ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1792 箱庭・チェイサーズ
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「箱庭・チェイサーズ」
羽付きあき
・理不尽物注意
・いくつかの独自設定を織り交ぜています
AM 9:45 合流
私は今、街外れの雑木林に足を運んでいた。
雑木林といてもかなり小規模で。縦に100メートル、横に50m程しかない細長い形をしている。
こんな小さな所でもゆっくりは存在する。
バスケットボール程の大きさが入る隙間なら、ゆっくりは幾らでもすみつけるのだ。
しかも生息限界数をゆっくりは知らない。リーダーのゆっくりやドスまりさが統制をとらなければあっという間に山林を食いつぶしてしまう。
・・・私が雑木林の地面に落ちている一枚の葉っぱを拾ってまじまじと眺めていると、恰幅のいい男が声をかけてきた。
「お、いたいた」
「あ、今日はよろしくお願いします。できるだけ足手まといにはならない様に心がけますので・・・」
「いいよいいよ。どうせ山や森程広い所じゃないんだ。ゆっくりなら簡単に誘き出せるさ」
男は陽気に笑いながらボストンバッグの中から様々な形の道具を取り出している。
「あの・・・今日はどういった方法を?」
「ああ、こいつがやってくれるんだ」
男が足元を見ながら指でちょいちょいと何かを誘導すると、男の後ろからひょこっと一体の胴付きれみりゃが恥ずかしそうに現れた。
私が笑顔で手を振ると、男の足の後ろにさっと隠れてしまう
「・・・れみりゃを?」
「そうそう。こいつは人見知りだけど滅多に人間には手を出さない、いい奴だ」
男がれみりゃを見てそう言うと帽子を目深にかぶり直しながら恥ずかしそうにれみりゃが俯いた。
男はそう言いながら何度もバッグの中を漁りながら目を合わせずに話をする。
ガチャガチャと金属同士のこすれあう音が私の耳に響いた。
「さぁ行こうか。この時間帯ならそろそろゆっくりが外に出てるはずだ。」
男はれみりゃにも合図を送ると、そのまま雑木林の中へと入り込んでいく。
私もあわてて後ろをついて行った。
初夏の日差しが照りつける天気の中、「ゆっくり駆除」が始まった。
AM 10:00 れいむ発見
雑木林の最も奥に私は現在いる。
男とれみりゃが大きな木の根元を見ながら深刻そうに顔を見合わせている。
私もそれが気になって声をかけた。
「どうかしたんですか?」
「見てみな。木の根元がボロボロになっている」
私は木の根元に目を向けた。
そこには木の皮が剥がれてボロボロになっている根元周辺と、その奥にえぐり込むように何かが掘ったかのような穴があいている。
「これはゆっくりが?」
「ああ、そうだ。木の洞や根元に穴を掘って巣を作るんだよこいつらは。でもこの雑木林はそれほど深い土壌じゃないんだ。大方これも掘ったけど途中であきらめたんだろう」
「ここまでボロボロだと木にかなりのダメージがありそうですね・・・」
「ここだけじゃねぇ、あっちこっちの木が同じようにボロボロにされてるんだ」
男が溜息をつきながら掘られた穴に土をかぶせて戻している。
暫く、辺りをキョロキョロと伺っていた私と男にれみりゃが何かを指示して合図をした。
「うー!あそこにゆっくりがいるんだど」
男が無言でゆっくりと歩いて行く。
私もできるだけ物音をたてないように後ろをついて行った。
雑木林の開けた場所に、人が腰掛けられるほどの岩が鎮座している。比較的日が当たるその場所に、ゆっくり達はいた。
「ゆゆーん!ぽかぽかさんとってもあたたかいよ!」
バスケットボール程のゆっくりれいむが一体、甲高い声をあげて岩の下に背をもたれさせている。
「「ゆっくち!ゆっくち!」」
「ゆゆ!れいみゅのいもうちょちゃちちょっちぇもゆっきゅりできりゅね!」
「れいみゅのーびのーびできりゅよ!」
「ゆゆ!れいみゅのほうがのーびのーびできりゅよ!」
「おきゃあしゃんしゅーりしゅーり!」
親れいむに小麦粉の皮をぴったりとくっつけて「すーりすーり」をしている子れいむが一体。
その近くで小麦粉の皮を縦にのーびのーびしている子れいむが二体。
日の当たる場所で頭にピンポン玉程の赤れいむ二体を載せてじゃれあっている子れいむが一体
・・・子れいむはどれもソフトボールほどの大きさだ。
全部で七体。だが、番いのゆっくりがいない。
「まだ番いがいそうですね」
「ああ、多分まりさが一体、そして狩りに出ている子まりさもいるかもしれないからなぁ」
「二手に分かれて散在しているという事でしょうか?」
「まぁ片方を騒がせればもう片方が戻ってきてくれるだろう。いなきゃいないで問題ないしな。れみりゃ、行ってきてくれ」
「うー!」
男の合図に待ってましたと言わんばかりに元気よく走り出したれみりゃ。
足音を大きく立てて、辺りの草などお構いなしにガサガサと音を立てて走り込んでいる。
「ゆゆ!?なにかいるよ!おちびちゃんたち!れいむのちかくによってね!」
れいむが異変に気付いた様で、子れいむ達を近くに呼び寄せる。
だが子れいむ達の表情は楽観その物であった。
「ゆゆ!おとうしゃんとまりしゃおねいちゃんちゃちががもぢょっちぇきちゃんぢゃよ!」
「そういえばおなきゃすいちゃね!」
・・・どうやられみりゃを番いのまりさと勘違いしているようだ。
だがその笑顔もすぐに恐怖に変わっていく。
草むらから飛び出したのは、まりさではなくゆっくり達の恐怖の対象。れみりゃだったのだから。
「うー!"おいしそうなあまあまだどー!"」
「れびりゃだああああああああああ!!おぢびぢゃんだぢ!ゆっぐりじないでばやじざんにながににげでね!おうぢにもどっでねええええええ!」
「ゆんやああああああ!!きょわいよおおおおおおお!」
「いもうちょちゃち!ゆっきゅりしにゃいでれいみゅについちぇきちぇね!ゆ!ゆ!」
「「ゆああああああ!おねいちゃんまっちぇえええええ!」
れいむが大きく声を上げた。
その直後、子れいむ達は蜘蛛の子を散らす様に散り散りになって林の中へと逃げ込んでく。
れみりゃはそれを見て男のもとに戻ろうとしたが、何かに気が付き、再び振り返る。
何を見つけたのか私と男にはすぐにわかった。
「ゆんやあああああ!おぎゃあじゃああああん!きょわいよおおおお!れいみゅをおいちぇいきゃにゃいぢぇえええええ!!」
れいむの小麦粉の皮にすーりすーりをしていた子れいむが躓いモタモタと底部を動かして泣き叫んでいたのだ。
れみりゃはすかさずその子れいむに近づき、右側のピコピコを引っ掴んで引っ張り上げる。
「ゆんやああああ!おぎゃあじゃあああん!だぢゅげぢぇえええええ!おぎゃあじゃん!おぎゃあじゃん!おぎゃあじゃあああああああん!!」
パニックに陥った子れいむは底部をグネグネと動かしながら抵抗を測る。
れいむを何度も呼び、近くの草を噛んでれみりゃに引っ張られない様に抵抗するがすぐにひきはがされてしまう。
・・・あのパニックの最中ではれいむの声は届かないであろう。
れみりゃが横に手を大きく振ると、叫ぶ子れいむを岩の壁面に叩きつけた。
「ゆぶっ!いぢゃいいいいいい!れいみゅのおぎゃおびゃっ!ぶっ!ぐびっ!ぎぶっ!」
二度、三度、四度、五度・・・れみりゃは子れいむのピコピコを持って岩に何度も叩きつける。
最初は大声をあげていた子れいむだが何度もたたきつけられるとピクピクと震えて力なくダランとぶら下がる様になった。口からダラダラと餡子が漏れ出している。
「ゅひっ・・・びっ・・・!おぎゃ・・・あ・・・じゃん・・・お・・・ぎゃ・・あ・・・っぎゅ!」
そのままピクピクとしている子れいむの後ろ部分を踏みつけると大きく跳ねて、子れいむはそれっきり動かなくなってしまった。
