ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0262 にんげんさんはゆっくりできない
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ankoss
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【注意】
* 冗長です
* 独自解釈あります
* 虐待成分薄め
* ネタかぶりはご容赦を
「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!!」
「ゆっくりできないじじいはさっさとでていってね!!」
ある日、家がゆっくりに荒らされていた。
うん、お仕置き決定。
【にんげんさんはゆっくりできない】
「ごべんなざいいいいい!! ばでぃざがわるがっだでずうううううう!!!」
「ゆるじでね!! がわいいでいぶをゆるじでね!!!」
一刻ほど殴り倒した結果、最初のでかい態度はきれいに消え失せた。
「お前ら、どうしてこんな目にあっているか、わかってるか?」
「ばでぃざがおにいざんのおうぢにばいっだがらでずううううう!!」
「もうじまぜんがらだずげでえええええええ!!!」
俺の熱い心も伝わったようだな、よし。
「人間さんはゆっくりできないことがわかったか?」
「わがりまじだ!! にんげんざんはゆっぐりでぎまぜん!!」
「よし、お前らのことは逃がしてやる」
「ありがどうございまず!! ありがどうございまず!!」
そして2匹はボロボロになって森に逃げていった。
どうして逃がしたのかって?
この村の周囲にはゆっくりが多く、家や畑が荒らされることが頻繁にある。
相手は所詮饅頭なので退治は簡単なのだが、何しろ数が多すぎてキリがない。
だったら「人間の村に来るとひどい目にあう」と覚えこませて被害を減らせないか?ということだ。
「そんなにうまく行くものかね?」
「やってみなけりゃわからんだろうさ」
隣に住む虐待お兄さんは、潰さず逃がしたことが心残りらしい。
確かに連中が、すぐに物事を覚えるとは思いづらい。
だが、村の端に住んでいるせいで、一番の被害を被っている俺にとって、これは大事な賭けなのだ。
翌日。
「むーしゃむーしゃ、ししししあわせええええええ!!」
「うっめ!! これめっちゃうっめ!!」
俺の畑に、ボロボロのゆっくりが2匹忍び込んでいた。
「…お前ら…」
「ゆゆ!! ゆっくりできないにんげんさんなんだぜ!!」
「ゆっくりできないじじいはさっさとでt」
「おーまーえーらーーーー!!!!」
「「ゆぎゃあああああああああああああああ!!!」」
一通り殴ったり蹴ったりした後、2匹を籠に押し込んだ。
さらにボロボロになったが、2匹ともまだ生きている。
まだだ、まだ殺すわけにはいかない、俺の生活がかかっているんだ…。
「かひっ! かひっ!!」
「ゆべええええぇぇぇぇ…」
所変わって森の中の広場。
目の前には皮をちまちまと毟り取られた結果、全身くまなく餡子剥き出しになった2匹の元ゆっくり。
「いやあああああ!! こわいいいいいいいい!!」
「おもにかおがきもいいいいいいいい!!」
「やめてね!! やめてあげてね!!」
「ゆええええええん!! ゆびぇええええええええん!!」
遠巻きにこちらを囲んで喚いているのは、家を荒らしたゆっくりの群れの仲間たち。
2匹を脅しておびき出し、出てきたヤツらも脅して見物させているのだ。
「どぼぢでぞんなごとずるのおおおおおおおお!?」
「こいつらが俺のゆっくりプレイスを荒らしたからだ!」
そうさ、何も悪さをしたゆっくりを改心させる必要なんてない。
ゆっくり全体が悪さをしないようになれば良いわけで、そのために俺は2匹を見せしめにしている。
「ごべっ、ごべんなざい!! もうじまぜん!! だずげで!!」
「お前昨日もそう言っただろうがああああ!!」
「ゆびゅううううううう!!」
