ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3597 声をきかせて
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ankoss
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『声をきかせて』 21KB
小ネタ 野良ゆ ただ虐めるだけの話
小ネタ 野良ゆ ただ虐めるだけの話
注意!
- 何も悪いことをしていないゆっくりが酷い目にあいます。
- でも死にません。
とある公園。青年はベンチに座って、缶コーヒーを飲んでいた。他に人影は無い。
ほとんど人の立ち寄らない場所にあり、ともすればただの空き地に見えるこの小さなこの公園は、青年のお気に入りの場所でもあった。
ふと、青年は何かを聞いた気がした。
何だろうと軽くあたりを見渡したが、あるのは公園の設備だけ。
前、後ろ、右、左。やはり何も無い。上を見て、最後に体を折ってベンチの下を覗き見る。
そこに音の主がいた。
一匹のゆっくりれいむだ。
髪の毛や表皮は綺麗だが、お飾りは薄汚れている。
バッジを付けていないところを見ると野良なのだろう。ここに住んでいるのだろうか。他にゆっくりは見当たらないようだ。
「ゆぴい……ゆぴい……」
れいむは目を閉じ、小さく体を上下させている。眠っているのだ。聞こえてきたのは寝息だった。
無防備な、あどけない寝顔に、青年はいたずら心を起こした。
足元に転がっている細い枝をつまみ。その尖った先を、れいむに近づける。
つん、と小麦粉のその柔らかい皮膚に触れると、れいむはぴくりと反応した。薄く目を開ける。
「……ゆっ? なんだかくすぐったいよ? れいむはまだおねむだから、じゃましないでね……。ゆぴい……ゆぴい……」
揉み上げを使って器用に枝を払い、また寝入ってしまった。
つん、つん、つん、と連続で突付いてみる。
「……ゆ~ん? じゃましないでね? じゃましないでね? れいむはおねむ……ねむ……」
さらに突付く。
「……ゆゆっ? やめてねっ? やめてねっ? ぷーすぷーすはゆっくりできないよ!」
れいむは大きな目をぱちくりさせながら涙声で叫ぶ。どうやら完全に目を覚ましたらしい。
枝から逃げようとベンチの下をずりずりと這うれいむ。そうはさせじと、青年はベンチに座ったままの姿勢で体を限界まで折り曲げ、手を伸ばす。
「えださん、ついてこないでねっ!? ついてこないでねっ!? いじわるしないでねっ! ゆっくりできないよっ!」
「……あれ?」
「やめてねっ! やめてねっ! れいむをゆっくりさせてねっ! ゆっくりしていってねっ!」
「……んん?」
「やめてっていってるのにいいいいいっ!? ゆんやああああああっ!!」
「……うーん?」
青年は妙な感覚を味わっていた。
れいむの涙声を、泣き声を、悲鳴を聞くと、妙に気分が昂ぶるのだ。実にいい気分だ。
どうしたんだろう。自分は特に虐待お兄さんというわけではないはずだ。
迷惑なゆっくりを潰したことくらい、もちろん数え切れないほどあるが、一度としてこんな気分になったことなどない。
枝を持つ指先にも、自然と力がこもった。
「ゆええええええん!! ゆえええええん!! ゆっぐりでぎないよおおおおおお!!」
背中をぞくぞくと、何かが駆け上がるような感覚。
そういえば、虐待趣味はある日突然目覚めるという。
ならば今日、たった今、自分は虐待お兄さんになってしまったのだろうか。
そんなことを考えながらも、手を休めることはしない。いや、できない。
青年はれいむを執拗に突付いた。
「ゆええええええん!! ゆええええええん!! ゆっぐりざぜでよおおおおお!!」
素晴らしい。なんと素晴らしい声なのだろう。快感で全身の毛が逆立つようだ。
いっそ枝などではなく、直接手を使ったらどうか。
柔らかい皮膚に爪を突き入れたら、れいむは、いったいどんな声を聞かせてくれるだろうか。
「もういやだああああああ!! れいむ、おうちかえるうううううう!!」
「……って、何してんだ俺は」
青年は枝を放り、立ち上がった。手のひらに汗をかいているのに気づく。
「ゆええええ……ゆっ? いじわるなえださんがいなくなったよ! ゆっくりできるよ! ゆっくりできるよ! ゆっくりしていってねっ!」
「ああ、やだやだ」
ゆっくり虐待だなんて、そんな後ろ暗い趣味は持たないほうがいい。
青年は足早に公園から立ち去った。
ほとんど人の立ち寄らない場所にあり、ともすればただの空き地に見えるこの小さなこの公園は、青年のお気に入りの場所でもあった。
ふと、青年は何かを聞いた気がした。
何だろうと軽くあたりを見渡したが、あるのは公園の設備だけ。
前、後ろ、右、左。やはり何も無い。上を見て、最後に体を折ってベンチの下を覗き見る。
そこに音の主がいた。
一匹のゆっくりれいむだ。
髪の毛や表皮は綺麗だが、お飾りは薄汚れている。
バッジを付けていないところを見ると野良なのだろう。ここに住んでいるのだろうか。他にゆっくりは見当たらないようだ。
「ゆぴい……ゆぴい……」
れいむは目を閉じ、小さく体を上下させている。眠っているのだ。聞こえてきたのは寝息だった。
無防備な、あどけない寝顔に、青年はいたずら心を起こした。
足元に転がっている細い枝をつまみ。その尖った先を、れいむに近づける。
つん、と小麦粉のその柔らかい皮膚に触れると、れいむはぴくりと反応した。薄く目を開ける。
「……ゆっ? なんだかくすぐったいよ? れいむはまだおねむだから、じゃましないでね……。ゆぴい……ゆぴい……」
揉み上げを使って器用に枝を払い、また寝入ってしまった。
つん、つん、つん、と連続で突付いてみる。
「……ゆ~ん? じゃましないでね? じゃましないでね? れいむはおねむ……ねむ……」
さらに突付く。
「……ゆゆっ? やめてねっ? やめてねっ? ぷーすぷーすはゆっくりできないよ!」
れいむは大きな目をぱちくりさせながら涙声で叫ぶ。どうやら完全に目を覚ましたらしい。
枝から逃げようとベンチの下をずりずりと這うれいむ。そうはさせじと、青年はベンチに座ったままの姿勢で体を限界まで折り曲げ、手を伸ばす。
