13話 優しいあくま
夜の洋館の中――。
そこは長い間誰も出入りしてなかったようで、埃塗れだわ蜘蛛の巣だらけだわで物々しい雰囲気を擁していた。
「どこだここ……? おかしいぞ……さっきまでみんなと一緒にいたのに……
変な奴等に急に
殺し合いをしてもらうとか言われるし……あいつら一体何者なんだ……?
向かいにいたカエルのデジモン?と知り合いだったようだけど……
ヤマトも太一もいないし……これからどうしよう……」
彼の名前はガブモン。
選ばれし子供達、石田ヤマトのパートナーであり、今まで数々の冒険を皆と共にしてきた。
だが今はこの暗い屋敷にいる。
殺し合いゲーム参加というおまけ付きで。
とりあえずこの屋敷から出ようと彼は考えた。
これが本当に殺し合いなら、いつ誰が自分を殺しに来るか分からないから。
「待ってろよ、みんな。すぐに行くからな」
「お主、迷いがあるま?」
「ん……?」
ガブモンは奥の暗闇から声がしたのに気がついた。
緊張に身を震わせながらも、勇気を出し声の主に叫ぶ。
「誰だお前! 出て来い!」
「真実は、いつも一つなりま」
「!」
そこには青い霧を纏った黒い熊がいた。
夜の屋敷と相俟って、異様な雰囲気を醸し出していた。
「誰だお前? もんざえモンの一種か?」
「もんざえモン? 違うま。私はあくまだま」
「悪魔!? さてはお前デビモンの仲間だな!!」
「違うま。私は「悪魔」では無く、「あくま」だま」
「はぁ!?」
「私はプリンプタウンという所にいたま。それにしても奇妙な事に巻き込まれたま。
お主も違う所から来たま?」
「ああ。デジタルワールドっていう所から……」
「デジタルワールド……いわゆる電脳世界だま?
1と0のデータの集まりから偶発的に生まれた世界……確かプリンプの古い書物にそんな話が書かれていたま」
「俺、仲間を探してんだけど、お前見てないか?
名簿には、アグモンとピヨモンとテントモン。それとテイルモンの名前があったから多分アイツらも来てると思うんだけどな」
「悪いが見ていなかったま。それに他の者と出会ったのはお主がはじめてだま」
「そうか……
あ、自己紹介がまだだったな。俺はガブモン。よろしくな」
「よろしくま。ガブモン君。
それと、確か参加者には、ランダムアイテムが入ったディパックが支給されていたはずだま。まずは中のランダムアイテムを確認した方がいいま」
「あ、うん」
二匹はとりあえずディパックを開けた。
共通的に入っていた基本支給品を取っ払うと、それぞれ違うアイテムが入っていた。これがランダムアイテムなのだろう。
「紫色の円盤?」
「なんだこりゃ」
「……私でもよく分からないま」
「んー……俺のカバンには、おもちゃみたいなハンマーと鉄のわっかと変な棒が入ってたけど……どれも使えそうにないな」
ガブモンは呆れたように支給品を床に置いた。
「私のディパックにはあの円盤の他に鍋の蓋と木で出来た道具が入っていたま」
「…結局俺らどっちもハズレじゃんかよ」
「いや、この中に使える武器があるかもしれないま」
「そうかぁ?」
「……多分ま」
「……んー……」
ガブモンは床の鉄の輪を拾い、とりあえず手に填めてみた。
「お、これ手に填まるぞ!
これ、こうやって使うんじゃないか!?」
「それはそういう使い方をしないま。これはこうやって使うま」
と、あくまはガブモンの持っている鉄の輪を二匹の腕と腕に合わせて填めた。
ガチンという音がした。
「ん?」
「…外れないま」
「…なんだよこれ?外してくれよ」
「これは手錠といって、悪人を拘束する為の拘束具だま」
「いや、そういう事じゃなくて……外してくれって」
「……鍵は?」
「は?鍵?」
「まさか…無いま?」
「……」
「ク……クマーーーーーーッ!!」
「!?」
急に雄叫びを上げたあくまは深刻な表情を浮かべた。
「……ま」
「え?」
「このままでは、一生外れないま。鍵を見つけて外すか、鎖を壊さないかしないと一生私達は離れられないま!!」
「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
ガブモンの絶叫が屋敷の中に響いた。
【G-1/屋敷内/一日目/深夜】
【ガブモン@デジモンアドベンチャー】
[状態]:健康、手錠が右腕に填まっている
[装備]:手錠
[道具]:基本支給品、手錠、ピコピコハンマー、スタンロッド
[思考]基本:仲間たちと殺し合いから脱出
0:な、なんだってーーーーーー!!
1:手錠を外さなきゃ
2:アグモン達と合流したい
【あくま@ぷよぷよシリーズ】
[状態]:健康、左腕に手錠が填まっている
[装備]:手錠
[道具]:基本支給品、わざマシン・サイコキネシス@ポケットモンスター、鍋蓋、輪ゴム鉄砲、(手錠)
[思考]基本:参加者を集め、全員で脱出する
1:手錠を外す方法を考える
2:ガブモンと共に屋敷を出る
【支給品解説】
【手錠@現実】
警察が容疑者の身柄を拘束する時に使用する拘束具の一種。
なおこのロワでは開錠用の鍵はついていない。
【ピコピコハンマー@現実】
ハンマー型のおもちゃ。
叩くとピコピコと音がする事からこの名が付けられた。
パーティまたはコントのお供。
強く叩かれると結構痛い。が武器としては使えない。
【スタンロッド@現実】
見た目はただの鉄の棒だが、スイッチを入れると高圧の電流が流れる武器である。
このロワでの威力は普通の人間が三発食らってようやく気絶するくらいの威力しかない。
【鍋蓋@現実】
鉄製の鍋の蓋。それ以上でもそれ以下でもない。
盾には使えるが武器にはならない。
本家映画版で七原秋也の支給品になった物と同モデルらしい。
【輪ゴム鉄砲@現実】
わりばしと輪ゴムで作られた輪ゴムを発射する装置。というかおもちゃ。
当然威力は皆無である。
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最終更新:2012年08月29日 11:34