ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1048 ゆっくりとバレンタイン
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・前作「ゆっくりとお預かり」を読んで頂いた方、ありがとうございました。タイトル横のコメントは気をつけて付けます。
・人間が出ます。
・人間が人間に対し憎悪を向ける描写があります。
『ゆっくりとバレンタイン』
私はしがない虐待お兄さん。
今日は日曜日、休日である。一年で五十日とある日曜日のたった一つである。
朝にアニメを楽しみ、昼に愛犬・ポチと二時間以上散歩をした、ごくいつも通りの平和で幸せな一日である。
そんなこんなでポチとの散歩を終え、現在私は近所のスーパーに昼食の買出しへと出かけていた。
今日は何となく甘い物を食べたい気分である。
具体的にどれが食べたいという訳ではないが、何となくカカオが効いた物がいいような気がしないでもない。
「ゆっくりしていってね!」
……おお、道のど真ん中で野良のゆっくりまりさと遭遇するとは珍しい。
しかも向こうから声を掛けてくるなど尚更である。
ところで心の底からどうでもいいのだが、今の私は何故か無性にゆっくりを虐待したくて仕方がない。
はっきり言ってこの状況、神様からの美味しいパスに他ならないのである。
「そこのじじい! まりさにちょこれーとさんをちょうだいね! ぜんぶだよ!」
……あーあー聞こえない。こいつちゃんと日本語喋っただろうか?
ちよこれいとう……千代子冷凍? なにそれこわい。
「じじいがちょこれーとさんをもっているのはわかっているんだよ! ぐずぐずしないでさっさとだしてね!
きょうはばれんたいんでーさんなんだよ!
おにいさんやじじいはみんなおねえさんやばばあからちょこれーとさんをもらってるんだよ!
だからじじいがちょこれーとさんをもってるのもまりさにはばればれだよ!
ゆっくりりかいしたらすぐに――」
【しばらくお待ち下さい】
「ずび……ばぜ……ぼうゆるじで……」
いかんいかん、つい我を忘れて公道でまりさの前歯を全部圧し折ってしまった。
途中で気が付いて路地裏に連れ込んでいるが、あの時人気は無かったので多分誰かに見られてはいないだろう。
それにしても、人がせっかくバレンタインデーやチョコへの意識を意図的にシャットダウンしていたというのにこのゲスめ……
当然ながらこいつの末路は決まっているが、その前に一つ聞き出したい事がある。
「ゆ゛っ! ばりざのおぼうじぃ!」
薄汚いまりさのお帽子を奪い取り、髪の毛を一気に掴む。
「ゆ゛ぐっ!?」
……そして間髪入れずに力一杯引っ張ると、雑草を思いっきり抜いた時に土がごっそり取れるが如く、まりさの頭が耕される。
「ゆぎゃああああああああ! ばりざのかみのげざんがあああああああああ!?」
めでたく頭頂部付近の髪の毛はごっそり抜け、それどころか皮膚も破れて餡子が剥き出しという素敵なヘアースタイルの完成だ。
「……じゃあまりさ、今から俺の質問に答えろ」
「ば、ばりざをだずげ……ゆ゛ゆ゛ゆ゛うっ!?」
剥き出しの餡子に両手で一本ずつ持った枝を突き刺し、掻き混ぜる。ぶっちゃけハ○ターハン○ーでピトーがやってた拷問である。
まあピトーみたいに枝の動きで無理矢理喋らせている訳ではなく、普通にゲスが命惜しさで喋っているだけだったりするが。
