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魔人が目覚める日

《ルルーシュ・ランペルージ》

??「兄さん、兄さん…起きて!」
??「うぅ……」
 体を揺さぶられ、俺はその重い瞼を開けた。
 眩しいばかりの光、そしてざわめきが、耳に入ってくる。
 体を起こして、周りの状況を見る。
??「…ここは、どこだ?」
 その場所は、今まで見たこともないような場所であった。
 目の前にあるのは黒板であり、教卓もあるのはわかる。
 それから推測するに、ここがどこかの学校であるという可能性はわかったが、
 自分が伏せていたであろう机、そしてイス、床に壁…それらは木造であり、とても古びたものである。
 このような場所に見覚えはない。
 それに、今の俺の格好は学園にいるときの制服姿である。
??「なんなんだ…ここは」
 記憶を蘇らして見る。
 俺の名前はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、ナナリーの兄であり、ブリタニアから棄てられた皇子。
 そして日本を解放した黒の騎士団のゼロであった男。
 だがシュナイゼルの策謀にはまり騎士団を追われ、あの男…皇帝を追い、再びCの世界に足を踏み入れた。
 そう、足を踏み入れたところ…なぜ、俺はこんな場所にいる。
??「兄さん?大丈夫かい?」
ルル「ろ、ロロ!?」
 俺の前に立つ、それは…ロロ!?馬鹿な、ロロは…死んだはず。
 俺を騎士団から逃すために…。
 幾度もなくギアスを使い、心臓に負担をかけて……なぜ、お前が生きて…。
ロロ「どうしたんだい?兄さん、そんなまるで死んだ人間が生き返ったような顔をして」
 笑えない冗談だ。
ルル「……ロロ、ここはどこだ」
 とにかく、今はこの現状を整理しなければいけない。
 一体何がどうなっているのかを確認しなければ無闇やたらな行動が取れない。
ロロ「僕にもわからないんだ。ミレイ会長の強制カップル祭から助けようとしてロッカーに隠れたところで、意識が途切れていて」
ルル「なんだって!?」
ロロ「ど、どうしたの?兄さん?さっきから変だよ?なにかあったの?」
 ロロの記憶は、あのアッシュフォードでの強制カップル祭で止まっているというのか。
 だとすると、時間系列としては中華連邦を合集国として参加させた時点と言うことになる。
 一体どうなっているんだ?


??「ルルーシュ!」
??「ルルーシュもいた」
??「お、ルルーシュもいたのか?」
??「…」
 それはミレイ会長、リヴァル、ニーナ……そしてリャーリー。
 時系列が変更されている時点で、この三人がいつの時間帯の状態であるかがわからない。
 下手な言動をするわけにはいかないが…。
ルルー「会長、これもお祭の続きか何かですか?だとしたら、随分と大掛かりなものですね」
ミレイ「そんな訳ないでしょう?さすがの私も一体全体どうなっているか皆目見当がつかないのよね」
リヴァ「しかも、俺たち以外の生徒がいなくなってるし、周りにはイレブンの生徒ばかりだ」
シャー「…私たち、お祭をやっていたんだよね?」
ニーナ「そのはずだけど…」
ロロ 「そうだよ。始まった瞬間に…記憶が」
 どうやら…会長やリヴァルの記憶も、ロロと同じ時間帯で止まっているようだ。
 だが、この祭にはニーナはいなかった。
 さらに、シャーリーの様子もおかしい。
 時系列の記憶の齟齬だけではなく、偽りの記憶も植えつけられているということか。

周りを見れば、俺たちだけではない。
エリア11…日本人の学校の生徒が大勢いる。
こいつらは一体なんだ。なぜ、ここにいる。

ルルー「会長、他に人に話を聞いてきます。何か分かるかもしれません」

今は情報だ。ここがどこでなぜ俺がここにいるのか…。

リヴァ「お、おいやばいんじゃないか?これだけの奴らに襲われたらさすがに…」
ロロ 「そうだよ、兄さん」
ルルー「なに、別に喧嘩をしにいくわけじゃない。ただ話しをするだけさ」
ミレイ「とにかく…気をつけて」