れみりゃの体と岩には返り餡子がこびり付いている。
AM 10:07 れいむ残り6 箱設置
「やったな!れみりゃ!」
「うー!」
男が嬉しそうにれみりゃをほめる。れみりゃもまんざらではない様で辺りをドタドタと小走りしていた。
しかし私には気がかりがある。
「あの・・・」
「なんだい?」
「さっきれみりゃが走って行ったときにれいむ達は散り散りに逃げて行きました。雑木林の外に出られたら・・・」
「その心配はないさ」
「なぜでしょうか?」
「ゆっくりは危機に陥ると巣に逃げ込む習性がある。それに外に出た所で隠れる所はこっちの方が豊富なんだ。この雑木林から出る事はあり得ないよ」
「しかし散在した子ゆっくり達を見つけ出すのは至難の業なのでは・・・」
「だからこれを使おうと思ってな」
男がボストンバッグの中から金属製の網でできたケージを取り出した。
と言っても小さめだ縦に30cm、横に20cm、高さは15cm程しかない。
「それは?」
「この中にゆっくりの好きな甘い物を入れて口をあけるんだ。ゆっくりが入り込めばこの口が閉じて閉じ込められるって寸法さ」
「しかし小さくないでしょうか?これではソフトボールサイズの子ゆっくりが一体程度しかはいりませんよ?」
「いや、これで三体は捕まえられる。さっき赤れいむ二体を連れた子ゆっくりを狙うんだ」
「なるほど・・・」
「あの子れいむ達が逃げたのはあっちの方向だ。赤ゆっくりのスピードから考えてもそう遠くに行ったわけじゃない。それに」
「それに?」
「赤ゆっくりを連れている以上俺やれみりゃが行っても隠れてやり過ごす選択をとるはずだ。そうなりゃ御の字よ。よし、早速仕掛けるぜ」
男がれみりゃを肩乗せてガサガサとわざとらしく音を立てて歩いて行く。
れみりゃも「うー!うー!」と声をあげているようだ。恐らく子れいむ達をその場に磔にするつもりなのだろう。
・・・私のすぐ真横の草むらで、何かが動いて様な気がした。
「よしっこれでいいだろう。さあいったん離れてくれ」
男が真ん中に「ゆ」と刻印されたクッキーを三枚程入れたあのケージを置いて私に合図をする。
一旦1m程離れ、隠れて辺りを見回す事にする。
待つ事5分。
草むらをカサカサと掻きわけてあの子れいむがひょっこりと顔を出した
「ゆ・・ゆゆぅ・・・もういっちゃみちゃいぢゃね・・・いもうちょちゃち!ゆっきゅりでてきちぇね!」
辺りを見回した後そう声を出すと後ろから赤れいむが二体、そろそろと這いだしてきた。
「ゆぇぇん・・・きょわかっちゃよぉぉ・・・」
「ゆっきゅりしちゃいよぉぉ・・・」
グズりながら不安を口にする赤れいむに子れいむが声をかけた。
「ゆゆ!だいじょうぢゃよ!おねーしゃんがついちぇるきゃらゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
「「ゆ・・・ゆっくちしちぇいっちぇね!」」
ここからでもはっきりとわかるほどの大声を上げる子ゆっくり達。
肝心な所で抜けているようだ。
しかし、すぐ目の前にあるあのケージには気づいていない様で、このままでは別の所に逃げるのではないかと私は感じていた。
「ゆゆ?にゃにありぇ?」
「おいししょうなにおいがしゅりゅよ!ゆっくちいっちぇみようよ!」
先に気がついたのは赤れいむ二体であった。
元気よく飛び跳ねてケージへと向かう赤れいむ達。
それを制止したのは子れいむであった。
「ゆゆ!だめぢゃよ!おとうしゃんやまりしゃおねいちゃんがとっちぇきゅるごはんしゃんいぎゃいはくさしゃんとはなしゃんいがいたべちゃだめぢゃっちぇおきゃあしゃんがいっちぇちゃよ!」
「ゆゆー!でもれいみゅおなきゃすいちゃよ!ちょっちょもおいししょうなにおいがしゅりゅよ!」
「まりしゃおとうしゃんがとっちぇきちぇくれちゃ"はちみつしゃん"みたいなにおいがしゅりゅんぢゃよ!?れいみゅがみゃんできにゃいよ!」
子れいむの制止を振り切ってケージの中へ飛び込む赤れいむ達。
そのままクッキーにかぶりつく
「む~ちゃむ~ちゃ・・・ちちちちちあわちぇええええええええ!!」
「うめっきょれめっちゃうめっ!」
「ゆっきゅりやめちぇね!おきゃあしゃんにょいいつけをまもりゃないちょれいみゅおきょりゅよ!」
モソモソと小さな口でクッキーを咀嚼する赤れいむ達、子れいむが飛び込んで引っ張り出そうとしたその時、ガシャンと大きな音がしてケージの入り口が閉ざされた。
「「「ゆゆ!?」」」
一体の子れいむと二体の赤れいむが一斉に声を上げる。
「ゆんやあああああ!でりゃれにゃいよおおおおおおお!!」
「あみしゃんいじわりゅしにゃいぢぇれいみゅたちをだしちぇええええええ!!」
「いもうぢょぢゃぢのばがああああああああ!!どじごめられぢゃっぢゃよおおおおおおおお!!」
砂糖水の涙を流しながら泣き叫ぶ子れいむ達を見て男はまだ動かなかった。
私は気になって男に問いかける。
「いかないんですか?」
「ちょっとまっててみな、あの赤れいむ二体はあのクッキーを食べたんだ・・・もうそろそろかな」
「・・・?」
私が疑問に思いながらケージを向き直ってみると、赤れいむ二体に異変が訪れた。
「ゆっゆぎっ・・・ゆぴっ!?ぎぴっ!っぴ・・・!」
「ゆぎぃ・・・ぽんぽんいぢゃいぃぃ・・・!」
「いぼうぢょぢゃぢどぼじじゃにょおおおおおお!?」
赤れいむ二体が体をぐーねぐーねさせながら苦しみ始めた。
もっともクッキーを多く食べた赤れいむの方は真横のボテンと倒れ伏し、口をあけて舌をだらんとだらしなく投げだしたまま砂糖水の涙と涎としーしーを穴と言う穴から垂れ流しながら痙攣を始める。
寒天の両目がグリンと上を向き、真っ赤に「充餡」していた
・・・そう、これは「ゆ除クッキー」ゆっくりだけに効く駆除用具の一種だ。
「いぢゃいよぉぉ!だぢゅげぢぇぇぇ・・・ぽんぽんぎゃ・・・ぽんぽんいぢゃいぃぃ・・・!ゆぶぶっ・・・!」
「おぢびぢゃあああああん!?だじぢぇえええええ!ごごがらだぢぢぇええええええ!もやぢゃおうぢがえりゅうううううううう!!」
寒天の両目を見開いてケージの網をカリカリと音を出して砂糖細工の歯でひっかく抵抗を始めるが、赤れいむの方は餡子の混じった黒い砂糖水を口の端から泡をぶくぶくと出しながら両目がグリンと真上に向きそのまま後方にボトンと倒れて痙攣を始める。
痙攣がだんだんと小さくなって、赤れいむ二体はそのまま倒れ伏して動かなくなってしまった。
それを見て子れいむがパニックになってケージの中をガシャガシャと飛び跳ねる。
「いやぢゃあああああああああ!!だぢぢぇえええええええ!!ごごがらだぢぢぢぇええええええええええ!!おぎゃあじゃあああああああん!!おどうじゃああああああああん!!おねえぢゃあああああああん!」
男がケージに近づき、取っ手を持って持ち上げた。
そのまま泣き叫び、暴れる子れいむを見ながら溜息をついてこうつぶやいた。
「だめだな・・・完全にパニくっちまってる。巣の位置を聞き出そうとしたけど手間かかるからやめとくかぁ。れみりゃ、食っていいぞ」
「うー」
ケージの中から子れいむを引っ張り出すと、両手でしっかりと持つれみりゃ
それでもかなり暴れ回っているようで抑えるだけで苦労するようだ。
「う、うー・・・もちづらいど・・・」
「だぢゅげぢぇえええええええ!!だぢゅげぢぇええええええ!!まりぢゃおねいじゃあああああん!おどうじゃああああああん!おがあじゃああああああゆぎっ!」
