「どうして……」
広い広い劇場のコンサートホール。その真ん中に私は立っていた。
天井のシャンデリアが輝きを誇るように悠々と存在している。
そこから放たれる光がシャンデリアによって散乱し、辺りを美しく照らす。
そして、普段なら観客がいるであろう客席には人が誰一人とて存在しない。
「リムちゃん……」
プリムラ――リムちゃんは神界と魔界の共同プロジェクトにより作り出された人工生命体。
その実験により感情があまり表に出せず、口数が少なく無表情になってしまった。
それも、稟様の力添えに加え同じ家で過ごしていくうちに少しだけではあるが明るくなった。
……それなのにあの人は……ッ!
「リムちゃんに罪は何一つないでしょう、殺す理由も!」
ひどいことに名簿には稟様……それにシアちゃん達も載っていた。
なら私のすべきことは何か?決まってる。
魔界の姫として、一個人のネリネとして、こんな
殺し合いに乗らないで他の参加者と協力すること。
そして一刻も早く稟様達と合流すること。
だから。
「まずはここから動きましょう」
行こう……絶対に皆と一緒に生きて帰るんだ。
さてまずは「誰か人はおるか?ってあんたちょうどいいとこにおったわ。少しええか?」
いきなりドアを蹴破ってきたこの男の子。
……まずはこの子への対処ですね。さて、どのように対処するべきか。
◇ ◇ ◇
「そうか、あの最初のホールで死んだ姉ちゃんはネリネ姉ちゃんの知り合いだったんか……
何つーか、その……」
「大丈夫です、一応の区切りはつけましたから。でも、郷田真弓を……赦すことはできません。
然るべき罰を受けてもらいます」
私と話しているやんちゃそうな男の子――犬上小太郎君。
ぼさぼさの髪に頭につけている犬耳?が特徴のかわいらしい男の子だ。
なんでも相談したいことがあるそうで、
周りに危険がないか確かめるのと同時に人がいないかとこの劇場を周っていて、
そして私を見つけたということだ。
今は小太郎君と軽い情報交換をしている所だ。
「いったい何なんですか、相談したいことって?」
「うーん、まぁ……見ればわかるで。まぁ後についてきてくれへんかな?」
いったい相談したいことって何なんでしょう。
とりあえず私は小太郎君についていきこのホールから出ることにした。
見た感じ嘘はついていなさそうですし。
「すまんな……説明してもたぶん信じてもらえないと思うんや。
だからわざわざネリネ姉ちゃんに来てもらうことになってもうて……ほんまに申し訳ないわ」
「気にすることありませんよ。困ったときはお互い様です。だから小太郎君もそんな顔しないで下さい」
しゅんとして落ち込む小太郎君を励ましながら私達は少し薄暗い廊下を進む。
しかし豪勢ですね、この廊下。内装が無駄に凝っていますし。
今、私達が歩いている床にひかれているさまざまな模様の絨毯。
先程少し触ってみたのですが私の家にひかれている絨毯と同等の価値がありそうです。
装飾品として置かれている壺に壁に立て掛けられている絵画も同様に。
主催者は何を考えているのでしょう。こんな無駄なことにお金をかけても意味はないでしょうに。
「小太郎君」
「何や、ネリネ姉ちゃん」
「小太郎君はこの劇場を一通り見て周りましたか?」
「あ~、俺もこの辺は大体周ってみたけどな……どうやら俺が周った所はほんの一部らしいんや。
近くにあった案内板も見たけど他にも映画館や演劇のホールとかもあるらしいで。
後で案内板までつれていったるから見たらええ」
映画館に演劇ホール!?ますます何を考えているかわからなくなりましたね。
そんなのを作る程の余裕のある主催者…………果たしているのでしょうか?
可能性としては魔界や神界の貴族によるクーデター?
