このバトルロワイアルには数多の世界から集められた超人達がいる。
魔法少女、ウィッチ、サーヴァント、吸血鬼、イノベイター、キメラアント、超能力者、錬金術師……誰もが誰も常人を遥かに超える力を持つ。
そんな猛者達の中でも、おそらく上位に食い込む実力の存在が、今現在夜の空を飛翔していた。
圧倒的な組織力と軍事力をもって、数多の次元世界を統括する時空管理局。
その時空管理局が誇る最強の魔導師が一人、エース・オブ・エースの異名を冠する少女。
およそ魔導師として最高とも言える才覚と、努力を努力と思わぬ直向さを、少女は持ち合わせていた。
二桁にも届かぬ幼少時から様々な戦線に立ち、あらゆる事件を解決に導き、経験を積み重ねていった。
才覚と努力と経験……その三つの要素を取り込み、己の糧としてきた少女。
それが高町なのは。エース・オブ・エースと数多の新人魔導師に崇拝され、その異名に足る活躍を見せる魔導師である。
高町なのはは、月下の中を飛びながら眼下の地に目を走らせる。
戦闘の気配はないか、他の参加者はいないか。魔力で強化させた五感を用い、周囲の哨戒を行っていた。
既に十数分の時間が経過しているが、その胸中の焦燥とは裏腹に、手応えはない。
戦闘の気配は感じられず、人の姿も見られない。
思わず唇を噛む。現状は明らかに異常であり、今すぐにでも何とかしなければいけない。
高町なのはとは責任感の強い人物である。
なのはは全てを背負い込んでいた。この場にある四十四の命、その全てを。
だが、解決策の取っ掛かりすら掴めず、他の参加者の発見も叶わない現状だ。
焦りがつのり、逸る気持ちだけが身体を動かす。
落ち着かねばと理性では理解していても、そう上手く心境を変えられるものではない。
くっ、と二進も三進も行かない状況に思わず声をもらしてしまう。
(―――ッ)
その瞬間になのはは見た。
空の端にて光った黒色の光。禍々しい光は遠く離れたなのはにも視認する事ができた。
見覚えのある光であった。
親友であり上司でもある魔導師が使用する、驚異的な威力を有した最高級の広域型魔法―――ディアボリック・エミッション。
親友がこの場にいるのは既に確認している。だが、その親友はあれほどの術を使用せねばいけぬ状況に追い込まれているのか。
そもそもが理解不能な状況だ。Sランクの魔導師と同等に戦える者がいても不思議ではない。
焦燥が更に高まる。
光が見えた方角へと転進するなのは。
そこで、なのははとある女性と遭遇することとなる。
おそらくは、これ以上ない程の因縁の相手。
先手を打ったのは『なのは』であり―――だが『なのは』ではなかった。
『マスター!』
転進して直進を始めようとしたその刹那に、なのはがいる空より更に上空から攻撃が降り注いだ。
鮮やかな桜色の光が、奔流をもってなのはへと突き進んできた。
直前の相棒から忠告とエース・オブ・エースたる彼女の察知能力により、窮地からの脱出はそう困難なものではなかった。
両足に生えた、魔力で形成された羽が羽ばたくと同時に、なのはの身体が急激な加速を見せる。
射線から易々と抜け出したなのはは、攻撃が飛来した方向へと視界を動かした。
「なっ!?」
そして、なのはは言葉を失った。
そこにいたのは、『なのは』であったからだ。
服装も、容貌も、装備すらも、全てが全て鏡で映しだしたかのように同じ。
なのはを見下ろすように見詰める『なのは』は、自身の相棒と同じ形をとった杖をなのはへと向ける『なのは』は、本当に全てが同じであった
「あはははは! やるねぇ、偽物さん!!」
その声も、同じだ。
だが、声色だけはまるで違う。到底なのはが出すものとは思えない、狂気の入り混じった愉悦の声色であった。
「あ、あなたは……?」
「偽物なんかに名乗る名前はない。偽物は、偽物らしく本物の陰で消えてろぉ!」
混乱するなのはとは対照的に、もう一人の『なのは』は整然としていた。
強烈な殺意をまるで隠そうともせず、ただなのはに向けて狂った微笑みを向ける。
『なのは』は明らかに今の状況を楽しんでいた。
同じ容姿とは思えぬ程に、性格が乖離した存在だ。
「ディバイン……バスター!!」
「くっ! レイジング・ハート!」
