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ゼロのロリカード-02 - (2008/06/07 (土) 01:41:45) の編集履歴(バックアップ)
陽も完全に落ちた夜半、少女アーカードはゆっくりと目を覚ました。上体だけを起こし周囲を見渡す。
そう、自分は隣でスヤスヤと寝息を立てて眠っている少女、ルイズの使い魔となったのだ。
我ながら、その場の酔狂じみた勢いで契約の儀とやらを交わしてしまったことに、少しばかり後悔。
ルイズが私を、ではなく、私がルイズを使い魔にした方が面白かったのではないかと。
そう、自分は隣でスヤスヤと寝息を立てて眠っている少女、ルイズの使い魔となったのだ。
我ながら、その場の酔狂じみた勢いで契約の儀とやらを交わしてしまったことに、少しばかり後悔。
ルイズが私を、ではなく、私がルイズを使い魔にした方が面白かったのではないかと。
ふと左手を見ると紋様が甲の部分にうっすらと浮かび上がっていた。なるほど、これが契約の証か。
と、同時に自分が手袋をしてないことに気付く。はずした覚えはなかったが・・・まぁいいか。
と、同時に自分が手袋をしてないことに気付く。はずした覚えはなかったが・・・まぁいいか。
起き上がり大きく伸びをする。窓へと近づきゆっくりと外を眺め、空を仰ぎ見た。
月が二つ浮かんでいる。いよいよもってここは元の世界ではないらしい。
(別世界か・・・それもまた一興かな)
アーカードは心の中で静かに笑った。幾星霜と生きてきてこの様な事は初めてだったのだから。
月が二つ浮かんでいる。いよいよもってここは元の世界ではないらしい。
(別世界か・・・それもまた一興かな)
アーカードは心の中で静かに笑った。幾星霜と生きてきてこの様な事は初めてだったのだから。
アーカードはルイズへと近づいた、未だ静かな寝息を立て寝ている。
(主はまだ暫し寝かせておいてやるか)
無垢で無防備な顔、しばしそれを眺めている内にアーカードの悪戯心が刺激された。
つんつんと頬を突っつく、肌は適度な弾力で指を離す度に窪みが音もなく元に戻る。
次は横に引っ張る、少女のあどけなさを大きく残したその端正な顔立ちが崩れる。
ルイズは寝苦しそうに呻いた。ベッドの半分は占領しているだろう桃色の髪を梳く。
ウェーブがかった長髪はよく手入れされているようで、指は難なく通り心地よい感触を残す。
艶がかった唇は少女特有の耽美さを発していた。
(主はまだ暫し寝かせておいてやるか)
無垢で無防備な顔、しばしそれを眺めている内にアーカードの悪戯心が刺激された。
つんつんと頬を突っつく、肌は適度な弾力で指を離す度に窪みが音もなく元に戻る。
次は横に引っ張る、少女のあどけなさを大きく残したその端正な顔立ちが崩れる。
ルイズは寝苦しそうに呻いた。ベッドの半分は占領しているだろう桃色の髪を梳く。
ウェーブがかった長髪はよく手入れされているようで、指は難なく通り心地よい感触を残す。
艶がかった唇は少女特有の耽美さを発していた。
「・・・ふむ」
アーカードはルイズの顔を大きく覗き込む、そのまま目覚めのキスでもしてやろうかと思った。
しかし偶然か、はたまた身の危険を感じたのか、ルイズの眼が虚ろいながらもゆったりと開く。
「~~~~~~~~~~ッッッ!!??」
声にならない叫びを上げつつ、ルイズは反射的にアーカードを押しのけて部屋の隅に陣を取った。
「何を逃げることがある、一度したではないか」
その声は、現状把握の為に必死に頭を働かせているルイズの耳には入らなかった。
「・・・?どうした?」
返事のないルイズを訝しみ、アーカードは声を掛けるもののこれも反応なし。
アーカードはルイズの顔を大きく覗き込む、そのまま目覚めのキスでもしてやろうかと思った。
しかし偶然か、はたまた身の危険を感じたのか、ルイズの眼が虚ろいながらもゆったりと開く。
「~~~~~~~~~~ッッッ!!??」
声にならない叫びを上げつつ、ルイズは反射的にアーカードを押しのけて部屋の隅に陣を取った。
「何を逃げることがある、一度したではないか」
その声は、現状把握の為に必死に頭を働かせているルイズの耳には入らなかった。
「・・・?どうした?」
返事のないルイズを訝しみ、アーカードは声を掛けるもののこれも反応なし。
ここは己の部屋、それ以外には見えない。寝込みを襲われた・・・?
