アットウィキロゴ

仮面ライダー、その名の意味

B-2、ホテル。この建物の上層階で、滝和也と鎌田という二人のゲーム参加者が遭遇していた。
開口一番、鎌田は自分がゲームに乗るつもりがないことを滝に告げた。
その言葉をすぐには信用しなかった滝だが、鎌田のねばり強い説得でようやく信用する様子を見せる。
そして二人はつい先程、共に行動することを決めたのである。

「それじゃ鎌田さん、まずは下まで降りましょうか。こんな所にいたんじゃどうにもならない」
「たしかにそうですな。では、まいりましょう」

滝の言葉に、鎌田は同意を見せる。しかし、言葉とは裏腹にその場から動こうとはしない。

「どうかしました?」
「いえ、できれば滝さんに先に行っていただけないかと……。
 何せ私はただの雑誌編集者ですから、荒事には慣れていなくて……。
 軍隊関係者だという滝さんが先に行ってくださるのなら、安全を確保してくださるかと思いまして」
「そうでしたか。たしかに、一般の人が突然こんなことに巻き込まれては怯えるのも無理はありませんね。
 わかりました、俺が先に行きましょう。後をついてきてください」

鎌田の言い分を聞いた滝は、それを受け入れ鎌田に背を向けて歩き出した。
彼のその行動を見て、鎌田は表情を一変させる。
人畜無害という風だったその顔には、今やどす黒い笑みが貼り付けられていた。

(お人好しが……。まずは一人、もらった!)

鎌田は、大きく右腕を振るう。するとそこから、鋭利な刃と化した衝撃波が放たれた。
衝撃波は、まっすぐ滝の背中に向かって飛んでいく。
だが刃は、滝を切り裂くことはなかった。
命中直前に、滝が体を大きく横に動かしたのである。

「何!?」

予想外の滝の反応に、思わず声をあげる鎌田。そこに、熱のこもらない滝の声が浴びせられる。

「どうにも疑いが晴れなかったんで、わざと隙を見せたらこれか……。
 鎌田さん、あんたゲームに乗るつもりだな?」
「ふん、あなたごときの三文芝居に引っかかるとは……。私も焼きが回ったものです」
「三文芝居はどっちだか……」

おのれの本性を見破られても、鎌田は落ち着いた態度を崩さない。
なぜなら、彼には強者の自覚があるからだ。

「相手がただの一般人ならこのままでもいいのですが……。あなたはそれなりに実戦経験があるご様子だ。
 ならばより確実にしとめるために、これを使わせてもらいましょう」

そう言い放つと、鎌田はポケットからカードのデッキを取り出した。
それが何を意味するのかわからず首をかしげる滝をよそに、鎌田はデッキを窓ガラスにかざす。
すると、どこからともなく出現したベルトが彼の腰に巻き付いた。

「変身!」

叫び声と共にポーズを決めた鎌田は、ベルトの中央にデッキをセットする。
その瞬間、彼の体は青い鎧に覆われていく。
ほんのわずかな時間の間に、鎌田の姿は魚類を思わせる鎧の戦士に変化していた。

「お待たせしました。それではお相手しましょう、この仮面ライダーアビスがね」
「仮面ライダー?」

慇懃無礼に告げる鎌田。その言葉を聞いた滝は、露骨に不快感を見せる。

「おいおい、冗談はたいがいにしろや。私利私欲で人を殺すあんたが仮面ライダーだと?
 あんたに、その名前を名乗る資格はねえよ」
「はて、おかしなことを仰いますね。仮面ライダーとは、『超人的な戦闘力を持つ仮面の戦士』の総称のはずです。
 善人だろうが悪人だろうが、力を手にすればその人は仮面ライダーとなる。
 人間全てが、仮面ライダーになる可能性を秘めているのですよ」

まあ、私は人間ではありませんがね。鎌田は心の中でそう付け加える。

「違うな」

だが滝は、鎌田の言葉を真っ向から否定した。

「仮面ライダーとは、『おのれの感情を殺してでも力無き者のために戦う仮面の戦士』のことだ。
 その魂がないあんたは……どんなに姿形を似せたところで、仮面ライダーにはなれない。
 そんなのは、ただの怪人だ」
「何をわけのわからないことを言っているのですか。仮面ライダーに魂など必要ない。
 必要なのはただ一つ、力です。こんな風にね!」

