美樹さやかは魔法少女だ。
片思いしている親友と平和のためにキュゥべえと契約して魔法少女になった彼女には、あの男のやったことが許せなかった。
せっかく魔法少女になっても、目の前で殺されそうになっている人を助けられないようじゃ意味がない。マミさんならなんとかして助けていたかもしれない。
そう思うと、余計に後悔してしまう。何故あの時、自分はあの男を止めようとしなかったのか、と。
「どうしたんだい? そんなバカみたいな面してさ」
偶然同じ場所へと転送された佐倉杏子。
美樹さやかと佐倉杏子はライバルのような関係だった。互いの命をかけて、
殺し合いをした仲だった。
杏子には杏子の事情があり、最終的には魔女となったさやかを救うために自爆したのだが――さやかはそのことを知らない。
いや、さやかは杏子の存在事態を知らない。
「あんた、誰?」
杏子はさやかのことを知っていた。
更に、自分がさやかのために自爆して死んだはずだ、ということも知っていた。
だから杏子はさやかを見た時、内心喜んだ。本当に自分とさやかが助かることが出来たんではないか――と。
殺し合いの場で再会というのも何か引っかかったが、さやかが生きていたことは素直に嬉しかった。
だから何やら複雑そうな表情をしているさやかを見て声をかけたのだが、さやかは杏子のことを知っていなかった。
魔女から戻った際に記憶がなくなった、ということも考えられたが、まず自分とさやかがこうして生きている事自体が、奇跡でも起きないとおかしいことだ。
あの時、杏子が使ったのは捨て身の攻撃だ。自分かさやか、どちらかが生きているだけでも奇跡とも言える自爆技。
それなのに、使った本人とさやかが生きている。さやかは魔女ではなくなっている。
確かにそれは嬉しいことかもしれないが、どうにも都合が良すぎる。
鹿目まどかがキュゥべえと契約して自分とさやかを助けるということも有り得るが、だとしたらどうしてこのタイミングで?
杏子は気がついた時には既にあの舞台に居た。つまり、目が覚めたと同時に殺し合いに巻き込まれていた。
更に言えば、自分が死んで以降、殺し合い以前の記憶がない。
もしかしたら、自分は都合良く殺し合いのために蘇生されたのではないか――杏子の頭に、そんな憶測が浮かび上がる。
本当に殺し合いのために蘇らされたのなら、さやかが杏子のことを覚えていなくても、魔女ではなくても、納得は出来た。
わざわざ杏子のことを覚えさせておく必要はないのだ。人間を二人も蘇生することが出来るのだ、記憶の抹消くらいは簡単だろう。
「……あんた、巴マミのことは知ってるかい?」
さやかの記憶が抹消されているのなら、マミや暁美ほむらのことは知らないはずだ、と杏子は考えた。
おそらくさやかの記憶を消した奴は魔法少女に関する記憶を消したいのだろう、と。
「マミさん? マミさんがどうかしたの?」
「あたしの名前は佐倉杏子。マミの古い知り合いの魔法少女さ」
さやかがマミのことを知っていると確認すると、杏子は自分がマミの知り合いだと言った。
実際、杏子はマミの知り合いだ。マミの後輩魔法少女として二人仲良くしていた時期もあった。
二人の仲は杏子の家族の無理心中によって引き裂かれたからマミがさやかにどう接していたのかはあまりわからないが、だいたいの予想はついた。
それにさん付けで呼んでいる。マミのことを余程信頼していたのだろう。だから杏子は、この状況ではマミの知り合いだと言った方が、良いと判断したのだ。
先程まで考えいたことは外れてしまったが、魔法少女のことを知っていると確認できただけ収穫だ。
それにマミはこの殺し合いに巻き込まれていない。名簿を見ればわかるが、魔法少女は杏子、さやか、暁美ほむらの三人しかおらず、マミはいないのだ。
尤もマミは既に死んでいて、そのことは杏子もわかっていたため、マミがいなかったのはそこまで疑問ではなかったのだが。
「暁美ほむらのことは知ってるかい?」
「うん、知ってるよ。 あいつ、すっごく性格が悪いからね。あたしがガツンと言ってやらないと!」
故人だけを覚えているのかとも考えたが、それも外れた。
マミ、ほむらは知っていて自分だけは知らないようだ。
