11話 友情の終焉は崖の上
クマの少女、ベーヤは山中の崖の近くにワープしていた。
動物達の鮮明な死に様を見せられ、彼女はかなり動揺していた。
いつもは他の誰よりも気丈なベーヤだったが、今は殺し合いに酷く怯えるただの一介の少女で、被害者であった。
今まで平和な世界で暖かな人生を過ごしていただけあって、今現在の状況に対するショックが酷く、彼女は最悪の選択に頭が行ってしまっていた――。
「……とりあえず、ももかっぱちゃんかベーヤちゃんを探さないと……
こんな事になるなんて……一体わたしどうしたら……」
その頃、偶然付近を移動していたウサギの少女みろりんは、みなと同じように殺し合いに対する恐怖でいっぱいだった。
死んだら、殺されたらどうしよう。
そんな事ばかり頭によぎって、恐くて怖くてしょうがない。
そんなみろりんに、一つの光が見えた。
友達、ベーヤとの再会である。
「ベーヤちゃん!」
「みろりん!? 無事だったのねベー!」
二匹は再会を喜び、そして抱き締め合った。
「酷いよね……こんな事になっちゃうんだもん」
「そうだね。訳分かんないわベー」
再会に顔を少し笑顔に緩ませるみろりん。
しかしベーヤの顔は、一層虚ろになっていた。
そしてベーヤがひとつの言葉を放つ。
「ねー、みろりん。あたい、みろりんに会えて良かった」
「うん! わたしも!」
「……だって」
「二人で一緒に天国にいけるんだもん」
「えっ」
それは、意外な言葉だった。
みろりんは一瞬ベーヤが言った事が分からなかった。
「ベーヤちゃん……それどういう」
「一緒に死のうって言ってるのよ。ちょうどここ崖でしょ?
あんなやつに従うより、いっそここで死んじゃおうよベー……」
一緒に死ぬ。
自ら命を断つ。
――自殺。
ベーヤは確かにみろりんに投身自殺を提案していた。
「いや……なんで!? なんで死のうとか言うの!? おかしいよベーヤちゃん!
あなたはいつもはこんなこと言わなかったじゃない!」
「おかしいのはあなたよみろりん。なんでまだ平気で生きてられんのよ」
いつものベーヤちゃんじゃない。
みろりんはそのありえない現実に謎の吐き気を催していた。
「いや! やめて早まらないで!」
「うるさい! あたいと一緒に死ぬのよ! 死ねばもうこんな悲しい事しなくても済むんだからベー!!
一緒に死んでよみろりん! 一人じゃ寂しいのよ、一人ぼっちなんか嫌よ! だから……死にましょ一緒にベー!!」
こうしてベーヤは崖から体を投げ出した。
友達と一緒に死ぬならきっと死ぬのもだいじょうぶ。
――そう思っていた。
「嫌っ!」
「……え?」
みろりんはベーヤが繋いだ手を拒んだ。
ベーヤの言葉と思いをつっぱねて、みろりんはそこから逃げ出した。
「みろりん……!」
「ごめん! でもわたし……まだ、死にたくない!」
「何で! 何であたいの手を離したのベー!?
みろりんなら! 友達のあなたなら分かってくれるって思ったのに!
みろりんなんて、みろりんなんて……死んじゃえばいいんだわベー!!」
崖下からベーヤの罵倒が響く。
しかしそれは鼻声で、涙声であった。
「ご……めん……ベーヤちゃん……!」
「死ね! 死ねっ! みろりんなんか死んじゃえぇぇぇぇぇっ!!」
ベーヤの声は、それ以降二度と響くことはなかった。
しかしみろりんの頭の中では、未だにベーヤの叫びが響いていた。
【E-8/山中/一日目/深夜】
【みろりん@はなかっぱ】
[状態]:健康、精神的ダメージ(大)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考]基本:頭がぐちゃぐちゃで何も分からない
0:ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
【ベーヤちゃん@はなかっぱ 死亡】
[残り53匹]
※ ベーヤちゃんの支給品は崖の下に落ちました。
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最終更新:2012年08月20日 09:50