いや、それだったら私とシアちゃんだけをさらえばいいこと。
小太郎君みたいな小さな子を巻き込む必要などないはずだ。
それにわざわざ殺し合いをさせることもない。
身代金、王の退位を求めるならばただ脅せばいいだけのこと。
……解せませんね。
「ここや……さあはいるで。さっきも言ったけどな、見ればわかる」
「は、はい」
どうやら考え事をしているうちに目的の場所に到着したようだ。
小太郎君の相談したいこと。それは何か。
ドアの向こうに見えたのは――――
お菓子を食べてご機嫌な女の子だった。
………………え?こ、これは一体?
「お帰りー小太郎君。誰かいたーって、うわ!この子耳とんがってるよ。すごい子見つけてきたね!
さすが小太郎君。ねーあなた名前は?」
「ネ、ネリネです」
な、何なんでしょう。この天真爛漫な女の子は?
「へー、名前からして外国人なんだね。すごーい。おおっ!耳とんがってるよ、耳!!
ネリネー、触ってもいい?」
耳?魔界と神界が人間界と交流を持ってからはそんなに珍しいことではないのでは……
変ですね、まるでこの子は初めて見るような目で……きゃっ!
「うーん、見た目は全然違うのに触り心地は同じなんだねー」
「ひゃっ!ちょ、そんな所を!」
「あー、その辺にしときや、くりむ姉ちゃん。ネリネ姉ちゃんも恥ずかしがってるやないか」
「むー、仕方ないなー」
ふぅ、ここに来るまでの私の心配は何だったのでしょう。
しかし、このくりむという女の子、いったい何歳なのでしょうか。
もしかしてこれが相談したいことなんでしょうか……ありえますね。
「あー!くりむ姉ちゃん、それは俺のデイバックに入っていたお菓子セットのかっぱえびせんやないか!
何勝手にあけて食べてんねん。さっきうまい棒セットをあげたばかりやないか!」
「だってお腹が減ったんだもん!」
言葉がでないとはこのようなことを指すんですね。
ここが『殺し合いを行う島』だというのに呑気にお菓子を食べている女の子を誰が想像できましょうか。
普通は考えつかないでしょう。
「だからこれは万が一のために食べちゃだめだって言ったやん!何で食べるん?あほちゃうんか!」
「そこまで怒らなくてもいいじゃん!お菓子食べるくらいいいじゃん!」
このやり取りといいあの子はこの催しが殺し合いだと……
「小太郎君、少し聞きたいことがあるのですが」
「あのなー!ってなんや、ネリネ姉ちゃん。今取り込み中やから後にしてくれへんか?」
「いえ、重要なことなので。まさかくりむちゃんは殺し合いのことを理解してないんじゃ」
「そのまさかや。つーかこれが相談したいことなんや。それにくりむ姉ちゃん、
あの最初のホールでの『アレ』みてないらしいんや」
さて、どうするべきか。
一つ目の選択肢――このまま何も知らせずにいるか。
だが、いつかはこれが殺し合いの舞台だと気付いてしまう。
二つ目の選択肢――今手っ取り早く真実を教えてしまうか。
しかし、本当のことを話したとしても信じてもらえるのだろうか。
とりあえず今は。
「おーなーかーすーいーたー」
くりむちゃんをおとなしくさせよう。
【B-1/劇場/一日目/深夜】
【ネリネ@SHUFFLE!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、確認済み不明支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1: 桜野くりむをおとなしくさせる。
2: 知り合いとの早期の合流。
【犬上小太郎@魔法先生ネギま!】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、、お菓子セット@現実、確認済み支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:桜野くりむをおとなしくさせる。
2:那波千鶴との合流。他は後回し。
【桜野くりむ@生徒会シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、確認済み不明支給品1~3
[思考]
基本:????
1:お腹が減った。
2:ここどこ?
※殺し合いのことを理解していません。
【お菓子セット】
バラエティ豊かなお菓子の詰め合わせ。
最終更新:2010年02月07日 15:44