何とか体勢を入れ替えてれみりゃが子れいむの底部にかぶりつく。ブツと音を立てて突き立てた砂糖細工の牙をふるって、そのままブチブチと底部を食いちぎった。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!いぢゃいいいいいいいい!!れいみゅのあんよぎゃああああああああ!!いぢゃいいいいいいいい!!いぢゃいよおおおおおおおお!!だいぢゅげぢぇええええええええ!!おでがいだぢゅげぢぇえええええええ!!」
さらに暴れる子れいむに見かねて、れみりゃが底部から露出する餡子に腕を突っ込んでグシャグシャと掻きまわし始めた。
どうやら中枢餡を破壊しておくようだ。
「ゆがっぎぎぎごがぎぎゃああああああああああ!!あぶじゅりぇぼびぼぼぼぼぼびびびびいいいいいいいいいい!ゆぽ・・・っぴ・・・」
寒天の両目をカメレオンのごとく左右非対称にグルングルンとまわして暴れ回った子れいむは、そのままピクピクと痙攣したまま舌をだらんと投げ出して動かなくなってしまった。
れみりゃが底部からガブガブと餡子を食べると、あっという間に小麦粉の皮だけとなって地面に放り出される。
れみりゃがごしごしと口の周りについた餡子を口でぬぐって再び辺りを見回し始めた。
男もケージから凄まじい形相で倒れた赤れいむを地面に捨てると、そのままケージをバッグの中に戻して林の中を進んでいく。
AM 10:20 れいむ残り3 まりさ発見
雑木林の奥のやや手前に私は来ていた。
一番日当たりが良いこの場所では、色々な野草や花等が咲いており、ゆっくりの「狩り場」には絶好の場所であると考えられる。
雑木林の大きさから、狩り場はここしかないはずだ。
番いのまりさが別行動ならここに居る事には間違いない。
だがその予想に反して私達の目の前には、何もいないのだ。
「おかしいですね・・・ゆっくりが狩り場にできる場所はここしかないはずなんですが・・・もしかして雑木林の外に出ているのでしょうか?」
「それはないな。ここはあのゆっくりが生育するにはかなり恵まれた場所だ。態々外に出てまで狩りをするはずがない、それに見てみな」
男が指で狩り場全体を指し示す。
「ここにはまだ蝶や花が目に見えるぐらいある。外に出なきゃならないほどの事情があるゆっくりの場合、近くの狩り場がかなり荒廃しているはずなんだ」
「つまりここはまだ荒れていないから外には出ていないと?」
「そういう事だ」
私が辺りを見回していると、草むらの陰からガサっと大きな音を立てて丸い何かがボヨンボヨンと跳ねていた。
「あ!あれは・・・」
私が声を上げるより先に走っていたのはれみりゃだった。
「ゆ!ゆ!れいむのこえがきこえたよ!おちびちゃん!れいむになにかおこったみたいだからゆっくりしないでついてきてね!」
「ゆっきゅりわかっちゃよ!ゆ!ゆ!」
そこにはバスケットボール大のゆっくりまりさ、そしてその子ゆっくりであろうハンドボール大のゆっくり子まりさが急いで跳ねていた。
帽子がパンパンに膨れている事を考えて、狩りの終わりの最中にれいむの声を感じ取ったようだ。
結構なスピードだ。ジャンプに高低差もある。
私がそう考えていると、れみりゃが細長い何かを持って大きく勢いをつけてふリかぶっていた。
「うー!」
それは、木の枝であった。れみりゃが細長い木の枝を投げる。
木の枝は一直線にまりさへと飛んでいき、まりさの寒天の右目に深々と突き刺さった。
「ゆぎゃぁ!いだいいいいいい!!」
「おぢょうじゃあああああん!?」
飛び跳ねて自由落下する寸前で突き刺さった木の枝は、まりさのバランスを大きく崩してゴロゴロと草むらの上を転がって突っ伏した。
「ゆ”!ゆ”!いだいぃぃ・・・までぃざのおべべがぁぁ・・・」
転がった時の衝撃で寒天の右目ごと取れた木の枝が辺りに転がっている。
小麦粉の皮の眼窩からは砂糖水に混じった餡子がだらだらと流れだしていた。
「おどうじゃんゆっぎゅりよぐなっぢぇね!ぺーろぺーろ!」
「ゆぐっゆぐぐぅ・・・!いだいいいい・・・!」
子まりさが苦しんで横たわるまりさにぺーろぺーろしながら心配している。
そこにれみりゃが警戒しながら距離を取って立ちふさがっていた。
「・・・でびりゃだぁぁ!おちびちゃん!ゆっくりにげてね・・・!おとうさんのことはいいよ!はやくれいむのところにいってあげてね!」
「ゆゆ・・・でみょ!」
「はやくいってね!みんなをまもってあげてね!」
「ゆ、ゆっくりわかっちゃよ!」
子まりさが小刻みに跳ねて林に戻ろうとする。
「にがさないど!」
れみりゃが追いかけるが、そこにはまりさが木の枝を口にくわえて立ちふさがっていた。
「みんなはまりさがまもるよ!ゆっくりできないれみりゃはゆっくりしね!」
まりさが前に鋭く跳ねて木の枝で付いてきた。間一髪よけたが木の枝を投げ出してしまったれみりゃは丸腰である。
捕食種と通常種とはいえ、手負いのまりさはれみりゃでも手を焼くゆっくりだ。
「うー・・・」
れみりゃがじりじりと後ろへ下がる。
まりさが木の枝をグイグイと突き出しながら威嚇をして追い詰めているのだ。
「れみりゃは丸腰です!どうすれば・・・」
「俺は子まりさを追う!これをれみりゃに投げてくれ」
「え!?わ、わかりました」
男はバッグから細長い革製の小さなケースを私に手渡すとそのまま子まりさを急いでおった。
「れみりゃ!受け取ってくれ!」
私がそのケースをれみりゃの前に投げ込む。
中から現れたのは数十本の木の枝であった。
「うー!」
れみりゃがそれを拾い上げてフリかぶって投げる。
至近距離からまりさの小麦粉の顔面に木の「投げ槍」が突き刺さった。
「ゆぎっ!ごのおおおおお!ゆっぐりじねえええええ!!」
それでもまりさはひるまない。凄まじい形相で突進を開始する。
れみりゃがケースから全ての木の投げ槍を取り出して地面に突き立てた。
そのまま両手で持ってロケット砲の様な勢いで両手を使って投げつける。
「うー!うー!」
「ゆぎゃ!ゆぎっ!ゆぐっ!ゆがっ!」
マチ針を突き立てる筵のごとくまりさの顔面に投げ槍が刺さりまくっている。
まりさの突進は止まり、小麦粉の体をぐーねぐーねさせながらその猛攻に耐えていた。
「とどめだど!」
れみりゃが最後の一本を両手で持って飛び上がるとまりさの寒天の左目に深々と突き立てる。
「ゅっぎあああああああああああ!!までぃざのおべべがああああああああああ!!」
けたたましい声をあげて苦しむまりさのおさげをれみりゃが両手で持つと、渾身の力で振り上げて、近くの敷石の様になっている石に叩きつける。
「ぎびっ!!」
遠心力で帽子が取れて中から虫や花や草などが飛び散っている。そのまま、まりさは頭から石に叩きつけられた。
穴と言う穴からどろっとした砂糖水の混じった餡子が垂れ落ちてきて、そのまままりさは力なく顔面から突っ伏したまま動かなくなった。
「ふー・・・ふー・・・!」
「やったな!れみりゃ!」
息を整えるれみりゃに駆けよって声をかける私にれみりゃは笑顔で返してくれた。
AM 10:25 れいむ残り3 まりさ残り1 巣発見
「ゆひっ・・・!ゆひっ・・・!みんなは・・・みん・・・な・・・は・・・まりしゃ・・・が・・・まもりゅ・・・よ・・・!」
再び合流した私達の目の前に、寒天の右目が飛び出して頭部がバックリと割れている子まりさがずーりずーりと餡子の跡を描きながら移動していた。
男の手にはゆ叩き棒が握られている。どうやらそれで子まりさを打ちすえたようだ。
「逃げていますよ。いいんですか?」
「ああ、いいんだ。巣へはあの子まりさが行ってくれる」
「・・・なるほど。そういうことですか」
「そうそう、デカい方のまりさは出鱈目喋ったりする可能性があらからな。こうやって父役のゆっくりについて狩りの手伝いをしてる子ゆっくりを叩いて巣にもどらせた方が早いのさ」
「しかし大丈夫でしょうか?餡子がみるみる減っている様に思えますが・・・」
