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ソーサリー・ゼロ第二部-2 - (2007/09/24 (月) 18:23:48) のソース
#center{&color(green){[[前ページ>ソーサリー・ゼロ第二部-1]] / [[表紙へ戻る>ソーサリー・ゼロ]] / [[次ページ>ソーサリー・ゼロ第二部-3]]}} ---- 三三八 体力点一を失う。 竹笛の持ち合わせはあるか? なければ術は使えぬので、二五四へ戻って選びなおせ。 竹笛があるなら、竜に術をかけて笛を吹け。 笛の調べに、竜は小首を傾げて君を見る。 しばらくすると急に後脚で立ち上がり、翼と尻尾で巧みに釣り合いをとりながら、その場で足踏みを始める。 竜の身で可能な限り踊りに近いものをはじめているのだ! 音色に合わせて首を振り、前脚を動かす様子は楽しげに見えるが、実際は術にかけて強制的に踊らせているだけだ。 いたずらはこれくらいで終わりにして笛を吹きやめようとする君だが、突然、無邪気そうな女の歌声を耳にしてぎょっとする。 ”きゅ~いきゅい ああ風に乗り 翼を広げて空を飛ぼ~” 鈴の鳴るような声だ。 笛を吹きつつ周囲を見回すが、君と竜のほかには、近くに鼠一匹とて見当たらない。 ”雨が降ろうが 雪が降ろうが 雲の上は 青いんだから” 歌声の主は、君の調べに合わせて即興のものらしき歌詞を口にしている。 そして、その声が聞こえてくるのは、目の前で踊っている竜の方向からだ。 笛から口を離し、竜に向かってお前は喋ることができたのかと尋ねると、 「あっ!」と竜は狼狽する。 「い、今のなし、なしなの!シルフィは喋れないのね!ガオーッ!ガオーッ!」 慌ててごまかそうとする竜だが、喋り続けているのではまったく意味がないし、その吠え声も、女の声のままだ。 君は取り乱す竜に、なぜ喋るのを秘密にするのかと問いかける。 実際に言葉を交わしたのはこれが初めてだが、竜という生き物はその大半が、あらゆる言語を操ることができるはずだ―――少なくとも≪旧世界≫では。 もっとも、大抵の竜は人間やオークと出会っても、話しかける前に相手を喰ってしまうのだが。 「だ、だってだって、お姉さまが絶対に秘密にしなさいって…」 そこまで言って、竜の言葉が途切れる。 つぶらな瞳を白黒させ、釣り上げられた魚のように口をぱくぱくと開閉する。 竜は君の頭越しに、背後のなにかを見つけたのだ。 君が振り返ってみるとそこには、いつのまにかタバサがぼうっと立っている。八五へ。 八五 その場にいる二人と一頭はしばらくのあいだなにも言わないが、意外なことにタバサが 「このことは秘密」と言い最初に沈黙を破る。 君が、竜が喋るとなにかまずいのかと尋ねると、 「竜は普通は喋らない。口を利く竜―――韻竜は滅びたことになっているから」 という答えが返ってくる。 どうやら、高い知能を持つ竜はこのハルケギニア大陸では非常に珍しいものであるらしく、タバサは無用の騒動を避けるために、自らの≪使い魔≫シルフィードを普通の竜だと偽っているようだ。 「だから、秘密。互いに相手の秘密を守る」 タバサはそう言うと、君が手に持ったままの竹笛を奪い、杖を振って短い呪文を唱える。 柔らかい光の粒が笛の周囲を舞うが、なにも変化はない。 しかし、タバサは納得がいったように頷くと、 「やっぱり≪ディティクトマジック≫に反応しない。ただの笛」と言って、 君に笛を返す。 この少女は、君が魔法使いであることを見抜いたのだ! この世界の住人で君が魔法使いであることを知るのは、ルイズとオスマン学院長だけであり、表向きには『魔法の道具を持った商人』 ということになっているのだが、これでタバサにも正体を知られてしまった。 いや、背後で君たちの様子を興味津々で窺っている、シルフィードという名の竜にも知られたのだ。 君もタバサも、真実を知られて、無駄に他人の関心を集めるのは避けたいという点では同じだ。 君はタバサに微笑み、シルフィードが韻竜であるということを誰にも話さないと、守護神リブラにかけて誓う。 タバサは無言で頷くが、耳慣れぬ異国の神の名に少し面食らったようだ。 いつもの無関心そうな視線が、いくらか興味深そうなものにとって変わっている。 