森の中の湖の前で、一人の少女は立ち尽くしていた。
流れるような金色の髪を後ろに束ね、精巧かつ無駄な部分の無い鎧に身を包んだその姿は、見るものにおとぎ話の中の騎士を連想させるような凛々しさを感じさせた。
少女の名はアーサー・ペンドラゴン。
かの名高きアーサー王その人である。
「……」
少女は先程目を通し終わった参加者名簿をデイバッグに戻し、情報の整理を行っていた。
生き残れるのは一人のみ、優勝者への望みは思いのまま、そして『
セイバー』の名で名簿に載っている自身の名。
これではまるで、
「聖杯戦争…」
思わず声が出る。
聖杯戦争。
たった一人のマスターとサーヴァントが生き残るまで他のマスターとサーヴァントを倒し続け、最後の一組にはあらゆる望みが叶う願望器である聖杯を手にする事が出来る。
彼女もそんな聖杯を求めて、数多の英霊達の中から七体のサーヴァントの一体、セイバーとして顕現し戦いに身をささげた身である。
とはいえ、その聖杯の真実はまた違った物であり、彼女は聖杯を否定したのではあるが。
だがこの殺人遊戯が聖杯戦争とは別物だという事実はすぐに理解できた。
聖杯戦争とは比べ物にならない数の参加者、自らの首に嵌められた首輪、主催者と思しき少女に返り討ちに遭った幻想種らしき生物。
そして…
「切嗣、それに言峰…彼らが、何故…?」
名簿に名が載っていた、もういる筈のない人間の存在。
サーヴァント達の名があるが、それは今気にするべき事では無かった。自分もこの場にいる以上、他のサーヴァントが現界している可能性もゼロではないだろう。
だが、いやだからこそ、何故英霊でも無い彼らの名が此処に載っているのか。
かつてぶつかり合い、何一つ彼の苦悩を理解出来なかったまま離別した男。
聖杯戦争の裏で様々な画策をし、最後には立ち会っていないものの、確実に死んだ筈の男。
その彼らがこの
殺し合いの会場にいるかも知れないという。
つまりあの主催者は、自分達の破壊した紛い物等ではない本物の願望器を持っているのかも知れない。
自分の夢を叶える事の出来る、真の聖杯を。
「…だが、例えそうだとしても、私の進む道はもう決まっている。」
彼女は教えてもらったから。
自分は王である前に、一人の人だと言うことを教えてもらったから。
だからこそ、今の彼女は王としてではなく、一人の人として考え、行動する道を選んだ。
この殺し合いに反逆し、人々を守りながら主催者と戦うという道を。
おそらくあの男が聞けば、また自らの正義に酔っている英霊様の戯言、等と罵られるかもしれない。
だがそれでも良かった。
この道はアーサー王の選んだ道でも、セイバーのサーヴァントが選んだ道でもなく、アルトリアと言う名の一人の少女が選んだ道だと胸を張って言い返してやろう。
そして、かつての事を謝罪し、彼や凛、そして士郎達と力を合わせ必ず主催者を倒す。
そう決意し、早速出発しようとデイバッグを抱えて後ろを振り向き――
白い、悪魔と目が合った。
(――ッ!!)
本能的に危機を察知し右側へと飛び跳ね、直後にセイバーが立っていた場所に凄まじい速度で悪魔の手が振り下ろされていた。
すぐに体性を整え、デイバッグから支給品として配られた剣を取り出し構える。
「ハッハッハァ、いヤお見事お見事、あの奇襲をかわしてすぐ様臨戦態勢と来たもンだ、ただの人間だッたら今ので終わッてたゼ。」
対してセイバーに攻撃を仕掛けてきたのは、悪魔ではなく人間だった。
人間は、構えもせずにセイバーへの賞賛の言葉を贈る。
白い髪に白い肌、一見すると女にも見えるし男にも見える中性的な体つき。
そして、獲物を見つけた獣の様な赤い瞳が印象的だった。
その異様なまでの殺意と、先程の攻撃でセイバーは確信した…殺し合いに乗っている、と。
「…私の名はセイバーと言う、貴殿の名は。」
「アァ?何だァいきなり」
「決闘の前には互いの名を伝え合う…騎士の礼節だ。」
「…アァそうかい、勇ましい姉ちゃンヨォ、生憎と俺様は騎士なんかじゃないんでね。」
「そうか」
「アア、そうだぜ、だからまぁ…さッさと死ねや、時代錯誤の騎士さんヨォ!!」
それだけの会話を交わして、再び迫り来る悪魔の腕。
だが、
(確かに凄まじい速度だが…動きが単調だ!)
