「はぁ……」
殺し合い?何だよそれ?それは冗談で言っているのか?
「冗談なわけないだろうがー、このバカ犬―」
うるせえ、頭の中にまで出てくんな優希。お前はお呼びでないんだよ。
どうせ罵倒されるんなら……
「冗談なわけないじゃないですか、本当に須賀さんはバカな犬みたいですね」
………………やっぱ和だな。あ、もちろん衣装はボンテージな。
あの胸を強調するのにはうってつけの服だしな。実にすばらしい、うん。
優希?あれはだめだ。胸ぺったんだし。
ってそんなこと考えてる場合じゃねえ!
殺し合いが本当だとしたら俺……
「終わった……」
無理無理生き残れるわけないって。そもそも何で俺が?
あくまで俺は普通の男子高校生だぞ。でも、あの場所には学生がほとんどだったな。
だったら俺にも少しは可能性が……
「何考えてんだよ、俺!あの最初のホールには咲達もいたじゃねぇか……」
そうだ。このよくわからん殺し合いには咲や和も巻き込まれている。
名簿を見ると部長に優希も巻き込まれているようだ。
なぜか染谷先輩だけがいないことに不思議を覚えたが。
「殺せるわけないだろうが!一緒の部活の仲間を殺して帰ったって全然うれしくもねえよ!
ふざけんじゃねえよ……」
他の赤の他人ならともかく、仲間を殺す覚悟なんて俺には無い。
持とうと思っても俺には持てない。
よし……とりあえずいろいろと整理しよう。
俺の名前は須賀京太郎。清澄高校の麻雀部一年。
自分のことはちゃんと覚えていていつでも説明できる。
さっきまで俺は地区大会の会場にいたはず……。
だけど、どうやってさっきのホールに運ばれたか全く記憶がない。
それにこんな何処ともわからない島にあれだけの大人数をどうやって移動させた?
しかも、この変な殺し合いについてもだ。
警察にばれずにこんな大掛かりに出来るものなのか?
さっぱりわかんねぇ……
「とりあえず、ここから動こう……動かないと何も始まらねぇよ」
俺が今いるのは島の端っこに位置する港。視界の先には真っ暗な果ての見えない海。
ひとまずは「動かないで」……っ!
背中にあたるのはなんか細長い丸いようなって、おいいいい!これまさか……
「妙なことをしたら撃つ。あなたは私の質問に答えるだけでいい。
それ以上の動作は何も許さないわ。命が惜しいのなら黙って従って」
拳銃うううう!撃つって事はやっぱ拳銃だよな!おいおい、いきなりバンッとか嫌だよ!
まだ和の胸も堪能してないってのに。あくまで予定だが。
つーか、こいついやに冷静じゃね?普通怯えるもんじゃね?
「質問一、貴方は他の参加者と会ったか」
どう答えるべきか。嘘でもつくか?誰かと会いましたなんて。
いや駄目だ、ついても何のメリットもない。万が一ばれた時のことを考えたら恐ろしい。
「い、いや誰ともあってない。あんたが初めてだ」
「そう……、質問二。この会場から脱出する方法を何か知ってる?」
ここが正面場だな。これは別に嘘をついても直ぐにはバレない。
バレたとしてもいくらでもごまかしようが聞く。
狙うはリスクの一番低い返答。ローリスクローリターン。
なら。
普通に知りませんと答えればいい。
ああ、そうだそうしよう。それが一番安全だ。
いやいやいやだめだ、考えろ!簡単に即決は駄目だ。
慎重に、慎重に!場を見るんだ。麻雀でもそうだろうが!
だけどっ!これはいつも仲間内でやってる麻雀のような楽しいもんじゃない。
バトル・ロワイアル。
ちょっとのミスが死につながるゲーム。合理性も何もない不合理なギャンブルのようなもの!
俺の常識、社会の法じゃあ縛れない恐怖のゲームッ。
考えろっっ!!!!
場は相手側の圧倒的有利な状況。殺し合いに乗ってるかすらわからない。
麻雀でいうリーチが掛かってる状況。
対する俺は何の安牌もない。
当たり牌は俺の命。ハズレは俺の安全。いやどれを選んでももしかしたら……。
後ろから突きつけられている感覚が俺の恐怖を捲くし立てる。
いや、安易に信用するな、人を……!こいつは乗っている前提と考えるんだ!