「ここが何キロもある山や森なら問題だけどな・・・ここは小さな林だろ?それにまりさ種は餡子の量が他のゆっくりよりも多いんだ。多分持つだろう。」
餡子の跡と私達に気付かず必死に巣を目指す子まりさの跡をゆっくりと歩いてついていく。
「ゆはぁ・・・!ゆはぁ・・・!ゆひっ・・・!ゆひっ・・・!もう・・・ちょっと・・・ぢゃよ・・・お・・・きゃ・・・あ・・・しゃん・・・いもうちょ・・・ちゃ・・・ち・・・ゆっきゅり・・・まっちぇ・・・ちぇね・・・ゆひっ・・・ゆひっ・・・」
さっきよりはるかにスピードが落ちた様だ。餡子ももう少しでゆっくりとしての機能を消失する寸前の量しか残っていないはずである。
子まりさの行く先に林の中心部にあるひと際大きな木の洞に、明らかに不自然な葉っぱや木の枝がかかっている。
どうやらあそこが「おうち」の様だ。
「あれじゃないでしょうか?」
「ああ、間違いなくあれだな」
私達は顔を見合わせて木の洞の近くで息を殺して子まりさを見る。
やがて子まりさは木の洞の前までその体を進めた。
「おきゃ・・・あ・・・しゃん・・・ゆっきゅり・・・まりしゃぢゃよ・・・あけちぇ・・・にぇ」
既に餡子のほとんどが無くなっている息も絶え絶えの状態で「けっかい」の向こうにいるれいむ達に声をかける。
暫くするとゴソゴソと「けっかい」が動いた。中から現れたのは今から25分程前に見つけたれいむである。
「おちびちゃん!どぼじでぞんなげがをじでるのぉぉぉっ!?ばりざは!?ぼがのおぢびぢゃんだぢは・・・!?」
「ゆひゅー・・・ゆひゅー・・・おどう・・・じゃん・・・は・・・れみ・・・りゃ・・・からまりしゃ・・・を・・・にがしちぇくれちゃよ・・・まりしゃはみんなをまもる・・・まも・・・ゆぐっゆぐぼ!ゆげぼっ!」
ヒューヒューと音を立てて口から餡子を吐き出す子まりさ。既に限界にまで達しているであろう餡子の量をさらに減らしている。
「おぢびぢゃんむりじないでね!にばんめとさんばんめのおちびちゃんはおうちにいるよ!だからあんしんしてゆっくり!ゆっくりしていってね!ぺーろぺーろ!おちびちゃんゆっくりよくなってねっ!ぺーろぺーろ!」
「おきゃあ・・・しゃん・・・まりしゃ・・・もう・・・だめ・・・ぢゃよ・・・」
「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお!?ゆっぐりよぐなるよ!ぞじだらみんなでいっぱいごはんさんをむーしゃむーしゃして!おみずさんをごーくごーくして・・・!いっしょにのーびのーびしたりこーろこーろしたりできるよ!ゆっくり!おちびちゃん!ゆっくりしていってね!」
「おどう・・・じゃん・・・みん・・・な・・・を・・・まもれ・・・なくちぇ・・・ごめん・・・にぇ・・・おぎゃあじゃん・・・ゆっきゅり・・・しちぇ・・・い・・・っちぇ・・・ね・・・」
れいむの必死のぺーろぺーろの甲斐も空しく、子まりさはすっと目を閉じるとそのまま動かなくなってしまった。
「・・・どぼじでええええええええええええええええええええええええええ!?どぼじでええええええええええええええええええ!?おぢびぢゃあああああああん!!でいぶの!でいぶのがわいいおぢびぢゃんがあああああああああああ!!」
暫くプルプルと震えていたれいむが砂糖水の涙と涎を吹き出しながら空に向かって叫ぶ。
そこで男とれみりゃが飛び出した。
れいむはその気配に気づくと「けっかい」を弾き飛ばし、大きく膨れて蟻一匹も通さぬと言う勢いで木の洞を背にくっつけて威嚇を開始した。
「ぷくううううううううううううう・・・!!ぷっくううううううううううう!!」
男は子まりさだったつぶれ饅頭を構わず蹴飛ばして横にやると、ゆ叩き棒を手でポンポンと叩きながらこうつぶやいた
「子れいむはコンポストに欲しいなぁ・・・ついでだからこのれいむ・・・いや、やっぱ邪魔だし、このれいむはいいか・・・臭いをできるだけ残す様にやっとけばゆっくりも近寄らないだろ」
男がゆ叩き棒を振り上げてそのまま力を込めて振り下ろす。
ドコッと鈍い音がしてれいむの小麦粉の体が一瞬凹の様に拉げた。
「ゆぎっ!・・・ゆっぐ・・・!ゆぐ・・・!ぶっぐうううううううううううう・・・!!」
一瞬ひるんだれいむであったがまた再び大きく膨れて威嚇を繰り返すれいむ。
男は淡々とした手つきでゆ叩き棒を何度もふるってれいむを滅多撃ちにしはじめた。
「ぶっぐびっ!ぷくうううううううびょっ!!ぷくっ!ぷっくううううううぐぶっ!!」
膨れようと空気を吸い始めた途端にゆ叩き棒で何度も殴りつけられ、見る見るうちに小麦粉の皮がはれ上がっていくれいむ。
男が斜めに叩き下ろす様にゆ叩き棒をふるった。
ブチュンと言う音がしてれいむの小麦粉の皮の眼窩から寒天の右目が飛び出した。
「ゆっぎぃぃぃっ・・・!ゆぐっ!ゆぐっ!ゆびっ!ゆひっ・・・!ゆひっ・・・!ゆひゅー・・・ゆひゅー・・・ぷっくうううううううううう!!」
それでもなお、小麦粉の皮の眼窩から寒天の右目をぶーらぶーらさせて膨れるれいむ。
男はゆ叩き棒の電熱線スイッチをONにした。
そして棒の先をれいむの寒天の左目に押し付ける。
「ジュウウウウウッ」と言う音が響いた。
れいむの寒天の左目と棒の間から白い煙が上がっている。
「っぎ!ゆっぎい”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!あづい”い”い”い”い”い”い”い”い”い”!!!あづいよおおおおおおおおお!!あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
溜まらずれいむが口をあんぐりと開けて叫ぶ。
小麦粉の皮をグロテスクにグーネグーネと動かし、必死に身をよじり逃げようとするが、押し付けられたゆ叩き棒から逃れる事は出来なかった。
1分近くゆ叩き棒を押しつけた後に、男はそのまま開いた口にゆ叩き棒を差し込んだ。
「ゆおぼっ!!ぼお”お”お”お”お”お”お”お”お”お”!!!!!おぼっ!おぼっ・・・!お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”!!!!!」
グーネグーネと動いていた小麦粉の体がビクビクと跳ね出した。中枢餡にゆ叩き棒が到達した様だ。
そのまま餡子を焼かれるれいむは、凄まじい怪音を発しながら徐々にその動きを小さくしていく。
「ゆぼっ・・・ぼぴっ・・・ぼ・・・」
ゆ叩き棒が引き抜かれた後はそのままボテンと横に力なく倒れ伏し、あんぐりと開いた口から砂糖水の涎をだらしなく垂れ流し、あにゃるから餡子の混じった砂糖水の緩いうんうんを垂れ流したままピクピクと潰された虫のように微かに動いて、やがて物言わぬ饅頭となり果てた。
木の洞からは、枯れ草をかぶった子れいむ二体がカタカタと震えながらその光景を目の当たりにしている。
AM 10:40 終了
「だしちぇええええええええ!きゅらいよおおおおおおおお!!きょわいよおおおおおおお!」
「ゆええええええええええん!!おきゃあしゃあああああああん!ゆびええええええええん!」
丈夫そうな金属製の箱の中から子れいむ達の声が聞こえる。
コンポスト用に持ち帰る子ゆっくり達の声だ。
男はホクホク顔で箱を両手で抱えると、私に対してこう言った。
「いやぁ思ったより結構いて驚いたけどおおむね満足だよ」
「それはよかった。私も勉強になりました」
「また見たくなったらいつでも行ってくれよ!はははは!じゃあ、俺は帰るわ!」
「今日はありがとうございます」
男の後ろをれみりゃがトテトテと付いて行っている。
暫くして振り返ると、私に一礼して再び男の元へとついて行った。