「えださん、ついてこないでねっ!? ついてこないでねっ!? いじわるしないでねっ! ゆっくりできないよっ!」
「……あれ?」
「やめてねっ! やめてねっ! れいむをゆっくりさせてねっ! ゆっくりしていってねっ!」
「……んん?」
「やめてっていってるのにいいいいいっ!? ゆんやああああああっ!!」
「……うーん?」
青年は妙な感覚を味わっていた。
れいむの涙声を、泣き声を、悲鳴を聞くと、妙に気分が昂ぶるのだ。実にいい気分だ。
どうしたんだろう。自分は特に虐待お兄さんというわけではないはずだ。
迷惑なゆっくりを潰したことくらい、もちろん数え切れないほどあるが、一度としてこんな気分になったことなどない。
枝を持つ指先にも、自然と力がこもった。
「ゆええええええん!! ゆえええええん!! ゆっぐりでぎないよおおおおおお!!」
背中をぞくぞくと、何かが駆け上がるような感覚。
そういえば、虐待趣味はある日突然目覚めるという。
ならば今日、たった今、自分は虐待お兄さんになってしまったのだろうか。
そんなことを考えながらも、手を休めることはしない。いや、できない。
青年はれいむを執拗に突付いた。
「ゆええええええん!! ゆええええええん!! ゆっぐりざぜでよおおおおお!!」
素晴らしい。なんと素晴らしい声なのだろう。快感で全身の毛が逆立つようだ。
いっそ枝などではなく、直接手を使ったらどうか。
柔らかい皮膚に爪を突き入れたら、れいむは、いったいどんな声を聞かせてくれるだろうか。
「もういやだああああああ!! れいむ、おうちかえるうううううう!!」
「……って、何してんだ俺は」
青年は枝を放り、立ち上がった。手のひらに汗をかいているのに気づく。
「ゆええええ……ゆっ? いじわるなえださんがいなくなったよ! ゆっくりできるよ! ゆっくりできるよ! ゆっくりしていってねっ!」
「ああ、やだやだ」
ゆっくり虐待だなんて、そんな後ろ暗い趣味は持たないほうがいい。
青年は足早に公園から立ち去った。
翌日。青年は昨日と同じ公園の同じベンチに座っていた。
「いだいっ! いだいよっ!! いだいよっ!!」
青年の足の下で、れいむの柔らかい小麦粉の体がぐねぐねと形をゆがめる。
足から逃れようと、できるだけ痛みを和らげようとしているらしい。
青年も足を前後左右に動かした。
「やめでねっ! れいむをふーみふーみしないでねっ!」顔面を涙でぐしょぐしょにしながら、れいむは叫ぶ。「ゆっぐりあんよをどげでねっ!? あんよをどげでねっ!?」
どんなに哀願されたところで、足をどけるつもりはない。しかし、どんどん哀願してもらいたい。
その惨めな声をもっと聞かせて欲しい。青年はそう思っていた。
「つぶれぢゃうっ! つぶれっ! づっ、づぶでどぅううううううっ!?」
「やっぱり、いい声してるわあ……」
れいむを踏みつけながら、ほう、と息を漏らし、青年は呟いた。持ってきた缶コーヒーを、ちびりとやる。
昨日の快感が、れいむの声が忘れられず、今日もまたこの公園に来てしまった。
ゆっくり虐待だなんて――そう思いながら公園を離れた青年だったが、どうしてもれいむの声が耳から離れなかった。
やはり自分は虐待趣味に目覚めてしまったのだろうか。
そう思って、昨日の帰り道、町中で見かけた野良ゆっくりを片っ端から蹴り飛ばしてみたが、特に気は晴れない。
ゲスっぽいゆっくり、善良そうなゆっくり、また、どんな種類のゆっくりでも駄目だ。同じれいむ種でも駄目。
善良そうなゆっくりの「どうじでこんなこどずるのおおおおおお!?」という泣き声を聞かされた時には、むしろ罪悪感さえ芽生えてしまった。
どうやら自分は虐待趣味に目覚めたわけではないらしい。少なくとも、その辺の野良を虐待したところで何も感じない。
しかし、この足元で必死に泣き喚くれいむが相手ならどうだ。
「おにいざんっ! どうじでこんなこどずるのおおおおおお!?」
昨日、あんなにも心を痛めた言葉なのに、このれいむの口から発せられたかと思うと、心が躍って仕方ない。
ベンチの下にいなかったらどうしよう――今日ここを訪れる前まではそんな不安もあった。
しかし、れいむは昨日と同じ場所で眠っていた。こんなにうれしい事はなかった。
もちろん、誰かの飼いゆっくりでないことは、本ゆんに確認済みだ。あとでトラブルになったら困る。
「ゆっぐりっ! ゆっぐりでぎないっ!! れいぶっ! いだぐでっ! ぐるじぐでっ! ゆっぐりでぎないよっ!! れいぶはっ!」
「ああ、いいなあ……」
青年はれいむから足をどけた。
れいむの声に飽きることはなかったが、れいむを踏むことには飽きてしまった。正直、ぶよぶよとした弾力が気持ち悪い。
「……ゆゆっ! おにいさんがあんよをどけてくれたよっ!? ゆっくりしないで、いまのうちににげるよ! そろーり! そろーり!」
ずりずりと青年から離れようとするれいむ。
もちろん逃がすつもりはない。青年は立ち上がった。
「そろーり! そろーり! おにいさんはついてこないでね! れいむはゆっくりにげるよ! おうちにかえるよ!」
おうちとはどこだろう。先ほどは「むこうにすんでるよ!」と言っていたが。
興味はあったが、今はそれどころではない。
こちらに向いているれいむの尻。ぷりんぷりんと左右に揺れるそれを、青年は爪先で蹴った。
「ゆっべえええ!?」
衝撃で前方に跳ね、そのまま突っ伏すれいむ。砂埃が舞った。
「いだいっ! いだいっ! おかおがっ! あにゃるが! おかおがっ! あにゃるがっ! ゆっぐりでぎないっ!」
ころんと体を起こし、空を拝んでじたばたしながら、揉み上げを激しく動かして顔をさするれいむ。
青年はれいむの向こうに回り、今度は頭頂部を蹴った。
れいむは仰向けのまま地面をすべり、そして止まった。また砂埃が舞う。
「いだいっ! いだいっ! おつむがっ! せなかがっ! おつむがっ! せなかがっ! ゆっぐりでぎないっ!」
揉み上げを左右交互に、せわしなく上下させるれいむ。頭と背中をさすっているつもりらしいが、揉み上げはそのどちらにも届いていない。
それから二度三度、れいむを軽く蹴る。