その上での返答。相手の側になって考えるっ!
俺が相手なら…………どっちにしても殺す。
だめだあああああああああああああああああ!どう考えても死ぬううううううううう!
「どうかしたの?震えて声が出せないの?そうだとしたらとんだ臆病者ね」
むっ……。
震えて悪いか!こわくて悪いか!俺はただの学生なんだよ!
臆病者で何が悪い。がたがた震えて……。
腹立ってくんな。
畜生、畜生、畜生!
……やめだ。もう。
俺さっき考えたじゃん。ここでは常識が通用しないって。
ここは……バトル・ロワイアルだろう!!!!!
俺は確かに臆病者だ。情けなく震えもする。
だけど、臆病者にも意地があるんだよ!!
そうだよ。今、自分の身を賭けないでいつ賭ける!
ここで安牌を切ってもいつかまた同じような状況が必ず来る。
この島にいる限りは。だったらいまローリスクでも意味がない。
もう、いい。怖いとか。死にたくないとか。どっちにしても死ぬ時は死ぬ。生きる時は生きる。
覚悟はした!
模索するんだ、この場を俺の勝利とするために。
狙うのは……逆転リーチの一発ツモ!
ハイリスクハイリターン!
俺は……生きてみせる!
策は…あることはある。俺に配られた支給品を使えば何とか。
だけど、それを使うには少し時間がかかる。
なら!
「知ってる……この殺し合いを脱出する鍵を俺は知っている」
「なら、その鍵とやらについて教えなさい」
トコトンハッタリかまして、時間を稼ぐしかない。
頭の堤防ならもうとっくに外れた。嘘を付くことに戸惑ももうない。
「その前にそれをおろしてもらえないか」
「それはできない相談ね。なにせこれを下ろしたら貴方が襲いかかってくるかもしれないし」
まだだ……もっと稼げ、須賀京太郎!
「まぁ、待てよ。俺としては背中にあたってるそれが怖くてね。これがある限りは話せないな」
「……!?」
そう、この受け答えで相手が短気であったなら俺は即座にズドンっと撃たれる。
そこで俺は終わりだ。その場合はそこまでだったということだ。
だけど、理性的な奴なら話は別だ。
それなら与し易い。
さあ!どう来る!
「貴方はこの状況を理解しているの?この場の主導権を握ってるのは “私”、あなたじゃない。
だったら、素直に言う事を聞いておくのが身のためだと思うけど?」
「ああ。理解した上で言っている。つーか、あんたに怯える必要もない。だってさ……」
……準備は整った。この場を切り抜ける策も。後はそれを実行するだけだ。
「この場の主導権を握っているのは“俺”なんだからな」
そう言って俺は、準備していた“あるもの”を発動させる。
「っ!」
眩い光が辺りを照らす。
そして。
「もういいわ、死になさい」
銃弾が“俺”を貫いた。
◆ ◆ ◆
三枝葉留佳。名字こそ違うが実の妹だ。
あの子は私を恨んでいる。いや、恨んでいたとでもいうのだろう。
家庭の事情で無理矢理にでもいがみ合わなきゃいけない関係になって。
私はあの子にひどいことをし続けた。
でもそれを止めることはできなかった。
私が弱かったというのもある。周りがそれをさせてくれなかったのもある。
それでも!
結局、二木佳奈多は三枝葉留佳を傷つけたことにかわりない。
でもそのことについて悩むのももう終わり。
全ては解決して。葉留佳とも仲直りをして。
嬉しかった。また葉留佳と一緒に話せて。手を繋げて。優しくできて!
それに葉留佳に恋人もできた。
直枝理樹。私がやらなくちゃいけなかった葉留佳の心を開くのに頑張ってくれた。
今まで辛かった文私達に幸せがやっと……!
そんな時にこれだ。
名簿にはきっちり『三枝葉留佳』、『直枝理樹』、『二木佳奈多』見事に三人揃い踏みだ。
ふざけるな……
ふざけるなああああああああああああああああああああああああああ!
どうして葉留佳をこんなことに巻き込む!
巻き込まれるなら私だ、二木佳奈多だ!
償えない大罪を犯した私だけだっ……!