かくして雑木林に平穏が訪れた。荒らされた木も、ゆっくりと時間をかけて治っていくだろう。
私は雑木林を一瞥すると、振り返らずに帰路へとついて行った。
羽付きあき
・理不尽物注意
・いくつかの独自設定を織り交ぜています
AM 9:45 合流
私は今、街外れの雑木林に足を運んでいた。
雑木林といてもかなり小規模で。縦に100メートル、横に50m程しかない細長い形をしている。
こんな小さな所でもゆっくりは存在する。
バスケットボール程の大きさが入る隙間なら、ゆっくりは幾らでもすみつけるのだ。
しかも生息限界数をゆっくりは知らない。リーダーのゆっくりやドスまりさが統制をとらなければあっという間に山林を食いつぶしてしまう。
・・・私が雑木林の地面に落ちている一枚の葉っぱを拾ってまじまじと眺めていると、恰幅のいい男が声をかけてきた。
「お、いたいた」
「あ、今日はよろしくお願いします。できるだけ足手まといにはならない様に心がけますので・・・」
「いいよいいよ。どうせ山や森程広い所じゃないんだ。ゆっくりなら簡単に誘き出せるさ」
男は陽気に笑いながらボストンバッグの中から様々な形の道具を取り出している。
「あの・・・今日はどういった方法を?」
「ああ、こいつがやってくれるんだ」
男が足元を見ながら指でちょいちょいと何かを誘導すると、男の後ろからひょこっと一体の胴付きれみりゃが恥ずかしそうに現れた。
私が笑顔で手を振ると、男の足の後ろにさっと隠れてしまう
「・・・れみりゃを?」
「そうそう。こいつは人見知りだけど滅多に人間には手を出さない、いい奴だ」
男がれみりゃを見てそう言うと帽子を目深にかぶり直しながら恥ずかしそうにれみりゃが俯いた。
男はそう言いながら何度もバッグの中を漁りながら目を合わせずに話をする。
ガチャガチャと金属同士のこすれあう音が私の耳に響いた。
「さぁ行こうか。この時間帯ならそろそろゆっくりが外に出てるはずだ。」
男はれみりゃにも合図を送ると、そのまま雑木林の中へと入り込んでいく。
私もあわてて後ろをついて行った。
初夏の日差しが照りつける天気の中、「ゆっくり駆除」が始まった。
AM 10:00 れいむ発見
雑木林の最も奥に私は現在いる。
男とれみりゃが大きな木の根元を見ながら深刻そうに顔を見合わせている。
私もそれが気になって声をかけた。
「どうかしたんですか?」
「見てみな。木の根元がボロボロになっている」
私は木の根元に目を向けた。
そこには木の皮が剥がれてボロボロになっている根元周辺と、その奥にえぐり込むように何かが掘ったかのような穴があいている。
「これはゆっくりが?」
「ああ、そうだ。木の洞や根元に穴を掘って巣を作るんだよこいつらは。でもこの雑木林はそれほど深い土壌じゃないんだ。大方これも掘ったけど途中であきらめたんだろう」
「ここまでボロボロだと木にかなりのダメージがありそうですね・・・」
「ここだけじゃねぇ、あっちこっちの木が同じようにボロボロにされてるんだ」
男が溜息をつきながら掘られた穴に土をかぶせて戻している。
暫く、辺りをキョロキョロと伺っていた私と男にれみりゃが何かを指示して合図をした。
「うー!あそこにゆっくりがいるんだど」
男が無言でゆっくりと歩いて行く。
私もできるだけ物音をたてないように後ろをついて行った。
雑木林の開けた場所に、人が腰掛けられるほどの岩が鎮座している。比較的日が当たるその場所に、ゆっくり達はいた。
「ゆゆーん!ぽかぽかさんとってもあたたかいよ!」
バスケットボール程のゆっくりれいむが一体、甲高い声をあげて岩の下に背をもたれさせている。
「「ゆっくち!ゆっくち!」」
「ゆゆ!れいみゅのいもうちょちゃちちょっちぇもゆっきゅりできりゅね!」
「れいみゅのーびのーびできりゅよ!」
「ゆゆ!れいみゅのほうがのーびのーびできりゅよ!」
「おきゃあしゃんしゅーりしゅーり!」
親れいむに小麦粉の皮をぴったりとくっつけて「すーりすーり」をしている子れいむが一体。
その近くで小麦粉の皮を縦にのーびのーびしている子れいむが二体。
日の当たる場所で頭にピンポン玉程の赤れいむ二体を載せてじゃれあっている子れいむが一体
・・・子れいむはどれもソフトボールほどの大きさだ。
全部で七体。だが、番いのゆっくりがいない。
「まだ番いがいそうですね」
「ああ、多分まりさが一体、そして狩りに出ている子まりさもいるかもしれないからなぁ」
「二手に分かれて散在しているという事でしょうか?」
「まぁ片方を騒がせればもう片方が戻ってきてくれるだろう。いなきゃいないで問題ないしな。れみりゃ、行ってきてくれ」
「うー!」
男の合図に待ってましたと言わんばかりに元気よく走り出したれみりゃ。
足音を大きく立てて、辺りの草などお構いなしにガサガサと音を立てて走り込んでいる。
「ゆゆ!?なにかいるよ!おちびちゃんたち!れいむのちかくによってね!」
れいむが異変に気付いた様で、子れいむ達を近くに呼び寄せる。
だが子れいむ達の表情は楽観その物であった。
「ゆゆ!おとうしゃんとまりしゃおねいちゃんちゃちががもぢょっちぇきちゃんぢゃよ!」
「そういえばおなきゃすいちゃね!」
・・・どうやられみりゃを番いのまりさと勘違いしているようだ。
だがその笑顔もすぐに恐怖に変わっていく。
草むらから飛び出したのは、まりさではなくゆっくり達の恐怖の対象。れみりゃだったのだから。
「うー!"おいしそうなあまあまだどー!"」
「れびりゃだああああああああああ!!おぢびぢゃんだぢ!ゆっぐりじないでばやじざんにながににげでね!おうぢにもどっでねええええええ!」
「ゆんやああああああ!!きょわいよおおおおおおお!」
「いもうちょちゃち!ゆっきゅりしにゃいでれいみゅについちぇきちぇね!ゆ!ゆ!」
「「ゆああああああ!おねいちゃんまっちぇえええええ!」
れいむが大きく声を上げた。
その直後、子れいむ達は蜘蛛の子を散らす様に散り散りになって林の中へと逃げ込んでく。
れみりゃはそれを見て男のもとに戻ろうとしたが、何かに気が付き、再び振り返る。
何を見つけたのか私と男にはすぐにわかった。
「ゆんやあああああ!おぎゃあじゃああああん!きょわいよおおおお!れいみゅをおいちぇいきゃにゃいぢぇえええええ!!」
れいむの小麦粉の皮にすーりすーりをしていた子れいむが躓いモタモタと底部を動かして泣き叫んでいたのだ。
れみりゃはすかさずその子れいむに近づき、右側のピコピコを引っ掴んで引っ張り上げる。
「ゆんやああああ!おぎゃあじゃあああん!だぢゅげぢぇえええええ!おぎゃあじゃん!おぎゃあじゃん!おぎゃあじゃあああああああん!!」
パニックに陥った子れいむは底部をグネグネと動かしながら抵抗を測る。
れいむを何度も呼び、近くの草を噛んでれみりゃに引っ張られない様に抵抗するがすぐにひきはがされてしまう。
・・・あのパニックの最中ではれいむの声は届かないであろう。
れみりゃが横に手を大きく振ると、叫ぶ子れいむを岩の壁面に叩きつけた。
「ゆぶっ!いぢゃいいいいいい!れいみゅのおぎゃおびゃっ!ぶっ!ぐびっ!ぎぶっ!」
二度、三度、四度、五度・・・れみりゃは子れいむのピコピコを持って岩に何度も叩きつける。
最初は大声をあげていた子れいむだが何度もたたきつけられるとピクピクと震えて力なくダランとぶら下がる様になった。口からダラダラと餡子が漏れ出している。
「ゅひっ・・・びっ・・・!おぎゃ・・・あ・・・じゃん・・・お・・・ぎゃ・・あ・・・っぎゅ!」
そのままピクピクとしている子れいむの後ろ部分を踏みつけると大きく跳ねて、子れいむはそれっきり動かなくなってしまった。
れみりゃの体と岩には返り餡子がこびり付いている。
AM 10:07 れいむ残り6 箱設置
