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正義のダークヒーロー ブラックムーンライト参上!?

3話 正義のダークヒーロー ブラックムーンライト参上!?



殺し合い……ねぇ。
 新しい皮のコレクションはかなり集まりそうだが、どうすっかなぁ?」

山小屋にて、ある男が支給品であるハンティングナイフを眺めながら思案していた。
その男は身体中に色々な種類の皮膚を縫合していた。
白人に黒人、黄色人種の皮膚には飽き足らず、サイの皮膚、犬の皮膚、蛇の皮、魚の鱗までも男は自分の身体に繋ぎ合わせていた。

彼の名を次萩追剥といい、世界中で指名手配を受けている殺人鬼である。
次萩の犯行は無差別であり、被害者は人間以外にも色々な動物までもがその被害に逢っている。
殺された動物の中には、絶滅危惧種に指定されているものまで確認されており、タチの悪い異常な殺人鬼として世界中に畏怖の念を集めている。
その犯行手口は、頭を一突きにしその皮を剥ぐという残虐な犯行であるが故に、その異常な姿も併せて彼はこう呼ばれている。

「ツギハギ追い剥ぎ」と。

その、殺人鬼である次萩の反抗理由は、単なるコレクションである。
彼、珍しい皮や魅力的な皮を見つけるとすぐに剥ぎ取って、自分の身体の一部にしたいと思っているだけなのである。
珍しい皮が欲しい、そしてそれを自分のモノにしたい。
それが彼の性癖であり、アイデンティティーであった。

生皮と結婚したいとまで思っている次萩にとっては、皮剥ぎは呼吸のような行動である。
それが故に、この殺し合いはコレクション集めに最適の舞台であった。

「うーん、俺って殺人鬼で通ってっけど、人殺しではねえからなー。
 気に入ったやつしか、っていうか魅力的な皮被ってるやつしか基本殺さないからな俺。
 それ以外では別に殺す意味なんてないし……気に入ったやつだけ殺すか」

……つまり彼はそういう人間であった。
殺人鬼、次萩追剥はその異常な性癖以外は特になんの変哲もないただの一般人なのである。
法律もモラルも理解しているし、マナーもきちりと心得ている。
殺人鬼でなければ社会人の模範と言っても語弊のない人間であるのだ。
そんな殺人鬼は、ナイフをディパックに中身が均等になるようにしっかり入れると、山小屋を後にした。
――と、そんな時である。



「お! こんな所に人が……
 おーい、大丈夫かーい? 殺し合いに乗ってないよねー?」
「何だ?」

それはセーラー服にロングヘアーの美少女であった。
なびくような黒髪に凛々しい目つき、なによりそのきめ細かい絹のような白い肌が彼女の美しさを際立てていた。
その手には日本刀が握られている。

「単刀直入にばっさりと言おう。
 私は殺し合いに乗っている。今からお前を魚のように捌こうと思ったところだ」
「え? 冗談だよな……」
「私は冗談が嫌いな太刀でな。私は家に帰るために殺し合いに乗るつもりだ」

そういうと少女は日本刀を振りかざす。
その太刀筋は本物で、次萩は「ああ、こいつはプロだ」とすぐに察した。
そして嫌にも目に付くのがその少女の絹のような真っ白な皮膚であった。
早速、自分好みの皮膚が見つかって、殺しのモチベーションも上がりに上がっていた。
どうせ話も聞いてくれないのなら殺せばいい――そう思い殺人鬼はディパックの中のナイフをまるでマジックで出したかのような早業で手に取り、少女の太刀を受け止めた。

「ふふ、俺をただのブラック・ジャックだと思ってもらっちゃ困るね。
 だって俺は殺人鬼、ツギハギ追い剥ぎなんだからね!」

そう言い、不敵な笑みを浮かべるツギハギ追い剥ぎこと次萩追剥。
それに応じるかのように日本刀少女の顔も気味の悪い笑顔に歪む。
そしてナイフと日本刀が本気で交わるか――とそんな刹那の時、もう一つ別の声が響いた。


「そこまでだ、月下の蒼き炎(ムーンライト・ダークフレイム)!」


二人の周りに、青白い炎が駆け巡った。
二人ともこの状況はまずいと思ったのか、それともこの異常な光景に警戒をしたのか、それぞれ別の方向に姿を消していった。
そしてそこに残ったのは、漆黒のラバースーツに身を包み、顔には仮面、そしてダークブルーのマフラーを装着した謎の男だった。
彼の名は望都祺赤鬼。
またの名を、「ブラックムーンライト」といった。
彼は中学二年生の少年であり、自分の事を月が光る闇夜に姿を現し、悪人を密かに抹殺する闇からの使徒、「ブラックムーンライト」だと思い込んでいる――所謂厨二病である。
しかしそれは真実であり、彼はある月夜の晩に超人に変貌した。
それは本当に謎の力が働いており、彼はその闇の力でブラックスーツに身を包み、数々の異質の力をも身につけていった。
そしてその一つが先程二人を覆った青い炎である。
望都祺、もといダークムーンライトの闇の力の一つであり、闇の青き炎で相手を焼き尽くす「月下の蒼き炎(ムーンライト・ダークフレイム)」という技であった。
彼の目的はただ一つ。
主催者の抹殺である。
このような救いのない悪事を働いた悪魔のような者を自分の手で消す。
それだけである。