「ゆっ、ゆぎゃあああああああああああ!!」
怒りに任せて2匹の片方を踏み潰す。
辺りに餡子が飛び散り、それが剥き出しの餡に当たったのか、もう1匹が悲鳴を上げる。
「ゆわあああああああああああああああああ!!!」
「ゆびゃああああああ!! ごわいよおおおおおおおお!!!」
「ゆひっ、ゆひいいいいいいいい!!!」
「むぎゅー!! えれえれえれ…」
「ぼうやべでよおおおおお!! ゆっぐじじないでがえっでよおおおおおお!!」
「ゆえーん!! ゆえええええええええん!!」
見物のゆっくりたちも思い思いの悲鳴を上げる。
これだけの反応があれば、当分は荒らされる心配をしなくてもいいだろう。
「わかったかお前ら、人間さんはゆっくりできないだろう?」
「わ、わかったよ!! にんげんさんはゆっくりできないよ!!」
「今度里に下りてきたら、お前ら全部こうしてやるからな!」
「ゆぎょおおおおおおおおおおおおお!!!」
足元の餡子玉を小突くと悲鳴を上げ、それを聞いた辺りのゆっくりたちはぶるぶると震えている。
その様子に満足した俺は、もう1匹は殺さずに森を後にした。
死ぬまでに少しでも恐怖を与えるのが、あれの最後のお勤めだ。
さすがにこれだけやれば、当分は饅頭どもに悩まされることはないだろう。
そう思うと、足取りも軽かった。
それから数日後。
「いちばんえらいにんげんさんをだしてね!!」
村の外れに、ゆっくりの群れを引き連れて、ドスが現れた。
「ですよねー」
「じゃねーだろボケ」
疲れた顔でため息をついた俺を、隣のお兄さんがド突いた。
「情けをかけるだけ無駄か、あのド饅頭ども…」
「連中には人間様の道理が通らないからな。潰してやるのが一番の情けだ」
「違いない…」
村中の男衆は準備に奔走している。
もちろん、ゆっくりどもを駆除するためだ。
村にドスが現れるのは、今回が初めてじゃない。
ほぼ毎年のように現れては、同じ数だけ潰されている。
村人の対応も慣れたものだ。
「れいむとまりさにひどいことをしたにんげんさんをだしてね!!」
「それは出来んと言っておるだろう」
「わるいにんげんさんはせいさいされないといけないんだよ!! むくいなんだよ!!」
「先に悪さをしたのはお前たちだと聞いておるが?」
「ちがうよ!! ゆっくりしてたれいむとまりさが、ゆっくりできないにんげんさんにころされたんだよ!!」
村長は時間稼ぎに、ドスと押し問答を続けている。
まったく、ゆっくりというのは本当に声が大きい。
人の背丈でもなお見上げる大きさのドスの声は、この距離だと怒号にしか聞こえない。
「ゆっくりどもに俺が悪さをされたんだがな」
「はいはい、お邪魔するよ」
「ゆゆ!! わるいにんげんさんだね!!」
と、まあ、俺は村長の脇にやってきた。
別に他意があるわけじゃない、村長だけでは時間稼ぎにも限度があるからだ。
お兄さんはただの野次馬だが。
「にんげんさんにせいさいするよ!! しんでれいむとまりさにあy」
「この前、俺に会ったゆっくりはいるか?」
どうもこのドスは頭が悪く、こいつと話しても時間は稼げそうもない。
ならばと、俺は他のゆっくりに話を振ることにした。
「…ぱちぇはにんげんさんとあったわ」
ドスの後ろから、ゆっくりが1匹現れる。
確かに先日、あの場にぱちゅりーがいた覚えがある。
「俺が話したことを覚えているか?」
「むきゅ……れいむとまりさが、にんげんさんのゆっくりぷれいすをとろうとしたっていってたわ」
「どすもきいたよ!! ゆっくりできないにんげんさんがわるいんだよ!!」
…毎度毎度、餡子脳の超理論には頭が痛くなる。
というか、このドス頭が悪すぎないか?
「おいぱちゅりー、お前も俺が悪いと思うのか?」
「…にんげんさんがわるいとおもうわ」
「おいおい……」
いくらなんでも話が通じなさすぎる。
お仕置きした2匹も、泣いて謝った割には次の日にあのザマだ。
こいつら本当に物を考える力が無いんじゃないかと思えてくる。
よその村では金バッジとかいうものがあるらしいが、ウソなんじゃないか?