「いじゃっ! げらないでっ! もうやべでっ! ゆっぐりっ!」蹴るたびに律儀に声を上げてくれるれいむ。「ゆっぐっ! ゆっぐりっ! ゆっぐりじだいっ!」
「いいなあ……」
れいむの潰れたような悲鳴に恍惚となりながら、青年はれいむを蹴り続ける。
しかし、全力で蹴ることは決してしない。万が一にでも、その柔らかい皮膚を蹴破って、殺してしまうわけにはいかないからだ。
殺してしまっては、れいむの声を聞くことができなくなってしまう。それだけは絶対に避けなくてはいけなかった。
もっとも、全力を出すまでもなく、れいむは大声で泣き、騒いで、その声を聞かせてくれる。
「ゆぶぶっ! れいむしんじゃう! しんじゃうよっ! じにだぐないのにっ! れいむじにだぐないのにっ!」
軽く小突くだけでこれだ。
ゆっくりは極度の痛がりだというが、それは本当らしい。
「ゆひっ! ゆひいいいっ! いだいよっ! ゆっぐりでぎないよっ! ゆっぐりっ!」
「その調子、その調子……」
青年はれいむを持ち上げた。すっかり薄汚れたバレーボール大のそれは、青年の手の中でぴくぴくと小刻みに動いた。
その感触に、青年は顔をしかめる。
「もういやだあっ! ……おそらをとんでるみたいっ!」
恐怖に歪んだれいむの顔は、しかしすぐに晴れ晴れとしたものに変わった。
持ち上げられた楽しさが、痛みや恐怖に勝ったらしい。俗に「キリッ!」と表現される顔だ。
虐待お兄さんの嗜虐心を刺激する表情のひとつらしいが、青年にとってはどうでもよかった。それよりもっと声を聞かせて欲しい。
胸の高さから頭上へ。れいむをさらに高く持ち上げる。
「ゆわーい! れいむ、とりさんだよ! とりさんになったよ!」
はしゃぐれいむを、青年は地面に落とした。
「ゆぶえっ!? ……ゆんやあああああああっ! いだいよっ! いだいよおおおおおおおっ!」
火がついたように泣き叫ぶれいむを、もう一度持ち上げる。
涙は滝のように流れてはいるものの、歪んだ泣き顔はやはり一瞬でキリッ! と変わる。
「おぞらをとんでるみだいっ!?」
そのセリフを聞き終えた瞬間、地面に落とす。
「ゆぶえっ!?」
今度は片方の揉み上げをつかんで持ち上げる。
「おぞらを……はなじでっ! はなじでっ! もみあげざんがもげぢゃうよっ!! ゆっぐりじないではなじでねっ!」
「いいね、いいね……」
先ほどとは違ったセリフ。その必死な声に、青年の心が弾んだ。
青年の手の中で、れいむの揉み上げが、それ自体生き物のようにぐねぐねと動く。
おぞましい。言われた通り即座に離してやる。
「ゆべっ!? いだいい……もみあげざんっ!? ……よがっだ! もみあげざんはもげでないよっ! ゆっぐり! ゆっぐり!」
「あ……。揉み上げくらい、ちぎってやってもよかったのかな……」
生かさず殺さずを心がけようにも、もともと虐待お兄さんではない青年には、その力加減が難しかった。
たとえば揉み上げを切断したり、目を潰したりした場合、そのままショック死したりはしないのだろうか。あるいは、出血――出餡多量で死んだりはしないのだろうか。
ゆっくりの耐久力なんて考えたこともない。何せ今までは、家の周りやゴミ集積所で悪さを働くゆっくりを、ただ何も考えず潰してきただけだ。
そういえば、ゆっくりが怪我をした場合、小麦粉やオレンジジュースでの治療が可能と聞いたことがある。万一のために、それらを用意しておくべきだったか。
とにかく、殺してしまっては元も子もない。声が聞けなくなってしまう。
こんなに楽しいことなのに、手探りでやらなければならないのが悔しかった。
「ああ、くそ!」
「いだあっ!?」
青年は腹立ち紛れに、れいむを蹴った。
手元の缶コーヒーに目をやる。砂糖もミルクも多め。青年の好みだった。
「これじゃ駄目かな……」
言いながら缶を傾け、一滴二滴と、れいむの顔にコーヒーをたらしてやる。
「……ゆっ? ゆゆっ? ぺーろぺーろ! しあわ……ゆげえええっ!? これどくはいっでるううう!?」
さらなる悲鳴のバリエーションを引き出すことには成功したが、やはり缶コーヒーでの治療は無理らしい。「毒」ときた。
「ゆげえっ! ゆげえっ! にがにがっ! にがにがはゆっぐりでぎだいよぼおおおっ!」
「あ、あれ?」
苦しそうにのたうち回るれいむ。
ぎゅっと目を閉じ、半開きの口から舌を出し、毒の滴を払い落とすかのように、揉み上げでしきりに顔をこすっている。
ひょっとしてコーヒー――毒はまずかったのだろうか。
虫だろうと動物だろうと、毒を盛られれば死ぬ。人間だってそうだし、あの巨大な象でさえ、毒は文字通り致命的なのだ。
ならば、ゆっくりはどうなのだろう。いかにでたらめな生態とはいえ、やはり例外ではないのではないか。
「にがいいいいいいっ! ゆっぐりでぎだじいいいいっ!」
「こ、こりゃあ……」
まずい。これはいけない。青年は焦った。
野良ゆっくり一匹死なせたところで困ることはないが、このれいむだけは特別だ。他ならぬ自分のために殺すわけにはいかない。
「ゆげええっ!」
れいむが餡子を吐き出した。これは危険だ。
そうだ。公園の入り口に自動販売機があったはずだ。そこでオレンジジュースを買って――
そう思って入り口付近に目をやると、若い女が立っているのが見えた。
女は明らかに青年の方を見ている。
誰だろう。どうしてこっちを見ているのだろう。いつから見ているのだろう。
そして、自分はどう見えているのだろう。
青年は一瞬でそこまで考え、急に恥ずかしくなった。「ゆっ、ゆっ、ゆっ」と痙攣し始めたれいむから、ばっと体を離す。
昼日中から公共の場で、なんら悪いことをしていないゆっくりを虐める男。
おそらく虐待お兄さんとしても最低の部類だろう。それが今の自分。
自分は虐待お兄さんじゃないんです! でも、このれいむは特別なんです! 何ならちょっと、こいつを殴ってみてくださいよ!
青年はそう主張したい気持ちにも駆られたが、さすがに止めておいた。意味が無いし、かえって変態だと思われてしまう。
決まりが悪くなり、青年は女の脇をそそくさとすり抜け、逃げるように公園を出た。
小走りに公園を離れながら考える。
れいむはあのまま死んでしまうのだろうか? もうあの声を聞くことはできないのだろうか?