「お前みたいなクズがチョコを貰おうなんて思いつく筈がないな? 誰に教わった?」
「ゆ゛っ……ばりざ、ばじゅびーにぎい……ゆ゛っゆ゛っ」
ばじゅびー……ゆっくりぱちゅりーか。脆弱なせいか私の住む街中ではあまり見かけない種ではないか。
だがこれで合点がいくというものだ。
今日がバレンタインデーだとか、女から男へチョコを贈る風習だとか、無駄に入れ知恵出来るような個体は限られてくる。
流石は森の賢者様である(棒読み)。
「ゆ゛っ……おにいざん、ばりざをだずげ」
「あれはもういらない、今すぐ女王様へ」
「はっ」
「ぶっ!?」
拷問を終えたらそのゆっくりは踏み潰し、女王様と名付けた付近のゴミ箱に捨てるのがお約束だ。
ぶっちゃけ、「はっ」と答えているのも私である。
という訳で私は踵を返し、近所の公園へとやって来ていた。
余計な入れ知恵をしでかしたぱちゅりーを制裁してやる為に、まずは野良の生産拠点であるこの場所で聞き込みをするのだ。
最初からさっきのまりさを拷問している時に聞き出した方が早いのだが、まあ一つ一つ聞き込み&ついでの虐待も乙な物である。
「ちょ、ダメだって――」
「いいじゃん……」
……この国は本当に腐ってしまった。
公園に入って私の目に入ってきたのは、ベンチでいちゃつく、恐らく両者学生であろうアベック共の姿だったのだ。
昼間っから公衆の面前で何と破廉恥な事か。こんな奴等が数年後には社会に出ようというのだから終わっている。
勉強が本分であるべき学生達が日曜昼間から時間を無駄にしているこの惨状、断じて許されるものではない。
ふつふつと湧き上がる怒り――そうだ、これは私の愛国心だ。この国の将来を心から憂う気持ちが生み出す情熱なのだ。
嫉妬だとかしっと団だとか、そんな物じゃ断じてない。
「ゆっくりしていってね!」
私が裁きの鉄槌を振り下ろすべく決意を固めた時、餡子色の間抜け声が公園に響く。
ベンチで寄り添うアベック共の前に立ちはだかったのは、我等が饅頭・ゆっくりれいむだった。
「あ? 何だゆっくりじゃねーか」
「うわっ、キモい! って言うか汚いんだけど!?」
おお、アベック共の表情が歪む歪む。
恐らくあのれいむはこの公園に住む野良なのだろう。貫禄の汚れっぷりが今は眩しい。
「おにいさん、きょうはばれんたいんでーさんだよ!
おねえさんからもらったちょこれーとさんをれいむにちょうだいね! ぐずはきらいだよ!」
なんと勇ましい殺し文句。
こいつも恐らくぱちゅりーから入れ知恵されたのだろう。そして声を掛ける相手を選ぶ目はさっきのまりさより上だ……癪だが。
「なんだこいつ、チョコレート寄越せだ? 何でお前にやらなきゃいけねーんだよ!」
「ゆげっ!?」
ああっ、れいむがアベックの男に蹴り飛ばされてしまったではないか!
何という卑劣漢! 体格で自分より遥かに劣るゆっくりを蹴るなど日本男児の風上にも置けない奴め!
「ギャー! ちょっと、こいつの唾が足に付いたんだけど!? キモイキモイマジキモイ!」
「げ、ごめん……うわっ、ズボンが黒ずんでる!? 汚っねえええええ!」
……おお、アベック共がざわめき出したではないか。
男のズボンはれいむを蹴った拍子にべっとり汚れ、女は蹴飛ばされたれいむの唾液が飛び散って足に付いたのだろう。
見事なり、れいむ! 俺達の大勝利である!