それでいて使役する魔法はなのはと同様……いや、こちらも明確になのはのソレとは乖離している。
非殺傷設定の解除。なのはが決して選ぶことはないだろう選択を、それはさも当然のように取っていた。
そして、もう一つ。何よりもなのはの魔法攻撃とは違う事項が存在している。
それは、
「―――え」
―――単純な攻撃力。
応戦したなのはが放った魔法は、眼前の『なのは』と同様の砲撃魔法であるディバイン・バスター。
目の前の敵がどれだけの力を有しているか分からないのだ。
なのはは手加減なしの全力全開で術を行使した。
なのに、激突した砲撃魔法は一瞬の拮抗を生み出すことすらなかった。
風船が弾けるようになのはのデイバイン・バスターが弾け飛び、『なのは』のディバイン・バスターが直進する。
殺傷設定と非殺傷設定の差はある。
だが、だからといってここまで一方的な結果などありえない。
同等の威力がある砲撃同士であれば、やぶれるにしろ僅かな均衡は生まれる筈である。
答えは明確だ。
なのはと『なのは』の攻撃力は、それほどまでに愕然たる差が存在するのだ。
拮抗も、均衡すらも生み出さない程の圧倒的な差。
生ける伝説とすらされるエース・オブ・エースを全く寄せ付けぬ、人類未踏の位置にそれは君臨しているのだ。
もう一人の『高町なのは』―――またの名をW.D.M.G(ホワイト・デビル・マジシャン・ガール)。
最強にして最恐、最強にして最凶のモンスターカードが具現化したものである。
「くうっ!」
自身の一撃をものともせずに進む奔流を、なのはは寸でのところで回避する。
完全に予期せぬ事態にありながら、それでも直撃を避けたのは、流石のエース・オブ・エースと言えるだろう。
だが、砲撃の余波を喰らったなのはは完全にバランスを失ってしまった。
錐揉み状に回転し、上下左右の方向すら分からなくなる。
「―――消えちゃえ」
W.D.M.Gが攻撃の手を緩める様子はなかった。
クルクルと回転しながら墜落していくなのはへと、レイジングハートの矛先を向け、魔力を溜める。
一瞬で臨界へと至った魔力は、何の躊躇いも感慨もなく放たれた。
そこに殺意以外の何も存在しない。
己と同じ姿をしているというだけで、W.D.M.Gの憤怒を滾らせるには十分で、殺害するに値した。
桜色の極光がエース・オブ・エースへと急迫する。
なのはも、その相棒たるレイジングハートも、だがしかし諦めない。
ぐちゃぐちゃに掻き乱れる視界の中で、それでも砲撃の存在を感知し、己を包むように球状の防御壁を形成する。
レイジングハートに装填されている全てのカートリッジを使用して、ただでさえ強固な防御魔法を更に強化させる。
並大抵の砲撃ではヒビをいれる事すらできないであろう防御魔法であったが、なのはもレイジングハートも思考の端で理解していた。
おそらくは、このバリア魔法をもってしても防御は叶わない。
エース・オブ・エースとしての経験が、冷徹な結論を導きだしていた。
だが、諦める訳にはいかない。
自分は管理局の魔導師だ。人々を助け、悪を捕縛する、魔導師。
この場には救いを求める人々が何人も何十人もいる。
ここで倒れる訳には、死ぬ訳にはいかない。
ありったけの魔力を手中のレイジングハートへと注ぎ込み、少しでも防御力を上昇させる。
そして、シールド魔法に衝撃が走った―――。
結果は、なのはの予想通りであった。
カートリッジと全力全開の魔力をもって形成されたシールド魔法は、またもや一瞬の均衡すらも生むことはなかった。
衝撃とともに発生した爆煙が、空を埋め尽くす。
煙が晴れた後に残るものは何もなかった。
死体すらも残らない、
なのはの姿は影も形もなく、消えていた。
「へぇ……面白いね」
己が破壊の残滓を見詰めながら、W.D.M.Gは楽しげに口角を持ち上げる。
その獣を思わせる微笑みは、なのはを屠った満足感からくるものなのか。
W.D.M.Gが心中を理解できるのはおそらく彼女自身しかいないのだろう。
笑顔を張り付かせたまま、視線を動かし、月夜に照らされる夜天を見回すW.D.M.G。
数秒ほど周囲を見たW.D.M.Gは、唐突に動いた。
眼下の森林へと垂直に落下し、両足で地面を捉える。
息を呑む音が聞こえた。
W.D.M.Gの眼前には一人の少女がいたのだ。