もしそうなったとしても、仕方ないと諦めるしかない。悪いのは自分だ。
いや、そうわかっていても名残惜しい。
だから明日またこの公園を訪れてみようと、青年は思った。
もちろん、オレンジジュースを持ってだ。
「いだいっ! いだいよっ!! いだいよっ!!」
青年の足の下で、れいむの柔らかい小麦粉の体がぐねぐねと形をゆがめる。
足から逃れようと、できるだけ痛みを和らげようとしているらしい。
青年も足を前後左右に動かした。
「やめでねっ! れいむをふーみふーみしないでねっ!」顔面を涙でぐしょぐしょにしながら、れいむは叫ぶ。「ゆっぐりあんよをどげでねっ!? あんよをどげでねっ!?」
どんなに哀願されたところで、足をどけるつもりはない。しかし、どんどん哀願してもらいたい。
その惨めな声をもっと聞かせて欲しい。青年はそう思っていた。
「つぶれぢゃうっ! つぶれっ! づっ、づぶでどぅううううううっ!?」
「やっぱり、いい声してるわあ……」
れいむを踏みつけながら、ほう、と息を漏らし、青年は呟いた。持ってきた缶コーヒーを、ちびりとやる。
昨日の快感が、れいむの声が忘れられず、今日もまたこの公園に来てしまった。
ゆっくり虐待だなんて――そう思いながら公園を離れた青年だったが、どうしてもれいむの声が耳から離れなかった。
やはり自分は虐待趣味に目覚めてしまったのだろうか。
そう思って、昨日の帰り道、町中で見かけた野良ゆっくりを片っ端から蹴り飛ばしてみたが、特に気は晴れない。
ゲスっぽいゆっくり、善良そうなゆっくり、また、どんな種類のゆっくりでも駄目だ。同じれいむ種でも駄目。
善良そうなゆっくりの「どうじでこんなこどずるのおおおおおお!?」という泣き声を聞かされた時には、むしろ罪悪感さえ芽生えてしまった。
どうやら自分は虐待趣味に目覚めたわけではないらしい。少なくとも、その辺の野良を虐待したところで何も感じない。
しかし、この足元で必死に泣き喚くれいむが相手ならどうだ。
「おにいざんっ! どうじでこんなこどずるのおおおおおお!?」
昨日、あんなにも心を痛めた言葉なのに、このれいむの口から発せられたかと思うと、心が躍って仕方ない。
ベンチの下にいなかったらどうしよう――今日ここを訪れる前まではそんな不安もあった。
しかし、れいむは昨日と同じ場所で眠っていた。こんなにうれしい事はなかった。
もちろん、誰かの飼いゆっくりでないことは、本ゆんに確認済みだ。あとでトラブルになったら困る。
「ゆっぐりっ! ゆっぐりでぎないっ!! れいぶっ! いだぐでっ! ぐるじぐでっ! ゆっぐりでぎないよっ!! れいぶはっ!」
「ああ、いいなあ……」
青年はれいむから足をどけた。
れいむの声に飽きることはなかったが、れいむを踏むことには飽きてしまった。正直、ぶよぶよとした弾力が気持ち悪い。
「……ゆゆっ! おにいさんがあんよをどけてくれたよっ!? ゆっくりしないで、いまのうちににげるよ! そろーり! そろーり!」
ずりずりと青年から離れようとするれいむ。
もちろん逃がすつもりはない。青年は立ち上がった。
「そろーり! そろーり! おにいさんはついてこないでね! れいむはゆっくりにげるよ! おうちにかえるよ!」
おうちとはどこだろう。先ほどは「むこうにすんでるよ!」と言っていたが。
興味はあったが、今はそれどころではない。
こちらに向いているれいむの尻。ぷりんぷりんと左右に揺れるそれを、青年は爪先で蹴った。
「ゆっべえええ!?」
衝撃で前方に跳ね、そのまま突っ伏すれいむ。砂埃が舞った。
「いだいっ! いだいっ! おかおがっ! あにゃるが! おかおがっ! あにゃるがっ! ゆっぐりでぎないっ!」
ころんと体を起こし、空を拝んでじたばたしながら、揉み上げを激しく動かして顔をさするれいむ。
青年はれいむの向こうに回り、今度は頭頂部を蹴った。
れいむは仰向けのまま地面をすべり、そして止まった。また砂埃が舞う。
「いだいっ! いだいっ! おつむがっ! せなかがっ! おつむがっ! せなかがっ! ゆっぐりでぎないっ!」
揉み上げを左右交互に、せわしなく上下させるれいむ。頭と背中をさすっているつもりらしいが、揉み上げはそのどちらにも届いていない。
それから二度三度、れいむを軽く蹴る。
「いじゃっ! げらないでっ! もうやべでっ! ゆっぐりっ!」蹴るたびに律儀に声を上げてくれるれいむ。「ゆっぐっ! ゆっぐりっ! ゆっぐりじだいっ!」
「いいなあ……」
れいむの潰れたような悲鳴に恍惚となりながら、青年はれいむを蹴り続ける。
しかし、全力で蹴ることは決してしない。万が一にでも、その柔らかい皮膚を蹴破って、殺してしまうわけにはいかないからだ。
殺してしまっては、れいむの声を聞くことができなくなってしまう。それだけは絶対に避けなくてはいけなかった。
もっとも、全力を出すまでもなく、れいむは大声で泣き、騒いで、その声を聞かせてくれる。
「ゆぶぶっ! れいむしんじゃう! しんじゃうよっ! じにだぐないのにっ! れいむじにだぐないのにっ!」
軽く小突くだけでこれだ。
ゆっくりは極度の痛がりだというが、それは本当らしい。
「ゆひっ! ゆひいいいっ! いだいよっ! ゆっぐりでぎないよっ! ゆっぐりっ!」
「その調子、その調子……」
青年はれいむを持ち上げた。すっかり薄汚れたバレーボール大のそれは、青年の手の中でぴくぴくと小刻みに動いた。
その感触に、青年は顔をしかめる。
「もういやだあっ! ……おそらをとんでるみたいっ!」
恐怖に歪んだれいむの顔は、しかしすぐに晴れ晴れとしたものに変わった。
持ち上げられた楽しさが、痛みや恐怖に勝ったらしい。俗に「キリッ!」と表現される顔だ。
虐待お兄さんの嗜虐心を刺激する表情のひとつらしいが、青年にとってはどうでもよかった。それよりもっと声を聞かせて欲しい。
胸の高さから頭上へ。れいむをさらに高く持ち上げる。
「ゆわーい! れいむ、とりさんだよ! とりさんになったよ!」
はしゃぐれいむを、青年は地面に落とした。
「ゆぶえっ!? ……ゆんやあああああああっ! いだいよっ! いだいよおおおおおおおっ!」
火がついたように泣き叫ぶれいむを、もう一度持ち上げる。
涙は滝のように流れてはいるものの、歪んだ泣き顔はやはり一瞬でキリッ! と変わる。
「おぞらをとんでるみだいっ!?」
そのセリフを聞き終えた瞬間、地面に落とす。
「ゆぶえっ!?」
今度は片方の揉み上げをつかんで持ち上げる。
「おぞらを……はなじでっ! はなじでっ! もみあげざんがもげぢゃうよっ!! ゆっぐりじないではなじでねっ!」
「いいね、いいね……」
先ほどとは違ったセリフ。その必死な声に、青年の心が弾んだ。
青年の手の中で、れいむの揉み上げが、それ自体生き物のようにぐねぐねと動く。
おぞましい。言われた通り即座に離してやる。