陽が出ていない、もう夜だ。そもそもなんで自分は寝ていた?
寝巻きではなくローブを羽織っている。着替えていない、もしかして気絶していた?
最後の記憶はコントラクト・サーヴァント。そうだ、目の前の少女はアーカード。
契約を交わした私の使い魔。何で気絶した?たしか契約の時に・・・。
思い出した瞬間、気恥ずかしさと己の醜態にルイズは顔を紅潮させた。
そして先に言ったアーカードの言葉がようやく頭に入ってくる。
『一度した』それはつまり・・・
陽が出ていない、もう夜だ。そもそもなんで自分は寝ていた?
寝巻きではなくローブを羽織っている。着替えていない、もしかして気絶していた?
最後の記憶はコントラクト・サーヴァント。そうだ、目の前の少女はアーカード。
契約を交わした私の使い魔。何で気絶した?たしか契約の時に・・・。
思い出した瞬間、気恥ずかしさと己の醜態にルイズは顔を紅潮させた。
そして先に言ったアーカードの言葉がようやく頭に入ってくる。
『一度した』それはつまり・・・
「わ・・わわ・・・私にそういう趣味はないわよ!」
アーカードはその言葉を反芻していたようだった、そして唇の端をニヤリとあげ告げる。
「ふむ、私が『女の姿』だから問題があるのだな、ならば『男の姿』なら文句はないわけか。それなら――」
「どちらにしても駄目よ!」
言ってる意味がよくわからなかったが、とりあえず無視する。
アーカードは不思議そうに首を傾げていた。己の発言に一点の曇りもないといった様子であった。
「まったく、盛りのついた野良犬じゃあるまいし、こ・・・・・恋人同士ならともかく!
その・・・キ・・キスなんておいそれとするものじゃないわ。 大体あれは『コントラクト・サーヴァント』で仕方なくやっただけなんだから」
アーカードはその言葉を反芻していたようだった、そして唇の端をニヤリとあげ告げる。
「ふむ、私が『女の姿』だから問題があるのだな、ならば『男の姿』なら文句はないわけか。それなら――」
「どちらにしても駄目よ!」
言ってる意味がよくわからなかったが、とりあえず無視する。
アーカードは不思議そうに首を傾げていた。己の発言に一点の曇りもないといった様子であった。
「まったく、盛りのついた野良犬じゃあるまいし、こ・・・・・恋人同士ならともかく!
その・・・キ・・キスなんておいそれとするものじゃないわ。 大体あれは『コントラクト・サーヴァント』で仕方なくやっただけなんだから」
正確には半ば無理やりに「やられた」感もあったが、そこは敢えて触れなかった。
既に双方の意思確認は終了していたわけだし、あとはキスするだけだったのだから。
どちらからしたというのはこの際どうでもいい。というかあの醜態は記憶から消し去りたい。
「くっくっく・・・私を犬呼ばわりか、言いえて妙だな」
何がそんなにおかしいのか、アーカードは笑っていた。
「・・・・・?」
ひとしきり笑い終わったところでアーカードは口を開く。
「ところでルイズ、少しばかり聞きたいことがあるのだが」
「へっ?・・ぁ・・・うん」
既に双方の意思確認は終了していたわけだし、あとはキスするだけだったのだから。
どちらからしたというのはこの際どうでもいい。というかあの醜態は記憶から消し去りたい。
「くっくっく・・・私を犬呼ばわりか、言いえて妙だな」
何がそんなにおかしいのか、アーカードは笑っていた。
「・・・・・?」
ひとしきり笑い終わったところでアーカードは口を開く。
「ところでルイズ、少しばかり聞きたいことがあるのだが」
「へっ?・・ぁ・・・うん」
◇
その頃より時を遡ること数時間、ミスタ・コルベールは自室で悩んでいた。
ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔、その異常性と危険性。
あの場はひとまず収まったが、これからどうなるかはまったくもってわからない、未知数である。