「うわー、マジで最悪……ねえ、汚いから家帰ってシャワーしたいんだけど」
「じゃあちょっと早いけどもう行くか? お前ん家、今日他に誰もいないんだよな?」
「……うん(はぁと)」
……待て、何だか雲行きが怪しくなって来たのだが。
気のせいかアベック共の周囲にピンク色のオーラらしき物が見え始めたではないか。
そんな私の不安を裏付けるかのように、手を繋いで公園を去っていくアベック共。
私はそれを、呆然と眺める事しか出来なかった――
「ゆっ……いだいよう」
呆然と立ち尽くす私の前で呻くれいむ。こいつ、私の前まで飛ばされて来ていたのか……
「……ゆっ! じじい! きょうはばれんたいんでーさんだよ! ちょこれーとぶふぅ!?」
「喋るな死ね」
アベックを撃退するどころかヒートアップさせるようなクズが生きる価値などない。
私は本日最大出力を以ってれいむをめった蹴りにした。
右目が飛び、歯という歯が弾け、おりぼんを踏みしだき、全身を余す所無く蹴り上げる。
「ごめっ、いっ! ゆるじっ、ざっ、ぶっ!?」
許せと言われて許せる罪ではない事は確定的に明らかだ。
こいつがやった事は国の将来を暗くするダメ学生共に不純異性交遊を促すというもはや国賊級の大罪だ。
よって、正義の鉄槌が振り下ろされなければならないのだ。
「……だが待てよ、殺す前に聞き出しておかないとな……おい、れいむ。この近くにぱちゅりーはいるか?」
「い、いまず! あのしげみさんにいまず!」
さあ殺そうかという最中、咄嗟に冷静になれたのは幸運だった。
こいつの話では、ぱちゅりーはほんの目と鼻の先である公園の茂みにいるというのだから。
「よし、いい情報だ。ならばあのアベック共を増長させた罪は許してやる」
「ほ、ほんどでずが!?」
「ああ。……だがれいむ、お前はあのアベックの男を『お兄さん』と呼んでいたな? では私は?」
「じじっ……お、おにいざむ゛ん!?」
……アベック共に関する罪は許しても、私をじじい呼ばわりした罪はまた別だ。
まあぱちゅりーの所在を吐いた事と相殺し、私はれいむをきっちり一踏みで絶命させてやった。
何せ、私にはこれからメインディッシュが待っているのだから……
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね! ……むきゅ!?」
れいむをゴミ箱に片付けた後に茂みに入り、いつものように叫ぶとほいほい飛び出すぱちゅりー。
こいつを野良で見かけるのは随分久しぶりである。
ただでさえ脆弱な上に、頼みの賢さもゆっくり基準で優れているだけとあって、街中での生存は結構厳しいのである。
まあ折角私に散々バレンタインの悪夢を見せてくれたのだ、相応の礼をさせて頂こう。
「じじい! ここはぱちぇのゆっくりぷれいすよ! ちょこれーとさんをおいてゆっくりでていってちょうだい!」
森の賢者を自称する割にはあまり他のゆっくりと変わらない台詞を吐くとは如何なものか。
それにしても、あまあまではなく直にチョコレートを要求する辺りはさすが言いだしっぺである。
「なあぱちゅりー、お前はバレンタインデーとかチョコレートの事とか、誰から教わったんだ?」
「むきゅきゅ! ぱちぇがひろったこのまどうしょにかいてあったわ! おばかなじじいにはよめないでしょうけどね!」
そういってぱちゅりーがピラピラ見せびらかすのはどう見てもその辺のゴミ捨て場から拾ったチラシだった。
内容は、まあ普通にその辺のスーパーのチラシである。
チョコレートの写真や女性が男性にチョコを渡すイラスト等が描かれており、これでゆっくりでも分かったのだろう。
あとは通りすがりの人間がバレンタインデーの話をしている所を盗み聞きし、自慢の頭脳でこのチラシと結びつけたといった所か。