「おい、他のゆっくりども。お前らはどう思うんだ?」
たまらずドスの後ろの群れに声をかける。
「ゆゆ! ゆっくりできないにんげんさんがわるいにきまってるんだぜ!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
「おお、ぶざまぶざま」
が、この有様だ。
「ぷぷー! ゆっくりできないなんて、にんげんさんはあわれだね!!」
「おきゃーしゃん、にんげんしゃんはかわいちょうだにぇ!!」
「あかちゃん、あれがゆんせいのらくごしゃだよ!! かしこいあかちゃんはまねしちゃいけないよ!!」
「わきゃっちゃよ、おきゃーしゃん!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
「ゆっくちできにゃいにんげんしゃんはちね!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
…何で饅頭ごときにここまで言われにゃならんのだ。
煮え返るはらわたを必死に我慢する俺を、馬鹿にしたような目つきでドスが見下ろしている。
畜生! 饅頭のクセにふざけるな! ブッ殺してやる!
「なるほど、大体わかった」
もう少しで後先考えずにドスに飛び掛るところだった俺の前に、お兄さんが進み出た。
「じゃまだよ、にんげんさん! そっちのにんげんさんにせいさいするからどいてね!」
「まあ待て、少しお兄さんの話を聞け。今からゆっくりできる話をしてやる」
「ゆ? ゆっくりできる?」
「そうだ。だから後ろのゆっくりたちを静かにさせろ」
「お、おい、何の話を…」
「いいから、ちょっと黙って聞いてろ」
しねしねと大合唱のゆっくりどもをドスになだめさせ、お兄さんは話し始めた。
「お前たち、人間さんはゆっくり出来ているか?」
「にんげんさんはゆっくりできないんだよ! じょうしきもしらないの? ばかなの?」
「ばーかばーか!」
「ばかなにんげんさんはしんでね!!」
ドスの答えに群れのゆっくりがまた囃し立て始める。
だがお兄さんはそれを無視して、何かに納得したようにうなづいている。
「実はな、人間さんはとてもゆっくり出来ているんだ」
「うそだよ! にんげんさんはゆっくりできないってみんなしってるよ!」
「じゃあお兄さんを見てみろ。ゆっくり出来ていないか?」
「ゆゆ?」
お兄さんを見るドスの眉間に皺が寄っていく。
何しろお兄さんは、獲物の山を前にして笑顔が輝いている。
「ゆう…にんげんさんはゆっくりできているよ?」
「そうだろう、お兄さんは今、とってもゆっくり出来ているぞ」
「で、でもおかしいよ! そっちのにんげんさんはゆっくりできていないよ!」
当たり前だ、クソ饅頭を前にしてニコニコできるか。
お兄さんとは違うんです。
「それはどうしてか教えてやろう」
「ゆ?」
「人間さんは、ゆっくりを見るとゆっくり出来なくなるんだ」
「ゆううううううう!?」
「ありすをみてゆっくりできないなんてとかいはじゃないわ!!」
「れいむこんなにゆっくりしてるのにいいいいいい!!」
「だって人間さんはゆっくりなんて大嫌いだからな」
「「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおお!!?」」」
「ゆゆゆゆゆ…みんなおちついてね!!!」
お兄さんの言葉で大混乱になった群れを、ドスがまとめなおす。
「だってへんだよ! このにんげんさんはみんなをみてもゆっくりしてるよ!!」
「ゆ!? ほんとだ! とってもゆっくりしてるよ!!」
「ゆっくちゆっくち!! うしょちゅきはちんでにぇ!!」
「ああ、お兄さんはゆっくりをいじめるとゆっくり出来る人だからな」
「「「ゆわああああああああああああああ!!!」」」
あっという間にまた大恐慌。
「最後に大事なことを言うから聞いてね!!」
お兄さんの声に、ざわざわしながらも全ゆっくりが注目する。
「村の人たちはゆっくりが大嫌いだから、お兄さんはお兄さんがゆっくりするために」
「「「ゆゆっ」」」
「人間さんは、ゆっくりをゆっくりさせません!!!」
「「「ゆんやああああああああああああああああああああああ!!!」」」
直後、ピイイイと甲高い音が空を駆け上がっていった。
鏑矢の音だ。
それを合図にして、ゆっくりの群れに雨のように矢が降り注いだ。
村人がしていた準備というのがこれだ。
わさびを塗りこんだ矢を番えて、物陰から先手を狙っていたのだ。
「ゆぎゃああああああ!! がらいいいいいいいいいいい!!!」
「どずうううううううううう!?」
「ゆぎゅるぅっ!!!」
「いやあああああああ!! どすつぶさないでええええええ!!!」
大きさが災いしてハリネズミのようになったドスは、わさびの辛さにのたうち回る。