もし何らかの形で彼女が敵意を示した時、とてつもなく恐ろしい事態が発生するるのではないかと危惧していた。
オールド・オスマンに相談するべきか、だがあの人は割りと無頓着なところがある。
果たして聞き入れてくれるだろうか、だがそれでも言わないよりはマシか。
しかし何らかの対策が練られそれを講じた結果、件の少女アーカードが何かしらのアクションに出たらどうする。
自分の胸の内にしまい込んでいたほうがいいのだろうか・・・。
少なくとも契約は無事に終わり、今現在まで特にこれといった不都合も問題も発生はしてないようではある。
コルベールは悩み続けていた。
ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔、その異常性と危険性。
あの場はひとまず収まったが、これからどうなるかはまったくもってわからない、未知数である。
もし何らかの形で彼女が敵意を示した時、とてつもなく恐ろしい事態が発生するるのではないかと危惧していた。
オールド・オスマンに相談するべきか、だがあの人は割りと無頓着なところがある。
果たして聞き入れてくれるだろうか、だがそれでも言わないよりはマシか。
しかし何らかの対策が練られそれを講じた結果、件の少女アーカードが何かしらのアクションに出たらどうする。
自分の胸の内にしまい込んでいたほうがいいのだろうか・・・。
少なくとも契約は無事に終わり、今現在まで特にこれといった不都合も問題も発生はしてないようではある。
コルベールは悩み続けていた。
◇
「んむ、やはりここは私がいた世界とは異なるな。特にわかりやすく顕著なのは月が一つしか存在しないことだ」
「月が一つ・・・?」
自分が生まれてから十と余年、月が一つだったことはない。それ以前の歴史上でも恐らくそんなことはなかった・・・と思う。
アーカードの言ってることが絶対に信じられない、というわけではない。
ルイズはまだアーカードと出会って一日と経ってない、しかもその殆どは眠っていた。
しかしこと学院内では誰よりも信頼出来ると思っているし、もう既に気のおけない存在となっていた。
「月が一つ・・・?」
自分が生まれてから十と余年、月が一つだったことはない。それ以前の歴史上でも恐らくそんなことはなかった・・・と思う。
アーカードの言ってることが絶対に信じられない、というわけではない。
ルイズはまだアーカードと出会って一日と経ってない、しかもその殆どは眠っていた。
しかしこと学院内では誰よりも信頼出来ると思っているし、もう既に気のおけない存在となっていた。
異世界というものが本当に存在するのか、仮に存在していたとしたら・・・。
ルイズは心中に芽生えたその疑念を口に出そうか迷った。息が詰まり心なしか冷や汗まで出てくるような気がした。
しかしそれでも口にした。何故かはわからない。
己のプライドの為か。疑念が晴れぬまま過ごすのが苦痛だと思ったからか。彼女の本心の願いを汲み取ってあげたいからか。
どれもが理由ではないとも言えるし、全てが理由とも言えた。そして意を決し言葉を紡ぐ。
ルイズは心中に芽生えたその疑念を口に出そうか迷った。息が詰まり心なしか冷や汗まで出てくるような気がした。
しかしそれでも口にした。何故かはわからない。
己のプライドの為か。疑念が晴れぬまま過ごすのが苦痛だと思ったからか。彼女の本心の願いを汲み取ってあげたいからか。
どれもが理由ではないとも言えるし、全てが理由とも言えた。そして意を決し言葉を紡ぐ。
「ねぇアーカード、その・・元の世界に帰りたい?」
聞きたくない。自分から質問をしておいて難だが、思わず耳を塞ぎたくなる衝動に駆られる。
肯定されたらきっと自分はとても悲しくなる。自分自身を否定されたような気持ちになってしまう。
そんな利己的な考えを持つ自分が疎ましい。だけどもし彼女が元の世界に戻りたいというのなら、力になってあげたいというのもまた本心であった。
「なぁに、最低でも主が寿命で死ぬまではいるから安心しろ」