そしてそれを近所のゆっくり達に触れ回れば、ぱちゅりーに待っているのは森の賢者としての賞賛の嵐である。
「このまどうしょをよめるのはぱちぇだけよ! ……むきゅー! ぱちぇのまどうしょかえしてー!」
「魔道書も何もこれ、家にも来ていたし……まあ、この手のチラシは全部こうしたがな!」
「むぎゃあああああああ! やぶらないでええええええええええ!」
ぱちゅりーのチラシを奪い、我が家にあったバレンタイン関係のチラシと同様に八つ裂きにしてやった。
こんな物刷るだけ資源の無駄遣いというものである。
政府はエコを推進したいのなら、まずはバレンタインというふざけた習慣を廃止すべきではないか。
「ぱ、ぱちぇのまどうしょがああ……」
八つ裂きにされたチラシを見上げ、涙するぱちゅりー。
本当ならこのチラシを投げ散らかしてこいつに拾わせたいのだが、公園が汚れてしまうからその衝動は抑えている。
だから、代わりにぱちゅりーに食べさせる事にした。
「喜べ、お前の欲しかったチョコレートのイラストが書いてあるだろ?」
「むがががががががが!?」
無理矢理口をこじ開け中に紙くずを突っ込むのだが、他のゆっくりに比べやはり抵抗が弱い。
その脆弱さは伊達ではなかった。
「え……えれれむむぅ」
無理矢理咀嚼させていると吐きそうな顔をしたので、慌てて口を塞ぐ。
ちゃんと食べずに吐き出そうとは何たる罰当たりか。
「むむ……むむ……むぎゅう……」
「完食したか」
ある程度落ち着いた所で口をこじ開けると、中からはプーンと生クリームの匂いが立ち込めた。
「おお、消化したか。本当にいい加減なもんだ」
「む、むがががががー!」
ぱちゅりーは先程から怒りを露にして抵抗を続けているのだが、如何せん弱すぎてされるがままである。
「歯はどれくらい強いのかね? そいっ」
「む゛っー!」
上の前歯を一本引っこ抜く。うーむ、引っこ抜ける強さは他のゆっくりとあまり変わらない気がした。
ぱちゅりー種が脆弱なのも思い込みによる部分が大きいという話もあるし、体の強度自体は他とそう差がないのかもしれない。
何にせよせっかくのぱちゅりーだ、ギリギリまで楽しんでから殺してやろう。
「む゛ーっ! む゛ーっ!」
大粒の涙を浮かべるぱちゅりー。引き抜かれた歯のあった場所からは、止め処なく生クリームが溢れ出す。
「えっれええええええええええええ」
……それとほぼ同時に、ぱちゅりーが嘔吐した。
垂れ流しの生クリームを見ようと口を大きく開けさせた、ほんの一瞬の出来事である。
歯を引き抜いた私の右手は生クリーム塗れである。はっきり言ってさっきのアベック達以上にキモイと叫びたい。
生暖かい生クリームが手に纏わり付くこの感じは鳥肌ものだ。
「やりやがったな……」
こう言いながらも私は内心萎えていた。だって、あまりに汚いのだから。
すでに地面には生クリームが結構な範囲に広がっていた。
それを証明するかのように、ぱちゅりーは元のバレーボール大の大きさから三分の二以下の大きさまで縮んでしまっている。
……これを片付けるのに必要な労力は、れいむやまりさの餡子を片付けるそれの比ではない。
かといってゴミを片付けずに放置するなど虐待お兄さんのマナー違反に他ならないのだ。
それにこの嘔吐だけでぱちゅりーは瀕死になってしまっている。これ以上は虐待のやりようがない。
ぱちゅりーを虐待するには簡単に死なせず苦しめる技術が必要である事を痛感した。
「ゆ゛っ……ゆ゛っ……むべぇ!?」
死に損ないのぱちゅりーを掴み、公園のゴミ箱にダストシュートする。
既に事切れたれいむの死体に直撃し、ぱちゅりーは爆ぜた。
虚しい。何故だろうか、虐待を終えたのに私の心には虚しさだけが残っていた。
虐待時にはあれだけ心躍っていたのに……祭りが終わった時の子供の心境であろうか?
