63話「お早い立ち直りで」
E-2にある年季の入ったラブホテルの屋上に、私――
伊賀榛名と、
フラウちゃんは放送を聞くために上がった。
ホテルの個室は完全防音機構だから放送を聞き逃す恐れがあるからね。
所々錆が浮き出た思い鉄製の扉を開けると眩しい光が差し込んできた。
「うおっ眩し」
「ずっと薄暗い部屋の中いたからね…」
眩しさに目がくらみ手を翳す私の隣で心無しかやつれて見える黄金色の毛皮を持った狐娘、フラウちゃんが言う。
屋上は周囲を錆びた金網で囲まれ、これで本当に稼働しているのか疑問に思える程古びた室外機や配電盤が設置されている。
何か端の方には壊れたテレビや冷蔵庫なんかのゴミが積まれてるし、このホテル本当に古いのね。
そんな感じで屋上の様子を見回していると、突然どこからか大音量のサイレンが聞こえてきた。
「うわ、何!?」
「あ、もしかして放送…?」
サイレンが鳴り終わった後、主催者である
セイファートの声が聞こえてきた。
フラウちゃんの言う通りさっきのサイレンは放送の合図みたい。
そしていよいよ
第一回定時放送が始まった。
そして放送が終わり、再び大音量のサイレンが鳴り響く。
セイファート曰く放送の前後にあのサイレンを鳴らすらしい。
いや、それよりも……。
「アヤちー…死んじゃったんだ……」
「あ、伊賀さん……」
放送で呼ばれた死者の名前の中に私のクラスメイトである「
中村アヤ」の名前があった。
ドジっ娘で運動神経ゼロで、でも私よりおっぱい大きくて可愛かった牛娘のアヤちー。
死んじゃったんだ……もうあの声も聞けないし、おっぱいも揉めないのね。
いや、それ以上に、純粋に悲しいなあ……。
「あ、ごめんフラウちゃん……」
「いや! いいのいいの! その…友達、だったの? やっぱり」
「うん……フラウちゃんは……確か何人か呼ばれてたけど……」
「そうね…太田君に、サーシャさんにシルヴィアさん……」
死者の発表ではフラウちゃんのクラスメイトの名前が三人呼ばれていた。
お互い、知り合いに関してはもう情報は交換し合った。
余り親しくは無いって話だけど、やっぱりちょっと悲しそう。
「ありがとう。フラウちゃんは優しいね、結構酷い事したのに、気遣ってくれるの?」
「…もう気にしてないよ。こんな時だもの…お互い様だよ」
「……」
あれ……何だか涙が……。
次の瞬間、私はフラウちゃんの胸に飛び付いて、泣いていた。
「……~~~~~っ……っ……」
「伊賀、さん……」
……ああ駄目だ、涙が止まらない。
しばらくフラウちゃんの胸を借りて泣かせて貰おう……。
私の胸の中で声を押し殺して泣いている黄色い狐族の少女。
つい一時間程前まで私にとても言葉に出来ないような性的悪戯をしてきた相手だけど、
今は、本当に普通の女の子に見える。
きっとこれが伊賀さんの素顔なんだろうな。
それにしてももう20人も脱落しているなんて、やっぱり
殺し合いに乗った人は多いのね。
前回の殺し合いの時もそうだったけど。
私のクラスメイト――特に親しい訳では無かったけど――も、三人死んだ。
思えばゲームが始まった直後ぐらいからずっと伊賀さんに捕まってたからなあ。
いよいよ本格的に脱出の手立てを考えないとマズイ。
何かコンピューターがあればもしかしたら首輪の管制システムをどうにか出来るかもしれないんだけど。
「ん…ありがとフラウちゃん、もう、大丈夫だよ。もう、平気」
涙を拭い、目を真っ赤にしながら伊賀さんが私から離れる。
気丈に振舞ってはいるけど精神的ショックは大きいように見える。
「…伊賀さん。私はこのゲームから脱出する手段を探そうと思うの。
でもそれには伊賀さんの協力も必要…お願い、一緒に頑張ろう、伊賀さん」
「うん、分かった…改めて、宜しくね、フラウちゃん」
「こちらこそ。伊賀さん」
朝日が照らす屋上の上で私、フラウと伊賀さんは改めて共闘を誓った。
「所で伊賀さんの支給品って……」
「私? これ」
「うわっ……」
伊賀さんがデイパックから取り出したのは映画なんかで見るような散弾銃。
「それとフラウちゃんを気絶させるのに使ったスタンガンね。
フラウちゃんは特殊警棒と、ロープだっけ?」
「うん…正直『無いよりはマシ』って感じだけど」
「大丈夫だよ。私が付いてるから……あ!」
突然、伊賀さんが何かを思い出したような声を上げた。
「? どうしたの、伊賀さん」
「うっかりしてた……」
「え?」
「ロープがあるなら、もっとプレイの幅が広がったのに!」
「…………」
伊賀さん、結構、大丈夫そう?
【一日目/朝方/E-2市街地裏繁華街ラブホテル】
【伊賀榛名@オリキャラ】
[状態]:健康、悲しみ
[装備]:モスバーグM500(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(30)、
スタンガン(バッテリー残り95%)
[思考・行動]:
0:殺し合いはするつもりは無い。但し襲われたら対処。
1:フラウちゃんと行動を共にする。
2:千穂ちゃんは生きてるかな……。
3:アヤちー……。
[備考]:
※フラウとお互いの知人についての情報を交換しました。
【フラウ@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的、精神的疲労(大)
[装備]:特殊警棒
[所持品]:基本支給品一式、ロープ
[思考・行動]:
0:殺し合いには乗らない。脱出手段の模索。
1:伊賀さんと行動を共にする。
2:パソコンが欲しい(出来れば高スペック)。
3:仲間を集める。
4:クラスメイトと合流する?
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※伊賀榛名とお互いの知人についての情報を交換しました。
≪支給品紹介≫
【モスバーグM500】
アメリカ、モスバーグ社が開発したポンプアクション式散弾銃。
非常にオーソドックスな作りで、元々は狩猟用だが各国の警察や軍隊からの需要も高い。
【スタンガン】
電気ショックを与える護身用具の一種。
フィクションの世界ではスタンガンで気絶させる描写が多いが、
実際には歩行困難にはさせるが気絶する事はまず無い。
但し本ロワに登場するスタンガンは改造を施され、気絶させる事も出来るらしい。
最終更新:2010年02月26日 18:14