「ちょっと、さっさと先に進んでよ!」
「文句を言うな、これで精一杯の速度なんだ!」
「だから私が先に行くっつったじゃない、このバカ!」
「ば、馬鹿だと!?馬鹿っていったほうが馬鹿なんだぞ、この馬鹿!」
「うっさいバーカ!クリのバーカ!」
「~~!うるさいバーカ!ロゼのバーカ!」
……さて、冒頭からいきなりボキャブラリーに乏しい罵倒合戦を繰り広げるは、二人の少女。
前を行く少女は日本の学生服に身を包んだドイツ人の少女、クリスティアーネ・フリードリヒ。
後ろから着いて来るは修道服を改造したかのような、やや扇情的な格好をしたシスター兼修道騎士、ロゼット・クリストファ。
彼女達が共に持つ黄金に輝く髪と凛とした瞳は、見るものを魅了する…筈なのだが、この
殺し合いの場においてあまりにも低次元の口喧嘩を繰り広げるその様は呆れを通り越して失笑物である。
さらにここは一本道の洞窟の中で、こんな所で大声を上げている事がどれほど危険な事なのかは言うまでも無いのだが、それでも二人の口論は止まらない。
二人はこの会場に飛ばされてすぐに出会い、互いに主催者に反抗する意を明かし行動を共にする事を決めた。
そして互いの情報、支給品の交換などを行いながら周囲を探索していた所、この洞窟を見つけたのだ。
最初はクリスが一人で進入し、ロゼットが入口の周辺警戒を行っていたのだが、洞窟が別所へと繋がっているらしく、二人で内部に入る事にしたのだが…
「奥がこんなに狭いなんて聞いてないわよ!本当にこれどっかに繋がってんでしょうね!?」
「フン…それは間違いない、この奥から風が吹いてきているし、この洞窟はどこかの地点と連結している筈だ。」
「…でもこんだけ狭いって事は、人が通れるとは限らないんじゃない?」
「…あ」
ロゼットはこめかみに青筋を立てながら、思わずクリスと交換して手に入れたショットガン、べネリM3を取り出した。
「な・に・が・…あ、よ!やっぱりあんたバカだわ、このバカ、バカクリ!クリバカ!」
「な、なんだと!それを言うならお前だってここまで進むまでその事に気付いてなかったんじゃないか!人の事いえる立場じゃないだろう!あとその銃しまえ何する気だ馬鹿!」
「うっさいわね!あんただってあたしの上げた剣腰に付けてるじゃないの!このバカ!アホ!トンチンカン!!」
「なんだとこのバカ!バカ!バーカ!ロゼバーカ!」
もはや口論にすらなっていない口喧嘩をしながらも奥に進む二人だったが、突如前方を歩いていたクリスが何かにぶつかった。
ぶつけた鼻先を片手で押さえながらクリスが前側を確認した所、行き止まりになっている様だった。
「…行き止まりだ」
「…もう罵倒する気も失せたわ…。」
さすがに少しバツが悪そうにするクリスを尻目に盛大にため息を吐きつつも、ロゼットは一つ考えが浮かんだ。
「ねぇクリ。」
「な、なんだロゼ?いや、確かに行き止まりだったのは事実で、この件に関する非は私にあるかも知れないが…」
「いや、そうじゃなくってさ、風穴があるのよね、そこ」
「?ああ、確かに少し外に繋がる穴は空いてるが、拳一つ分程の穴だぞ、とてもじゃないが通れん」
「いや、それで十分。」
そう言うとロゼットはデイバッグからおかしな像を取り出すと、前のクリスに渡した。
「?これは確か支給品の…ハニワ?」
「これをその穴に入れて!」
「…!そうか、だが大丈夫か、例え成功してもこれが原因で近くに居る参加者達に自分達の居場所を知らせてしまうぞ。」
「さっきバカバカ合戦をしといて、今更そんな事言うんじゃないわよ。今更来た道戻るほうがよっぽど危険じゃない。」
「そ、それは…よし、分かった、少し下がっていてくれ。」
手乗りサイズのハニワを穴に詰め、クリスも後ろ側に下がりながらデイバッグから鉛筆を一本取り出す。
「ちゃんと当てなさいよ。」
「心配するな、投擲にはそれなりに心得がある。」
それだけ言うと、クリスは無言となり、真っ直ぐ穴へと視線を固定した。