「やったな!れみりゃ!」
「うー!」
男が嬉しそうにれみりゃをほめる。れみりゃもまんざらではない様で辺りをドタドタと小走りしていた。
しかし私には気がかりがある。
「あの・・・」
「なんだい?」
「さっきれみりゃが走って行ったときにれいむ達は散り散りに逃げて行きました。雑木林の外に出られたら・・・」
「その心配はないさ」
「なぜでしょうか?」
「ゆっくりは危機に陥ると巣に逃げ込む習性がある。それに外に出た所で隠れる所はこっちの方が豊富なんだ。この雑木林から出る事はあり得ないよ」
「しかし散在した子ゆっくり達を見つけ出すのは至難の業なのでは・・・」
「だからこれを使おうと思ってな」
男がボストンバッグの中から金属製の網でできたケージを取り出した。
と言っても小さめだ縦に30cm、横に20cm、高さは15cm程しかない。
「それは?」
「この中にゆっくりの好きな甘い物を入れて口をあけるんだ。ゆっくりが入り込めばこの口が閉じて閉じ込められるって寸法さ」
「しかし小さくないでしょうか?これではソフトボールサイズの子ゆっくりが一体程度しかはいりませんよ?」
「いや、これで三体は捕まえられる。さっき赤れいむ二体を連れた子ゆっくりを狙うんだ」
「なるほど・・・」
「あの子れいむ達が逃げたのはあっちの方向だ。赤ゆっくりのスピードから考えてもそう遠くに行ったわけじゃない。それに」
「それに?」
「赤ゆっくりを連れている以上俺やれみりゃが行っても隠れてやり過ごす選択をとるはずだ。そうなりゃ御の字よ。よし、早速仕掛けるぜ」
男がれみりゃを肩乗せてガサガサとわざとらしく音を立てて歩いて行く。
れみりゃも「うー!うー!」と声をあげているようだ。恐らく子れいむ達をその場に磔にするつもりなのだろう。
・・・私のすぐ真横の草むらで、何かが動いて様な気がした。
「よしっこれでいいだろう。さあいったん離れてくれ」
男が真ん中に「ゆ」と刻印されたクッキーを三枚程入れたあのケージを置いて私に合図をする。
一旦1m程離れ、隠れて辺りを見回す事にする。
待つ事5分。
草むらをカサカサと掻きわけてあの子れいむがひょっこりと顔を出した
「ゆ・・ゆゆぅ・・・もういっちゃみちゃいぢゃね・・・いもうちょちゃち!ゆっきゅりでてきちぇね!」
辺りを見回した後そう声を出すと後ろから赤れいむが二体、そろそろと這いだしてきた。
「ゆぇぇん・・・きょわかっちゃよぉぉ・・・」
「ゆっきゅりしちゃいよぉぉ・・・」
グズりながら不安を口にする赤れいむに子れいむが声をかけた。
「ゆゆ!だいじょうぢゃよ!おねーしゃんがついちぇるきゃらゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
「「ゆ・・・ゆっくちしちぇいっちぇね!」」
ここからでもはっきりとわかるほどの大声を上げる子ゆっくり達。
肝心な所で抜けているようだ。
しかし、すぐ目の前にあるあのケージには気づいていない様で、このままでは別の所に逃げるのではないかと私は感じていた。
「ゆゆ?にゃにありぇ?」
「おいししょうなにおいがしゅりゅよ!ゆっくちいっちぇみようよ!」
先に気がついたのは赤れいむ二体であった。
元気よく飛び跳ねてケージへと向かう赤れいむ達。
それを制止したのは子れいむであった。
「ゆゆ!だめぢゃよ!おとうしゃんやまりしゃおねいちゃんがとっちぇきゅるごはんしゃんいぎゃいはくさしゃんとはなしゃんいがいたべちゃだめぢゃっちぇおきゃあしゃんがいっちぇちゃよ!」
「ゆゆー!でもれいみゅおなきゃすいちゃよ!ちょっちょもおいししょうなにおいがしゅりゅよ!」
「まりしゃおとうしゃんがとっちぇきちぇくれちゃ"はちみつしゃん"みたいなにおいがしゅりゅんぢゃよ!?れいみゅがみゃんできにゃいよ!」
子れいむの制止を振り切ってケージの中へ飛び込む赤れいむ達。
そのままクッキーにかぶりつく
「む~ちゃむ~ちゃ・・・ちちちちちあわちぇええええええええ!!」
「うめっきょれめっちゃうめっ!」
「ゆっきゅりやめちぇね!おきゃあしゃんにょいいつけをまもりゃないちょれいみゅおきょりゅよ!」
モソモソと小さな口でクッキーを咀嚼する赤れいむ達、子れいむが飛び込んで引っ張り出そうとしたその時、ガシャンと大きな音がしてケージの入り口が閉ざされた。
「「「ゆゆ!?」」」
一体の子れいむと二体の赤れいむが一斉に声を上げる。
「ゆんやあああああ!でりゃれにゃいよおおおおおおお!!」
「あみしゃんいじわりゅしにゃいぢぇれいみゅたちをだしちぇええええええ!!」
「いもうぢょぢゃぢのばがああああああああ!!どじごめられぢゃっぢゃよおおおおおおおお!!」
砂糖水の涙を流しながら泣き叫ぶ子れいむ達を見て男はまだ動かなかった。
私は気になって男に問いかける。
「いかないんですか?」
「ちょっとまっててみな、あの赤れいむ二体はあのクッキーを食べたんだ・・・もうそろそろかな」
「・・・?」
私が疑問に思いながらケージを向き直ってみると、赤れいむ二体に異変が訪れた。
「ゆっゆぎっ・・・ゆぴっ!?ぎぴっ!っぴ・・・!」
「ゆぎぃ・・・ぽんぽんいぢゃいぃぃ・・・!」
「いぼうぢょぢゃぢどぼじじゃにょおおおおおお!?」
赤れいむ二体が体をぐーねぐーねさせながら苦しみ始めた。
もっともクッキーを多く食べた赤れいむの方は真横のボテンと倒れ伏し、口をあけて舌をだらんとだらしなく投げだしたまま砂糖水の涙と涎としーしーを穴と言う穴から垂れ流しながら痙攣を始める。
寒天の両目がグリンと上を向き、真っ赤に「充餡」していた
・・・そう、これは「ゆ除クッキー」ゆっくりだけに効く駆除用具の一種だ。
「いぢゃいよぉぉ!だぢゅげぢぇぇぇ・・・ぽんぽんぎゃ・・・ぽんぽんいぢゃいぃぃ・・・!ゆぶぶっ・・・!」
「おぢびぢゃあああああん!?だじぢぇえええええ!ごごがらだぢぢぇええええええ!もやぢゃおうぢがえりゅうううううううう!!」
寒天の両目を見開いてケージの網をカリカリと音を出して砂糖細工の歯でひっかく抵抗を始めるが、赤れいむの方は餡子の混じった黒い砂糖水を口の端から泡をぶくぶくと出しながら両目がグリンと真上に向きそのまま後方にボトンと倒れて痙攣を始める。
痙攣がだんだんと小さくなって、赤れいむ二体はそのまま倒れ伏して動かなくなってしまった。
それを見て子れいむがパニックになってケージの中をガシャガシャと飛び跳ねる。
「いやぢゃあああああああああ!!だぢぢぇえええええええ!!ごごがらだぢぢぢぇええええええええええ!!おぎゃあじゃあああああああん!!おどうじゃああああああああん!!おねえぢゃあああああああん!」
男がケージに近づき、取っ手を持って持ち上げた。
そのまま泣き叫び、暴れる子れいむを見ながら溜息をついてこうつぶやいた。
「だめだな・・・完全にパニくっちまってる。巣の位置を聞き出そうとしたけど手間かかるからやめとくかぁ。れみりゃ、食っていいぞ」
「うー」
ケージの中から子れいむを引っ張り出すと、両手でしっかりと持つれみりゃ
それでもかなり暴れ回っているようで抑えるだけで苦労するようだ。
「う、うー・・・もちづらいど・・・」
「だぢゅげぢぇえええええええ!!だぢゅげぢぇええええええ!!まりぢゃおねいじゃあああああん!おどうじゃああああああん!おがあじゃああああああゆぎっ!」
何とか体勢を入れ替えてれみりゃが子れいむの底部にかぶりつく。ブツと音を立てて突き立てた砂糖細工の牙をふるって、そのままブチブチと底部を食いちぎった。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!いぢゃいいいいいいいい!!れいみゅのあんよぎゃああああああああ!!いぢゃいいいいいいいい!!いぢゃいよおおおおおおおお!!だいぢゅげぢぇええええええええ!!おでがいだぢゅげぢぇえええええええ!!」