これからの行動を決めよ。 式典が終わる頃合までタバサと一緒に居る(話の弾みそうな相手ではないが)・二三三へ タバサに別れを告げ、ほかの場所へ向かう・三〇〇へ 二三三 タバサはうずくまるシルフィードの巨体を背もたれにして座り込む。 シルフィードは長い首をそっと回し 「お姉さま…人前で喋っちゃったシルフィのこと、怒ってる?」と、 その堂々とした体躯に似合わぬ怯えた声で、恐る恐る主人に話しかける。 タバサは竜の目をじっと見据えているが、やがて 「もう済んだこと。今度から注意」と短く伝える。 「許してくれるのね!ありがとう、お姉さまはやっぱり優しいのね!」 シルフィードは、まるで犬のように尻尾を振り、翼を広げて喜びを表現する。 その様子を苦笑しつつ見ていた君だが、 「ルイズさまの使い魔さまも優しいのね!退屈してたシルフィに、手取り足取り踊りを教えてくれたの!」と、 唐突にシルフィードに話しかけられて驚く。 「あんなの初めてで楽しくって、ついつい歌っちゃったの!今度はお姉さまも一緒に踊りましょ!」 「却下」 体躯も性格もまったく違うが、妙に息の合った主従のやりとりを聞きながら、君は彼女たちのそばに腰を下ろす。 踊りが駄目なら物語を披露しようか言うと、シルフィードは 「きゅい!聞きたい、遠くのお国のこと、聞きたいわ!」 と再び翼と尻尾を振る。 タバサも、眼鏡のレンズ越しにその青い瞳を爛と輝かせる。 君は笑って応えると、故郷の伝説を語りはじめる。 国が破産しそうになったため建設が中止された≪アナランドの大塁壁≫のくだりを話し終えたところで、遠くから人々のざわめきが聞こえてくる。 王女の歓迎式典はつつがなく終了し、生徒たちに解散が言い渡されたのだろう。 君の話に熱心に聞き入っていたシルフィードは、非常に名残惜しそうにしている。 表立った反応はないが、どうやらタバサも同感のようだ。 君の話は、彼女に気に入られたらしい。 君は立ち上がり、シルフィードの顔を何度か撫でると、タバサたちに別れを告げる。一四九へ。 一四九 その後は、夜まで何事もなく平穏に過ぎる。 休息と食事をとったので、体力点三を加えよ。 君が目にした範囲で変わったことといえば、マルトー料理長やシエスタたち奉公人が晩餐会の準備で忙殺されていることと、 寄宿舎の部屋に戻ったルイズが、心ここにあらずといった様子でぼうっとしていることくらいだ。 最初はなんらかの熱病にでも罹ったのかと思ったが、体に異常はないようだ。 わざわざ藪をつついて蛇を出すこともなかろうと、係わり合いにならぬようしていた君だが、さすがにこの様子は尋常ではない。 思い切ってルイズに話しかけようとしたところで、部屋の扉を叩く音を耳にする。 音になんら反応を示さないルイズに代わって扉を開けてみると、そこにはシエスタが立っている。 「ミス・ヴァリエールにご伝言です。オールド・オスマンからじきじきに…」と言うシエスタは、 君の肩越しに相変わらず無反応なルイズの姿を見出す。 「あの…ミス・ヴァリエールはご病気でしょうか?」とシエスタは心配するが、 君は大丈夫だから伝言を聞かせてくれと言う。 「使い魔殿の件で進展があったので、学院長室まで来て欲しい、と」 シエスタが去った後、君は伝言の内容を考える。 『進展があった』ということは、君をカーカバードに送り返す目途が立ったのだろうか? だとすれば、君にとってこれほど嬉しいことはない。 君が、ルイズの魔法によってこのトリステイン魔法学院に召喚されてから、まだ二週間あまりしか経っていない。 今すぐザメン高地に戻ることができるなら、まだ≪諸王の冠≫を取り戻し、大魔法使いの野望を阻止することは可能なはずだ。 君は急いで部屋を出ようとするが、ルイズがいまだ、けむり草を吸ったかのようにぼんやりとしていることに気づく。 オスマンの話が君の送還にかかわることだとするならば、ルイズを置き去りにして、君ひとりで行くわけにもいかぬだろう。 ルイズを強引に引っ張って学院長室に向かうか(一五三へ)、それともまずはルイズを正気づかせるか(一八五へ)? ---- #center{&color(green){[[前ページ>ソーサリー・ゼロ第二部-1]] / [[表紙へ戻る>ソーサリー・ゼロ]] / [[次ページ>ソーサリー・ゼロ第二部-3]]}}