そして狙いをすまし…穴に詰めたハニワに向かって鉛筆を投擲した。
一直線に飛んで行った鉛筆は、ハニワの額部分へと勢い良く当たり、砕けた。
それと同時に、ハニワが一瞬で膨張し、そして爆発した。
ドグワアァァ!!という大きな音が周囲に響く。
だが爆風そのものはそこまで大きいものではなく、離れていた二人の元に爆風が辿り着くことは無かった。
「ワーオ…まさか本当に爆発するとは驚きね。」
「ああ。正直こうして目の前で見るまでは疑っていたが…」
あのハニワに付いていた説明書きには『衝撃を与えると爆発します☆取り扱いには気をつけてね、はにほー』と書かれていた。
「どう?人一人通れるくらいの穴が開いてればいいんだけど…」
「少し待ってくれ、まだ煙が邪魔でよく見えない…。」
さて、所変わってここはA-1海岸の砂浜。
ここで潮風に身をゆだねている人物もまた流れるような黄金色の髪をしており、両脇に縛りツインテールにしている。
しかしその外観から感じ取れるものは決して幼い印象などではなく、むしろ母性を感じるような柔らかい印象を持っていた。
その人物の名はフェイト・T・ハラウオンという。
「なのは…それにスバルとギンガまで…」
フェイトに光を与えてくれた、最高の親友と、可愛い後輩達の名が名簿には記されていた。
彼女達は一人一人が数多に存在する次元世界を管理・維持するための特殊機関、時空管理局の中でも指折りのエース達である。
それゆえに、その実力は相当の物であり、かつ直前までは管理局内でメンバー解散のパーティをしていた彼女らをこの場に連れ去った主催者は何者なのか。
天才科学者、ジェイル・スカリエッティによる管理局地上本部の襲撃事件以降、以前にも増して厳重となったセキュリティを突破し、
かつ彼女に捕まった事すら気付かせずこんな殺し合いの場に連れ去った存在に、フェイトは正直、恐怖すら覚えた。
自らの子供の様な存在である、エリオとキャロの名が載っていないのは不幸中の幸いと言えるかも知れないが、それ以上にこの殺し合いに参加させられている参加者の数に驚いていた。
自分を含め72人もの人間が、こんな場所に連れて来られ、訳も分からないまま殺し合いを強制させられていると言うのだ。
しかも――
「…ナンバーズの…ドゥーエ」
スカリエッティの作り出した人造人間『戦闘機人』の一体が、参加者の名の中にある。
だが、このドゥーエは自分達機動六課のエースの一人、シグナムの目の前で命を落とし、遺体も自らの目で確認した。
生きている筈が無いのだ。
だがこの名簿にはその名前が載っている。
これは一体どういう事なのか。
同姓同名の別人という可能性もあるが、そんな安直な答えでは納得しきれない。
だがそもそも、このドゥーエがこの会場の何処にいるかも分からない。
となると、気にはなるが今はこの件については保留とするしかない。
そこまで考え、また別の事へと思考を移そうとしたが…
「…っさい!………カ!アホ!……ン!」
「なん…ーカ!ロゼバ…」
「…?」
潮風に乗って、誰かの声が聞こえてきた。
この場において、姿が確認できない位置から声が聞こえるほどの音量で喋っている所からして、この殺し合いを理解していないか、自棄になってしまったのかも知れない。
そう思い立ち、声のした方へと用心しながら近づいて行くと、そこは浜辺の盛り上がった壁だった。
「…?このあたりから声が聞こえたんだけど…」
周囲を注意深く見回すも、人影一つ見当たらない。
空耳だったかと思い、そろそろこの場から移動しようと歩き出し、
後ろの岩壁が、いきなり爆発して吹っ飛んだ。
「えっ!?」
不意を突かれた事態に、驚きの声を上げ、後ろを振り返る。
さっきまでただの岩壁だった所は大人一人が通れそうな大きな穴が開いており、もうもうと煙が立ち込めていた。
少しの間呆然としていたフェイトだが、洞窟内から物音が聞こえてくるとすぐに険しい目つきとなり、デイバッグから支給品の手裏剣を取り出した。
音はだんだん大きくなっていき、フェイトにも緊張が走る。
