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嘘つきセッキーと信じたなっちゃん ―過去の代価は復讐―



 これは、過去の話。


 だが、あの日の事を忘れられない。
 雨の降りしきる日。
 血の海の中で、倒れている自分。
 腕を切られた。
 ナイフで切られた。
 けど、致命傷にはなっていない。
 出血も酷くない。
 気絶もしていない。
 だけど、俺は動けなかった。
 怖くて動けなかった。
 死にたくなかった。

 母が死んでいる。
 喉を切り開かれて死んでいる。

 父が、母を殺した男に腹を刺された。
 父は腹部を抉られ、出血が酷い。
 父は助からないとすぐ分かった。

 弟は、ただ殺した男を見ているだけだ。
 男は、弟に話しかけているが、内容は聞こえない。
 何が起きているか、そのときは分からなかった。
 そのときは。





 世間にとって復讐は虚しい物らしい。
 今から、俺は復讐をする。
 虚しい事をする。
 その為に、人生を捨てて道を踏み外した。
 復讐は虚しい。
 所詮は戯言だ。
 あの男を許すことは出来なかった。
 家族を殺したアイツを許すことは出来なかった。
 だから、俺はアイツと■■■を殺しに行く。
 殺す為に生きている。
 奴は殺されるために生かしたのだろう。
 ならば、復讐じゃないだろう。

 それから、数年後の話。
 今から、数日前の話。
 そのために、わけの分からない男と出会った。
 黒髪、赤い瞳。
 名前は、アンドレイ・チカチーロ。
 アンドレイ・チカチーロ。彼はそう名乗った。
 偽名であるのは一目瞭然。

 本物は、禿げのジジイ。
 本物は変態だ。
 本物より、紳士的。
 本物より、不気味さはあった。
 本物は、処刑された。
 本物のわけがない。

 目的も不明。
 正体も不明。
 不気味さだけが、そこにある。
 気持ち悪さが、どこかにある。

 何をするつもりだ?
 何を喋るつもりだ?
 と、考えても分からない。
 行動予測不可能。


「情報を渡すから、ゲームを盛り上げて欲しいんだよね」


 携帯ゲーム?
 レクリエーション?
 前者でも後者でもない。
 ゲームとは、殺し合いのこと。
 と、後から説明された。

 誰を殺しても許される。
 そして、あの男もいた。
 家族を殺したあの男もいた。
 何年も捜し続けたあの男もいる。
 憎み続けて、殺したいくらい憎み続けて。

 だが、不気味な男。
 目的も分からない。
 殺し合いなどする目的が。
 リスクしかない殺し合いをする目的が。

 騙す。
 騙されている。
 恐らくそうだ。
 俺は、コイツに騙されている。
 ハメるつもりだ。
 いや、殺すつもりか。


「信用できないね。アンタが誰かさえ分からないんだ」

 名乗っていた。
 けど、信頼が出来ない。
 慎重に。
 神経を尖らせて。
 話を聞く。

 復讐の計画がこの男のせいで。
 殺すための計画がこの男のせいで。
 復讐の計画が。
 殺す計画が。
 崩れたら、最悪だ。
 もしも、嘘なら。
 もしも、情報が偽者なら。

 信じれない。
 偽名を使うような男のことが。
 信じれるわけが無い。

「……なーんだ。ノリ悪いじゃないの」
「信じる人を選べって、親父に言われたんだ」

 父は殺された。
 幼い頃に。
 だから、覚えているわけが無い。
 嘘。
 コイツだって、嘘は吐いている。
 俺だって、嘘は嫌いだ。
 人を騙すことは嫌いだ。
 それも嘘。
 嘘には嘘を返す。


「ふーん。結局どうするわけ? 僕と契約はせずに、ここで死んだほうがマシって事かい?」
「……死ぬのは嫌だな」





「まあ、いいよ。君は━━━━━だからね」
「……分かった。協力はするよ」







 撃たれた傷はもう直っている。
 幻影。
 見せられていた幻影の中で撃たれた。
 弟に。
 弟と、病院で出会った。
 久しぶりの再会だったが嬉しくはない。

 あの男が言う殺し合いは病院から始まった。
 病院のベッドの上で目を覚ます。
 少なくとも、普通の病院ではない。
 窓は数枚割れて、誰もいない。
 それはまた、不気味だった。