その一撃を避け、今度はセイバーが反撃に移る。
持っていた剣に力を込め、隙だらけとなった相手へと必殺の一撃を叩き込まんとして、
ダン!と相手が突如自身の足を地面に叩き付けた。
一瞬疑問が浮かぶも、構わず頭へと剣を振り下ろそうとしたが、
「…!?」
それを迎え撃つかの様に、地面の砂や石が突如凄まじい速度でセイバー目掛け殺到した。
咄嗟にセイバーは剣で自分の顔を防御したが、砂や石はまるでマシンガンの様にセイバーへと襲い掛かり、全身を痛めつけセイバーを吹き飛ばした。
「があっ…!」
予想もしなかった形での反撃を食らったが、セイバーはそれでも倒れず、すぐに体勢を立て直したがその一瞬だけでも向こうには十分だった。
セイバーが再び臨戦態勢をとった時には、すでに相手はセイバーの目の前まで来ていて―――
セイバーは咄嗟に降ろしていた剣を振り上げたが…なんと剣は、相手の身体に当たったと思った瞬間に根元から折れた。
「そんな…!?」
だが相手はそんな事も意に介さず、驚愕に染まるセイバーの顔を鷲掴みにして、凶悪な笑みを浮かべた。
「まァこンなもンさ…アばヨ、騎士様」
そして耳元で悪魔が囁くと同時に、セイバーの意識は永遠に途絶えた。
周辺は、巻き散らかされたセイバーの血によって真っ赤に染まっていた。
湖の近くには、全身の血を逆流させられ、無残な姿と化したセイバーの身体が横たわっていた。
だがその中において、さっきと全く変わらない色合いを保っている存在が一つだけあった。
「お前も運悪ィよなァ」
その存在はセイバーのデイバッグの中身を自分のデイバッグへと移し変えると、悠々とこの場所を後にすべく歩き出した。
「最初に俺に遭わなきゃ、結構生き残れただろうにヨォ」
ある世界に、常に超能力の開発を行っている学園都市と呼ばれる街がある。
そこではレベル0(無能力者)からレベル5(超能力者)までの五段階までのランクがある。
その中でもレベル5は230万人の生徒を抱える学園都市にも7人しか居らず、一人一人が圧倒的な力を持っているのである。
その中でも、突き抜けた頂点と言われる存在、レベル5第一位。
ありとあらゆるベクトル(向き)を変える事が出来、自分への攻撃は全て自動反射、指一本でも触れれば相手を抹殺も出来る、学園都市最強の能力者。
名前も、性別すら解らないこの存在は、いつしか自らの能力名…一方通行(アクセラレータ)と呼ばれるようになったという。
「さァッてまずは、いるかわかンねェがあの最弱でも探すか…この俺に楯突いた事がどういう事か、たッぷり教エてヤらなくちャアな」
そう呟き、観る者全てに恐怖を与えるようなおぞましい笑みを浮かべながら学園都市最強の存在は、闇の中へと消えていった。
【セイバー@Fate/stay night 死亡】
【残り71人】
【B-6/森/一日目/深夜】
【一方通行@とある魔術の禁書目録】
[状態]: 健康
[服装]: 私服
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×5
[思考]
基本:皆殺し
0: この場を移動する
1: 上条当麻(名前は知りません)は必ず殺す
[備考]
※原作3巻からの参戦です。
※B-6/森の湖にセイバーの死体と、折れたフランベルジェ@とある魔術の禁書目録が放置されています。
最終更新:2010年02月25日 13:39