そんなルイズの心情をアーカードは知ってかしらずか、あっさりと笑いながら否定した。
聞きたくない。自分から質問をしておいて難だが、思わず耳を塞ぎたくなる衝動に駆られる。
肯定されたらきっと自分はとても悲しくなる。自分自身を否定されたような気持ちになってしまう。
そんな利己的な考えを持つ自分が疎ましい。だけどもし彼女が元の世界に戻りたいというのなら、力になってあげたいというのもまた本心であった。
「なぁに、最低でも主が寿命で死ぬまではいるから安心しろ」
そんなルイズの心情をアーカードは知ってかしらずか、あっさりと笑いながら否定した。
ルイズは安堵した、根拠はないけれど妙な安心感に包まれる。私より先にアーカードが死ぬ可能性だってあるのに・・・。
ルイズは心から感謝した。彼女を召喚したこと、契約したことに。人間でも平民でも関係ない。
何をやっても失敗したり裏目に出てしまう、そんな自分を認めてくれるこの少女が傍にいてくれることに。
ルイズは心から感謝した。彼女を召喚したこと、契約したことに。人間でも平民でも関係ない。
何をやっても失敗したり裏目に出てしまう、そんな自分を認めてくれるこの少女が傍にいてくれることに。
話が一段落したところで、ルイズは起きてからその胸にいだいていた、一つの疑問を投げかけることにした。
「ところで、あの棺桶はなに?」
ベッドの横に置いてある箱を指をさした。これ以上ないくらい部屋に不釣合い且つ圧倒的な存在感を醸し出すソレを。
「私の最後の領地だ、そこで生まれそこで死ぬ。まぁ噛み砕いて言えば・・・寝床だ」
アーカードはさも当然の事といったように、サラリと答えた。
「いや・・・どう考えてもあれは寝床じゃないでしょ。まぁ人間が最後にお世話になる寝床とは言えるけど・・・
まさかいつ死んでもいいように自前のを用意してるわけ?それともなに?近い内に死ぬつもり?
で・・・でもさっき言ったわよね、私が死ぬまでは死なないって!」
口調が早くなっている自分に気付く、さっきの言葉は嘘だとは思わない。
しかしアーカードの言葉の裏に隠された真意を探る為に自然と捲くし立てていた。
確かに少女は言った、私が死ぬまでは死なないと。
だが目の前に謎の棺桶があるとなると、それでも流石に不安になる。
「ところで、あの棺桶はなに?」
ベッドの横に置いてある箱を指をさした。これ以上ないくらい部屋に不釣合い且つ圧倒的な存在感を醸し出すソレを。
「私の最後の領地だ、そこで生まれそこで死ぬ。まぁ噛み砕いて言えば・・・寝床だ」
アーカードはさも当然の事といったように、サラリと答えた。
「いや・・・どう考えてもあれは寝床じゃないでしょ。まぁ人間が最後にお世話になる寝床とは言えるけど・・・
まさかいつ死んでもいいように自前のを用意してるわけ?それともなに?近い内に死ぬつもり?
で・・・でもさっき言ったわよね、私が死ぬまでは死なないって!」
口調が早くなっている自分に気付く、さっきの言葉は嘘だとは思わない。
しかしアーカードの言葉の裏に隠された真意を探る為に自然と捲くし立てていた。
確かに少女は言った、私が死ぬまでは死なないと。
だが目の前に謎の棺桶があるとなると、それでも流石に不安になる。
ルイズの早口をよそに、アーカードは一言で斬って落とした。
「だからただの寝床だ」
腑に落ちない、疑問符が取れない、疑念を拭い切れない、故にルイズは続ける。
「だって・・・おかしいじゃない・・・普通は棺桶でなんて寝ないわ、普通はベッドで寝るでしょ」
いくら平民でも棺桶で睡眠をとるなんて聞いたことがない。まさか別世界とやらではそれが通例なのか・・・?
「だからただの寝床だ」
腑に落ちない、疑問符が取れない、疑念を拭い切れない、故にルイズは続ける。
「だって・・・おかしいじゃない・・・普通は棺桶でなんて寝ないわ、普通はベッドで寝るでしょ」
いくら平民でも棺桶で睡眠をとるなんて聞いたことがない。まさか別世界とやらではそれが通例なのか・・・?