「ゆべっ!? いだいい……もみあげざんっ!? ……よがっだ! もみあげざんはもげでないよっ! ゆっぐり! ゆっぐり!」
「あ……。揉み上げくらい、ちぎってやってもよかったのかな……」
生かさず殺さずを心がけようにも、もともと虐待お兄さんではない青年には、その力加減が難しかった。
たとえば揉み上げを切断したり、目を潰したりした場合、そのままショック死したりはしないのだろうか。あるいは、出血――出餡多量で死んだりはしないのだろうか。
ゆっくりの耐久力なんて考えたこともない。何せ今までは、家の周りやゴミ集積所で悪さを働くゆっくりを、ただ何も考えず潰してきただけだ。
そういえば、ゆっくりが怪我をした場合、小麦粉やオレンジジュースでの治療が可能と聞いたことがある。万一のために、それらを用意しておくべきだったか。
とにかく、殺してしまっては元も子もない。声が聞けなくなってしまう。
こんなに楽しいことなのに、手探りでやらなければならないのが悔しかった。
「ああ、くそ!」
「いだあっ!?」
青年は腹立ち紛れに、れいむを蹴った。
手元の缶コーヒーに目をやる。砂糖もミルクも多め。青年の好みだった。
「これじゃ駄目かな……」
言いながら缶を傾け、一滴二滴と、れいむの顔にコーヒーをたらしてやる。
「……ゆっ? ゆゆっ? ぺーろぺーろ! しあわ……ゆげえええっ!? これどくはいっでるううう!?」
さらなる悲鳴のバリエーションを引き出すことには成功したが、やはり缶コーヒーでの治療は無理らしい。「毒」ときた。
「ゆげえっ! ゆげえっ! にがにがっ! にがにがはゆっぐりでぎだいよぼおおおっ!」
「あ、あれ?」
苦しそうにのたうち回るれいむ。
ぎゅっと目を閉じ、半開きの口から舌を出し、毒の滴を払い落とすかのように、揉み上げでしきりに顔をこすっている。
ひょっとしてコーヒー――毒はまずかったのだろうか。
虫だろうと動物だろうと、毒を盛られれば死ぬ。人間だってそうだし、あの巨大な象でさえ、毒は文字通り致命的なのだ。
ならば、ゆっくりはどうなのだろう。いかにでたらめな生態とはいえ、やはり例外ではないのではないか。
「にがいいいいいいっ! ゆっぐりでぎだじいいいいっ!」
「こ、こりゃあ……」
まずい。これはいけない。青年は焦った。
野良ゆっくり一匹死なせたところで困ることはないが、このれいむだけは特別だ。他ならぬ自分のために殺すわけにはいかない。
「ゆげええっ!」
れいむが餡子を吐き出した。これは危険だ。
そうだ。公園の入り口に自動販売機があったはずだ。そこでオレンジジュースを買って――
そう思って入り口付近に目をやると、若い女が立っているのが見えた。
女は明らかに青年の方を見ている。
誰だろう。どうしてこっちを見ているのだろう。いつから見ているのだろう。
そして、自分はどう見えているのだろう。
青年は一瞬でそこまで考え、急に恥ずかしくなった。「ゆっ、ゆっ、ゆっ」と痙攣し始めたれいむから、ばっと体を離す。
昼日中から公共の場で、なんら悪いことをしていないゆっくりを虐める男。
おそらく虐待お兄さんとしても最低の部類だろう。それが今の自分。
自分は虐待お兄さんじゃないんです! でも、このれいむは特別なんです! 何ならちょっと、こいつを殴ってみてくださいよ!
青年はそう主張したい気持ちにも駆られたが、さすがに止めておいた。意味が無いし、かえって変態だと思われてしまう。
決まりが悪くなり、青年は女の脇をそそくさとすり抜け、逃げるように公園を出た。
小走りに公園を離れながら考える。
れいむはあのまま死んでしまうのだろうか? もうあの声を聞くことはできないのだろうか?
もしそうなったとしても、仕方ないと諦めるしかない。悪いのは自分だ。
いや、そうわかっていても名残惜しい。
だから明日またこの公園を訪れてみようと、青年は思った。
もちろん、オレンジジュースを持ってだ。
去っていく青年の後姿を一瞥し、女は公園の中に足を踏み入れた。
バッグからオレンジジュースを取り出しながら、一目散にれいむの元へと向かう。
「ゆひっ……ゆひっ……ゆひっ……」
れいむは白目をむいて、仰向けに転がっていた。
黒い痣だらけの体。ところどころ付着した茶色の液体は、これはコーヒーだろう。
さっきの男がやったのだ。ひどいことをする。死んでしまったらどうするつもりだろう。
「もっど……ゆっぐじ……」
まずい。
女は慌ててれいむの体にオレンジジュースを注いだ。口の中にも、どばどばと流し込む。
「……じだっ……ゆ……ゆゆっ!? ゆゆゆっ!? ふっかつっ! だよ! ゆっくり! ゆっくり!」
いまにも「ぱあああっ!」という音が聞こえてきそうなくらい晴れやかな表情で、れいむは復活した。
女はホッと息を吐く。治療が間に合ったようだ。
「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり!」
揉み上げをピコピコと上下させながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねるれいむ。絶好調だ。
女はそれをニコニコと眺める。
「れいむ! ゆっくり! れいむはゆっくり! れいむはゆっくり! ゆゆゆ~ん……」体を前に曲げて、そして勢いよく起こす。「ゆっくりしていってねっ!」
体を逸らし、キリッ! と得意げな表情。
そのまま数秒。
プルプルと体が小刻みに動いているのは、これは自分に酔ってでもいるのだろうか。
やがて満足したらしいれいむが、女を見上げて言った。
「おねえさん、ありがとうね! ありがとうね! いじわるなおにいさんにいじめられて、れいむはゆっくりできなかったんだよ!」
「そう」
女は短く返す。元気になってくれたようで何よりだ。
「おねえさんはゆっくりしてるね! おれんじじゅーすさんもゆっくりしてるよ!」
「そう」
ボイスレコーダーを取り出し、スイッチを入れる。ゴム手袋をはめる。
「ゆふふっ! れいむといっしょにゆっくりしていってね! おねえさん! ぱっちんっ!」
言いながら、れいむは片目を閉じた。ウインクだ。
その瞬間、女はれいむの左頬を平手で打った。
ばちん、という乾いた音とともに、れいむの体が横にぶれる。
「ゆごっ!?」
続けて右頬にもビンタを張る。
「いだいよっ!?」
右、左、右、左。女はリズムよく、続けざまに引っぱたく。
れいむの垂れ流す涙で、よだれで、ゴム手袋が汚れる。素手じゃなくて良かった。
「ゆべっ! やべでっ!? ゆべっ! おねえざん、やべでっ!? ゆべっ! ゆっぐじでぎだびいっ!?」
「ああ、いいわあ……」恍惚となりながら、女は言った。「やっぱりこのれいむの声は、格別よね……」
「ほっぺがっ! いだいっ! ほっぺがっ! いだいっ!」
ひとしきりビンタによる泣き声を堪能した後、女は公園の隅に行き、伸び放題の雑草の中に転がっている石を数個拾ってきた。