 さて…どうしたものか。
 会長の言うとおり、俺たちはブリタニア人。
 日本人に嫌われているのは知っているが。逆に恐れられている可能性もある。
 それに…こいつらが話をきちんと出来るかどうかも怪しいものだ。


ルルー「すいません」

 俺は、イスに座って頬ずえをつく人の水色の色をした制服を着た女子高生の女に声をかけ、肩に手をかける。

???「なによ!人の体に勝手に触らないでくれない!」

振り返った、その女は大きな声で怒鳴る。
俺は思わずその威勢のよさに後ずさりをしてしまった。
その女は明らかな怒りの表情をこちらに向けている…が、これほどまで怒るものか。
ルルー「す、すまない」
???「ブリタニアの奴が、この私になんのよう!?こんなところに拉致した挙句に、まだなにかやらせようっていうの!?」
ルルー「いや、俺はなにもしら…」
 俺の言葉を無視し、その女は俺の襟首を掴みかかる。
 なんなんだこの女は!?まるでカレンのようだぞ!!
 俺は体が持ち上がってしまうんじゃないかというくらいの締め上げに息が困難になる。
???「2人ともやめてください」
 すると誰かがその女の手をとめ、俺たちを引き離す。
???「ハルヒ!やめろ!」
???「涼宮さん、ダメですよ…」
 ようやっと向こうの取り巻きがきてハルヒ?とかいう女を取り押さえにかかる。
 まったく…日本人というのは、皆あんなに凶暴なのか。
 俺は首を抑えて大きく息を吐く。

???「大丈夫かい?」
ルルー「すまない。助かった…」
???「ブリタニアへの憎悪は、日本人には皆ついているからね」
ルルー「だったら、俺を助けたのは、なぜだ?お前も日本人なのだろう?」
 顔をあげる俺の前にいたのは、茶髪の日本人である。俗に言う美形という奴だろう。
 ミレイ会長の男女逆転祭に俺の代わりにぜひでてもらいたい。
???「暴力による反逆では、ブリタニアと変わらないよ」
ルルー「なるほど」
 この男…。言っていることは優しい様だが、隙がないな。
???「それで…、何か聞きたかったようだけど」
ルルー「はい、皆さんもここには突然?」
???「僕もわからないんです。気がついたらここに…」
 なるほど…。
 こいつらも俺たちと同じわけか。
 何らかの作為により集められたということだろうな。
 しかし、何のために…。
ルルー「ありがとう。貴重な意見だったよ」
???「わからないといっただけなんだけどね」
ルルー「それでも十分だよ。要は皆、この場所になぜ自分たちが連れてこられたのかわからないっていうことだろう。
    なら、ここにいる誰に聞いても答えは出ないだろう」

夜神月「なるほど。ブリタニアの教育水準は高いのかな?あっ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は…夜神月」

ルルー「そんなことはないさ。よろしくライト。俺の名前は…ルルーシュ・ランペルージだ」

 自己紹介…何の意味があるかは分からないが。
 友好的態度を行うことに意味がないこともないだろう。
 それよりもだ。作為的に、この場所につれてこられたのなら。
 なにかしら俺たちに目的があるのだろう。殺すつもりなら既に殺しているはずだ。


???「席に着け」

 それは唐突かつ高圧的な声だ。
 俺はその声の主のほうを見る。するとその男の後ろから武装をした兵士が次々と教室内にはいってくる。
 皆、ブリタニアの兵士のようだ。

カラレス「私は神聖ブリタニア帝国、エリア11総督である。今回、君達は名誉あるバトルロワイヤル出席者となった」

 こいつ…、確かエリア11の総督であったカラレス。
 こいつは俺が最初に倒したはず…、い、いや…エリア11にて騎士団、そしてキラ事件において弾圧を行い続け、今も存命の……。
 くぅ!なんだ、この記憶は。俺の知らない記憶があるというのか。

???「ちょっと!どういうことですか!ブリタニアの方々の決めた勝手な規則を押し付けるなんて、言語不能ですわ!!」
???「遥ちゃん!こんなときに立ち上がっちゃダメだよ!それに、それを言うなら、言語道断だよ。」
 こんな状況の中、随分と余裕のあるものもいるようだが。
 こいつら…俺たちに何をさせる気だ。

カラレス「威勢のいい猿どもだ。知らない奴らのために、もう一度教えよう。お前たちは今から殺し合うのだ」

 殺し合う…だと?