さらに暴れる子れいむに見かねて、れみりゃが底部から露出する餡子に腕を突っ込んでグシャグシャと掻きまわし始めた。
どうやら中枢餡を破壊しておくようだ。
「ゆがっぎぎぎごがぎぎゃああああああああああ!!あぶじゅりぇぼびぼぼぼぼぼびびびびいいいいいいいいいい!ゆぽ・・・っぴ・・・」
寒天の両目をカメレオンのごとく左右非対称にグルングルンとまわして暴れ回った子れいむは、そのままピクピクと痙攣したまま舌をだらんと投げ出して動かなくなってしまった。
れみりゃが底部からガブガブと餡子を食べると、あっという間に小麦粉の皮だけとなって地面に放り出される。
れみりゃがごしごしと口の周りについた餡子を口でぬぐって再び辺りを見回し始めた。
男もケージから凄まじい形相で倒れた赤れいむを地面に捨てると、そのままケージをバッグの中に戻して林の中を進んでいく。
AM 10:20 れいむ残り3 まりさ発見
雑木林の奥のやや手前に私は来ていた。
一番日当たりが良いこの場所では、色々な野草や花等が咲いており、ゆっくりの「狩り場」には絶好の場所であると考えられる。
雑木林の大きさから、狩り場はここしかないはずだ。
番いのまりさが別行動ならここに居る事には間違いない。
だがその予想に反して私達の目の前には、何もいないのだ。
「おかしいですね・・・ゆっくりが狩り場にできる場所はここしかないはずなんですが・・・もしかして雑木林の外に出ているのでしょうか?」
「それはないな。ここはあのゆっくりが生育するにはかなり恵まれた場所だ。態々外に出てまで狩りをするはずがない、それに見てみな」
男が指で狩り場全体を指し示す。
「ここにはまだ蝶や花が目に見えるぐらいある。外に出なきゃならないほどの事情があるゆっくりの場合、近くの狩り場がかなり荒廃しているはずなんだ」
「つまりここはまだ荒れていないから外には出ていないと?」
「そういう事だ」
私が辺りを見回していると、草むらの陰からガサっと大きな音を立てて丸い何かがボヨンボヨンと跳ねていた。
「あ!あれは・・・」
私が声を上げるより先に走っていたのはれみりゃだった。
「ゆ!ゆ!れいむのこえがきこえたよ!おちびちゃん!れいむになにかおこったみたいだからゆっくりしないでついてきてね!」
「ゆっきゅりわかっちゃよ!ゆ!ゆ!」
そこにはバスケットボール大のゆっくりまりさ、そしてその子ゆっくりであろうハンドボール大のゆっくり子まりさが急いで跳ねていた。
帽子がパンパンに膨れている事を考えて、狩りの終わりの最中にれいむの声を感じ取ったようだ。
結構なスピードだ。ジャンプに高低差もある。
私がそう考えていると、れみりゃが細長い何かを持って大きく勢いをつけてふリかぶっていた。
「うー!」
それは、木の枝であった。れみりゃが細長い木の枝を投げる。
木の枝は一直線にまりさへと飛んでいき、まりさの寒天の右目に深々と突き刺さった。
「ゆぎゃぁ!いだいいいいいい!!」
「おぢょうじゃあああああん!?」
飛び跳ねて自由落下する寸前で突き刺さった木の枝は、まりさのバランスを大きく崩してゴロゴロと草むらの上を転がって突っ伏した。
「ゆ”!ゆ”!いだいぃぃ・・・までぃざのおべべがぁぁ・・・」
転がった時の衝撃で寒天の右目ごと取れた木の枝が辺りに転がっている。
小麦粉の皮の眼窩からは砂糖水に混じった餡子がだらだらと流れだしていた。
「おどうじゃんゆっぎゅりよぐなっぢぇね!ぺーろぺーろ!」
「ゆぐっゆぐぐぅ・・・!いだいいいい・・・!」
子まりさが苦しんで横たわるまりさにぺーろぺーろしながら心配している。
そこにれみりゃが警戒しながら距離を取って立ちふさがっていた。
「・・・でびりゃだぁぁ!おちびちゃん!ゆっくりにげてね・・・!おとうさんのことはいいよ!はやくれいむのところにいってあげてね!」
「ゆゆ・・・でみょ!」
「はやくいってね!みんなをまもってあげてね!」
「ゆ、ゆっくりわかっちゃよ!」
子まりさが小刻みに跳ねて林に戻ろうとする。
「にがさないど!」
れみりゃが追いかけるが、そこにはまりさが木の枝を口にくわえて立ちふさがっていた。
「みんなはまりさがまもるよ!ゆっくりできないれみりゃはゆっくりしね!」
まりさが前に鋭く跳ねて木の枝で付いてきた。間一髪よけたが木の枝を投げ出してしまったれみりゃは丸腰である。
捕食種と通常種とはいえ、手負いのまりさはれみりゃでも手を焼くゆっくりだ。
「うー・・・」
れみりゃがじりじりと後ろへ下がる。
まりさが木の枝をグイグイと突き出しながら威嚇をして追い詰めているのだ。
「れみりゃは丸腰です!どうすれば・・・」
「俺は子まりさを追う!これをれみりゃに投げてくれ」
「え!?わ、わかりました」
男はバッグから細長い革製の小さなケースを私に手渡すとそのまま子まりさを急いでおった。
「れみりゃ!受け取ってくれ!」
私がそのケースをれみりゃの前に投げ込む。
中から現れたのは数十本の木の枝であった。
「うー!」
れみりゃがそれを拾い上げてフリかぶって投げる。
至近距離からまりさの小麦粉の顔面に木の「投げ槍」が突き刺さった。
「ゆぎっ!ごのおおおおお!ゆっぐりじねえええええ!!」
それでもまりさはひるまない。凄まじい形相で突進を開始する。
れみりゃがケースから全ての木の投げ槍を取り出して地面に突き立てた。
そのまま両手で持ってロケット砲の様な勢いで両手を使って投げつける。
「うー!うー!」
「ゆぎゃ!ゆぎっ!ゆぐっ!ゆがっ!」
マチ針を突き立てる筵のごとくまりさの顔面に投げ槍が刺さりまくっている。
まりさの突進は止まり、小麦粉の体をぐーねぐーねさせながらその猛攻に耐えていた。
「とどめだど!」
れみりゃが最後の一本を両手で持って飛び上がるとまりさの寒天の左目に深々と突き立てる。
「ゅっぎあああああああああああ!!までぃざのおべべがああああああああああ!!」
けたたましい声をあげて苦しむまりさのおさげをれみりゃが両手で持つと、渾身の力で振り上げて、近くの敷石の様になっている石に叩きつける。
「ぎびっ!!」
遠心力で帽子が取れて中から虫や花や草などが飛び散っている。そのまま、まりさは頭から石に叩きつけられた。
穴と言う穴からどろっとした砂糖水の混じった餡子が垂れ落ちてきて、そのまままりさは力なく顔面から突っ伏したまま動かなくなった。
「ふー・・・ふー・・・!」
「やったな!れみりゃ!」
息を整えるれみりゃに駆けよって声をかける私にれみりゃは笑顔で返してくれた。
AM 10:25 れいむ残り3 まりさ残り1 巣発見
「ゆひっ・・・!ゆひっ・・・!みんなは・・・みん・・・な・・・は・・・まりしゃ・・・が・・・まもりゅ・・・よ・・・!」
再び合流した私達の目の前に、寒天の右目が飛び出して頭部がバックリと割れている子まりさがずーりずーりと餡子の跡を描きながら移動していた。
男の手にはゆ叩き棒が握られている。どうやらそれで子まりさを打ちすえたようだ。
「逃げていますよ。いいんですか?」
「ああ、いいんだ。巣へはあの子まりさが行ってくれる」
「・・・なるほど。そういうことですか」
「そうそう、デカい方のまりさは出鱈目喋ったりする可能性があらからな。こうやって父役のゆっくりについて狩りの手伝いをしてる子ゆっくりを叩いて巣にもどらせた方が早いのさ」
「しかし大丈夫でしょうか?餡子がみるみる減っている様に思えますが・・・」
「ここが何キロもある山や森なら問題だけどな・・・ここは小さな林だろ?それにまりさ種は餡子の量が他のゆっくりよりも多いんだ。多分持つだろう。」