……。
…………。
決めた。
私はこのゲームに乗ろう。直枝理樹、三枝葉留佳以外の全てを皆殺しだ。
戸惑いはない。大事な妹の幸せを守るためなら安いものだ。
殺す前には一応、誰かと会ったかとか、脱出方法があるかとか聞いてもいいだろう。
信憑性がある脱出方法ならそれに乗っても構わない。
それがないなら殺すだけだ。
幸いにもデイバッグには武器である銃が入っていた。
IMI ミニウージー。当たりだ。これで私は葉留佳を守ることができる。
そして早速私は人を発見した。一見どこにでもいる男子高校生のようだ。
こっちは銃を持っている。楽勝だ、と。そうさっきまで思っていた。
「何なのよ、これはっ!」
私は確かに銃の引き金を引いたはずだ。それなのに。
「おいおいどうした、どこを狙ってるんだよ」
なんで生きてるのよ!見た感じ、全身血だらけで立っているのがやっとなはずなのに。
いや、違う。死んでいるはずだ。私は確かにあの男子高校生の背中を撃った。狙いに間違いもない。
「もっと、来いよ。楽しませろよ。なあああああああああああああああああああああああ!」
凄惨に、口が三日月のように見えるくらい嗤いながら。来る。やってくる。迫ってくる!
「来るなぁ、来るなあああああああああ!」
即座に私は空になったマガジンを取替え、迫って来る男に対して撃ち放つ。
トトトトトンと小刻みな音とともに銃弾は男に当たる。
男は血を口から吐きながら倒れ、もう起き上がってこない。
そうだ、もう死んだ。死んだんだ!起き上がってくるわけがない。
それなのに……っ!
「何で起き上がってくるのよぉ……」
「何でってそれはさぁ……」
「お前を殺すためにきまってんだろおおおおおおおおおおうがああああああああああああああああああ!」
「う、ああ、あああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないっ!
「ぁ――――」
だめだ。
私――――
死んじゃった。
◆ ◆ ◆
ふう、終わったか。目の間で白目を剥いて倒れてる女の子を尻目に俺は女の子が持っていた銃を俺のデイバックに移し替える。
「武装、解除。どうやらうまくいったみたいだな」
俺の作戦は簡単だった。
学生服の内側に仕舞っていた、六角形の金属を使っただけ。
説明書には核鉄と書かれていたが。
名前はアリス・イン・ワンダーランド。
どうやらこれは相手にあらゆる幻覚を見せることができるらしい。
最もチャフが辺りに広がらないと大した効果が得られないのだが。
あのハッタリはその時間稼ぎだったというわけだ。
「悪いけど、殺し合いに乗ってる人を助けるほど甘ちゃんじゃないんだ、俺は。
誰か優しい人に拾ってもらえることを祈るんだな」
せめてもの情けにデイバックから盗ったのは銃だけにしておいた。
一応、ナイフらしき物がまだ入ってたから最低限の自己防衛はできるだろう。
「さてどこに行くかな……」
俺はこんな所で終わってなんかやらない。
必ずみんなで。麻雀部全員無事に帰るんだ!
【H-10港 /1日目 深夜】
【須賀京太郎@咲-Saki-】
【装備】:アリス・イン・ワンダーランド@武装錬金
【所持品】:支給品一式、IMI ミニウージー(32/32)
【状態】:疲労(小)、興奮(大)
【思考・行動】
1:みんな無事に帰る
2:目的地は?
【二木佳奈多@リトルバスターズ!】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、ナイフのような物?
【状態】:疲労(大)、精神疲労(極大)、気絶
【思考・行動】三枝葉留佳の幸せのために殺し合いに乗る
1:……
※三枝葉留佳ルートEnd後からの参戦です
【アリス・イン・ワンダーランド@武装錬金】
Dr.バタフライのチャフの武装錬金。特性は知覚の麻痺と撹乱。チャフを密集させる際、背中に蝶の羽根の様に集合させる事もできる。蝶サイコー!また、足元に集合させたチャフの上に乗り、宙に立つことが出来る。水気を付着させることで霧を発生させることも出来る。本ロワでは制限によりあまり広範囲には飛ばせなく効果も抑えられています。
【IMI ミニウージー】
ウージーの小型版。
最終更新:2010年02月14日 12:22