元の場所に戻った時に「ぞろーり……ぞろーり……」と逃げようとしていたれいむの尻を蹴飛ばし、「あにゃるがっ!?」という悲鳴を引き出す。
「はいはい、お口をあーんしてねえ」
「あーんするよっ! ……あがっ! あげげげっ!? うっぐぎでぎがいぎがぐぐおっ!?」
女はれいむの口を無理やり開き、その中に石を詰め込む。
そして、ボイスレコーダーの電源を確かめてから、女はれいむの顔面を思い切り殴りつけた。
「うごごおおっ! いだぎいいいっ! いだぎいい! あがああああっ!」
歯が2、3本折れたようだが気にしない。あとでオレンジジュースをかけてやるだけだ。
「あがっ! あがっ! いがいごっ! ゆっぐぎでぎがいごっ! 」
「うーん……」
「ぐがっ! ぐぎえっ! がががっ!」
「あたた。こっちの手が痛くなっちゃたわ」
手をさすりながら女は言った。考えてみれば薄皮越しに石を殴っているようなものだ。
それに、石のせいでせっかくの声が聞き取りづらい。歯が折れているのも明らかにマイナス。これはちょっと失敗だったかも知れない。
れいむの口から石を取り出してやる。
「ひゃぎゃあ……れいむのまっひろにゃひゃぎゃあ……?」
しくしくと泣くれいむの歯茎に、オレンジジュースを注ぐ。それだけで折れてぼろぼろになった歯が、健康そのものの歯に生え変わった。
「……ゆゆっ? かいっふくっ! これでゆっくりできるよ! ゆっくりできるね! ゆっくびいいんっ!?」
再びビンタを見舞った。
石を含ませていた時とは打って変わって明瞭なその発声。女の体が痺れた。
うつ伏せに倒れたまま「ゆっぐ、ゆっぐ」とすすり泣くれいむを左手で押さえつけ、右手でもみ上げをつかむ。
ゴム手袋越しに伝わってくる、ぶよぶよした感触に、女は眉をひそめた。
「ゆっ? なにするの? やめてねっ! れいむのもみあげさんにさわらないでねっ!」れいむが慌てて顔を上げる。「はなしてねっ! もみあげさんから、おててをはなしてねっ!」
その必死で惨めな声に満足し、一気に揉み上げを引きちぎる。
「ゆんぎいっ!?」
たいした抵抗もなく、もみ上げはあっさりとれいむの体から離れた。次いでもう一本も引きちぎる。
「はいはい。大事な揉み上げがちぎれちゃったよ。派手に泣くよね? 泣くんでしょ?」
「ゆわああああああっ!? れいむのもみあげさんがああああああっ!?」
満足。
まさに女の希望通り、派手に泣き喚くれいむ。目は飛び出さんばかり、顎は外れんばかりだ。
ぷらぷらと弄んでいた揉み上げを無造作に放る。すぐにれいむが飛びついた。
「もみあげざんっ! もみあげざんっ! ゆっぐりじないでもとにもどってね! ゆえっ……! れいむがぺーろぺーろしてあげるよっ!」
揉み上げに取り縋るれいむを爪先で小突くと、「ゆべっ!」と転がりながらも、すぐに起き上がった。そして揉み上げに飛びつく。
「ゆえええええん! れいぶのだいじなもみあげざんっ! ゆっぐじじでいっでね! ゆっぐじじでいっでね! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ!」
必死な声。悲痛な泣き声。たまらない。ぞくぞくする。
砂糖水のよだれでべとべとになるまで2本の揉み上げを舐めるれいむだったが、そんなことで何がどうなるわけでもない。
オレンジジュースで治してやるつもりではあるが、もちろんそれをれいむに伝えたりはしない。
やがてれいむは天を仰ぎ、そしてがっくりとうな垂れ、静かに涙を流し始めた。
「なおらないいい……もみあげざんがなおらだいよぼおお……。れいぶ、もうぴこぴこでぎだいいい……。ぴこぴこ……ぴこぴこおおお……」
女はボイスレコーダーをれいむの口元にあてた。
この『絶望』としか形容できない、暗く沈んだ声も実に沁みる。
「ああ、あんたを家に連れて帰れたらいいのに……」
女はうっとりとつぶやく。
それは、昨日もこの場所で、女の口から出た言葉だった。
女は昨日、この公園でれいむと出会った。正確には、公園の入り口でれいむを蹴飛ばした。それはただの不注意だった。
そして女は、れいむの「いたいっ!」という悲鳴に耳を奪われた。
身も心を蕩けさすような、なんと美しい悲鳴――
次の「ゆえええん!」という泣き声を聞いた時には、無意識にれいむを公園に蹴りこんでいた。
もっと、もっとこのれいむの声を聞きたい! 泣かせたい!
幸運なことに野良だというこのれいむを、女は蹴って、殴って、引っ掻いた。枝を使って突付きもした。
「やべででっ! おねえざんやべででっ! れいぶ、ゆっぐじでぎだいよっ!」
そのたびに、れいむは素晴らしい声を聞かせてくれた。
夢中になってれいむに悲鳴を上げさせ続け、気が付くと帰宅しなくてはならない時間になっていた。
「もうやべで……ゆっぐりざぜで……」とぐったりするれいむを放置し、公園内の水道に向かう。
手に付いたれいむの体液を洗い流しながら、女は今になって吐き気を覚えた。
気持ち悪い。声はいいのに、その他の要素は醜悪としか言いようがない。
女は悩んだ。
れいむを家に連れて帰って、噂に名高い『透明な箱』に入れておけば、れいむは一日中声を聞かせてくれるだろう。
そう、「だしてね! だしてね! れいむをおうちにかえしてね! このはこさんはゆっくりできないよ!」といった具合に。
そのまま目の前にエサをちらつかせてやるのもいい。
きっと「ゆゆっ、おいしそうだね! れいむがゆっくりむーしゃむーしゃするよ! ……はござんがらでられないよおおおおっ!?」などと言ってくれるはずだ。
しかし、それはできない。家に連れてかえることはできない。
なぜなら、同居している家族の目があるからだ。
虐待趣味を持つ人間は、常に周りから白い目で見られる。
女は特に虐待お兄さんやお姉さんを軽蔑してはいなかったが、自分がそう見られるのは嫌だった。
事実、自分は虐待お姉さんなどではない。
ただ、このれいむが、このれいむの声が好きなだけで。このれいむの泣き声を、悲鳴を聞きたいだけで。
悩ましい。女は頭を抱えた。
とりあえず、明日またここに来るとしよう。声を聴きに。
そのためには、れいむに死んでもらうわけにはいかない。
女は公園の入り口でオレンジジュースを買い、れいむにかけてやった。
元気を取り戻して「ゆっくりー!」と跳ねるれいむを爪先で小突きながら、女はつぶやいた。
「ああ、あんたを家に連れて帰れたらいいのに……」
バッグからオレンジジュースを取り出しながら、一目散にれいむの元へと向かう。
「ゆひっ……ゆひっ……ゆひっ……」
れいむは白目をむいて、仰向けに転がっていた。
黒い痣だらけの体。ところどころ付着した茶色の液体は、これはコーヒーだろう。
さっきの男がやったのだ。ひどいことをする。死んでしまったらどうするつもりだろう。