その周りでは群れのゆっくりがドスに潰され、地面は餡子まみれになっていた。
ドスさえ動けなくしてしまえば、後は烏合の衆だ。
「ヒャッハー!! お楽しみだぁー!!」
「いやあああああああああああ!!!」
鋤や鍬を抱えた村人が殺到する中に、お兄さんは素手のまま飛び込んでいった。
「つまり、『ゆっくりできない』の主語が何なのか、あいつらに伝わってなかったわけだ」
「なるほどねー」
俺は饅頭どもに『人間はゆっくり出来ない』と伝えた。
当然『人間はゆっくりにとってゆっくり出来ないものだ』という意味だ。
それをあいつらは『人間はゆっくりすることが出来ないあわれな生き物』と理解していたという。
「あいつら、自分がゆっくりすることに命を懸けているからな。
はっきりした言い方じゃないと、自分に都合よく解釈しちまうんだな」
「まあ、あの餡子脳どもも、さすがに理解しただろ」
そういって目を向けた先には、全身に矢が刺さったままのドスがいる。
「村の家は何だかわかるか?」
「ゆっぐじでぎるおうぢば、にんげんざんのゆっぐじぶれいずでず!!」
「村の畑は何だかわかるか?」
「ゆっぐじじだばだげぼ、にんげんざんのゆっぐじぶれいずでず!!」
最初は全部まとめて潰してしまうはずだったが、お兄さんの話が通じたのを見て、森に返すことになったのだ。
もちろん、教育した後でだが。
「お前たちが言うには、人間が野菜を独り占めしているそうだが?」
「にんげんざんのゆっぐじぶれいずにあるがら、にんげんざんのものでず!!」
「お前たちは人間の姿が見えないと、家や畑を勝手に荒らすな?」
「にんげんざんがいなぐでもにんげんざんのゆっぐじぶれいずでず!! りがいじまじだ!!」
お兄さんが言うには、ゆっくりにとって、ゆっくり出来ているかどうかは唯一絶対の尺度らしい。
人間がゆっくりよりも強いことはゆっくりにもわかっていたらしいが、『人間はゆっくり出来ていない』から見下していたようだ。
「ごべんだざいいいいい!!! もうじばぜんんんんんん!!!」
「ゆるじでぐだざいいい!! だずげでぐだざいいいい!!」
「にんげんざんのどごろにばぼうぎばぜん!!!」
ドスの足元には、かろうじて生き残ったゆっくりたちが数匹いる。
あの様子なら、今度という今度は村に来ることはないだろう。
「オラ! とっとと帰れ!!」
「ゆべしっ!!」
「二度と来んなコラ!!」
「ゆっぐじざぜでえええええええええ!!」
村人達のぞんざいな足蹴を受けて、ドスたちはズタボロの体を引きずりながら森に帰っていった。
季節は移ろい、恵みの秋。
あれからゆっくりは人間を警戒するようになり、めったなことでは人前に姿を現さなくなった。
しかし、この時期になると、きのこやあけびなどの恵みを求めて、村人たちが森に入っていく。
「ゆんやああああああああ!! こないでええええええええええええ!!」
「にんげんさんはいやあああああああああああ!!!」
ゆっくりたちも冬篭りに備えて活発に動いており、その結果として毎日、森は悲鳴にあふれている。
ゆっくりが捕まりにくくなり、虐待お兄さんは鬱憤がたまっているのではないか。
そう思い、隣のお兄さんに尋ねてみたが、泣き喚き逃げ惑ってくれたほうが楽しいらしい。
森の恵みもそろそろ終わり、本格的な冬支度を始める時期が近づいている。
だが、お兄さんはゆっくりの悲鳴を求めて、今日も森に向かう。
「にんげんさんはゆっくりできないいいいいいいいいいい!!!」
(完)
* 冗長です
* 独自解釈あります
* 虐待成分薄め
* ネタかぶりはご容赦を
「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜ!!」
「ゆっくりできないじじいはさっさとでていってね!!」
ある日、家がゆっくりに荒らされていた。
うん、お仕置き決定。
【にんげんさんはゆっくりできない】
「ごべんなざいいいいい!! ばでぃざがわるがっだでずうううううう!!!」
「ゆるじでね!! がわいいでいぶをゆるじでね!!!」
一刻ほど殴り倒した結果、最初のでかい態度はきれいに消え失せた。
「お前ら、どうしてこんな目にあっているか、わかってるか?」
「ばでぃざがおにいざんのおうぢにばいっだがらでずううううう!!」
「もうじまぜんがらだずげでえええええええ!!!」
俺の熱い心も伝わったようだな、よし。
「人間さんはゆっくりできないことがわかったか?」
「わがりまじだ!! にんげんざんはゆっぐりでぎまぜん!!」
「よし、お前らのことは逃がしてやる」
「ありがどうございまず!! ありがどうございまず!!」
そして2匹はボロボロになって森に逃げていった。
どうして逃がしたのかって?