「……行ったか。
 しかしもう殺し合いが始まっているとは思わなかった。しかし殺しを行う者は悪人なのだ。
 私が救うのは殺し合いに乗っていない者のみ。それ以外は全て私の手で抹殺しなければならん。
 それが私に課せられた使命なのだからな……」

ブラックムーンライトはそう呟くと、マフラーを靡かせ月光る夜を一人歩くのだった。


【D-2/山道/0:35】
【ブラックムーンライト(望都祺赤鬼)】
[状態]:健康
[装備]:ブラックスーツ一式
[道具]:基本支給品、不明支給品
[思考]基本:正義は救う、悪は裁く
   1:殺し合いに怯える者を救う
   2:殺し合いを行う者は殺す





「うーん、皮剥ぎ取り損ねたなぁ。
 ってかなんださっきの炎? 魔法使いとか参加してんじゃないだろうな?
 まあ、鬼みたいなやつも参加してるようだったからありえそうだけど」

次萩はそうぼやくと、ナイフを再びしまいあくまでもマイペースに行動を開始した。


【D-2/山道・森林地帯/0:35】
【次萩追剥】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ハンティングナイフ
[思考]基本:無益な殺しはしないが、皮剥ぎにふさわしい者なら殺す
   1:あの女の皮膚……綺麗だったな……
   2:とりあえず人を探す
   3:なんなんだあの炎は……




「はあはぁ……してやられた。
 もう少しで殺れそうだったのだが……まあ仕方ないか。
 だが私は……優勝してみせる……母のためにもな……」

日本刀を携え、そう言葉を紡ぐ凛々しき少女。
名を夜猟穉劔といった。
彼女は、剣道が得意ということ以外に特別なことはない。
それ故に説明もあまりないのだが、まとめて言うというならば、彼女は剣道の得意な普通の女子中学生である。
殺し合いに乗った理由も、余命残り僅かの母の手術台を優勝賞品として手に入れたいだけという、動機にはよくある理由である。
しかし彼女の異端さは、その精神力の強さにある。
怖がりもせず躊躇もせず、この殺し合いに家族のために乗った事がすでに異端なのである。
その異端さは、真摯さと確固たる覚悟があってこそのものであり、その覚悟は、すでに一介の達人の域を超えている。だからこそ彼女はここへと呼ばれたのであった。
そんな異端な覚悟を持つ少女は、山路を歩く。
自分の明るい未来にその目を見据えて、自らの手を汚す覚悟を、彼女はしたのだった。


【D-4/山道/0:36】
【夜猟穉劔】
[状態]:健康
[装備]:日本刀
[道具]:基本支給品、日本刀
[思考]基本:我が願いのために殺し合いに乗る
   1:獲物を探す
   2:なんだあの炎は……?



キャラクター紹介
【次萩 追剥(ツギハギ オイハギ)】
身体中に色々な種類の皮膚を縫合した青年。
性格はごく普通で、とても几帳面で生真面目な性格。
だが、気に入った皮を見つけると殺して剥ぎ取り、自分の身体に縫合したいという性癖があり、それを欲の動くがまま行動している内に、いつの間にか「ツギハギ追い剥ぎ」という連続殺人鬼として恐れられ、ついには指名手配犯にまで登りつめた男。
無差別という訳ではなく、気に入った皮膚の生き物以外は殺さないポリシー。

【夜猟 穉劔(ヤガリ チヅル)】
達人並と称されるほどの剣道の実力を持つ中学生に通う美少女。
黒髪のロングヘアーに凛々しい目つきの青眼、絹のようにきめ細かく純白の肌と、容姿は誰もが見とれるほど美しい。
クールで人をあまり寄せ付けない性格ではあるが、彼女自体は実直で決めた事は最後までやり遂げる固い意志の持ち主である。
高技術の医療でしか治療できない病を患っている余命僅かの母がいる。

【ブラックムーンライト/望都祺 赤鬼(モトキ アカオニ)】
自分の事を闇の使徒だと思い込んでいる少年で、所謂厨二病である。
小さい頃は、ヒーローに憧れるごく普通の少年であったが、中学生になってからその憧れが悪い意味で成長し、最終的に自分が悪を裁く者だと思い込むほどにまで悪化してしまった。
しかしある月夜の晩、その強すぎる思いから闇に魂を奪われ、本当に闇の使徒と化してしまった。
装備しているスーツはその時強制的に着せられたもので、現在も外れる事なく彼の身体にピッタリと張り付いている。
炎を操ったり雷を落としたりなど、謎の力を行使できる。これも闇に力を授けられたためである。


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最終更新:2013年01月09日 14:29
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