カラレス「この島は、エリア11太平洋内にある無人島、神根島だ。ここでお前たちは、最後の一人になるまで殺し合いを行う。
     武器などはランダムで選ばれる。また禁止エリアは、一時間おきに指定される」

 こいつ…。なにをさっきから、こんなふざけたことがまかり通るはずがない。

カラレス「フフ…。なんだその顔は?信じられないといった顔だな。
     いいだろう…。私がお前たちに現実を見せてやろう」

 カラレスはおもむろにスイッチを取り出してそれを押す。
 すると教室内に高い音が鳴り響きだす。どこからか近くから鳴り出しているようだ。

???「うわぁぁ!!な、なんかなってる!」

 立ち上がった男が1人、そいつの首にはめている首輪のようなものが点滅しているのだ。
学生服を着たそのイレブンの男はあたふたしながら、首輪を取ろうともがくが、まったく外せない。やがて、音の間隔が少なくなっていく。
???「うわぁ!!あぁぁ!!!」
 学生服の男は立ち上がり、周りの学生に助けを求めるようにして慌てふためく。悲鳴とも絶叫とも取れるその声…。
ルルー「みんな、見るな!」
 俺は咄嗟にシャーリーたちの前に立ち、そのおぞましい光景を遮った。

 鈍い音ともに、血しぶきが飛ぶ。

【白石みのる…死亡】


そして重たい屍とかしたものが床に赤い海のなかに沈む。
俺は吐気を覚えた。
これが…こんなことが人間のすることか。何のために、何のためにこんなことを平然と行える。

カラレス「わかっていただけたかな?イレブンの猿の諸君。こうなりたくなければ、私の命令に従い、
     そして大人しく、自分だけが生き残れることをお勧めするよ」

 外道め。貴様など、一分一秒たりとも生かしておくわけにはいかない…。
 だが、この兵士に囲まれた状況では簡単にギアスを行使することはできない。
ロロ 「兄さん…」
ルルー「…わかっているさ。ロロ。ここでギアスを使ったところで敵の全容がわからない
    以上は下手な動きが取れない」

 そうだ…こんなところで冷静さを欠くことは出来ない。出来ないが…。

カラレス「それでははじめようか。まずはイレブンから順にそこの荷物を持って出て行ってもらう」

 先ほどの凄惨な光景に、大方の学生は今日に怯えている。
 涙を流すもの、怒りに打ち震えているもの…。
 ブリタニアという国家に国を、名前を排除され、なおかつ…この有様。
 絶望という名前しか今はないのだろう。
 次から次へと荷物を持って出て行くものたち。学生にも年齢差があるようだ。
 まだ幼い子もいる。おそらくは…『ブラックリベリオン』そして『キラ事件』の見せしめ。

カラレス「ルルーシュ・ランペルージ」

 俺か…。
 俺もこんなふざけたものに巻き込まれなければならないとはな。
 だが、こうなった以上は仕方がないか。
シャー「ルルーシュ!」
ミレイ「…ルルーシュ…」
ルルー「そんな顔しないでくださいよ。俺は簡単には死にませんよ。また…みんなで花火
    をあげるまでは」

カラレス「ブリタニアの学生には特別な装備だ。当然、イレブンの猿とは格差があってし
     かるべきだからな」

 俺に渡された装備。さわり心地でそれに何がはいっているかがわかる。
 イレブンという悪をブリタニアの学生が倒す。
 それがこのゲームの趣旨。茶番だ。力による統制。
 人間は平等ではない…あいつの、あいつの論理に即した行動。
 教室をでるとそこには二名の武装した兵士がいる。
 そのものたちに引き連れられて俺は出口にへと向かう。
 錯乱した記憶…そしてこの絶望的といえる状況の中で、俺は一体何が出来るというのか。

 光が見える。
 ここが出口か…。ここから先はいかにして生き残り、後から来るシャーリーやミレイ会長たちと合流するかだが…。

 なに!?