ノスフエラトウ
「別におかしくはないさ、私は人間ではない、吸血鬼なのだからな」
「へ・・・?吸血・・鬼?人間じゃ、ない?」
アーカードはコクと頷く。確認の言が肯定されたことで、ルイズはまたも思考をぐるぐると巡らせる。
勝手に平民だと思っていた。貴族には見えなかったし、見た目は明らかな少女だ。
故に一度はコルベール教師にやり直しを要求した。しかし人間ではない、見た目こそ少女であるが吸血鬼・・・?
それならば棺桶が寝床というのもまぁ納得できる。つまりだ。私ははずれだと思っていたが、その実大当たりを引いたのか・・・?
しかし吸血鬼といえば最悪の妖魔とも言われている。果たして己に御しきれる存在なのか・・・?
でもアーカードは別世界からきたと言った、なれば吸血鬼の性質も違うのではないか。
いや、たとえ何者でもアーカードはアーカード、このルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔だ。
間違いは起こさない、起こさせない。彼女を信じ、何より自分を信じよう。
「別におかしくはないさ、私は人間ではない、吸血鬼なのだからな」
「へ・・・?吸血・・鬼?人間じゃ、ない?」
アーカードはコクと頷く。確認の言が肯定されたことで、ルイズはまたも思考をぐるぐると巡らせる。
勝手に平民だと思っていた。貴族には見えなかったし、見た目は明らかな少女だ。
故に一度はコルベール教師にやり直しを要求した。しかし人間ではない、見た目こそ少女であるが吸血鬼・・・?
それならば棺桶が寝床というのもまぁ納得できる。つまりだ。私ははずれだと思っていたが、その実大当たりを引いたのか・・・?
しかし吸血鬼といえば最悪の妖魔とも言われている。果たして己に御しきれる存在なのか・・・?
でもアーカードは別世界からきたと言った、なれば吸血鬼の性質も違うのではないか。
いや、たとえ何者でもアーカードはアーカード、このルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔だ。
間違いは起こさない、起こさせない。彼女を信じ、何より自分を信じよう。
あれやこれやと考えているとアーカードはルイズの首筋に顔を近づけた。
咄嗟にアーカードを両手で掴んで制す。
「・・・な・・なに?」
「んむ、血を少し貰おうと――」
思考が止まり、一瞬思考が空白になった。
「な・・・!?ダメダメダメ、そんなの駄目よ」
「なぜだ」
「なぜって・・・だってそんなの、私は貴族だし人間でいたいし」
アーカードが少しずつ力を込める、ルイズは渾身の力でその進行を阻んでいた。
「別に今はまだ眷属にするつもりはない」
「なによ、今はまだって・・・。というか、もしかして血を飲まないとその・・・死んじゃったりするわけ?」
咄嗟にアーカードを両手で掴んで制す。
「・・・な・・なに?」
「んむ、血を少し貰おうと――」
思考が止まり、一瞬思考が空白になった。
「な・・・!?ダメダメダメ、そんなの駄目よ」
「なぜだ」
「なぜって・・・だってそんなの、私は貴族だし人間でいたいし」
アーカードが少しずつ力を込める、ルイズは渾身の力でその進行を阻んでいた。
「別に今はまだ眷属にするつもりはない」
「なによ、今はまだって・・・。というか、もしかして血を飲まないとその・・・死んじゃったりするわけ?」
アーカードは一旦手を離した、少し名残惜しそうな顔をしていたが気にしない。
ルイズは一息ついてアーカードの言葉を待った。
「別に死にはしないさ、ただ・・・」
「ただ?」
「干からびる」
「・・・」
ルイズは一息ついてアーカードの言葉を待った。
「別に死にはしないさ、ただ・・・」
「ただ?」
「干からびる」
「・・・」
場を静寂が支配した。静かな夜だ、異様ともいえるほど。
「まぁ別に誰の血でも構わないんだがな」
「・・・私が駄目なら他の人を吸うつもりなの?」