この村の周囲にはゆっくりが多く、家や畑が荒らされることが頻繁にある。
相手は所詮饅頭なので退治は簡単なのだが、何しろ数が多すぎてキリがない。
だったら「人間の村に来るとひどい目にあう」と覚えこませて被害を減らせないか?ということだ。
「そんなにうまく行くものかね?」
「やってみなけりゃわからんだろうさ」
隣に住む虐待お兄さんは、潰さず逃がしたことが心残りらしい。
確かに連中が、すぐに物事を覚えるとは思いづらい。
だが、村の端に住んでいるせいで、一番の被害を被っている俺にとって、これは大事な賭けなのだ。
翌日。
「むーしゃむーしゃ、ししししあわせええええええ!!」
「うっめ!! これめっちゃうっめ!!」
俺の畑に、ボロボロのゆっくりが2匹忍び込んでいた。
「…お前ら…」
「ゆゆ!! ゆっくりできないにんげんさんなんだぜ!!」
「ゆっくりできないじじいはさっさとでt」
「おーまーえーらーーーー!!!!」
「「ゆぎゃあああああああああああああああ!!!」」
一通り殴ったり蹴ったりした後、2匹を籠に押し込んだ。
さらにボロボロになったが、2匹ともまだ生きている。
まだだ、まだ殺すわけにはいかない、俺の生活がかかっているんだ…。
「かひっ! かひっ!!」
「ゆべええええぇぇぇぇ…」
所変わって森の中の広場。
目の前には皮をちまちまと毟り取られた結果、全身くまなく餡子剥き出しになった2匹の元ゆっくり。
「いやあああああ!! こわいいいいいいいい!!」
「おもにかおがきもいいいいいいいい!!」
「やめてね!! やめてあげてね!!」
「ゆええええええん!! ゆびぇええええええええん!!」
遠巻きにこちらを囲んで喚いているのは、家を荒らしたゆっくりの群れの仲間たち。
2匹を脅しておびき出し、出てきたヤツらも脅して見物させているのだ。
「どぼぢでぞんなごとずるのおおおおおおおお!?」
「こいつらが俺のゆっくりプレイスを荒らしたからだ!」
そうさ、何も悪さをしたゆっくりを改心させる必要なんてない。
ゆっくり全体が悪さをしないようになれば良いわけで、そのために俺は2匹を見せしめにしている。
「ごべっ、ごべんなざい!! もうじまぜん!! だずげで!!」
「お前昨日もそう言っただろうがああああ!!」
「ゆびゅううううううう!!」
「ゆっ、ゆぎゃあああああああああああ!!」
怒りに任せて2匹の片方を踏み潰す。
辺りに餡子が飛び散り、それが剥き出しの餡に当たったのか、もう1匹が悲鳴を上げる。
「ゆわあああああああああああああああああ!!!」
「ゆびゃああああああ!! ごわいよおおおおおおおお!!!」
「ゆひっ、ゆひいいいいいいいい!!!」
「むぎゅー!! えれえれえれ…」
「ぼうやべでよおおおおお!! ゆっぐじじないでがえっでよおおおおおお!!」
「ゆえーん!! ゆえええええええええん!!」
見物のゆっくりたちも思い思いの悲鳴を上げる。
これだけの反応があれば、当分は荒らされる心配をしなくてもいいだろう。
「わかったかお前ら、人間さんはゆっくりできないだろう?」
「わ、わかったよ!! にんげんさんはゆっくりできないよ!!」