 太陽の光の下、目の前にある鮮血の死体。

【相田ケンスケ…死亡】

 こんな常軌を逸したゲームに既に飲まれている奴がいるというのか。
 しかし、こいつ…確か、俺の前の奴じゃなかったか?
 ということは…まだ、近くに。


???「遅い」

 上から舞い降りる女。
 青い長い髪のした女の手に包丁が握られている。
 こいつが…殺したのか。確かに見ず知らずのものではあるようだが。
 だが、人を殺すことになんの躊躇も迷いも…。

???「屋根の上で待ち伏せして、出てくる人みんな殺しちゃおうと思っていたのだけれ
    ど、あの死体じゃ警戒されちゃうか。残念」
 大きく溜息をつきながら笑顔で話す、この女。
???「まぁいいや…。あなたもどうせすぐに殺してあげるから」
 すると女は一気に距離を縮め、切りかかる。
 俺は荷物を楯にして、それを防ぐが、勢いのあまり、その場に倒れてしまう。
ルルー「待て!お前はこのゲームに何の違和感も感じないのか!こんなふざけたゲームに乗る必要はない」
???「だって、殺すのがルールなんでしょう?
    だったら、そのルールに乗っ取って邪魔なものをすべて排除するほうが効率的だよね」

 ダメだ。聞く耳もたずか…。
 だいたい女の癖に、平然と人を殺す時点で既に普通の精神状態ではないと考えるほうが自然だ。
???「…」
 女は倒れた俺を見下して、微笑んでいる。
 まったく悪意のない…とても人を殺しているようには見えない顔をして。
???「次は殺すね」
 殺される!?
 こんなところで…死ぬのか!?
 バカな…俺はこんなところで殺されるのか…まだ俺は何もしていない。
 こんなところで終わるわけには…。

 ナナリーィ!!


???「そうだ、お前はまだ…やるべきことがある」

 突然だった…声が聞こえた。あたりを見回すがそこには誰もいない。
 目の前の女の動きが止まっている。なんだ!今度は何が…。
???「…だいぶ世界の記憶に飲み込まれているようだな」
 誰だ!!お前は…?!
???「偽りの記憶、今…お前をそれから再び解き放つ」

偽りの記憶…。

俺は……。

???「どうしたの?」

ルルー「なんだ?殺さないのか?」

 立ち上がる俺…そう、今こそ俺は全てを思い出した。
 俺がやらなくてはいけないこと。
 そしてここがどこであり、なぜ俺がこんな場所にいるのか…すべてを。

ルルー「それとも気がついたか、撃つものは、撃たれる覚悟があるものだと…」
???「この絶望的な状況下で頭がおかしくなってしまったのかな?」
ルルー「違うな、間違っているぞ。これは…希望。世界を変える希望の力だ」

 俺の目が光る。
 ギアスの力…。

ルルー「ルルーシュ・ランペルージが告げる。お前は、死ね」

???「…わかったわ」
 女はそのナイフを首に向け、勢いよく突き刺す。飛び散る鮮血…。

 そう、俺のやるべきことはここにある。
 神根島というこの場所で…。
 俺を再びペテンにはめ、己の世界を創造しようと考える愚か者に裁きの鉄槌を下すために…俺は。

 【朝倉涼子…死亡】



ルルーシュ・ランペルージ
【健康状態】良
【精神状態】超強気
【装備】コードギアス一般兵士用ハンドガン、手榴弾×3、地図、水、パン、防弾チョッキ
【特殊能力】ギアス(絶対服従の力)


Buck:あらすじ 投下順で読む Next:ハジマリ

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最終更新:2009年04月18日 22:53
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