それとも、これからぱちゅりーの吐いた生クリームを片付けなければならないからだろうか……
ああ、そういえば我が家ではキッチンペーパーが切れていたのだった。
生クリームを片付けるついでだ、買っておく事にしよう。
それに考えてみたら私は昼飯を食べていないままではないか。
昼飯と、キッチンペーパーをスーパーで買ってこよう。
「いらっしゃいませー」
スーパーでは昼飯にチョコパンを選び、キッチンペーパー共々篭に入れてレジに持っていく。
ちなみにレジはきれいなお姉さんのいるレジを選んでおいた。
これならば商品を渡される時、バレンタインのチョコをお姉さんから貰えるような気分を味わえるのだ。
……ああ、さっき感じた虚しさの正体が分かった気がする。
深く追求するといよいよ虚しくなるからこれ以上は考えないが。
生クリームをキッチンペーパーで掃除した後、公園のベンチでチョコパンを食べた。
チョコパンは、ちょっとしょっぱい味がした。
・人間が出ます。
・人間が人間に対し憎悪を向ける描写があります。
『ゆっくりとバレンタイン』
私はしがない虐待お兄さん。
今日は日曜日、休日である。一年で五十日とある日曜日のたった一つである。
朝にアニメを楽しみ、昼に愛犬・ポチと二時間以上散歩をした、ごくいつも通りの平和で幸せな一日である。
そんなこんなでポチとの散歩を終え、現在私は近所のスーパーに昼食の買出しへと出かけていた。
今日は何となく甘い物を食べたい気分である。
具体的にどれが食べたいという訳ではないが、何となくカカオが効いた物がいいような気がしないでもない。
「ゆっくりしていってね!」
……おお、道のど真ん中で野良のゆっくりまりさと遭遇するとは珍しい。
しかも向こうから声を掛けてくるなど尚更である。
ところで心の底からどうでもいいのだが、今の私は何故か無性にゆっくりを虐待したくて仕方がない。
はっきり言ってこの状況、神様からの美味しいパスに他ならないのである。
「そこのじじい! まりさにちょこれーとさんをちょうだいね! ぜんぶだよ!」
……あーあー聞こえない。こいつちゃんと日本語喋っただろうか?
ちよこれいとう……千代子冷凍? なにそれこわい。
「じじいがちょこれーとさんをもっているのはわかっているんだよ! ぐずぐずしないでさっさとだしてね!
きょうはばれんたいんでーさんなんだよ!
おにいさんやじじいはみんなおねえさんやばばあからちょこれーとさんをもらってるんだよ!
だからじじいがちょこれーとさんをもってるのもまりさにはばればれだよ!
ゆっくりりかいしたらすぐに――」
【しばらくお待ち下さい】
「ずび……ばぜ……ぼうゆるじで……」
いかんいかん、つい我を忘れて公道でまりさの前歯を全部圧し折ってしまった。
途中で気が付いて路地裏に連れ込んでいるが、あの時人気は無かったので多分誰かに見られてはいないだろう。
それにしても、人がせっかくバレンタインデーやチョコへの意識を意図的にシャットダウンしていたというのにこのゲスめ……
当然ながらこいつの末路は決まっているが、その前に一つ聞き出したい事がある。
「ゆ゛っ! ばりざのおぼうじぃ!」
薄汚いまりさのお帽子を奪い取り、髪の毛を一気に掴む。
「ゆ゛ぐっ!?」
……そして間髪入れずに力一杯引っ張ると、雑草を思いっきり抜いた時に土がごっそり取れるが如く、まりさの頭が耕される。
「ゆぎゃああああああああ! ばりざのかみのげざんがあああああああああ!?」
めでたく頭頂部付近の髪の毛はごっそり抜け、それどころか皮膚も破れて餡子が剥き出しという素敵なヘアースタイルの完成だ。
「……じゃあまりさ、今から俺の質問に答えろ」