「今度里に下りてきたら、お前ら全部こうしてやるからな!」
「ゆぎょおおおおおおおおおおおおお!!!」
足元の餡子玉を小突くと悲鳴を上げ、それを聞いた辺りのゆっくりたちはぶるぶると震えている。
その様子に満足した俺は、もう1匹は殺さずに森を後にした。
死ぬまでに少しでも恐怖を与えるのが、あれの最後のお勤めだ。
さすがにこれだけやれば、当分は饅頭どもに悩まされることはないだろう。
そう思うと、足取りも軽かった。
それから数日後。
「いちばんえらいにんげんさんをだしてね!!」
村の外れに、ゆっくりの群れを引き連れて、ドスが現れた。
「ですよねー」
「じゃねーだろボケ」
疲れた顔でため息をついた俺を、隣のお兄さんがド突いた。
「情けをかけるだけ無駄か、あのド饅頭ども…」
「連中には人間様の道理が通らないからな。潰してやるのが一番の情けだ」
「違いない…」
村中の男衆は準備に奔走している。
もちろん、ゆっくりどもを駆除するためだ。
村にドスが現れるのは、今回が初めてじゃない。
ほぼ毎年のように現れては、同じ数だけ潰されている。
村人の対応も慣れたものだ。
「れいむとまりさにひどいことをしたにんげんさんをだしてね!!」
「それは出来んと言っておるだろう」
「わるいにんげんさんはせいさいされないといけないんだよ!! むくいなんだよ!!」
「先に悪さをしたのはお前たちだと聞いておるが?」
「ちがうよ!! ゆっくりしてたれいむとまりさが、ゆっくりできないにんげんさんにころされたんだよ!!」
村長は時間稼ぎに、ドスと押し問答を続けている。
まったく、ゆっくりというのは本当に声が大きい。
人の背丈でもなお見上げる大きさのドスの声は、この距離だと怒号にしか聞こえない。
「ゆっくりどもに俺が悪さをされたんだがな」
「はいはい、お邪魔するよ」
「ゆゆ!! わるいにんげんさんだね!!」
と、まあ、俺は村長の脇にやってきた。
別に他意があるわけじゃない、村長だけでは時間稼ぎにも限度があるからだ。
お兄さんはただの野次馬だが。
「にんげんさんにせいさいするよ!! しんでれいむとまりさにあy」
「この前、俺に会ったゆっくりはいるか?」
どうもこのドスは頭が悪く、こいつと話しても時間は稼げそうもない。
ならばと、俺は他のゆっくりに話を振ることにした。
「…ぱちぇはにんげんさんとあったわ」
ドスの後ろから、ゆっくりが1匹現れる。
確かに先日、あの場にぱちゅりーがいた覚えがある。
「俺が話したことを覚えているか?」
「むきゅ……れいむとまりさが、にんげんさんのゆっくりぷれいすをとろうとしたっていってたわ」
「どすもきいたよ!! ゆっくりできないにんげんさんがわるいんだよ!!」
…毎度毎度、餡子脳の超理論には頭が痛くなる。
というか、このドス頭が悪すぎないか?
「おいぱちゅりー、お前も俺が悪いと思うのか?」
「…にんげんさんがわるいとおもうわ」
「おいおい……」
いくらなんでも話が通じなさすぎる。
お仕置きした2匹も、泣いて謝った割には次の日にあのザマだ。
こいつら本当に物を考える力が無いんじゃないかと思えてくる。
よその村では金バッジとかいうものがあるらしいが、ウソなんじゃないか?
