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ゼロのはっちゃけ - (2007/08/22 (水) 02:36:28) のソース
『ゼロのはっちゃけ』 「宇宙の果てのどこか(ry」 このスレの都合上、平賀・才人は呼ばれない。 呼ばれても誰かや何かとセットだったりする。 今回のルイズが呼んだのは、不幸にも緑に染め抜かれた木製の仮面と思しきものだった。 仮面といっても顔に固定する部分も無い。壁にかけるものだろうか? 周りが囃し立てコルベールが促す中、ルイズは涙をこらえながらそのマスクに正面から口付ける。そう、正面から。 しかし物に契約のキスさせたり死体にキスさせようとしたりこの男、まさに外道。 空を飛ぶこともできないルイズはそのマスクを抱え、とぼとぼと自室に戻り静かに泣いた。 ルイズはその呼び出した仮面をじっと見る。 何でミスタ・コルベールは物と契約させようとするのだろう? 壊すなりしまうなりして再召喚させてくれてもいいだろうに。 そんなもんストーリー上の都合に決まってんだろ。 電波を無視しつつルイズはその仮面を明かりにかざす。 「……マジックアイテムならまだマシだったのに」 コルベールの『ディテクト・マジック』で何の反応もしめさなかったそれの目の部分を通し、ルイズは天井をじっと見つめる。 「……かぶってみようかな」 ベッドから起き上がり綺麗に磨き上げ後、ルイズはそれを己の顔にかぶせた。 やめときゃよかったのに。 緑のそれが、ルイズの顔に張り付いた。 マリコルヌ・ド・グランドプレは典型的なお坊ちゃんである。 朝から鶏肉をむさぼるような生活のせいでメタボリック・シンドローム一直線な彼は、いわゆる年頃の少年だ。 ギーシュのように女性に積極的になれない彼は、その貴族風からルイズのような相手をからかう性質がある。 だからこそ召喚の儀で彼女をあざ笑い、そのため今夜は不幸に見舞われる。 ぶっちゃけ書き安いから生贄に選ばれただけだったりするが。 己の呼び出した使い魔、フクロウのクヴァーシルを窓から放ち、ベッドに座り込む。 次の瞬間、閉めたばかりの窓から緑色の突風が飛び込んできた。 「なななな何だあ!?」 『サイレント』の魔法が使える魔法使いたちは、夜に何かする場合必ず己の部屋にそれをかける。 それが今回は災いした。部屋の外に漏れないようにかけたそれが、彼の不幸を生んだ。 「HA-HA-! ご機嫌いかが? お坊ちゃんんん!?」 「ななななななななな!」 窓から飛び込んできたのは、ピンク色のナイトドレスを身にまとい、同色のハイヒールと飾り羽根の帽子を身につけた、緑色の頭部をもった女だった。残念ながら胸はない。 「ききききききき」 「『君は誰?』かしら? それとも『君は何?』かしらん!? でもそんなことはどうでもいいの! これから始まるのは私の愉快な愉快なオンステージ! 坊やに素敵な夜をプレゼントしちゃう!」 「わわわわああ! 『エアハンマー』!」 驚きのあまり放たれた魔法は、その女には当たらなかった。 体を引っ張るように動かすと、生物にはありえない体の動きで魔法を簡単によけていく。 「うわ、うわあああ!」 「A-HA-! せっかくの来客にいきなり攻撃? お姉さん悲しくて涙が出ちゃう!」 四発目が外れたところで、片手で帽子を押さえて唐突に涙目になった女は、マトリックスなポーズのままもう一本の手を伸ばした。 文字通り伸ばした。 ゴムのように伸びた手がマリコルヌの杖を奪い取る。 それをそのまま自分ののどに押し込み、杖は女の腹の中に消えた。 「あわわわわわ」 「HEYHEYHEY! 太っちょの男がそんなしゃべり方してもずえんずえん受けないわ! 萌えが足りないのよ!」 「うわわわわわわわ」 「さあ、素敵な素敵なお仕置きタ~イムよ~ん?」 明らかにサイズオーバーな特殊な器具と荒縄を帽子の中から取り出し、女は顔をゆがめて歯を輝かせ笑った。 「やめてよしてさわらないで!」 「ざあんね~ん、お姉さん坊やの意見は聞いてないの。聞こえてても無視しちゃう!」 「やめてやめてやめアッー!」 翌日、なかなか起きてこないマリコルヌを心配した友人は彼の部屋を開け絶句する。 そこには寝巻き姿のまま荒縄で亀甲縛りにされ、ギャグボールを噛まされて三角木馬に跨るマリコルヌの姿があった。 心なしかその表情は愉悦にゆがんでいたという。 ルイズは嗤う、昨夜のマリコルヌの姿を思い出して。 ルイズは笑う、己の仮面のすばらしさを。 それは災いの神ロキの仮面、ハルケギニアにはいない神の魔道具。 「ところで杖飲んじゃったけどどこに行ったのかしら?」 それはお約束ってやつだよ。