釘宮町市街地北部。涅ネムはそこにいた。彼女としてはこの戦いにまるで興味がない。ただ、マユリに実験台として、扱われたい。それだけだった。
そんなやる気ないのない彼女だからこそ、敵とは遭遇せずにカードも集まった。
「あっ、『朴路美』……確か日番谷隊長。あまり関わりはないけど、まぁ」
カードを手に掛けようとすると、不意に地面から槍が襲う。ネムは驚いてのけ反り、カードを手放してしまった。
「誰?」
「兄さんは渡さない。兄さんはこの戦いの鍵になるんだ」
隠しようのない巨大な鎧。紛れもなくアルフォンス・エルリックだ。
「鍵?」
「そう、僕と兄さん二人で扉を開ける。そうすればこの町から出られるかもしれない」
釘宮町は仮想空間にある都市。各々の暮らす土地も平行世界として存在している。この町全体に錬成陣を敷き、錬金術を使えば扉が開き、帰れるという。
ネムは元々、この戦いに興味がない。すぐに同意した。
「いいでしょう。朴路美のカードはお譲りします」
「ありがとう。じゃあ皆を説得して回ろう」
ネムはアルフォンスがにこやかに笑っている。一瞬、そんな幻想に取り付かれた。
一方、釘宮町市街地南部。別の勢力が動き出そうとしていた――。
「瞳子、私は〇タンドとか念〇力とかそんな不思議能力は持ってない。でも、支給された武器はカード。さぁ、畑健〇郎が直々に決めた声優陣を恨むがいい!」
ナギはカードを天高く突き上げ、発動させる。魔方陣がナギの前に出現し、“そいつ”は現れる。
「朝風理沙。参上」
「って、何でお前なんだ! ここはハヤテがかっこよく現れるところだろう。それをお前……責任とって一騎当千しろ」
「くっ。確かにあの三人じゃ一番特徴がないだろうさ。ということでむかついたから帰るわ」
ふしゅ~と音を立てて消える。思わず膝を折るナギ。
「終わりました? では、私は停戦を提案しますわ」
瞳子のそれにナギは眉をひそめた。いま、最後の武器を失った自分をなぜ攻撃しないのか、と。
「私の目的は『植田佳奈』のカードだけ。貴方は『白石涼子』でしょう? それを結託して集めるのです」
ナギは瞳子が空手であるという結論に達した。
「うむ、分かった。私はあんな関西人呼び出したくない」
「決まりね」
瞳子はくるりと回る。ナギはこの時まだ、瞳子のポケットに“カード”が入っているを知る由もなかった。
最終更新:2011年07月26日 21:44