アーカードは悪びれる様子もなく、「んむ」と首を縦に振り肯定する。
「輸血パックなどがあればそれでもいいのだが・・・」
ルイズはキョトンとした顔で疑問符を浮かべる。尤もアーカードにとってそれは想定の範囲内だ。
「まっ・・・ないだろうな」
ルイズは暫し考えていた。
「う~ん、飲まないとまずい?」
「いや無理にとは言わんが・・・・・そうだな、とりあえず力は落ちる。結果主が迷惑を被るかもしれん」
「まぁ別に誰の血でも構わないんだがな」
「・・・私が駄目なら他の人を吸うつもりなの?」
アーカードは悪びれる様子もなく、「んむ」と首を縦に振り肯定する。
「輸血パックなどがあればそれでもいいのだが・・・」
ルイズはキョトンとした顔で疑問符を浮かべる。尤もアーカードにとってそれは想定の範囲内だ。
「まっ・・・ないだろうな」
ルイズは暫し考えていた。
「う~ん、飲まないとまずい?」
「いや無理にとは言わんが・・・・・そうだな、とりあえず力は落ちる。結果主が迷惑を被るかもしれん」
ルイズは悩んだ、血を飲まないと弱くなる。折角強いっぽいのに弱くなってしまってはそれはそれで困る。
かといって血を吸わせるわけにもいかない。他人の血を吸う使い魔などもってのほかだし・・・。
「どれくらい弱くなるの?」
「そうだな、ここら一帯を平らにするのに夜明けまでかかるところが・・・」
ゴクリとルイズは息を飲んだ。ここら一帯を平らにするということは、即ち学院を潰すということ。
それをわずか一晩でやる・・・?もしそんなことが本当にできるならとんでもないバケモノではないのか。
かといって血を吸わせるわけにもいかない。他人の血を吸う使い魔などもってのほかだし・・・。
「どれくらい弱くなるの?」
「そうだな、ここら一帯を平らにするのに夜明けまでかかるところが・・・」
ゴクリとルイズは息を飲んだ。ここら一帯を平らにするということは、即ち学院を潰すということ。
それをわずか一晩でやる・・・?もしそんなことが本当にできるならとんでもないバケモノではないのか。
「三日くらいかかってしまうかもな」
「十分強いじゃないの!」
スパンと小気味良い音がした。ルイズがアーカードの頭をはたいたのだ。
(しまった・・・思わずツッコんでしまった)
「痛いじゃぁないか」
「と・・・とにかくそれなら飲まなくても大丈夫よ!」
ルイズは胸中でしまったと思いつつも、そのまま勢いで押し切ることにした。
「まぁいいか」
アーカードは俄かに残念そうな表情を顔に浮かべていたが、すぐにニヤニヤと笑い始める。
「十分強いじゃないの!」
スパンと小気味良い音がした。ルイズがアーカードの頭をはたいたのだ。
(しまった・・・思わずツッコんでしまった)
「痛いじゃぁないか」
「と・・・とにかくそれなら飲まなくても大丈夫よ!」
ルイズは胸中でしまったと思いつつも、そのまま勢いで押し切ることにした。
「まぁいいか」
アーカードは俄かに残念そうな表情を顔に浮かべていたが、すぐにニヤニヤと笑い始める。
「それはさておいて、ルイズ・・・私を殴ったな」
無理やり誤魔化そうとしたが甘いようだった。
「あ・・・あれはその、は・・はずみで・・・・・」
「はずみでも一回は一回だ」
「わ・・・私は貴方のマスターよ、主に逆ら――」
アーカードはポキポキと指を鳴らし始めた、その様子を見て思わず後じさる。
もしさっきの一帯を平ら云々の話が本当に可能なら、どう考えても一発で死ぬ。
そりゃ本気ではこないとは・・・思うけど、手加減されても死ぬほど痛いだろうな、などと冷静にルイズは考えていた。
アーカードが紅い瞳を輝かせニヤニヤ笑いながらゆっくりと近づく、ルイズがふるふると震えながらゆっくりと遠ざかる。
しかしそれも長くは続かない、あっという間に壁に追い詰められルイズは目を瞑った。
無理やり誤魔化そうとしたが甘いようだった。