「ば、ばりざをだずげ……ゆ゛ゆ゛ゆ゛うっ!?」
剥き出しの餡子に両手で一本ずつ持った枝を突き刺し、掻き混ぜる。ぶっちゃけハ○ターハン○ーでピトーがやってた拷問である。
まあピトーみたいに枝の動きで無理矢理喋らせている訳ではなく、普通にゲスが命惜しさで喋っているだけだったりするが。
「お前みたいなクズがチョコを貰おうなんて思いつく筈がないな? 誰に教わった?」
「ゆ゛っ……ばりざ、ばじゅびーにぎい……ゆ゛っゆ゛っ」
ばじゅびー……ゆっくりぱちゅりーか。脆弱なせいか私の住む街中ではあまり見かけない種ではないか。
だがこれで合点がいくというものだ。
今日がバレンタインデーだとか、女から男へチョコを贈る風習だとか、無駄に入れ知恵出来るような個体は限られてくる。
流石は森の賢者様である(棒読み)。
「ゆ゛っ……おにいざん、ばりざをだずげ」
「あれはもういらない、今すぐ女王様へ」
「はっ」
「ぶっ!?」
拷問を終えたらそのゆっくりは踏み潰し、女王様と名付けた付近のゴミ箱に捨てるのがお約束だ。
ぶっちゃけ、「はっ」と答えているのも私である。
という訳で私は踵を返し、近所の公園へとやって来ていた。
余計な入れ知恵をしでかしたぱちゅりーを制裁してやる為に、まずは野良の生産拠点であるこの場所で聞き込みをするのだ。
最初からさっきのまりさを拷問している時に聞き出した方が早いのだが、まあ一つ一つ聞き込み&ついでの虐待も乙な物である。
「ちょ、ダメだって――」
「いいじゃん……」
……この国は本当に腐ってしまった。
公園に入って私の目に入ってきたのは、ベンチでいちゃつく、恐らく両者学生であろうアベック共の姿だったのだ。
昼間っから公衆の面前で何と破廉恥な事か。こんな奴等が数年後には社会に出ようというのだから終わっている。
勉強が本分であるべき学生達が日曜昼間から時間を無駄にしているこの惨状、断じて許されるものではない。
ふつふつと湧き上がる怒り――そうだ、これは私の愛国心だ。この国の将来を心から憂う気持ちが生み出す情熱なのだ。
嫉妬だとかしっと団だとか、そんな物じゃ断じてない。
「ゆっくりしていってね!」
私が裁きの鉄槌を振り下ろすべく決意を固めた時、餡子色の間抜け声が公園に響く。
ベンチで寄り添うアベック共の前に立ちはだかったのは、我等が饅頭・ゆっくりれいむだった。
「あ? 何だゆっくりじゃねーか」
「うわっ、キモい! って言うか汚いんだけど!?」
おお、アベック共の表情が歪む歪む。
恐らくあのれいむはこの公園に住む野良なのだろう。貫禄の汚れっぷりが今は眩しい。
「おにいさん、きょうはばれんたいんでーさんだよ!
おねえさんからもらったちょこれーとさんをれいむにちょうだいね! ぐずはきらいだよ!」
なんと勇ましい殺し文句。
こいつも恐らくぱちゅりーから入れ知恵されたのだろう。そして声を掛ける相手を選ぶ目はさっきのまりさより上だ……癪だが。
「なんだこいつ、チョコレート寄越せだ? 何でお前にやらなきゃいけねーんだよ!」
「ゆげっ!?」
ああっ、れいむがアベックの男に蹴り飛ばされてしまったではないか!
何という卑劣漢! 体格で自分より遥かに劣るゆっくりを蹴るなど日本男児の風上にも置けない奴め!
「ギャー! ちょっと、こいつの唾が足に付いたんだけど!? キモイキモイマジキモイ!」
「げ、ごめん……うわっ、ズボンが黒ずんでる!? 汚っねえええええ!」
……おお、アベック共がざわめき出したではないか。
男のズボンはれいむを蹴った拍子にべっとり汚れ、女は蹴飛ばされたれいむの唾液が飛び散って足に付いたのだろう。
見事なり、れいむ! 俺達の大勝利である!
