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トリステインの踏鞴法師 - (2007/11/13 (火) 16:47:05) のソース
むかしむかしのお話です。 日本には「だいだらぼっち」という大きな大きな男が住んでいました。 甲州の土を集めて山を作ったのが富士山で、そのため甲州は盆地になったとか、 ある時びっくりして涙を流したら浜名湖になったとか、 羽黒山に腰掛けて、鬼怒川で足を洗ったなど、とにかく大きな巨人であったようなのです。 その上巨大なだけではなく、鉄を扱う方法を人々に教えてあげたり、 日本という国の形を今のようにしたりと、とても賢くて強かったと言います。 なにより、だいだらぼっちは子供達と仲の良い、優しくて気のいい男なのでした。 けれど、いつの頃からかだいだらぼっちの姿はこの国から消えてしまいました。 いったい、何処に行ってしまったんでしょうね? <トリステインの踏鞴法師> ルイズが呼び出した使い魔は、とにかく大きな使い魔でした。 それは「天を突くほど」というのが比喩では無い程の巨大な黒い男。 右手を伸ばせばゲルマニア領まで届き、一歩二歩と踏み出せば火竜山脈に到着する。 契約するためにタバサの竜に乗せてもらって、半日飛び続けてやっと頭までたどり着く。 立っているだけで日が翳り、脚にぶつかった雲が雨を降らせるので、時々移動しないと農作物に被害が出てしまってルイズも困る。 そんな、大山脈も膝丈までしか届かないような巨人だったのです。 けれどその大男は、見た目に反して賢くて優しい巨人でした。 巨人は目の前に飛んでいたちいさな竜と二人の女の子に向かって、自分の事を「だいだらぼっち」だとそっと名乗ります。 名乗った時に口から飛び出た突風に飛ばされたルイズ達を慌てて手の平でそっと掴んで、 おそるおそる地面に降ろす姿など、こっけいにすら見えたと言います。 その時女の子達が無事で良かったとおんおん泣いたせいで、トリステイン魔法学院の隣には大きな湖が出来たのでした。 だいだらぼっちは人の世界の仕組みもよく理解していて、 海でクジラをひょういと捕まえてメザシのようにバリバリ食べたり、火竜山脈の火竜をペロリとたいらげてしまう事はあっても、 人が飼っている牛や馬、騎士の竜やメイジの使い魔に手を出すような事は決してしなかったと言います。 そんなこんなで、だいだらぼっちと魔法学院の人々は仲良く暮らす事ができていたのでした。 そんなある日、幼馴染がすごく大きな使い魔を召喚したと聞いて、トリステインの王女さまが学校へやってきました。 アルビオン浮遊大陸にある、昔好きだった人に渡した恋文を貰ってきて欲しいと言うのです。 それを聞いていただいだらぼっちは、ひょういと平地を一跨ぎして、アルビオンを掴み取りました。 そのままぐいっと引っ張って、アルビオンを王女さまの所に持ってきます。 王女さまは突然現われた王子さまと再会を喜びわんわん泣きましたが、また別れないといけないと言います。 なんでもアルビオンにはレコンキスタという人達がいて、アルビオンを自分の物にするために王子さまを殺そうとしていると言うのです。 そこでだいだらぼっちはアルビオンの端と端を持って、ペキリと二つに折ってしまいました。 その片方を王子さま達が、もう片方をレコンキスタ達が取って、半分ずつにすれば良いと言うのです。 王子さま達はすっかり感心してしまいましたが、納まらないのはレコンキスタです。 アルビオンの半分どころか、世界の全部を欲しがっていたレコンキスタは、船団を組んでもう半分のアルビオンに攻めてきます。 大きな船が100隻、ちいさな船まで数えれば500隻という大軍です。 その着になればトリステインの端から端までをひと月で燃やしてしまえる大艦隊です。 しかし、だいだらぼっちは慌てず大きく息を吸い込み唇をすぼめて、ひゅうい!と思い切り息を吹きかけます。 途端にどんな台風よりも強くて恐ろしい風がまきおこり、大艦隊をそらの彼方に飛ばしてしまいました。 レコンキスタが居なくなったので平和になったアルビオンの人達は、だいだらぼっちにお礼をしたいと言いました。 そこで、だいだらぼっちは国中のお米を貰う事にします。 あつめたお米を、ラグドリアン湖から掬った水と一緒に火竜山脈の火山に入れて、だいだらぼっちはお米を炊きました。 炊き上がったご飯を丁寧に潰して、とてもたくさんの「のり」を造って、それを使って二つに割ったアルビオンをくっつけたのです。 アルビオンの人達はとても喜び、王子さまとトリステインの王女さまは、それを記念して結婚したそうです。 それからしばらく平和に暮らしていただいだらぼっちとルイズでしたが、ガリアという隣の国の王様がルイズを攫おうとしました。 しかもなんと、お母さんに酷い事をするぞとタバサを脅して、誘拐させようとしたのです。 子供が大好きなだいだらぼっちは、これには怒りました。 だいだらぼっちはひょういと一跨ぎでガリアの首都リュティスまで行くと、街を跨いで踏ん張ります。 そうして、大きな身体に見合った、大きな大きなウ○コをお城の上から落としたのです。 悪い王様は困ってしまって、やがてゴメンなさいもうしませんと泣き出しました。 おかげでタバサのお母さんは助けられたので、だいだらぼっちはウ○コを海に流したそうです。 そんなだいだらぼっちの活躍で、やっと平和がきたと思ったのですが、またまた問題が起こってしまいます。 サハラの砂漠に住むエルフという人達が、だいだらぼっちを攻撃しに来たのです。 でもだいだらぼっちは大きいし、なにより大地の化身であったので、エルフの魔法はちっとも効きませんでした。 それでも彼等はだいだらぼっちを虚無の使い魔と呼び、悪魔である虚無の担い手と使い魔をやっつけると息巻いています。 よくよく聞けば、サハラには悪魔の門というものがあって、そこから何か困った物が出てくると言っていました。 しかもその門は、だいだらぼっちやルイズが居ると開いてしまうかもしれないのでした。 そこでだいだらぼっちは、またもサハラをひょういと一跨ぎ。 シャイターンの門を引っこ抜いて、手の平でコネて潰してしまうと、ウ○コと同じように海へポイっと捨ててしまいました。 こうして今度こそ平和になったハルケギニアで、だいだらぼっちはずっと皆と仲良く暮らしたそうです。 ゼロのルイズと呼ばれていた女の子も、おおきな使い魔を召喚したちいさな魔法使いとして、 「ちびのルイズ」と呼ばれながら、だいだらぼっちと共に皆と仲良く暮らしましたとさ。 めでたしめでたし。