2話 汚れた人間、清き怪物
「フン、
殺し合いかよ、まままあまま、マジでラッキーだぜ……
まさか、念願の人殺しができるなんてよ!」
拳銃片手に、震えながら引きつった笑いを見せている男がいた。
その男は矢伯広張といい、とある市街を騒がせている犯罪者であった。
彼は、連続動物殺害魔である。
殺したい。そういう欲から動物を次々と殺しているのである。
理由もなんてこともないことで、高校の頃に入部していた弓道部の練習で誤射した際に動物を殺してしまったことで、殺しによる快感を得てしまっただけの男である。
矢伯は犯罪者であるが、弓道に関しては高校生の頃に大会で優勝したこともあるほどの実力者であり、少年時代は「神童」とも称されていた程である。
まあ、今の彼にとってはそんなものはただの過去でしかないのだが。
現在の矢伯広張は、クロスボウで動物を次々と惨殺しているただの犯罪者である。
過去の輝かしい歴史も、今の彼の行為により全てが帳消しになってしまった。
今、彼に残っているのは、殺しによる快感を求め動物を殺すいかれた犯罪者という肩書きだけだ。
そしてそれは矢伯も割り切っていることで、なにより今の、現在この時刻の彼は、人生初の人殺し体験にわくわくを隠せない、ただのいかれた人間である。
動物だけでは飽き足りない。
人間を殺してその醜く悲壮的に歪んだ死に顔を見たい。
そしてその死に顔を想像しただけで、矢伯広張の大事な場所はおっ立っているのであった。
「ヒヒ……ぇ。
しかも武器が拳銃とはな。ボウガンよりもすっげーつえーだろーなぁー! 楽しみだぜ……」
しかし。
そんな矢伯にも知らない世界が、まだあるのである。
「……コンナ所ニ一匹。
マッタク、目障リニモ程ガアル」
「え……ぇ……?」
そこにいたのは、鬼であった。
矢伯も最初の教室で見たが、あいつだけはもう見たくない。そう思った鬼のような姿の怪物。
矢伯が出会った最初の参加者である。
「ぁ……たすけて?」
「汚イ人間ダナ……消エロ」
鬼――鬼頭戯弩はそう言い捨てると、金色の水を垂れ流す醜い男の腹を素手で貫き、殺害した。
そして男が右手で握っていた拳銃をもぎ取り握りつぶすと、そこを後にした。
鬼頭には武器など必要ではない、そして武器は殺される可能性のあるものである。
そういった意味合いから、彼は拳銃を故意に使い物にならなくした。
鬼頭戯弩は鬼のような姿の人――ではなく、鬼という種族の生き物である。
鬼にとって人間という種族は、劣悪な愚かな生物である。
人間にとっての悪魔のような存在といえば誰にでも分かるであろう。
彼はその種族を根絶やしにするためだけにこのゲームに志願した。
その憎き種族が主催したそのゲームに。
鬼頭はそれを聞いた時、同族同士で殺し合うとは、やはり人間は愚かな生き物だ。と思ったらしい。
だからこそ、自分がゲームにて人間どもを皆殺しにし優勝。そして主催者達も殺そうと鬼頭は作戦を練っている。
鬼頭は矢伯のディパックを物色すると、矢伯の死体を踏み潰しつつ、寝床の確保に向かった。
宿敵である人間を皆殺しにするために。
そして親や小学校の皆の元へとまた会うために――
鬼、鬼頭戯弩は行動を開始した。
【A-4/森/0:24】
【鬼頭戯弩】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、矢伯のディパック
[思考]基本:愚かな人間を抹殺する
1:寝床を探す
2:武器など必要ない
【矢伯広張 死亡】
[残り47人]
キャラクター紹介
【鬼頭戯弩(キトウ ギド)】
後頭部にせり上がる二本の角、赤白黒などの色が入り混じった皮膚、漆黒の鋭い爪に真紅の手を持つ鬼という種族の生物。
人間を愚かで劣悪な生物だと思っており、酷く憎悪している。
正義感が強く優しい性格。
253cm、178kg、11歳。
【矢伯 広張(ヤエキ ヒロハル)】
とある市街を騒がせている連続動物殺害者。
昔は弓道が好きな好青年で、小学生の頃から弓道を習っており、その腕前はかつて「神童」と呼ばれていた程。大会優勝経験もある。
部活中に弓を誤射してしまい動物を殺してしまった際に性格が歪んだようだが、真偽は不明。
殺す事に快感を覚え、自らの為に殺しを行う危険思考の持ち主。
動物殺しには飽き足らず、そろそろ人間に手をかけたいと思っているらしい。
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最終更新:2013年01月09日 12:59