「うわー、マジで最悪……ねえ、汚いから家帰ってシャワーしたいんだけど」
「じゃあちょっと早いけどもう行くか? お前ん家、今日他に誰もいないんだよな?」
「……うん(はぁと)」
……待て、何だか雲行きが怪しくなって来たのだが。
気のせいかアベック共の周囲にピンク色のオーラらしき物が見え始めたではないか。
そんな私の不安を裏付けるかのように、手を繋いで公園を去っていくアベック共。
私はそれを、呆然と眺める事しか出来なかった――
「ゆっ……いだいよう」
呆然と立ち尽くす私の前で呻くれいむ。こいつ、私の前まで飛ばされて来ていたのか……
「……ゆっ! じじい! きょうはばれんたいんでーさんだよ! ちょこれーとぶふぅ!?」
「喋るな死ね」
アベックを撃退するどころかヒートアップさせるようなクズが生きる価値などない。
私は本日最大出力を以ってれいむをめった蹴りにした。
右目が飛び、歯という歯が弾け、おりぼんを踏みしだき、全身を余す所無く蹴り上げる。
「ごめっ、いっ! ゆるじっ、ざっ、ぶっ!?」
許せと言われて許せる罪ではない事は確定的に明らかだ。
こいつがやった事は国の将来を暗くするダメ学生共に不純異性交遊を促すというもはや国賊級の大罪だ。
よって、正義の鉄槌が振り下ろされなければならないのだ。
「……だが待てよ、殺す前に聞き出しておかないとな……おい、れいむ。この近くにぱちゅりーはいるか?」
「い、いまず! あのしげみさんにいまず!」
さあ殺そうかという最中、咄嗟に冷静になれたのは幸運だった。
こいつの話では、ぱちゅりーはほんの目と鼻の先である公園の茂みにいるというのだから。
「よし、いい情報だ。ならばあのアベック共を増長させた罪は許してやる」
「ほ、ほんどでずが!?」
「ああ。……だがれいむ、お前はあのアベックの男を『お兄さん』と呼んでいたな? では私は?」
「じじっ……お、おにいざむ゛ん!?」
……アベック共に関する罪は許しても、私をじじい呼ばわりした罪はまた別だ。
まあぱちゅりーの所在を吐いた事と相殺し、私はれいむをきっちり一踏みで絶命させてやった。
何せ、私にはこれからメインディッシュが待っているのだから……
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね! ……むきゅ!?」
れいむをゴミ箱に片付けた後に茂みに入り、いつものように叫ぶとほいほい飛び出すぱちゅりー。
こいつを野良で見かけるのは随分久しぶりである。
ただでさえ脆弱な上に、頼みの賢さもゆっくり基準で優れているだけとあって、街中での生存は結構厳しいのである。
まあ折角私に散々バレンタインの悪夢を見せてくれたのだ、相応の礼をさせて頂こう。
「じじい! ここはぱちぇのゆっくりぷれいすよ! ちょこれーとさんをおいてゆっくりでていってちょうだい!」
森の賢者を自称する割にはあまり他のゆっくりと変わらない台詞を吐くとは如何なものか。
それにしても、あまあまではなく直にチョコレートを要求する辺りはさすが言いだしっぺである。
「なあぱちゅりー、お前はバレンタインデーとかチョコレートの事とか、誰から教わったんだ?」
「むきゅきゅ! ぱちぇがひろったこのまどうしょにかいてあったわ! おばかなじじいにはよめないでしょうけどね!」
そういってぱちゅりーがピラピラ見せびらかすのはどう見てもその辺のゴミ捨て場から拾ったチラシだった。
内容は、まあ普通にその辺のスーパーのチラシである。
チョコレートの写真や女性が男性にチョコを渡すイラスト等が描かれており、これでゆっくりでも分かったのだろう。
あとは通りすがりの人間がバレンタインデーの話をしている所を盗み聞きし、自慢の頭脳でこのチラシと結びつけたといった所か。
そしてそれを近所のゆっくり達に触れ回れば、ぱちゅりーに待っているのは森の賢者としての賞賛の嵐である。
「このまどうしょをよめるのはぱちぇだけよ! ……むきゅー! ぱちぇのまどうしょかえしてー!」
「魔道書も何もこれ、家にも来ていたし……まあ、この手のチラシは全部こうしたがな!」
「むぎゃあああああああ! やぶらないでええええええええええ!」
ぱちゅりーのチラシを奪い、我が家にあったバレンタイン関係のチラシと同様に八つ裂きにしてやった。
