「シャオリン、今から私は無駄なことをするよ。怒ったら殴っていいよ。私が死ぬまで殴っていいの。でもね、そうじゃなかったら……私を、抱きしめてね」
にこりと微笑んだ彼女の顔は、とても美しく。美しく崩れていた。


チトセは決意してから、まずデイパックの中をくまなく調べた。入っていたのは、一般的な支給品と、大きな槌。槌が武器のようだった。
「……重いわね。こんなの振り下ろすの、大変そう」
流石に常に手に持ってはいられない。小さく舌打ちをしてチトセは槌をデイパックの中にしまう。

そのときだった。

「チトセ……っ!」
後方から、聞きなれた声がした。
ツクモ・サーシャ。王女の所謂「お気に入り」である、メイド仲間。ツインテールの金髪がさらりと揺れる。瞳は不安げに揺れていた。恐らく知り合いを見つけて安心しているのだろう、チトセが振り向けば、瞳に映った不安さはいくらか和らいだ。そしてじわりと涙が滲む。
「ああ、チトセ! 無事だったのね、怪我は無い?」
ツクモがこちらに向かって微笑んだ。チトセが何を思っているかなんて知らないで、純粋に安心していた。
チトセが何も返さないのを疑問に思っていないようで、ツクモは言葉を紡ぐ。紡ぐ。紡ぐ。彼女の言葉は「答え」を要するものも多かったが、今は全てしゃべってしまいたいらしい。
(……さて、どうしよう)
悩んではみるものの、答えは決まっている。
ツクモ・サーシャを殺す。全てはシャオリンのために。
友人であるとか、かなり不安がっているとか、そんなことはどうでもいい。
全てはシャオリンのために。
全てはシャオリンのために。
全てはシャオリンがこれからも強くあるために。

(はやく殺そう。無駄な時間を使っている暇は無いわ)
それほど覚悟などせずに、チトセはデイパックから槌を取り出す。ずっしりとした重みが腕に響いた。
勢いをつけて振り上げる。ツクモは槌に気づいている。
更に勢いをつけようと仰け反る。ツクモは驚いて動けない。勢いのまま槌を振り下ろす。ツクモは驚いて動けない。しかし槌がツクモに当たる前に、ツクモは逃げた。

追いかけようかとも思う。しかしやめた。
チトセにはそれほどの体力も無い。たかが「一匹」の獲物に時間をかけられる余裕は無いのだ。
(あんな子供、誰でもいつでも殺せるわ)
チトセはぼうっとつくもの後姿を目で追う。数秒で、彼女の姿は林の中に溶けた。

「……あら?」
足元に置き去りにされたデイパック。ツクモのものだろう。それの中身を確認してから、デイパックの中に槌をしまう。

「ごめんねシャオリン。でもこっちのほうが賢いと思ったの。だってシャオリンは、ツクモに負けるほど、弱くないもの」
チトセは空に向かって手を伸ばし、まるで宙を抱くようなポーズをとる。
「ああでもね、怒ったら私を殴ってもいいのよ。あなたになら殺されてもいいの」

「でも、もしよかったら……私に、愛を、愛を、ちょうだいね」





【8-D/道/一日目-昼】
 【チトセ・ダン@UNKNOWN】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [持物]:基本支給品+ツクモのデイパック(中身はわかりません)
 [方針/目的]
  基本方針:奉仕(シャオリン)
  1:シャオリンシャオリンシャオリンシャオリン
  2:シャオリンのためならなんでもする(傅いても良い)
 [備考]
 ※ 「ヤンデレ」です。





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最終更新:2012年12月20日 21:46
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