仮面の下で下卑た笑みを浮かべながら、鎌田は滝に殴りかかる。
その拳は滝の胸を直撃し、彼の体を大きく吹き飛ばした。

「どうです、この力! これこそが、仮面ライダーの証でしょう!」
「違うな」

口から血を漏らしつつ、滝は再び鎌田の言葉を否定する。

「あなたも頑固ですねえ。なぜそうも真実を受け入れようとしないのか」
「そりゃこっちの台詞だ。力だけ手に入れたって、仮面ライダーにはなれねえんだよ」

かすれた声で反論を続けながら、滝は自分の荷物に手を突っ込んだ。

「見せてやるよ、魂を伴った本当の仮面ライダーをなあ……。
 結城! お前の魂貸してもらうぜ!!」

滝が取り出したのは、口元のみが空いた青いヘルメット。
昆虫を模したと思われる、触角と赤い複眼が特徴的である。


「変

    身!」

力強く叫び、滝はヘルメットをかぶった。
彼の顔がヘルメットに覆われると同時に、その肉体を強化スーツが包み込む。
仮面ライダー4号・ライダーマン。その姿が、そこにはあった。

「それがあなたの言う、真の仮面ライダーですか? ずいぶんと貧弱そうな姿だ」

嘲笑を浴びせる鎌田だが、滝はそれを意に介さない。

「たしかにこのライダーは、純粋な力では一段階落ちるかも知れない。
 だが、込められた魂は決して劣らないぜ」

露出した口元に笑みを浮かべ、滝は鎌田に向かって走り出す。
そのまま、彼は跳び蹴りを繰り出した。
鎌田はまともにその蹴りを食らうが、よろける程度で決定打にはいたらない。

「この程度ですか……。やはり、話になりませんね」
「けっ、まだまだこれからだっての。いくぜオラ!」

冷や汗を浮かべつつ、滝はあくまで強気な態度を崩さない。
そのまま、二人は本格的な戦闘になだれ込んだ。


◇ ◇ ◇


そして、数十分後。
彼らの戦いは、すでに大勢が決していた。
優勢に立っていたのは、鎌田。
滝も豊富な実戦経験を活かし健闘したものの、スペックの差を覆すにはいたらなかったのである。

「大口を叩いておきながらその様ですか……。何とも情けないですねえ」

強化スーツのあちこちを破損し、その下の傷口から血を滴らせる滝を見ながら、鎌田は今一度眼前の敵をあざ笑う。
実際には彼も少なからずダメージを受けているのだが、生意気な口を利く相手に優位に立っているという暗い喜びが鎌田に痛みを忘れさせていた。

「うるせえよ……。まだ俺は負けを認めちゃいねえ。勝ち誇るのは、俺を殺してからにしろ」

肩で息をしながらも、滝はあくまで強気。仮面の下の目は、まだ生気に満ちている。
そのことが、鎌田は許せない。滝の放つ雰囲気が、先の戦いで自分を追いつめた仮面ライダーたちを思い出させるのだ。

「ならば、お望みどおり殺してさしあげましょう。鮫の餌になってしまいなさい」

そう宣告すると、鎌田は一枚のカードをバイザーにセットする。

『ADVENT』

バイザーから流れる電子音声とと共に、鎌田の背後の窓ガラスから二体のモンスターが飛び出してきた。
アビスの契約モンスター、アビスハンマーとアビスラッシャーである。
呼び出された二体のモンスターは、すぐさま滝を標的と認識して襲いかかる。
だが、滝は一切の動揺を見せない。

「今更鮫なんざ……お呼びじゃねえんだよ!」

ボロボロの体とは思えぬ電光石火の動きで、滝は拳を振るう。
その攻撃を受けた二体の鮫型モンスターは、反撃もできぬままそれぞれ部屋の隅まで吹き飛ばされた。

「なんだと……? ミラーモンスターが一撃で……。あの死にかけのどこにそんな力が……」

予想外の事態に、鎌田は口調を取り繕うのも忘れて呟く。
そこへ生じた一瞬の隙を突き、滝は鎌田につっこんだ。
タックルを炸裂させた後そのまま鎌田の体を抱え込み、滝は窓ガラスに向かって激走する。

「まさか……。おい、やめろ!」

滝を止めようと、鎌田は必死で彼の体を攻撃する。
だが、密着された状態からでは威力のある打撃は繰り出せない。
当然、滝は止まらない。

「とくと味わいな……。これがてめえがさんざん馬鹿にした、仮面ライダーの魂が呼び込んだ力だ!
 例え自分を犠牲にしてでも、悪を倒す! それが仮面ライダーなんだよぉぉぉぉぉ!!」

声の限り叫びながら、滝は体当たりで窓ガラスを突き破る。
上空へ飛び出した二人の体は、重力に引かれ遙か下の地面へと降下を始めた。

(本郷、一文字、村雨、アンリ、それにSPIRITSの野郎ども……。
 無責任で悪いが、俺はここでリタイアになりそうだ……。
 バダンとの戦いは……お前等に任せたぜ……)

