「クソッ…誰もいねぇじゃん…。」
時の止まった街で、グリーンは悪態をつく。
…彼は
殺し合いに乗っていない参加者を捜していた。
それは何故か。理由は簡単だ。
彼は、一秒でも長く生きていたかったのである。
仲間がいれば守ってもらえる。生存率も上がる。 そう考えた。
「早く誰か見つけないと…オレ…。」
……脱出しようという考えは、彼には浮かんでいなかった。
当然だ。 旅に出ているとは言え彼はまだ少年。
こんな異常な環境に放り込まれたら、冷静な判断が出来る訳が無い。
単純に“生きたい”という思いで、彼は仲間を求めていたのである。
だが、この場所には誰も居ない。
そんな状態で殺し合いに乗っている参加者に見つかったら―――
「……君。」
「!!」
不意に、声がした。 威圧感を感じさせる声だ。
足の動きが止まる。 心臓の鼓動がさらに速くなる。
身体が動かない。 恐怖心が身体を石の様に硬くさせている。
「どこを向いている。…こっちだ。」
だが、その言葉で冷静さを少しだけ取り戻した。
――このまま止まったままでは、変に疑われてしまうかもしれない。
そう、思ったのだ。
声のした方向に振り向く。
そこには、タキシードを着た白髪の男が一人、立っていた。
右手に握られているのは、一本の日本刀。
刀身が月光を反射し、妖しく輝いている。
「…この辺に髭を生やした若者を見なかったか?」
「へ…?」
男は、突然尋ねてきた。 思わず気の抜けた声が出てしまう。
(何かと思えば人探しか。 怯えて損したぜ…。)
グリーンは心の中で安堵する。
…だが、ここに送られてから、他の参加者には出会っていない。
だから、男の探し人がどこに居るかなど、グリーンに分かる筈も無かった。
「すいません…オレ、目が覚めてから誰とも会ってないから…。」
グリーンは、力無くそう言った。
この男の力にはなれそうにもなかった。
「そうか、それは残念だ…。」
「あの…もう、いいですか?」
「…いや、まだ用はある。貴様には―――」
その時、
男の身に纏っている空気が、変わった。
「――――死んでもらう。」
男がそう言った次の瞬間。
グリーン視界が急に「下がった」。
意志とは関係なく、「落ちていく」。
(え………?)
ドシャリ。
そんな音と同時に、頬が地面に接触する。
…身体が動かない。 むしろ、身体が存在しないようだ。
いや、実際、身体が存在していないのである。
――何故?
眼球を動かして、グリーンは男の姿を見る。
男は、不気味な笑みを浮かべながら、こちらを見下ろしている。
――どうして?
右手に握られている日本刀に視線を移した。
刀身には、真っ赤な液体が垂れていた。
さっきまで汚れ一つ付いていなかったのに。
――まさか。
(俺…首を………。)
首を切り落とされた。
目の前の男に、日本刀で。
(…そんな……嫌だ……こん…な…の…。)
視界がぼやける。 意識が朦朧とする。
(…嫌……だ……………死…に……た………。)
それを最後に、グリーンの意識は、魂は消滅した。
彼の身体は、物言わぬ肉塊と化した。
【グリーン@ポケットモンスターシリーズ 死亡】
◆
「まずは一人といった所か。」
男…雅が再び微笑んだ。
どこまでも冷徹な、悪魔の様な微笑み。
雅は少年の亡骸に歩み寄る。
ものの数分前まで、これは呼吸をしていた。 心臓も動いていた。
「それにしても、あの程度の攻撃もかわせんとは。」
そう言うと、雅は思い切り、少年の生首を蹴り飛ばした。
生首はすぐにコンクリートの壁に激突し、風船の様に弾け飛ぶ。
肉片が地面に、コンクリートに、雅のタキシードに飛び散る。
下を見ると、眼球らしきゼリー状の物体が靴の上に乗っていた。
「―――所詮は餓鬼だな。」
刀を振り払い、刀身に付着した血液を落とす。
そして、デイパックから鞘を取り出し、刀をしまった。
亡骸のすぐ横にあるデイパックを拾う。
支給品は一つでも多い方がいい、と考えたのだ。
…最後の一人になるまで殺し合う最凶の椅子取りゲーム。
中々面白いゲームを始めたものだな、と雅は思った。
しばし、あの男の余興に付き合うのも悪くは無いだろう。
しかもこのゲーム、明も参加しているらしい。
出来るのなら、また戦ってみたいものだ。
「さて…ではそろそろ行くとするか。」
雅は、グリーンの身体から右腕を引きちぎると、
それを天高く放り投げた。
着地した腕の方向のエリアに移動しようと考えたのだ。
ボトリ。
鈍い音と共に、右腕が着地した。
右腕が指し示した方向。
それは……。
【深夜/C-5/市街地】
※グリーンの首無し死体が転がっています。
【雅@彼岸島】
[状態]:健康
[装備]:恐ろしくよく切れる刀@キノの旅
[持物]:基本支給品一式 不明支給品1~2個(確認済み) グリーンのデイパック
[思考]
基本:闘争を楽しむ。
1:参加者を捜して殺す。
2:明ともう一度戦いたい。 見つけたら優先的に戦う。
3:出来る事なら、鉄扇を取り戻したい。
※明に五重の塔から落とされた直後からの参戦です。
※再生能力に制限が掛かっていますが、それに気づいていません。
最終更新:2010年05月01日 14:11