「もっど……ゆっぐじ……」
まずい。
女は慌ててれいむの体にオレンジジュースを注いだ。口の中にも、どばどばと流し込む。
「……じだっ……ゆ……ゆゆっ!? ゆゆゆっ!? ふっかつっ! だよ! ゆっくり! ゆっくり!」
いまにも「ぱあああっ!」という音が聞こえてきそうなくらい晴れやかな表情で、れいむは復活した。
女はホッと息を吐く。治療が間に合ったようだ。
「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり!」
揉み上げをピコピコと上下させながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねるれいむ。絶好調だ。
女はそれをニコニコと眺める。
「れいむ! ゆっくり! れいむはゆっくり! れいむはゆっくり! ゆゆゆ~ん……」体を前に曲げて、そして勢いよく起こす。「ゆっくりしていってねっ!」
体を逸らし、キリッ! と得意げな表情。
そのまま数秒。
プルプルと体が小刻みに動いているのは、これは自分に酔ってでもいるのだろうか。
やがて満足したらしいれいむが、女を見上げて言った。
「おねえさん、ありがとうね! ありがとうね! いじわるなおにいさんにいじめられて、れいむはゆっくりできなかったんだよ!」
「そう」
女は短く返す。元気になってくれたようで何よりだ。
「おねえさんはゆっくりしてるね! おれんじじゅーすさんもゆっくりしてるよ!」
「そう」
ボイスレコーダーを取り出し、スイッチを入れる。ゴム手袋をはめる。
「ゆふふっ! れいむといっしょにゆっくりしていってね! おねえさん! ぱっちんっ!」
言いながら、れいむは片目を閉じた。ウインクだ。
その瞬間、女はれいむの左頬を平手で打った。
ばちん、という乾いた音とともに、れいむの体が横にぶれる。
「ゆごっ!?」
続けて右頬にもビンタを張る。
「いだいよっ!?」
右、左、右、左。女はリズムよく、続けざまに引っぱたく。
れいむの垂れ流す涙で、よだれで、ゴム手袋が汚れる。素手じゃなくて良かった。
「ゆべっ! やべでっ!? ゆべっ! おねえざん、やべでっ!? ゆべっ! ゆっぐじでぎだびいっ!?」
「ああ、いいわあ……」恍惚となりながら、女は言った。「やっぱりこのれいむの声は、格別よね……」
「ほっぺがっ! いだいっ! ほっぺがっ! いだいっ!」
ひとしきりビンタによる泣き声を堪能した後、女は公園の隅に行き、伸び放題の雑草の中に転がっている石を数個拾ってきた。
元の場所に戻った時に「ぞろーり……ぞろーり……」と逃げようとしていたれいむの尻を蹴飛ばし、「あにゃるがっ!?」という悲鳴を引き出す。
「はいはい、お口をあーんしてねえ」
「あーんするよっ! ……あがっ! あげげげっ!? うっぐぎでぎがいぎがぐぐおっ!?」
女はれいむの口を無理やり開き、その中に石を詰め込む。
そして、ボイスレコーダーの電源を確かめてから、女はれいむの顔面を思い切り殴りつけた。
「うごごおおっ! いだぎいいいっ! いだぎいい! あがああああっ!」
歯が2、3本折れたようだが気にしない。あとでオレンジジュースをかけてやるだけだ。
「あがっ! あがっ! いがいごっ! ゆっぐぎでぎがいごっ! 」
「うーん……」
「ぐがっ! ぐぎえっ! がががっ!」
「あたた。こっちの手が痛くなっちゃたわ」
手をさすりながら女は言った。考えてみれば薄皮越しに石を殴っているようなものだ。
それに、石のせいでせっかくの声が聞き取りづらい。歯が折れているのも明らかにマイナス。これはちょっと失敗だったかも知れない。
れいむの口から石を取り出してやる。
「ひゃぎゃあ……れいむのまっひろにゃひゃぎゃあ……?」
しくしくと泣くれいむの歯茎に、オレンジジュースを注ぐ。それだけで折れてぼろぼろになった歯が、健康そのものの歯に生え変わった。
「……ゆゆっ? かいっふくっ! これでゆっくりできるよ! ゆっくりできるね! ゆっくびいいんっ!?」
再びビンタを見舞った。
石を含ませていた時とは打って変わって明瞭なその発声。女の体が痺れた。
うつ伏せに倒れたまま「ゆっぐ、ゆっぐ」とすすり泣くれいむを左手で押さえつけ、右手でもみ上げをつかむ。
ゴム手袋越しに伝わってくる、ぶよぶよした感触に、女は眉をひそめた。
「ゆっ? なにするの? やめてねっ! れいむのもみあげさんにさわらないでねっ!」れいむが慌てて顔を上げる。「はなしてねっ! もみあげさんから、おててをはなしてねっ!」
その必死で惨めな声に満足し、一気に揉み上げを引きちぎる。
「ゆんぎいっ!?」
たいした抵抗もなく、もみ上げはあっさりとれいむの体から離れた。次いでもう一本も引きちぎる。
「はいはい。大事な揉み上げがちぎれちゃったよ。派手に泣くよね? 泣くんでしょ?」
「ゆわああああああっ!? れいむのもみあげさんがああああああっ!?」
満足。
まさに女の希望通り、派手に泣き喚くれいむ。目は飛び出さんばかり、顎は外れんばかりだ。
ぷらぷらと弄んでいた揉み上げを無造作に放る。すぐにれいむが飛びついた。
「もみあげざんっ! もみあげざんっ! ゆっぐりじないでもとにもどってね! ゆえっ……! れいむがぺーろぺーろしてあげるよっ!」
揉み上げに取り縋るれいむを爪先で小突くと、「ゆべっ!」と転がりながらも、すぐに起き上がった。そして揉み上げに飛びつく。
「ゆえええええん! れいぶのだいじなもみあげざんっ! ゆっぐじじでいっでね! ゆっぐじじでいっでね! ぺーろぺーろ! ぺーろぺーろ!」
必死な声。悲痛な泣き声。たまらない。ぞくぞくする。
砂糖水のよだれでべとべとになるまで2本の揉み上げを舐めるれいむだったが、そんなことで何がどうなるわけでもない。
オレンジジュースで治してやるつもりではあるが、もちろんそれをれいむに伝えたりはしない。
やがてれいむは天を仰ぎ、そしてがっくりとうな垂れ、静かに涙を流し始めた。
「なおらないいい……もみあげざんがなおらだいよぼおお……。れいぶ、もうぴこぴこでぎだいいい……。ぴこぴこ……ぴこぴこおおお……」
女はボイスレコーダーをれいむの口元にあてた。
この『絶望』としか形容できない、暗く沈んだ声も実に沁みる。
「ああ、あんたを家に連れて帰れたらいいのに……」
女はうっとりとつぶやく。
それは、昨日もこの場所で、女の口から出た言葉だった。
女は昨日、この公園でれいむと出会った。正確には、公園の入り口でれいむを蹴飛ばした。それはただの不注意だった。
そして女は、れいむの「いたいっ!」という悲鳴に耳を奪われた。
身も心を蕩けさすような、なんと美しい悲鳴――
次の「ゆえええん!」という泣き声を聞いた時には、無意識にれいむを公園に蹴りこんでいた。
もっと、もっとこのれいむの声を聞きたい! 泣かせたい!