「支給品という奴はコレか」


 デイパック。
 この中に支給品一式が入っている。
 あの青年が言ったことが嘘ではないと言うのならの話だが。
 それは、丁寧の病院のテーブルの上に置かれていた。

 武器。
 人を殺すための。
 武器。
 ゲームを盛り上げるための。
 武器。
 復讐のための。
 武器。
 虚しいことをするための。

 中身は、通信用の携帯。
 中身は、青酸カリ。
 中身は、M92。自動拳銃だ。
 丁寧に、弾奏とサイレンサー付き。
 面白く、ゲームを運んで欲しいらいい。
 けど、復讐するつもり。
 目を抉って、八つ裂きにする。
 焼き殺す。原形を留めいないほど。
 それが、長年の復讐。
 父と母を殺した復讐。

 誰かいる。
 情報によれば、刑事。
 海棠凪とかいう、ただの雑魚。
 ヤバイ。
 公安や上層部からはマークされている。
 顔を知られている。
 正体も知られている。

 テロリスト。
 過激思想者。

 親を殺され、
 死にかけた時から、
 始まっていたんだ。

 追加情報。
 とっさに見る。
 海棠は、南雲市警察の刑事。
 経歴によると、警視庁には勤務してない。
 無論、SATなどの特殊部隊の所属経験も無い。
 テロリスト捕縛にも関わったことは無い。

 運が良かったと言える。
 初っ端から、軍人と出くわしていたら、
 初っ端から、殺人鬼と出くわしていたら、
 俺は死んでいた。
 復讐できずに。

「動かないでもらえますか? 出来れば殺し合いはしたくありませんので」

 考え事をしているうちに、来た。
 小口径の自動拳銃を構えている。
 名称は不明。
 背後から、少し離れて突きつけている。
 反撃は出来そうに無い。
 携帯以外の支給品は、デイパックの中。

 運が悪かったといえる。
 支給品が奪われたら、■■■を殺せない。
 素手で殺せるわけが無い。
 返り討ちに遭う。
 復讐にも失敗する。

「ちょいちょい、撃たないでくれよ!! 俺もワケ分からない殺し合いに巻き込まれただけなんだ!!」

 嘘。
 嘘。
 コイツだって、嘘は吐いている。
 『殺したくない』
 それは嘘。
 人は皆、殺人衝動を持っている。
 殺したくて堪らない。
 絶対にそうだ。
 死にたくない。
 絶対にそうだ。

 嘘ばかりの汚い人間。

 俺だって、嘘は嫌いだ。
 人を騙すことは嫌いだ。
 それも嘘。
 嘘には嘘を返す。
 ワケの分からない殺し合い。
 巻き込まれただけじゃない。
 少なくとも、志願した。
 殺す。殺すために。
 復讐。復讐するために。

 この場を切り抜けるには最適だ。
 自分にしては、上出来だ。


「良かった。あの、一緒に行動しませんか?」

「はい!!」


 コレも演技。
 恐らくコイツは殺しに来る。
 その瞬間、返り討ちにして殺す。
 支給品は奪う。
 いや、今から殺してやってもいい。
 だが、もう少し、待ってもいい。
 銃口を人に向けているが。
 撃つつもりはなさそうだし。
 アイツと■■■を殺すためなら、魂は売る。
 合流して、アイツと■■■を殺して、コイツも殺す。


「あのお名前は?」
「関春翔です。よろしくお願いします!!」


 これは本当。
 殺す相手には、名乗る。
 ソイツが礼儀だろ。
 殺す奴だ。
 邪魔なら、殺す。
 利用して殺す。
 何よりも復讐を。
 どんなことよりも復讐を。
 長年、恨んできた男に復讐を。



【一日目/深夜/C-1・病院】


【関春翔@単なる伏線キャラ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、青酸カリ、携帯電話、M92(フル装鎮)、追加弾奏(個数不明)、サイレンサー
[思考]
基本:ジョーカーとしてゲームを盛り上げる
1:■■■を殺し、コイツ(海棠凪)も殺す。

【海棠凪@単なる伏線キャラ】
[状態]健康
[装備]拳銃(種類は不明)
[道具]基本支給品、戦利支給品×0~3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:関春翔と共に行動する。



 関春翔(せき・はると)
関勝宏の兄。気さくな青年だが、実はテロリスト。
幻影の中では、フルフェイスヘルメットの男として高校を襲撃した。

 海棠凪(かいどう・なぎ)
南雲市警察の刑事。伊達坂浩二の相棒だった。
幻影の中では、平沢に裏切られて精霊に爆殺された。


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GAME START 関春翔 :獅子の視る偶像
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最終更新:2012年05月06日 15:44
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