「あ・・・あれはその、は・・はずみで・・・・・」
「はずみでも一回は一回だ」
「わ・・・私は貴方のマスターよ、主に逆ら――」
アーカードはポキポキと指を鳴らし始めた、その様子を見て思わず後じさる。
もしさっきの一帯を平ら云々の話が本当に可能なら、どう考えても一発で死ぬ。
そりゃ本気ではこないとは・・・思うけど、手加減されても死ぬほど痛いだろうな、などと冷静にルイズは考えていた。
アーカードが紅い瞳を輝かせニヤニヤ笑いながらゆっくりと近づく、ルイズがふるふると震えながらゆっくりと遠ざかる。
しかしそれも長くは続かない、あっという間に壁に追い詰められルイズは目を瞑った。
「んっ・・むぅ!?」
唇を塞がれ目を開ける、押しのけようとするがその瞬間強引に押さえ込まれ動けなくなる。
二度目だったことが幸いしてか、頭の中が真っ白にはならず呼吸することはできた。
しかしただのキスからは考えられないほど強烈な快楽がルイズを襲い、すぐ腰を落としてしまう。
と、同時にアーカードも拘束を解き唇を離した。
恍惚の表情を浮かべ呆然としていたルイズだが、すぐに我を取り戻す。
唇を塞がれ目を開ける、押しのけようとするがその瞬間強引に押さえ込まれ動けなくなる。
二度目だったことが幸いしてか、頭の中が真っ白にはならず呼吸することはできた。
しかしただのキスからは考えられないほど強烈な快楽がルイズを襲い、すぐ腰を落としてしまう。
と、同時にアーカードも拘束を解き唇を離した。
恍惚の表情を浮かべ呆然としていたルイズだが、すぐに我を取り戻す。
「ナニするのよ!」
「くくっ、さっきのお返しさ。そも殴るとは言ってないしな」
悪びれずアーカードは答える。
「でも指鳴らしてたじゃないの!そんなの見たら普通――」
「鳴らしていただけだ」
「くっ・・・」
ルイズはそれ以上抗議するのはやめることにした。何を言っても無駄だと。
むしろアーカードは私の反応を見て楽しんでいる、これ以上楽しませるのは癪だ。
「くくっ、さっきのお返しさ。そも殴るとは言ってないしな」
悪びれずアーカードは答える。
「でも指鳴らしてたじゃないの!そんなの見たら普通――」
「鳴らしていただけだ」
「くっ・・・」
ルイズはそれ以上抗議するのはやめることにした。何を言っても無駄だと。
むしろアーカードは私の反応を見て楽しんでいる、これ以上楽しませるのは癪だ。
どっと疲れた気がしてルイズは嘆息をついた。
「どうした?」
不思議そうな顔をしてアーカードが聞いてくる。
「アンタの所為よ・・・」
「ふむ」
アーカードは軽く笑っていた。自覚があるのかないのか、いやあるんだろうな。
「どうした?」
不思議そうな顔をしてアーカードが聞いてくる。
「アンタの所為よ・・・」
「ふむ」
アーカードは軽く笑っていた。自覚があるのかないのか、いやあるんだろうな。
「さて、適当に案内してくれないか我が主」
「案内って・・・今真夜中でしょ」
「そうだな」
「無理よ、寝るわ」
「さっきまで寝ていただろう」
「誰かさんの所為ですっっっごく疲れちゃったんだもの」
精一杯の悪態をつくが、アーカードは気にも留めていないようだった。
「案内って・・・今真夜中でしょ」
「そうだな」
「無理よ、寝るわ」
「さっきまで寝ていただろう」
「誰かさんの所為ですっっっごく疲れちゃったんだもの」
精一杯の悪態をつくが、アーカードは気にも留めていないようだった。
とりあえず案内は後日に回し、簡単に場所の説明だけをすることにした。
しかしその後、結局無理やり歴史や文化など様々なことを聞かれ、一通り答え終わった頃には朝方になっていた。
ルイズの短いながらも波乱に満ちた一日はようやくここで終わりを告げた。
しかしその後、結局無理やり歴史や文化など様々なことを聞かれ、一通り答え終わった頃には朝方になっていた。
ルイズの短いながらも波乱に満ちた一日はようやくここで終わりを告げた。