杏子がマミが死んでから他君沢に訪れた。ほむらは杏子が来る前から居た。
このことから、自分がくる以前の記憶だけは覚えているのではないか、という結論に杏子は辿り着いた。
自分だけ覚えていないのは何か意図があるのかと考えたが、殺し合いを促進させたいだけならば自分と敵対している時の記憶以降を抹消すれば良かった。
だが、さやかは杏子そのものを知らない。それに杏子もさやかと敵対していた時期があったのだから、それ以降の記憶を抹消すれば良かった。
杏子は自分がさやかを救うために自爆するまでの記憶を、ハッキリと覚えていた。それ以降の記憶は全くだが、それは死んでいたからだと考えれば納得が行く。
では何故さやかの記憶だけが弄られているのか。あの男に、何かの思惑があるのだろうかと杏子は考えた。
「……マミさんならどうしていたと思う?」
さやかが杏子に問いかける。
杏子には、マミがさやかにどう接していたかはわからない。だが、自分の時と同じくさやかがマミを信頼出来る程良い関係を築いていたのだろう、ということはわかった。
「さあね。あたしはマミじゃないから、そんなことはわからない。
でも、アイツなら……マミなら、この殺し合いをどうにかしようと奮闘するんじゃねーかな」
マミは極度のお人好しだ。魔女に襲われている人がいたら、すぐに助けようとする。
杏子の知っている魔法少女の中では間違いなく一番のお人好しだろう。
だからマミならこの殺し合いに巻き込まれても、自分よりも殺し合いに巻き込まれてる人々を優先して助けると思ったのだ。
「だから、あんたもこんなところでしょぼくれんじゃねーよ。潰したいんだろ?この殺し合いをさ」
自分はもう死んだ身だ。魔法少女は全員死んでいると言えばそうなんだが、あたしは魔法少女としても死んでいる。
だったら、せめて理想を――昔の夢を叶えて、さやかを助けてやってから死んでやろうじゃねーか。
だからさやか、あんたがこの殺し合いを潰すってならあたしは全力で協力してやる。
あの時は自分の身を犠牲にしても守ってやれなかったんだ。
今度こそ守ってみせる。今度こそ絶対に。
あたしの言葉に、さやかは頷いて答えた。
「うん、そうだね。励ましてくれてありがとう」
「励ましてなんかじゃないさ。あたしはそうやってウジウジしてる奴が嫌いなだけだよ」
あたしが感謝の言葉を言うと、杏子はクルッと背中を向けて、「何してんだい、さっさと行くよ」って言って歩き出した。付いて来いってことなのかな?
マミさんとは違うけど、杏子は少しマミさんと似ていた。殺し合いなのに、落ち込んでいたあたしを攻撃もせずに慰めてくれるなんて、すっごく優しいことだと思う。
杏子と一緒なら、殺し合いを止めることが出来る――そんなことすら思えてきた。
だから、あたしは杏子を追いかけた。この殺し合いに巻き込まれた人たちを助けるために、こんなところで立ち止まっているわけにはいかないもんね。
マミさん、この殺し合いは絶対に止めます。天国であたしと杏子の活躍を見守っていてくださいね!
【一日目/夜/C-4】
【美樹さやか@
魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、固い決意
[装備]ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]支給品一式、不明支給品×0~3
[思考・状況]
基本:杏子と協力をしてこの殺し合いを絶対に止める
1:杏子に付いて行く
※詳細な参戦時期は未定ですが契約後、杏子に出会う前の時期からの参戦です
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康、固い決意
[装備]ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]支給品一式、不明支給品×0~3
[思考・状況]
基本:この殺し合いを潰して、今度こそさやかを助ける
1:さやかにできる限りの協力をする
※死後からの参戦です
最終更新:2012年03月17日 21:35