外見からするに小学生程の年齢だろうか、だがその瞳には力強い光が灯っていた。
発見されたことによる幾分かの驚愕と、その驚愕を遥かに上回る戦意があった。
先程の破壊をみて尚も折れる事のない闘志が、その瞳からはありありと見て取れた。
「ここは一体何がどうなってるのかなぁ? 面白いけど、ムカついちゃうねぇ」
恐怖の欠片も感じさせない表情に、W.D.M.Gは苛立ちを隠そうともしない。
粘着くような薄気味悪い笑みを浮かべながら、目は今まで以上の殺意にぎらつく。
「あなたは……誰なの?」
「それは私の台詞だよ。あんた『達』はいったい何なのかな」
W.D.M.Gは目の前の少女に見覚えがあった。
少女はやはりW.D.M.Gとまるで同じ容貌であった。
もっと言うならばW.D.M.Gが取るもう一つの姿と―――幼少時の『高町なのは』の姿と―――まったくの同じである。
三人目の『高町なのは』―――高町なのはが英霊(サーヴァント)として現界したものが、今のこの姿であった。
英霊としての位はアーチャー。第六次聖杯戦争にて、圧倒的な魔力と高等なステータスをもって勝ち進んできたサーヴァントである。
「私は……なのはだよ。高町なのは」
「あんたが持ってる奴もそうみたいだねぇ」
場に現れた三人目の『高町なのは』はその小さな背中に一人の人物を背負っていた。
W.D.M.Gに撃墜され、その死体さえも消滅したかと思われていたなのは。
アーチャーは砲撃が直撃する直前で、なのはを救出していた。
W.D.M.Gのディバイン・バスターへと、自身も全力で砲撃を放ち、威力の減衰を図ったのだ。
アーチャーの力を持ってしても相殺するには至らなかったが、それでもなのはの命を救う事はできた。
なのはが決死の思いで張った防御魔法も功をそうした。
アーチャーの砲撃となのはの全力全開の防御魔法。
その二つの要素が重なることにより、結果としてなのはは生存することができたのだ。
そして、アーチャーは爆煙を目くらましに、気絶し墜落してくるなのはを掴み、森林へと身を隠した。
「横槍を入れてきたのはあんただったんだぁ。まぁ、結構頑張ったみたいだけど……無駄だったねぇ!」
だが、その救出劇に決して代償がなかった訳ではない。
なのはは命は助かったものの意識を失い、アーチャーは魔力の殆どを消費してしまった。
アーチャーもまた全力全開で砲撃を撃ち放ったのだ。
何の考えもなかった。気付けば、なのはを助けねばと身体が動いていた。
後のことも何も考えずに、ただ全力で。アーチャーはなのはの救出に全てを賭けた。
エース・オブ・エースとサーヴァント……言ってしまえば両者の全力全開をもってですら、被害はこれほどに凄惨たる結果であった。
アーチャーは目に見えて疲労困憊といった様子で、顔には薄い汗をかき、肩で息をしている状態だ。
二人の『高町なのは』の力を合わせてさえ、結末は現状の打開にすら至らぬ切迫の窮地であったのだ。
W.D.M.Gはレージングハートを構え、その矛先に魔力の光を渦巻かせる。
アーチャーは切り札たる宝具の使用を思慮するが、魔力の疲弊が大きい今、それでも眼前の魔導師に勝てる見込みは少なく感じていた。
じゃあ、死んじゃえ、とW.D.M.Gが三度死神の鎌を振ろうとする。
このまま死ぬならば、とアーチャーが宝具を使用するべく魔力を高める。
その時であった。
―――なのはからすれば二度目の、アーチャーからすれば一度目の、救済の手が伸びたのは。
バス、という鈍い音が響いたと同時に、W.D.M.Gの身体が小さく傾いだ。
アーチャーに視認できたのは、闇の中を走った緑色の光線がW.D.M.Gの身体に直撃した瞬間だけであった。
アーチャーから見て右手側の森林あら飛んできた光線は、見事にW.D.M.Gの頭部を穿っていた。
しかしながら、その身に纏ったバリアジャケットは、W.D.M.Gの魔力の高さを示すように堅牢なものであった。
謎の光線のヘッドショットを喰らっていながらも、その体勢を崩すだけに留まっている。
それでも、その隙を見逃すアーチャーではなかった。
なのはを背負ったまま、残る全ての力を振り絞って飛行魔法を発言し、森林を駆け抜ける。
