3杯目の紅茶を飲み終えたころ、もう一度あの光景を見る。
既に彼女の姿はなかった。あるのは肉塊と、二つのデイバッグのみ。
一つはおっさんの、もう一つはあの子のだろう。
なぜ置いていったのか?今となっては知る由もない。
考えるのはあとにしてまずはおっさんの死体を見ることにした。
「うーん……骨が万遍なく砕かれている! 素晴らしい!」
不覚にも興奮してしまった。
投身自殺の人や、首吊り自殺した人の画像は見たことはあるが、どれもこれも美しくない。
これは綺麗であって、美しくない。
やはりデスノートしかないのか……しかし、リュークも夜神月もいないしな……
死体を見るのはやめて、デイバッグを漁ることにする。
「おっさんの銃は……エアガンかよ……」
ガッカリだ。武器が増えると思ったのに……
ふと、デイバッグの近くに手帳が落ちてたのを思い出した。
拾い、それを見る。
警視庁犯罪操作課第零部部長 十村鈍吉
「見たこともない肩書きだな……おっさんはサラリーマンじゃなかったのか?」
おっさんはサラリーマンと言っていたが、これを見る限り全く違うだろう。
犯罪操作課第零部……関わらないほうがいいな。
手帳を投げ捨て、おっさんのデイバッグを漁る。
すると、液体が入った透明なビンが見つかった。
ラベルを読むと
媚薬
「一体いつ使えばいいんだ……」
一応、自分のデイバッグに入れる。こんなものでも使えるときはくる筈だろう。
おっさんのデイバッグにはこれ以上何も入ってなさそうなので、あの子が置いていったデイバッグを漁る。
また、液体が入った透明なビンが出てきた。
ラベルを読む。
精神崩壊回復薬
「ちょうどあの子にぴったりだな」
今度、あの子に会ったときに飲ませてあげよう。
次は、殺されるかもしれんが……
とにかく、もうめぼしいものは入ってないことが分かった。
収穫は媚薬と精神崩壊回復薬だ。
「さて、動くか。デスノートを探しに。ついでに生き残らなくちゃな」
すごく矛盾したことを言った気がするが気にしない。
生き残って、殺してもらおう。
その前に死ぬわけにはいかない。
ついでにデスノートがあったら、それで殺してもらおう。
「いくか……」
彼は死へと進む一歩を踏み出した……かは分からなかった。
【D-5/森/一日目・夜】
【宇骨 計】
[状態]健康、強い自殺願望
[装備]ロングボウ、矢×15
[道具]支給品一式、ティーセット、媚薬、精神崩壊回復薬
[思考・行動]
基本:死ぬために生き残る。
1:生き残って、殺してもらう
2:誰か、デスノート持ってないか……
※デスノートは全員の支給品の中に存在しません
□□□
彼女はハンマーを片手に森を彷徨っていた。
彼女の精神は彼氏が死んだことにより、壊れてしまった。
彼女は人を無差別に殺し続ける。
そして、彼女は死を選ぶ。
彼女を救えるのは誰か、宇骨の持つ精神崩壊回復薬のみ。
それまでは、人を無差別に殺し続けるだろう。
彼女は動く。標的を求め。
【E-6/森/一日目・夜】
【藁畝 薊】
[状態]精神崩壊
[装備]ハンマー
[道具]支給品一式
[思考・基本]
基本:全員殺し、私も死ぬ。
1:全員殺す。
□□□
宇骨が図書館を去った、数分後とある男性が訪れた。
得ノ本翔という男は幼馴染を探していた。
「アイツは大丈夫か……早く見つけねえと」
幼馴染の富良野雹華という女性を探していた。
雹華とは一緒に行動することが多かった。雹華のことが好きのなは言うまでもない。
ただ、雹華の行動は俺にもよめない。
隙あらば、お兄ちゃんと呼ぶ。やめてくれ、襲いたくなる。
メイド服を着て、ご主人様といったりする。やめてくれ、俺の理性が飛ぶ。
しかも、俺の専属メイドなんて言ったりする。ぬわーー!もう、我慢できん!
あの時はギリギリ理性が勝ったが、襲ってたかもしれない……
しかし、そのときは雹華はガッカリしたような表情をしていた。
「アイツが死んでたら俺は……」
気がどうにかなっちまう、と言いかけたがやめた。
ネガティブになっても仕方が無い。ポジティブにいかなくては。
雹華は生きている。そう信じることしかできない。
「う……なんだこれ?」
得ノ本が見たのは、血まみれの床とデイバッグ二つだった。
一刻も早く、雹華を探し出すため、俺は図書館を走って出た。
雹華……待ってろよ!
【B-6/森/一日目・夜】
【得ノ本 翔】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品×1
[思考・基本]
基本:殺し合いには乗らない。雹華を探す。
1:雹華を探して、合流する。
2:雹華が死んでたら……
【参加者特徴】
得ノ本 翔
高校2年生の、真面目な優等生。
恐らく、参加者の中では普通の人間だと思われる。
幼馴染の雹華の行動のせいで理性が飛びかけることが多々ある。
最終更新:2012年03月22日 21:33