「おい、他のゆっくりども。お前らはどう思うんだ?」
たまらずドスの後ろの群れに声をかける。
「ゆゆ! ゆっくりできないにんげんさんがわるいにきまってるんだぜ!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
「おお、ぶざまぶざま」
が、この有様だ。
「ぷぷー! ゆっくりできないなんて、にんげんさんはあわれだね!!」
「おきゃーしゃん、にんげんしゃんはかわいちょうだにぇ!!」
「あかちゃん、あれがゆんせいのらくごしゃだよ!! かしこいあかちゃんはまねしちゃいけないよ!!」
「わきゃっちゃよ、おきゃーしゃん!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
「ゆっくちできにゃいにんげんしゃんはちね!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
「ゆっくりできないにんげんさんはしね!!」
…何で饅頭ごときにここまで言われにゃならんのだ。
煮え返るはらわたを必死に我慢する俺を、馬鹿にしたような目つきでドスが見下ろしている。
畜生! 饅頭のクセにふざけるな! ブッ殺してやる!
「なるほど、大体わかった」
もう少しで後先考えずにドスに飛び掛るところだった俺の前に、お兄さんが進み出た。
「じゃまだよ、にんげんさん! そっちのにんげんさんにせいさいするからどいてね!」
「まあ待て、少しお兄さんの話を聞け。今からゆっくりできる話をしてやる」
「ゆ? ゆっくりできる?」
「そうだ。だから後ろのゆっくりたちを静かにさせろ」
「お、おい、何の話を…」
「いいから、ちょっと黙って聞いてろ」
しねしねと大合唱のゆっくりどもをドスになだめさせ、お兄さんは話し始めた。
「お前たち、人間さんはゆっくり出来ているか?」
「にんげんさんはゆっくりできないんだよ! じょうしきもしらないの? ばかなの?」
「ばーかばーか!」
「ばかなにんげんさんはしんでね!!」
ドスの答えに群れのゆっくりがまた囃し立て始める。
だがお兄さんはそれを無視して、何かに納得したようにうなづいている。
「実はな、人間さんはとてもゆっくり出来ているんだ」
「うそだよ! にんげんさんはゆっくりできないってみんなしってるよ!」
「じゃあお兄さんを見てみろ。ゆっくり出来ていないか?」
「ゆゆ?」
お兄さんを見るドスの眉間に皺が寄っていく。
何しろお兄さんは、獲物の山を前にして笑顔が輝いている。
「ゆう…にんげんさんはゆっくりできているよ?」
「そうだろう、お兄さんは今、とってもゆっくり出来ているぞ」
「で、でもおかしいよ! そっちのにんげんさんはゆっくりできていないよ!」
当たり前だ、クソ饅頭を前にしてニコニコできるか。
お兄さんとは違うんです。
「それはどうしてか教えてやろう」
「ゆ?」
「人間さんは、ゆっくりを見るとゆっくり出来なくなるんだ」
「ゆううううううう!?」
「ありすをみてゆっくりできないなんてとかいはじゃないわ!!」
「れいむこんなにゆっくりしてるのにいいいいいい!!」
「だって人間さんはゆっくりなんて大嫌いだからな」
「「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおお!!?」」」
「ゆゆゆゆゆ…みんなおちついてね!!!」
お兄さんの言葉で大混乱になった群れを、ドスがまとめなおす。
「だってへんだよ! このにんげんさんはみんなをみてもゆっくりしてるよ!!」
「ゆ!? ほんとだ! とってもゆっくりしてるよ!!」
「ゆっくちゆっくち!! うしょちゅきはちんでにぇ!!」
「ああ、お兄さんはゆっくりをいじめるとゆっくり出来る人だからな」
「「「ゆわああああああああああああああ!!!」」」
あっという間にまた大恐慌。
「最後に大事なことを言うから聞いてね!!」
お兄さんの声に、ざわざわしながらも全ゆっくりが注目する。
「村の人たちはゆっくりが大嫌いだから、お兄さんはお兄さんがゆっくりするために」
「「「ゆゆっ」」」
「人間さんは、ゆっくりをゆっくりさせません!!!」