迫り来る地面を視界に捉えながら、滝は戦友たちの顔を脳裏に思い浮かべていた。


◇ ◇ ◇


「危ないところだった……。まさか、あんな雑魚に命の危険を感じさせられるとは……」

無人のホテルの一室で、鎌田は荒い息を整えていた。
「無人」というのは、この部屋のことではない。この世界には、鎌田以外の生物は存在しないのだ。
彼が今いるのは、ミラーワールド。「龍騎の世界」のライダーだけが入ることを許される、鏡の中の異世界だ。
鎌田は滝の手に込められた力がわずかに緩んだその隙を突き、拘束を逃れて窓ガラスからミラーワールドに飛び込んだのだ。

「だが、あの男ももう死んだ……。所詮は無力な人間だったということ……。
 勝ち残るのはこの私だというのは、揺るがない事実だ……」

鮫を模した仮面の下で、鎌田は醜悪な笑顔を浮かべる。

「それにしても、妙だな……。先程から体力が回復するどころか、かえって疲れているような……」

先程も述べたように、ミラーワールドは「龍騎の世界」のライダーしか進入できない世界。
いわば、専用の安全地帯だ。
そんなものを、主催者がただで使わせるはずがない。
実はカードデッキに施された細工により、ミラーワールドでは変身による体力の消耗が加速するようになっているのである。

鎌田がそれに気づくのは、果たしていつか。時は、刻々と流れていく。


【一日目・深夜/B-2・ホテル3階(ミラーワールド)】
【鎌田@仮面ライダーディケイド】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、仮面ライダーアビスに変身中
【装備】アビスのデッキ@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
基本:最後の一人まで勝ち残る。
※第7話終了時点からの参戦です。



「こ、これは……」

ホテルに到着した甘寧は、戦慄に顔をこわばらせていた。
鮮血の海の真ん中で倒れている男……すなわち滝を見つけたのである。
甘寧は特定の事柄については異常な面を見せるが、基本的には常識人である。
倒れた男を見て「くそっ、一番乗りを逃したか!」などと悔しがることはせず、すぐさまその生死を確かめにかかる。

「ひどい怪我だが……。まだ生きているのか……」

滝にとって幸運だったのは、地面に激突するまでヘルメットが外れなかったこと。そして激突した後にヘルメットが外れたことだ。
前者がなされなければ、滝は生身のまま地面に叩きつけられ間違いなく絶命していただろう。
そして後者がなされなければ、仮面ライダーに課された疲労の蓄積という制限により彼は衰弱死していただろう。
その点を問題にすれば、滝は非常についていた。
だがそれでも、即死を免れたというだけ。ライダーマンの強化スーツに守られていたとはいっても、彼の体は瀕死の重傷を負っていた。
このままでは、遅かれ早かれ滝は死に至る。だがやはり、彼は幸運だった。
ここで彼を発見したのが、甘寧だったのだから。

「これ、ちゃんと効果は確認してないけど……。今は一刻を争う事態だし……。
 どうか説明書きに嘘がありませんように……」

祈るように呟きながら、甘寧は自分に支給された液体を滝に飲ませた。
それはファウードの回復液。いかなる負傷も治してしまうという代物だ。
そんな貴重な物を見ず知らずの他人に使用してしまうことに、甘寧は一切のためらいを見せない。
それが武将・甘寧という男なのだ。
回復液を飲まされた滝は、次第にその顔色がよくなっていく。全身各所に着いていた傷も、次々とふさがっていった。

「よかった、ちゃんと効果がある薬だったんだ……」

滝が助かりそうだと判断し、甘寧は胸をなで下ろす。

「さて、どうしようこの人……。こんな所に放置しておくわけにもいかないし……。
 とりあえず建物の中で休ませようか。目が覚めたら、メアリーのことを知らないか聞きたいしね」

大柄な滝の体を軽々と背負うと、甘寧はホテルの中に入っていった。


【一日目・深夜/B-2・ホテル1階】

【滝和也@仮面ライダーSPIRITS】
【状態】気絶
【装備】なし
【道具】支給品一式、ライダーマンヘルメット@仮面ライダーSPIRITS、不明支給品0~2
【思考】
基本:殺し合いには乗らない。
1:弱者を守る。


【甘寧@中華武将祭り】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
基本:メアリーを取り戻す。
1:滝が目を覚ましたら、話を聞く。
※呂布軍と交戦している時期からの参戦です。


Back:罪と罰 時系列順で読む Next:ドジッ子ってリアルでやられるとうざいんだよね
Back:罪と罰 投下順で読む Next:ドジッ子ってリアルでやられるとうざいんだよね
GAME START 鎌田 Next:
GAME START 滝和也 Next:
Back:北郷軍の猛将たち 甘寧 Next:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年03月23日 12:29
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。