だが…
「げほっげほっ…おい、通れるようになったはいいが全身すすだらけになってしまったではないか!ウェッ、口の中に入った…」
「うっさいわね、他に方法無かったでしょうが、文句言うな!」
「それはそうだが、前にいた私はすすだらけなのに、後ろに居たお前は殆どすすを被ってないじゃないか…なんか不公平だ。」
「どっかの自称騎士様が勇ましく、「私が前衛を勤める!」なんて言ったからでしょうが…」
「おお、褒められたぞ」
「褒めとらんわ!」
洞窟から聞こえてきたのは、緊張感の欠片も無い口喧嘩だった。
臨戦態勢でいたフェイトは、途端に毒気を抜かれてしまった。
だがそんなフェイトの心情など露知らず、姿が見えてきた二人は未だに口論を続けている。
「だいたいロゼ、お前は…って、あれ?」
突如前方にいた少女が素っ頓狂な声を上げた。どうやらやっとフェイトがいる事に気付いたらしい。
「ちょっとクリ、後ろが使えてんのよ!さっさと出ろー!」
そう叫ぶや否や、突如フェイトと目が合っていた少女が盛大にすっ転んだ。
どうやら後ろの同行者に押されたようだ。
幸い地面は砂だったから怪我は無いだろうが、それにしても酷い扱いである。
「ふぅー、久しぶりの外の空気だわー…って、あれ、どちら様で?」
後ろにいたシスターの様な格好をした少女も、やっとフェイトに気付いた様だ。
そこでフェイトは二人に話しかけようとしたのだが、
「ロゼ、貴様ーー!よくもやってくれたなー!」
さっき弾かれた少女がお返しとばかりにとび蹴りを放った。
シスター少女は上手くかわしたが、あからさまに不機嫌そうな顔をしてまたもう一人の少女に食って掛かった。
「なにすんのよ、このバカ!」
「さっきのお返しだ、バカロゼ!」
「だったらこれは今のとび蹴りのお返しじゃこらー!!」
そう叫び、取っ組み合う二人を呆然と見ているフェイトだったが、このままではこの爆発を聞いた他の参加者たちが集まってくるかもしれないと判断し、まずは二人の喧嘩を止める事にした。
(やれやれ、エリオやキャロの時みたいに上手く止められるかしら…)
【A-1/海岸/一日目/深夜】
【ロゼット・クリストファ@クロノクルセイド】
[状態]: 疲労(小)、格闘中
[服装]: 修道騎士服
[装備]: べネリM3@現実(弾数40)
[道具]: 基本支給品一式、プチハニーの死骸×4@ランスシリーズ、不明支給品×1(確認済み)
[思考]
基本:殺しはしない、生き残る
0: おのれクリめ!
1: クロノ達との合流
2: クリスの知り合いを探す
3: ジェナイ、
アイオーンを警戒
[備考]
※修道騎士試験合格以降からの参戦です。
※クリスと支給品、知り合いの情報を交換しました
【クリスティアーネ・フリードリヒ@真剣で私に恋しなさい!】
[状態]: 疲労(小)、格闘中
[服装]: 川神学園制服
[装備]: 鋼の剣@ドラゴンクエスト天空物語
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2(確認済み)
[思考]
基本:騎士の誇りを貫く(主催者打倒)
0: おのれバカロゼ!
1: 大和達との合流
2: ロゼットの知り合いを探す
3: ジェナイ、アイオーンを警戒
[備考]
※ロゼットと支給品、知り合いの情報を交換しました
【フェイト・T・ハラウオン@魔法少女リリカルなのはStrikers】
[状態]: 呆然
[服装]: 管理局正装
[装備]: 手裏剣×8@現実
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×2
[思考]
基本:主催者の打倒
0: 二人の喧嘩を止め、場所を移動する。
1: 戦えない人間の保護
2: なのは達との合流
3: ドゥーエを警戒?
[備考]
※アニメ最終話~エピローグ間の参戦です
※A-1周辺に爆発音が響きました。
最終更新:2010年02月27日 21:05