5 惡の獣
加藤清正は息を整えた。
そして相手の顔を見る。
疲れの様子は依然と見えない。
外見は見た事がない――――獣のような風貌である。
強靭な肉体に体力の持ち主だという事はこの戦いを持って理解した。
だが、この敵は普通という範疇に囚われない、『異常』だ。
戦闘を続けても、傷どころか疲れすらないように見える。
いくら獣であろうとも、そんなことはあり得ない。
「……何故じゃ、おかしい」
「………」
向こうはただ無言に、それぞれの手に手に持ったダガーを回している。
こちらの武器は直刀だ。
儂のある程度慣れ親しんだ獲物であり、そこそこの切れ味を持っている。
だが、戦闘での現状はこちらが圧倒的に不利だ。
武器の性能の差はこちらが有利、だが―――こちらが戦況では不利。
それはつまり、戦闘能力の圧倒的な違いによるものだ。
「―――――!」
その獣こちらに向かって突進してくる。
直刀で相手を後ろへと引かせようとする。
だが、それをひらりと避ける。
そしてそのまま懐に入られてしまう。
刀の悪点として、懐に入られると弱いところがある。
そのまま腹にダガーを突き刺されてしまう。
「ぐっ…うおおおおお!!」
無理やりに刀を振って相手との距離をとる。
出血は大した量ではないが、痛いものは痛い。
相手は無傷、そして疲れなし。
これは不利というものではない。
絶体絶命、とでも言うのだろう。
こちらが少しづつ消耗して終わる。
味方がいれば結果は変わっただろう。
だが、そんなこと言っても関係はない。
今ここにいるのは相手と自分のみ。
万一の可能性を考えたところで無駄もいいところだ。
相手がこっちに向かって走ってくる。
それとともに頭に流れる映像。
俗に言う、走馬灯と言うものだろう。
相手の動きが徐々にスローモーションになっていく。
やはり、死ぬ寸前だとこうなるんだな。
死ぬのは、気分が良いものではない。
そう思った時だった、視界を強烈な光が奪った。
強烈な音もし、耳から聴力が奪われる。
何も見えない恐怖、何も聞こえない恐怖。
何も感じずに死ぬ恐怖が少し自分を蝕む。
自分が何をされたのか、分からない。
頭を刺されたか?
首を刎ねられたか?
首を斬られたか?
心臓を貫かれたか?
肺を刺されたか?
足を切り取られたか?
分からない、何も分からない。
その中で、背中に何かが触れる。
触れただけだと思った腕は服を掴んだ。
そして、引っ張られる。
まるでそちらに天国があると示すかのように。
俺はその引っ張られた方向へ走った。
何にぶつかるか分からない。
だが、死にたくはないから走った。
相手も目が見えない間に走って逃げれば、死なずにすむ。
少しづつだが、視界が戻ってきた。
前を見る、アイツはいない。
左を見る、アイツはいない。
右を見る、アイツはいない。
後ろを見る、やはりいない。
自分は生き残ったんだ。
そう思うと、腹に強烈な痛みを感じる。
腹を見ると出血がひどかった。
「だいじょうぶかい?おじさん」
視界を声が聞こえた方向に向ける。
そこにいたのは、眠そうな目をした少年。
年齢的には10代中盤のようだ。
「ちょっとだけだけど、おてつだいをさせてもらったよ…けがだいじょうぶ?」
「一応、はな…一度死んだ事はあるが、やはり死ぬというのは気分が良いものではないのでのう」
「きぐうだね、ぼくもしんだんだよ」
「――――まさか、お主もか」
死んだのに生き返っている人間がここにもいる。
どういう力が働いているかなど分からない。
一体どういう事なのか分からない。
あのアジムとか言うやつも言っていた。
人を生き返すこともできる。
つまり相手は、それほどの力を持っているのだと。
儂の予感が、そう言っていた。
「じゃあ、おじさん、しょちするけどいーかい?」
「あ、ああ…よろしく頼む」
加藤清正の予感が正しいか分からない。
何故かなんて、分かるはずもない。
これは作られている物語なのだから。
【朝/J-9】
【加藤清正@他の肩のオリキャラ】
[状態]腹に刺し傷、体中に傷、出血(中)
[所持品]基本支給品、直刀@現実
[思考・状況]
基本:
殺し合いへの対抗
1:彼(津村匠)に治療してもらう
2:古川と合流する
[備考]
※DOL4th死亡後からの参戦です
【津村匠@変哲オリ・リピーター】
[状態]健康
[所持品]基本支給品、閃光手榴弾@BIO HAZARDシリーズ
[思考・状況]
基本:どうしようかな…
1:おじさんをちりょうする
2:りんをさがしたい
[備考]
※変哲オリで死亡後からの参戦です
※死亡時の記憶があるようです
◆ ◆
小神さくらの目と耳が治ったころにはもう誰もいなくなっていた。
追おうにも、匂いも分からない。
ツインダガーを手に持ち直し歩き出そうとする。
すると、後ろの気配に気づき構える。
後ろにいたのは、シャープペンシルだったと思われる物を持っていた青年だった。
「テメェは、強いのか?」
「……」
青年の名前はジャック・ザ・リッパーと言う。
猟奇殺人犯として有名だ。
今の彼は、ただの猟奇殺人犯ではない。
精霊として蘇り、様々な力を得ている。
その結果の一つが、手に持っているシャープペンシルのようなものだ。
もともとはシャープペンシルだったものだ。
『無限の刃』により刀となったものである。
ヒャハハ、と下品に笑う。
「テメェからは良い匂いがすんなァ…血だ、血に飢えた獣の匂いだ。
俺ととても似ている、ひゃはハハハァァァァァ!!!面白ェ!!最ッ高ダァアアアア!!」
笑いながら小神さくらに突進する。
そして、ロワ内屈指の強さを持つ二人が激突する。
【朝/J-10】
【ジャック・ザ・リッパー@他の方のオリキャラ】
[状態]健康、興奮
[所持品]基本支給品、シャープペンシル@現実
[思考・状況]
基本:強い奴と戦い、その肉を食べる
1:こいつ(小神さくら)と戦う
[備考]
※夢落ちロワ開始直後からの参戦です
【小神さくら@他の方のオリキャラ】
[状態]若干ながら目・耳に違和感
[所持品]基本支給品、ツインダガー@ファンタシスターポータブル2
[思考・状況]
基本:……
1:……
[備考]
※俺オリロワ2nd終了後からの参戦です
最終更新:2012年04月27日 22:47