幸運なことに野良だというこのれいむを、女は蹴って、殴って、引っ掻いた。枝を使って突付きもした。
「やべででっ! おねえざんやべででっ! れいぶ、ゆっぐじでぎだいよっ!」
そのたびに、れいむは素晴らしい声を聞かせてくれた。
夢中になってれいむに悲鳴を上げさせ続け、気が付くと帰宅しなくてはならない時間になっていた。
「もうやべで……ゆっぐりざぜで……」とぐったりするれいむを放置し、公園内の水道に向かう。
手に付いたれいむの体液を洗い流しながら、女は今になって吐き気を覚えた。
気持ち悪い。声はいいのに、その他の要素は醜悪としか言いようがない。
女は悩んだ。
れいむを家に連れて帰って、噂に名高い『透明な箱』に入れておけば、れいむは一日中声を聞かせてくれるだろう。
そう、「だしてね! だしてね! れいむをおうちにかえしてね! このはこさんはゆっくりできないよ!」といった具合に。
そのまま目の前にエサをちらつかせてやるのもいい。
きっと「ゆゆっ、おいしそうだね! れいむがゆっくりむーしゃむーしゃするよ! ……はござんがらでられないよおおおおっ!?」などと言ってくれるはずだ。
しかし、それはできない。家に連れてかえることはできない。
なぜなら、同居している家族の目があるからだ。
虐待趣味を持つ人間は、常に周りから白い目で見られる。
女は特に虐待お兄さんやお姉さんを軽蔑してはいなかったが、自分がそう見られるのは嫌だった。
事実、自分は虐待お姉さんなどではない。
ただ、このれいむが、このれいむの声が好きなだけで。このれいむの泣き声を、悲鳴を聞きたいだけで。
悩ましい。女は頭を抱えた。
とりあえず、明日またここに来るとしよう。声を聴きに。
そのためには、れいむに死んでもらうわけにはいかない。
女は公園の入り口でオレンジジュースを買い、れいむにかけてやった。
元気を取り戻して「ゆっくりー!」と跳ねるれいむを爪先で小突きながら、女はつぶやいた。
「ああ、あんたを家に連れて帰れたらいいのに……」
れいむの泣き声を聞いて、初老の紳士は頬をゆるめた。
「ゆっぐ、ゆっぐ……れいぶ、けがされちゃったよう……」
足元のれいむは突っ伏して泣いている。
体の下に差し込まれている揉み上げは、これは目元を押さえているのだろうか。
れいむの額からは茎が生え、4つの赤ゆっくりが生っている。
紳士がその辺で拾ってきたまりさ――今は紳士の足元で黒い染みになっている――にれいむをれいぽうさせ、身ごもらせたのだ。
「ゆえ、ゆえええ……どぼじでこんなこどにい……」
まりさにれいぽされている時の「やべでええええっ!? れいむ、まだばーじんさんなのおおおおおっ!」という悲鳴も素晴らしかったが、さめざめといった風情の今の泣き声もまた素晴らしい。
「しーくしーく……でもっ!」れいむが突然体を起こした。「このこたちにつみはないよっ!」
そして「キリッ!」としか形容できない表情で、誰にともなく高らかに宣言する。
「このこたちは……れいむのあかちゃんたちはっ! れいむがりっぱにそだててみせるよっ!」
紳士はおもむろに、れいむの額にぶら下がったれいむの子を、一つもいだ。
指に力を込めると、ぷちっという少し湿った音とともに、実ゆっくりは軽く潰れた。
「ゆ? ……ゆあああああああっ!? れいむのかわいいあかちゃんがあああああっ!?」裂けんばかりに目を、口を大きく開くれいむ。「なんでっ? なんでえええええええっ!?」
この世の終わりのようなれいむの絶叫を堪能してから、もう一つもぐ。
そして潰す。
「れいぶのあがぢゃっ……」
またもいで、潰す。
「みらいへのいさんがああああああっ!?」
最後の実ゆっくりに手をかけ、れいむの「やべっ……もう、やべでっ……」という声を聞きながら、紳士は考える。
ああ、こいつを家に持ち帰って、四六時中この声を聞いていられたら、どんなに楽しいだろうか。
妻がいなかったら。
もし彼女が熱烈な愛護派でなかったら。
このれいむと出会って数日、幾度となく考えたことだ。
今までそうだったように、今回もすぐに考えるのをやめる。考えてもどうにもならない。
とにかくこの公園にくれば、れいむの声が聞けるのだ。
そういえば、先ほど入れ違いに公園を出て行った、満ち足りた表情が妙に印象的なあの女も、このれいむのファンなのかもしれない。
はあ、と溜息を吐いて、紳士は手の中の実ゆっくりを潰した。
「ゆっぐ、ゆっぐ……れいぶ、けがされちゃったよう……」
足元のれいむは突っ伏して泣いている。
体の下に差し込まれている揉み上げは、これは目元を押さえているのだろうか。
れいむの額からは茎が生え、4つの赤ゆっくりが生っている。
紳士がその辺で拾ってきたまりさ――今は紳士の足元で黒い染みになっている――にれいむをれいぽうさせ、身ごもらせたのだ。
「ゆえ、ゆえええ……どぼじでこんなこどにい……」
まりさにれいぽされている時の「やべでええええっ!? れいむ、まだばーじんさんなのおおおおおっ!」という悲鳴も素晴らしかったが、さめざめといった風情の今の泣き声もまた素晴らしい。
「しーくしーく……でもっ!」れいむが突然体を起こした。「このこたちにつみはないよっ!」
そして「キリッ!」としか形容できない表情で、誰にともなく高らかに宣言する。
「このこたちは……れいむのあかちゃんたちはっ! れいむがりっぱにそだててみせるよっ!」
紳士はおもむろに、れいむの額にぶら下がったれいむの子を、一つもいだ。
指に力を込めると、ぷちっという少し湿った音とともに、実ゆっくりは軽く潰れた。
「ゆ? ……ゆあああああああっ!? れいむのかわいいあかちゃんがあああああっ!?」裂けんばかりに目を、口を大きく開くれいむ。「なんでっ? なんでえええええええっ!?」
この世の終わりのようなれいむの絶叫を堪能してから、もう一つもぐ。
そして潰す。
「れいぶのあがぢゃっ……」
またもいで、潰す。
「みらいへのいさんがああああああっ!?」
最後の実ゆっくりに手をかけ、れいむの「やべっ……もう、やべでっ……」という声を聞きながら、紳士は考える。
ああ、こいつを家に持ち帰って、四六時中この声を聞いていられたら、どんなに楽しいだろうか。
妻がいなかったら。
もし彼女が熱烈な愛護派でなかったら。
このれいむと出会って数日、幾度となく考えたことだ。
今までそうだったように、今回もすぐに考えるのをやめる。考えてもどうにもならない。
とにかくこの公園にくれば、れいむの声が聞けるのだ。
そういえば、先ほど入れ違いに公園を出て行った、満ち足りた表情が妙に印象的なあの女も、このれいむのファンなのかもしれない。
はあ、と溜息を吐いて、紳士は手の中の実ゆっくりを潰した。
(了)
作:藪あき