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ずっとずっと一緒

81話「ずっとずっと一緒」


E-4市街地。

リーヴァイは四本足で息を切らせながら市街地を走り続けた。
愛する兄の姿を追い求め、襲われる危険すら顧みず。
ただ、大好きな兄に会いたい。それだけだった。
そして、次第にリーヴァイが感じる「それ」は強くなってきていた。

(お兄ちゃんの匂いがする…! 間違い無い…近くにいる!)

絶対に間違えるはずも無い、
大好きな兄の、銀色の人狼・ヴォルフの匂い。
それが、少しずつではあるが、間違い無く近付きつつあった。
リーヴァイが期待に胸を躍らせる。

(もうすぐだ…もうすぐ会えるんだ…! お兄ちゃん…!)



ヴォルフ、平池千穂、森屋英太の三人は、費覧、章高の死体を漁り、
それぞれの武器や使えそうな物品を失敬した後、
エリアD-2にあるホテルを目指し歩いていた。

歩いている最中、ヴォルフが心の中で思っていたのは、妹のリーヴァイの事だった。
水色と白の毛皮を持つ、天真爛漫な妹。
今、どこで何をしているのか、それとも、もう既に…。

(いやいや、悪い方向に考えるのはよそう)

リーヴァイはきっと生きている。もしかしたら今自分達が向かっているホテルにいるかもしれない。
しかし、それもあくまでヴォルフ自身の仮定の話である。
どこにいるかなどはっきりと分かるはずも無い。ヴォルフはそれがとても歯がゆかった。

しかし。

「なぁ、ヴォルフ、向こうからかなりのスピードで何か来るぞ」
「え?」

英太に言われヴォルフが前方に注目すると、
成程確かにかなりのスピードで何かがこちらに向かってくる。
どうやら四本足で走る水色の狼のようだ――。

「!! あ、あれは…まさか」
「どうしたのヴォルフ?」

その狼に、ヴォルフは見覚えがあった。いや、見覚えがあるどころか、
それは自分ととても長く、時間を共有した、そして、
この殺し合いが始まってからずっと追い求めてきた姿。
気が付いた時、ヴォルフも走り出していた。そして――。

ヴォルフとその狼――リーヴァイは、激しく抱擁し合った。

「お兄ちゃん!」
「リーヴァイ!」

手にしていた村田銃を路上に投げ出し、路上に倒れ激しく抱き合い、
待望の再会を喜び合う兄妹。
そんな二人の様子を見て、後ろにいる英太と千穂は互いに顔を見合せながら、微笑む。

「良かったね…ヴォルフ、妹さんと再会出来て」
「そうだな…全く、見てるこっちが――」

ザシュッ、というとても嫌な音と同時に、英太の言葉が途切れた。
それと共に千穂の右半身に何か生温かいものが降り掛かった。

「………?」

千穂が英太の方をゆっくりと向いた時、そこに英太の姿は無かった。
いや、あるにはあった。地面に崩れ落ちた、首の無い英太の胴体が。
そして、英太が持っていたはずの短機関銃、PPSh41を拾い上げ、
それの銃口を自分の方に向ける、白衣姿の男の姿。

それが平池千穂が最後に確認した光景だった。
激しい連射音が響き、千穂の身体を何十発もの弾丸が貫通し、
千穂はほとんど何が起こったのかも分からないまま息絶えた。
男――宮田司郎は次にヴォルフとリーヴァイの方に銃口を向ける。
二人の人狼は突然の出来事に少し狼狽しており、それが元で行動を起こすのが遅れた。
それが命取りとなった。

PPSh41の銃口が火を噴く。

「…………!!」
「ガッ――――」

ヴォルフの銀色の毛皮が、リーヴァイの水色の毛皮が、
一瞬で赤く染まり、二人は大量の血を吐き、路面に崩れ落ち動かなくなった。

「……」

弾丸が切れたPPSh41を携え、宮田は周囲をぐるりと見渡す。
もう動く影は見当たらない。あるのは4人の死体とそれぞれの所持品。
路地裏に隠れて隙を窺っていたがこうも大成功するとは。
宮田は最初に刀で殺した学生服姿の少年の荷物を漁り始めようとした。
その時、ヴォルフとリーヴァイの方向に背を向けていた。

一発の銃声が響いたのと同時に、宮田の背中から心臓、そして胸元までをライフルの弾が貫いた。

「…な……に……!?」

胸元に空いた穴からドクドクと血を流し、
宮田はガクリと地面に膝を突き、持っていたPPSh41を落とし、
そのままゆっくりと路上に仰向けに倒れる。

(そうか、俺は死ぬのか)

最早全てがスローモーションに見えていた。

(……当然の、報い、なんだろうな)

宮田は最期の一瞬、元の世界で少しの間、恋人のような関係であったある女性の事を思い出していた。


襲撃者である、白衣姿の男が倒れ、動かなくなった事を確認すると、
全身に被弾し、血まみれになった人狼、ヴォルフは構えていた村田銃を落とし、
再び吐血しながら道路に仰向けになった。

「リー………ヴァ………」

喉の奥に詰まった血液のせいで上手く発音が出来ないが、
それでもヴォルフは自分の隣に横たわる妹の名前を呼ぶ。
だが、返事は返ってこない。それもその筈である。
リーヴァイはヴォルフと同じように全身を銃弾に貫かれ、血まみれの上に、
顔の左上半分が、丸ごと欠損し、中身が溢れアスファルトの上に流れ出ていた。

妹が死んだ事を悟ったヴォルフだったが、なぜか悲しくは無かった。
その理由は分かっていた。

「……すぐ……行くから………な………俺…も…………」

もう身体中の感覚が無い。目の前も暗くなってきた。
いよいよだろう。間も無く自分も、妹の所へ行ける。

「………リー……ヴァイ………ずっ…と……い…………」

「ずっと一緒」とヴォルフは言おうとしたが、もうそれは出来なかった。
ヴォルフはリーヴァイの頬に最期の力を振り絞って手を添え、
それっきり、ふぅ、と息を吐き、動かなくなった。



市街地が再び静寂に包まれた。



【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【平池千穂@オリキャラ  死亡】
【ヴォルフ@オリキャラ  死亡】
【宮田司郎@SIREN  死亡】
【リーヴァイ@オリキャラ  死亡】
【残り  7人】



※E-4一帯に銃声が響きました。
※E-4市街地路上にヴォルフ、リーヴァイ、平池千穂、森屋英太、宮田司郎の死体と所持品が放置されています。



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最終更新:2010年02月28日 13:50
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