「「「ゆんやああああああああああああああああああああああ!!!」」」
直後、ピイイイと甲高い音が空を駆け上がっていった。
鏑矢の音だ。
それを合図にして、ゆっくりの群れに雨のように矢が降り注いだ。
村人がしていた準備というのがこれだ。
わさびを塗りこんだ矢を番えて、物陰から先手を狙っていたのだ。
「ゆぎゃああああああ!! がらいいいいいいいいいいい!!!」
「どずうううううううううう!?」
「ゆぎゅるぅっ!!!」
「いやあああああああ!! どすつぶさないでええええええ!!!」
大きさが災いしてハリネズミのようになったドスは、わさびの辛さにのたうち回る。
その周りでは群れのゆっくりがドスに潰され、地面は餡子まみれになっていた。
ドスさえ動けなくしてしまえば、後は烏合の衆だ。
「ヒャッハー!! お楽しみだぁー!!」
「いやあああああああああああ!!!」
鋤や鍬を抱えた村人が殺到する中に、お兄さんは素手のまま飛び込んでいった。
「つまり、『ゆっくりできない』の主語が何なのか、あいつらに伝わってなかったわけだ」
「なるほどねー」
俺は饅頭どもに『人間はゆっくり出来ない』と伝えた。
当然『人間はゆっくりにとってゆっくり出来ないものだ』という意味だ。
それをあいつらは『人間はゆっくりすることが出来ないあわれな生き物』と理解していたという。
「あいつら、自分がゆっくりすることに命を懸けているからな。
はっきりした言い方じゃないと、自分に都合よく解釈しちまうんだな」
「まあ、あの餡子脳どもも、さすがに理解しただろ」
そういって目を向けた先には、全身に矢が刺さったままのドスがいる。
「村の家は何だかわかるか?」
「ゆっぐじでぎるおうぢば、にんげんざんのゆっぐじぶれいずでず!!」
「村の畑は何だかわかるか?」
「ゆっぐじじだばだげぼ、にんげんざんのゆっぐじぶれいずでず!!」
最初は全部まとめて潰してしまうはずだったが、お兄さんの話が通じたのを見て、森に返すことになったのだ。
もちろん、教育した後でだが。
「お前たちが言うには、人間が野菜を独り占めしているそうだが?」
「にんげんざんのゆっぐじぶれいずにあるがら、にんげんざんのものでず!!」
「お前たちは人間の姿が見えないと、家や畑を勝手に荒らすな?」
「にんげんざんがいなぐでもにんげんざんのゆっぐじぶれいずでず!! りがいじまじだ!!」
お兄さんが言うには、ゆっくりにとって、ゆっくり出来ているかどうかは唯一絶対の尺度らしい。
人間がゆっくりよりも強いことはゆっくりにもわかっていたらしいが、『人間はゆっくり出来ていない』から見下していたようだ。
「ごべんだざいいいいい!!! もうじばぜんんんんんん!!!」
「ゆるじでぐだざいいい!! だずげでぐだざいいいい!!」
「にんげんざんのどごろにばぼうぎばぜん!!!」
ドスの足元には、かろうじて生き残ったゆっくりたちが数匹いる。
あの様子なら、今度という今度は村に来ることはないだろう。
「オラ! とっとと帰れ!!」
「ゆべしっ!!」
「二度と来んなコラ!!」
「ゆっぐじざぜでえええええええええ!!」
村人達のぞんざいな足蹴を受けて、ドスたちはズタボロの体を引きずりながら森に帰っていった。
季節は移ろい、恵みの秋。
あれからゆっくりは人間を警戒するようになり、めったなことでは人前に姿を現さなくなった。
しかし、この時期になると、きのこやあけびなどの恵みを求めて、村人たちが森に入っていく。
「ゆんやああああああああ!! こないでええええええええええええ!!」
「にんげんさんはいやあああああああああああ!!!」
ゆっくりたちも冬篭りに備えて活発に動いており、その結果として毎日、森は悲鳴にあふれている。
ゆっくりが捕まりにくくなり、虐待お兄さんは鬱憤がたまっているのではないか。
そう思い、隣のお兄さんに尋ねてみたが、泣き喚き逃げ惑ってくれたほうが楽しいらしい。
森の恵みもそろそろ終わり、本格的な冬支度を始める時期が近づいている。
だが、お兄さんはゆっくりの悲鳴を求めて、今日も森に向かう。
「にんげんさんはゆっくりできないいいいいいいいいいい!!!」
(完)