餡子の跡と私達に気付かず必死に巣を目指す子まりさの跡をゆっくりと歩いてついていく。
「ゆはぁ・・・!ゆはぁ・・・!ゆひっ・・・!ゆひっ・・・!もう・・・ちょっと・・・ぢゃよ・・・お・・・きゃ・・・あ・・・しゃん・・・いもうちょ・・・ちゃ・・・ち・・・ゆっきゅり・・・まっちぇ・・・ちぇね・・・ゆひっ・・・ゆひっ・・・」
さっきよりはるかにスピードが落ちた様だ。餡子ももう少しでゆっくりとしての機能を消失する寸前の量しか残っていないはずである。
子まりさの行く先に林の中心部にあるひと際大きな木の洞に、明らかに不自然な葉っぱや木の枝がかかっている。
どうやらあそこが「おうち」の様だ。
「あれじゃないでしょうか?」
「ああ、間違いなくあれだな」
私達は顔を見合わせて木の洞の近くで息を殺して子まりさを見る。
やがて子まりさは木の洞の前までその体を進めた。
「おきゃ・・・あ・・・しゃん・・・ゆっきゅり・・・まりしゃぢゃよ・・・あけちぇ・・・にぇ」
既に餡子のほとんどが無くなっている息も絶え絶えの状態で「けっかい」の向こうにいるれいむ達に声をかける。
暫くするとゴソゴソと「けっかい」が動いた。中から現れたのは今から25分程前に見つけたれいむである。
「おちびちゃん!どぼじでぞんなげがをじでるのぉぉぉっ!?ばりざは!?ぼがのおぢびぢゃんだぢは・・・!?」
「ゆひゅー・・・ゆひゅー・・・おどう・・・じゃん・・・は・・・れみ・・・りゃ・・・からまりしゃ・・・を・・・にがしちぇくれちゃよ・・・まりしゃはみんなをまもる・・・まも・・・ゆぐっゆぐぼ!ゆげぼっ!」
ヒューヒューと音を立てて口から餡子を吐き出す子まりさ。既に限界にまで達しているであろう餡子の量をさらに減らしている。
「おぢびぢゃんむりじないでね!にばんめとさんばんめのおちびちゃんはおうちにいるよ!だからあんしんしてゆっくり!ゆっくりしていってね!ぺーろぺーろ!おちびちゃんゆっくりよくなってねっ!ぺーろぺーろ!」
「おきゃあ・・・しゃん・・・まりしゃ・・・もう・・・だめ・・・ぢゃよ・・・」
「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおお!?ゆっぐりよぐなるよ!ぞじだらみんなでいっぱいごはんさんをむーしゃむーしゃして!おみずさんをごーくごーくして・・・!いっしょにのーびのーびしたりこーろこーろしたりできるよ!ゆっくり!おちびちゃん!ゆっくりしていってね!」
「おどう・・・じゃん・・・みん・・・な・・・を・・・まもれ・・・なくちぇ・・・ごめん・・・にぇ・・・おぎゃあじゃん・・・ゆっきゅり・・・しちぇ・・・い・・・っちぇ・・・ね・・・」
れいむの必死のぺーろぺーろの甲斐も空しく、子まりさはすっと目を閉じるとそのまま動かなくなってしまった。
「・・・どぼじでええええええええええええええええええええええええええ!?どぼじでええええええええええええええええええ!?おぢびぢゃあああああああん!!でいぶの!でいぶのがわいいおぢびぢゃんがあああああああああああ!!」
暫くプルプルと震えていたれいむが砂糖水の涙と涎を吹き出しながら空に向かって叫ぶ。
そこで男とれみりゃが飛び出した。
れいむはその気配に気づくと「けっかい」を弾き飛ばし、大きく膨れて蟻一匹も通さぬと言う勢いで木の洞を背にくっつけて威嚇を開始した。
「ぷくううううううううううううう・・・!!ぷっくううううううううううう!!」
男は子まりさだったつぶれ饅頭を構わず蹴飛ばして横にやると、ゆ叩き棒を手でポンポンと叩きながらこうつぶやいた
「子れいむはコンポストに欲しいなぁ・・・ついでだからこのれいむ・・・いや、やっぱ邪魔だし、このれいむはいいか・・・臭いをできるだけ残す様にやっとけばゆっくりも近寄らないだろ」
男がゆ叩き棒を振り上げてそのまま力を込めて振り下ろす。
ドコッと鈍い音がしてれいむの小麦粉の体が一瞬凹の様に拉げた。
「ゆぎっ!・・・ゆっぐ・・・!ゆぐ・・・!ぶっぐうううううううううううう・・・!!」
一瞬ひるんだれいむであったがまた再び大きく膨れて威嚇を繰り返すれいむ。
男は淡々とした手つきでゆ叩き棒を何度もふるってれいむを滅多撃ちにしはじめた。
「ぶっぐびっ!ぷくうううううううびょっ!!ぷくっ!ぷっくううううううぐぶっ!!」
膨れようと空気を吸い始めた途端にゆ叩き棒で何度も殴りつけられ、見る見るうちに小麦粉の皮がはれ上がっていくれいむ。
男が斜めに叩き下ろす様にゆ叩き棒をふるった。
ブチュンと言う音がしてれいむの小麦粉の皮の眼窩から寒天の右目が飛び出した。
「ゆっぎぃぃぃっ・・・!ゆぐっ!ゆぐっ!ゆびっ!ゆひっ・・・!ゆひっ・・・!ゆひゅー・・・ゆひゅー・・・ぷっくうううううううううう!!」
それでもなお、小麦粉の皮の眼窩から寒天の右目をぶーらぶーらさせて膨れるれいむ。
男はゆ叩き棒の電熱線スイッチをONにした。
そして棒の先をれいむの寒天の左目に押し付ける。
「ジュウウウウウッ」と言う音が響いた。
れいむの寒天の左目と棒の間から白い煙が上がっている。
「っぎ!ゆっぎい”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!あづい”い”い”い”い”い”い”い”い”い”!!!あづいよおおおおおおおおお!!あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
溜まらずれいむが口をあんぐりと開けて叫ぶ。
小麦粉の皮をグロテスクにグーネグーネと動かし、必死に身をよじり逃げようとするが、押し付けられたゆ叩き棒から逃れる事は出来なかった。
1分近くゆ叩き棒を押しつけた後に、男はそのまま開いた口にゆ叩き棒を差し込んだ。
「ゆおぼっ!!ぼお”お”お”お”お”お”お”お”お”お”!!!!!おぼっ!おぼっ・・・!お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”!!!!!」
グーネグーネと動いていた小麦粉の体がビクビクと跳ね出した。中枢餡にゆ叩き棒が到達した様だ。
そのまま餡子を焼かれるれいむは、凄まじい怪音を発しながら徐々にその動きを小さくしていく。
「ゆぼっ・・・ぼぴっ・・・ぼ・・・」
ゆ叩き棒が引き抜かれた後はそのままボテンと横に力なく倒れ伏し、あんぐりと開いた口から砂糖水の涎をだらしなく垂れ流し、あにゃるから餡子の混じった砂糖水の緩いうんうんを垂れ流したままピクピクと潰された虫のように微かに動いて、やがて物言わぬ饅頭となり果てた。
木の洞からは、枯れ草をかぶった子れいむ二体がカタカタと震えながらその光景を目の当たりにしている。
AM 10:40 終了
「だしちぇええええええええ!きゅらいよおおおおおおおお!!きょわいよおおおおおおお!」
「ゆええええええええええん!!おきゃあしゃあああああああん!ゆびええええええええん!」
丈夫そうな金属製の箱の中から子れいむ達の声が聞こえる。
コンポスト用に持ち帰る子ゆっくり達の声だ。
男はホクホク顔で箱を両手で抱えると、私に対してこう言った。
「いやぁ思ったより結構いて驚いたけどおおむね満足だよ」
「それはよかった。私も勉強になりました」
「また見たくなったらいつでも行ってくれよ!はははは!じゃあ、俺は帰るわ!」
「今日はありがとうございます」
男の後ろをれみりゃがトテトテと付いて行っている。
暫くして振り返ると、私に一礼して再び男の元へとついて行った。
かくして雑木林に平穏が訪れた。荒らされた木も、ゆっくりと時間をかけて治っていくだろう。
私は雑木林を一瞥すると、振り返らずに帰路へとついて行った。