障害物が多く高速の飛行には適さない空間ではあるものの、ただ夜天に無防備な背中をさらすよりは遥かにマシだ。
アーチャーは森林を地面スレスレで疾走しながら、その飛行技術をもって障害物を華麗に避けながらW.D.M.Gとの距離を離す。
「ッ、逃がすか!」
鬱蒼とした森林の中へ身を隠したアーチャー達に、W.D.M.Gは殆ど当てずっぽうで砲撃を飛ばした。
森林が砲撃に震撼し、何十もの木々が桜色の極光にのまれ破片も残さず消え失せる。
直撃を避けた木々であっても、余波の暴風だけでまるで小枝のようにへし折れ、吹き飛ぶ。
光が消えた後に残るのは、数百メートルの先まで抉られた地面と、抉られた地面を中心に広がる惨状であった。
「逃げられちゃった……みたいだね」
W.D.M.Gの表情に宿るは、ただただ純粋な憤りであった。
傍から見ても分かる強烈な憤怒。まるで親の仇でも見たかのような表情だ。
「いいよ、殺してあげる。邪魔者も、『高町なのは』も、全部全部私がメチャクチャにしてあげるよぉ!!」
そう宣言したW.D.M.Gが最初に見たのは緑色の光線が飛んできた方角であった。
おそらくは狙撃。W.D.M.Gのバリアジャケットを貫くには至らなかったものの、その身を怯ませた。
それなりに強力な攻撃なのだろうが、W.D.M.Gにとっては火に油を注ぐだけであった。
W.D.M.Gは狙撃があった方角に、身を隠そうともせずに進み始めた。
最強の白い悪魔が、更なる破壊をもとめて彷徨いだす。
【一日目/深夜/E-3・森林】
【高町なのは(WDMG)@遊戯王なのはMAD】
[状態]健康
[装備]レイジングハート・エクセリオン@遊戯王なのはMAD
[道具]基本支給品一式 、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:参加者の皆殺し。主催者も殺す
1:狙撃手を殺す
2:二人の『高町なのは』も殺す
[備考]
※遊戯王 AIBOvs王様・社長・凡骨・顔芸 【後編Bパート】決着直前、最も強化されている時点からの参戦です
◇
「突撃砂ですが無害です」
そして、森林の中を全力で走る存在があった。
人間のそれとは大きくかけ離れた、まるで機械のような身体をした不可思議な風貌。
この存在こそがまさにW.D.M.Gへ一矢報い、二人の『高町なのは』を救う切っ掛けを造りだした存在であった。
「ボーダーブレイクかと思った? 可愛いバトロワちゃんでした! 強制バグとはどういうことかね牛マン君!!!?!11!11?」
男は一人で訳の分からぬことを語りながら、ブーストダッシュと屈伸キャンセルを駆使して森林を疾走していた。
プレイヤー名・Tsurugi。視聴者からは突撃砂や凸砂と呼称されることの方が多いか。
ボーダーブレイクのプレイヤーにして狙撃兵装を主として使用する男である。
Tsurugiは夜叉弐脚の高速移動をもって狙撃地点からの離脱を行っていた
芋砂であれば同位置に留まって狙撃を続けていたのだろうが、それが悪手であることはTsurugiも理解していた。
とりあえず場を移動し、本人のいる場所を悟られない。それが重要であった。
「それにしてもヴェスパヘッドショットで死なないとか、汚いなさすがリア重きたない」
児童をペロペロしようとしていた不届き者を撃墜しようと、ヴェスパで狙撃を試みたまでは良い。
凸砂にしては珍しく狙撃は成功し、その頭部に直撃を成功させた。
だがしかし、ペロリストは大したダメージを受けた様子もなく、ちょっとのノックバックで行動を再開していた。
やはりリア重(バリア装備の重火器兵装)は汚いと再認識するTsurugiであった。
Tsurugiは森林を進みながら、周囲を警戒する。
先のリア重はこちらを追跡するのか、児童を追跡するかは分からない。
ともかく余り正面から戦うのは嫌な相手であった。
こちらの最大火力である狙撃銃・ヴェスパインのヘッドショットをもってして、大したダメージは与えられなかった相手だ。
流石に遭遇はゴメンこうむる。選ぶは逃げの一手だけである。
そして、森林を進むTsurugiは視界の先に誰かが寝転んでいるのを発見した。
土にまみれ、身体の所々からは大量に血を流しながら、地面に転がる女性。
Tsurugiにも見覚えのある女性だ。