こんな物刷るだけ資源の無駄遣いというものである。
政府はエコを推進したいのなら、まずはバレンタインというふざけた習慣を廃止すべきではないか。
「ぱ、ぱちぇのまどうしょがああ……」
八つ裂きにされたチラシを見上げ、涙するぱちゅりー。
本当ならこのチラシを投げ散らかしてこいつに拾わせたいのだが、公園が汚れてしまうからその衝動は抑えている。
だから、代わりにぱちゅりーに食べさせる事にした。
「喜べ、お前の欲しかったチョコレートのイラストが書いてあるだろ?」
「むがががががががが!?」
無理矢理口をこじ開け中に紙くずを突っ込むのだが、他のゆっくりに比べやはり抵抗が弱い。
その脆弱さは伊達ではなかった。
「え……えれれむむぅ」
無理矢理咀嚼させていると吐きそうな顔をしたので、慌てて口を塞ぐ。
ちゃんと食べずに吐き出そうとは何たる罰当たりか。
「むむ……むむ……むぎゅう……」
「完食したか」
ある程度落ち着いた所で口をこじ開けると、中からはプーンと生クリームの匂いが立ち込めた。
「おお、消化したか。本当にいい加減なもんだ」
「む、むがががががー!」
ぱちゅりーは先程から怒りを露にして抵抗を続けているのだが、如何せん弱すぎてされるがままである。
「歯はどれくらい強いのかね? そいっ」
「む゛っー!」
上の前歯を一本引っこ抜く。うーむ、引っこ抜ける強さは他のゆっくりとあまり変わらない気がした。
ぱちゅりー種が脆弱なのも思い込みによる部分が大きいという話もあるし、体の強度自体は他とそう差がないのかもしれない。
何にせよせっかくのぱちゅりーだ、ギリギリまで楽しんでから殺してやろう。
「む゛ーっ! む゛ーっ!」
大粒の涙を浮かべるぱちゅりー。引き抜かれた歯のあった場所からは、止め処なく生クリームが溢れ出す。
「えっれええええええええええええ」
……それとほぼ同時に、ぱちゅりーが嘔吐した。
垂れ流しの生クリームを見ようと口を大きく開けさせた、ほんの一瞬の出来事である。
歯を引き抜いた私の右手は生クリーム塗れである。はっきり言ってさっきのアベック達以上にキモイと叫びたい。
生暖かい生クリームが手に纏わり付くこの感じは鳥肌ものだ。
「やりやがったな……」
こう言いながらも私は内心萎えていた。だって、あまりに汚いのだから。
すでに地面には生クリームが結構な範囲に広がっていた。
それを証明するかのように、ぱちゅりーは元のバレーボール大の大きさから三分の二以下の大きさまで縮んでしまっている。
……これを片付けるのに必要な労力は、れいむやまりさの餡子を片付けるそれの比ではない。
かといってゴミを片付けずに放置するなど虐待お兄さんのマナー違反に他ならないのだ。
それにこの嘔吐だけでぱちゅりーは瀕死になってしまっている。これ以上は虐待のやりようがない。
ぱちゅりーを虐待するには簡単に死なせず苦しめる技術が必要である事を痛感した。
「ゆ゛っ……ゆ゛っ……むべぇ!?」
死に損ないのぱちゅりーを掴み、公園のゴミ箱にダストシュートする。
既に事切れたれいむの死体に直撃し、ぱちゅりーは爆ぜた。
虚しい。何故だろうか、虐待を終えたのに私の心には虚しさだけが残っていた。
虐待時にはあれだけ心躍っていたのに……祭りが終わった時の子供の心境であろうか?
それとも、これからぱちゅりーの吐いた生クリームを片付けなければならないからだろうか……
ああ、そういえば我が家ではキッチンペーパーが切れていたのだった。
生クリームを片付けるついでだ、買っておく事にしよう。
それに考えてみたら私は昼飯を食べていないままではないか。
昼飯と、キッチンペーパーをスーパーで買ってこよう。
「いらっしゃいませー」
スーパーでは昼飯にチョコパンを選び、キッチンペーパー共々篭に入れてレジに持っていく。
ちなみにレジはきれいなお姉さんのいるレジを選んでおいた。
これならば商品を渡される時、バレンタインのチョコをお姉さんから貰えるような気分を味わえるのだ。
……ああ、さっき感じた虚しさの正体が分かった気がする。
深く追求するといよいよ虚しくなるからこれ以上は考えないが。
生クリームをキッチンペーパーで掃除した後、公園のベンチでチョコパンを食べた。
チョコパンは、ちょっとしょっぱい味がした。