スコープを通して見た、児童に背負われていた筈の女性である。
「Wow……」
Tsurugiは女性の様子を見て言葉を失った。
女性は傍から見ても酷い傷を負っていた。
左手はあらぬ方向にねじ曲がり、頭部からは大量の鮮血が今も尚流れ続けている。
頭部からの出血はその端整な顔を完全に血塗れにしていた。
ブラストが無惨に破壊される様子は飽きる程に見てきたTsurugiであるが、生身の人間がこんなにも傷ついている姿は見たことがない。
これがブラストであれば、十秒リペアの為にリペアショットⅤをブッパしているところだが、流石に生身の人間に行うことはできない。
支援兵装でも装備していれば、まだ何とかなったのかもしれないが、今のTsurugiの装備は普段通りの狙撃兵装。どうすることもできなかった。
「……とりあえず移動でオナシャス」
女性を背負い、移動を続けようとするTsurugi。
意識を失った状態で、それでも武器らしき派手な杖を離そうとしない辺り相当な意志の強さを感じる。
完全に載積量オーバーであり、目に見えて移動速度は低下したが、この女性を見捨てることはできなかった。
ボーダーブレイクとは違う、本当の生死が掛かった殺し合いだ。
さしものTsurugiもおふざけに走る事はできなかった。
一つの命を抱えながら、突撃砂にしては珍しく、突撃を我慢しながら逃亡していく。
【一日目/深夜/E-2・森林】
【Tsurugi@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト】
[状態]健康、弐 弐 β 弐
[装備]LZ-ヴェスパイン(9/10)@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト、マーゲイ・カスタム@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト
セントリーガンAC@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト、光学迷彩・試作型@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト
[道具]基本支給品一式
[思考]
基本:突撃砂ですが無害です
1:女性と一緒に狙撃地点から離れる。
2:女性を治療する
3:児童ペロリストまじマナー違反。でも戦ったら死ぬんで逃げます^^;
【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]左手骨折、頭部裂傷、全身ダメージ(大)、気絶中
[装備]レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:殺し合いを止める。誰も殺させない
0:気絶中
◇
カールスラント空軍大尉にて連合軍第501統合戦闘航空団所属のエースウィッチ、ゲルトルート・バルクホルンは暗い森の中を進んでいた。
名誉あるカールスラント軍人としてこのような殺し合いなど許せる訳がなかったし、何よりエイラやサーニャ、そして宮藤までもがこの殺し合いに参加させられている。
殺し合いを止めなければならない。その意志に任せて、バルクホルンは道なき道を進んでいく。
「ム?」
歩き始めて二十分ほどが経過した頃であろうか、バルクホルンは一度立ち止まり、空を見上げた。
小さなものであったが、何か音が聞こえた気がしたのだ。
木々の間から見える空は狭いものでったが、注意深く観察を続けていく。
そんなバルクホルンの視界にて、星や月のものとは違う光が映った。線のような長細い光が一度、二度。
更にはそれなりの規模の爆発が発生する瞬間をも、視界の端で捉えた。
爆発の様子を見たと同時にバルクハルンは走りだしていた。
何らかの戦闘が発生している空域。もしや自分や宮藤たち以外のウイッチもこの殺し合いに巻き込まれているのかもしれない。
そんな思考に従って、鍛え抜かれた痩躯でもって走り出すバルクホルン。
静寂に包まれる森林の中で異変が起こったのは、彼女が走り出してすぐのことであった。
「ッ、マズい―――!?」
今度は明確に見え、聞こえた。
暗い森林の奥の方で発生した、鮮やかでいて暴力的なまでに強烈なピンク色の光。
次いで届くは耳をつんざくような強大な爆音と、森林を根こそぎひっぺ返すような暴風であった。
バルクホルンをもってさえ、その暴風には耐えられなかった。
周囲の木々と同様に、破壊に巻き込まれ宙を舞い、背中から地面へと叩きつけられる。
痛みと息苦しさを盛大に訴える体に、バルクホルンも少しばかりの休息を取らずにはいられなかった。
大の字に寝ころび、痛みに耐えながら、それでも首だけを持ち上げ、何が起きたのか把握しようとする。
周囲の状況は凄惨そのもの。圧し折れた木々が、子供が癇癪を起こした後の遊び部屋のように雑多に散らばっている。
破片に当たらなかっただけ僥倖と見るべきなのだろうか……そんな風にバルクホルンが思ったその時、バルクホルンは空にある奇妙なものを発見した。
空に映る黒色の点。その黒色の点は目に見えて大きくなっていき、空を隠そうとしている。
……いや、違う。これは点が大きくなっているのではない―――何かが落ちてきているのだ。
事態を察知したバルクホルンは、痛みを圧し殺して立ち上がり、己の固有能力を発動させた。
単純にして協力無比な能力『肉体強化』。本来のウィッチが受ける恩恵を、遙かに越えた身体能力のパワーアップ。
その『肉体強化』の能力をもて、バルクホルンは落下してくるそれを正面から受け止めた。
受け止めると同時に、落ちてきたそれが何だったのか把握する。
「こ、これは……」
落ちてきたものとは、何とも可愛らしい少女であった。
身体の至る所に傷を作りながら、苦悶の表情で意識を失う少女。
それは高町なのはを救おうと逃亡を試みたサーヴァント・アーチャーであった。
W.D.M.Gの視界から逃げ果せるに成功したアーチャーであったが、先の一撃を躱し切るには至らなかった。
直撃こそはしなかったものの、余波により宙へと打ち上げられ、背負っていた高町なのはも手放してしまったのだ。
そして、なのはは突撃砂の元へ、アーチャーはバルクホルンの元へと偶然にも吹き飛ばされた。
幸運なことは、落下した付近に殺し合いに乗っていない参加者がいた事と、どちらも傷を負いながらも命は助かった事だろう。
「お、おい、大丈夫か! くっ、先程の破壊現象に巻き込まれたのか……!?」
何がどうなっているのか今一理解が追い付かないバルクホルンは、慌てながらも冷静な行動に努めた。
少女を抱き上げながらも、ひとまずその場から離れようとする。
先程の破壊現象は明らかに自然的なものではなかった。
おそらくは何者かが何かしらの能力を発動し、あれだけの事象を引き起こしたのだろう。
何もかもが分からないことだらけであったが、怪我人を庇いながら戦える相手でないことだけは察知できる。
今のバルクホルンに選択できる手は、カールスラント軍人としては不甲斐なく感じるものの、逃亡だけであった。
【一日目/深夜/E-4・森林】
【ゲルトルート・バルクホルン@ストライクウイッチーズ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:殺し合いを打開する
1:この少女の怪我を治療する
2:宮藤達と合流する
【アーチャー(高町なのは)@第六次聖杯戦争】
[状態]身体の各所に負傷、ダメージ(中)、気絶中
[装備]レイジングハート・エクセリオン@第六次聖杯戦争
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:殺し合いを止める。誰も殺させない
0:気絶中
【動画紹介】
ハイスピードロボットチームバトル「BORDER BREAK」のプレイ動画。
遠距離からの狙撃戦法を主とする兵装でありながら、「ヒャア我慢できねえ!突撃だ!」の一言と共に戦線の最前線に突っ込んでいく姿は衝撃的の一言。
魔槍ヴェスパによる竹槍、ベース前芋砂、トイレの(死)神様といったプレイを見せがらも、狙撃兵装で上位ランクたるSランクを維持し続けている。
奇抜かつネタに見えるプレイの数々だが、AIMやQS、交戦時の立ち回りなどの基礎技術に支えられたものであり、その腕前は本物である
最終更新:2012年05月15日 20:36