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SnakeTales Z 蛇の使い魔-08 - (2007/12/09 (日) 00:27:41) のソース
ゴーレムのあまりの大きさに圧倒される一同。 最初に口を開いたのはやはりスネークだった。 「全員走れ!逃げるぞ!」 腕を売り上げ、今にも振り下ろされようとしていた。 ゴーレムが次の攻撃を繰り出そうとしている。 スネークの呼びかけに応じ、キュルケとタバサが走る。 スネークもRPG-7を持って走る。 タバサにシルフィードを呼んでもらい空へ逃げようとするが…ルイズがいない。 魔法を唱えているのだろう。ゴーレムの周囲で爆発が起きている。 だが、表面が崩れる程度ですぐに再生する。振り下ろされた拳はもう止まらない。 「ルイズ!」 叫びと共に左手のルーンが光る。 体の底から何かがあふれ出す。 ―いける! そう思ったときには走り出していた。 地面にへたり込んだルイズを抱え、滑り込むように助け出した。 手でルイズの口をふさぎ、木の影に隠れる。 巻き上げられた粉塵のおかげで何処に逃げたのかばれずに済んだようだ。 口をふさいでいた手を離す。小声で叱り付ける。 「馬鹿者!何を考えている!死ぬところだったんだぞ!」 「…うるさい。」 「犬死する気か!?」 「うるさい!」 ルイズが怒鳴る。幸いフーケには聞こえなかったようだが。 ルイズの目に涙が溢れ、ぽろぽろと流れる。 「私はゼロじゃない!アイツをフーケを捕まえれてそれを証明するの!」 「それであんな事を?死んだらそれで終わりだぞ。死んで英雄になるなんて馬鹿なことだ。」 「だって…私だって…アンタみたいに強くなりたいの!」 その瞳は真剣だった。とても名声が欲しいという目ではない。 先ほどまでの涙は何処へやら。焔のついた目だ。 真っ直ぐとスネークを見るルイズ。NOとは言わせないといっているように思えた。 ため息をつくスネーク。やはり気の強い女は苦手だ…。 「分かった。ルイズ、作戦を伝える。」 空中を飛び回るシルフィード。 その上から二人のメイジがゴーレムを攻撃する。 だがたいしたダメージにはなっていない。 今までうまくゴーレムの攻撃をよけられていたのだが、シルフィードが疲れ始めたのか、 ゴーレムがついにシルフィードの動きを捕らえる。 「くっ!」 冷静なタバサにも焦りが見えた。 そのとき、突如ゴーレムの腕が爆発した。 「スネーク!」 「助太刀するぞ!アレを破壊する!」 破壊の杖、いやRPG-7を構えたスネークが地上で叫んだ。 ゴーレムの腕はひじから先が完全に吹き飛んでいた。 しかしその腕もすぐに再生した。 「再生が追いつかないくらいにやってやるわ!」 「…シルフィード、がんばって。」 高速でゴーレムの周りを飛び回り、魔法がゴーレムを襲う。 そして地上からはスネークのRPGが飛んでくる。 反撃を許さない。だが、これでも再生の方が早かった。 「こんなの勝てないわよ!」 「泣き言を言うな!」 RPGをリロードしながら叫んだ。 弾薬は無限バンダナのおかげで心配する必要は無い。 だが、戦況はよくなる気配が無い。 「…!」 シルフィードをさらに高速で飛び回らせる。 タバサは作戦に気がついたようだ。 キュルケが文句を言うが、お構いなしだ。 速さでゴーレムを翻弄する。 スネークもガンダールヴの速さで攻撃をよけ、RPGを叩き込む。 「頼むぞ、ルイズ。」 祈るようにそう言った。 「いいか、ルイズ。作戦はこうだ。 俺とタバサとキュルケであのゴーレム…フーケの注意をそらす。 その隙にお前はフーケを探し出せ。」 「でもすぐに見つかっちゃうわよ!あんたみたいに隠れるの上手じゃないし…。」 「そのためにこれがある。」 スネークが取り出したものは【ステルス迷彩】。 光の屈曲率をリアルタイムで変化させる事で光学的に不可視にする装置だ。 相当勘のいい者でないと見破る事は難しい。 「これを使ってフーケを探せ。足音は気にするな。 この騒音で少しの音なら掻き消される。罠には気をつけろ。 ほとんど解除したが、まだ残っているかもしれない。」 「でも、見つけてもどうしたら…。」 いくらステルス迷彩があっても大人を力ずくでねじ伏せるのはルイズでは不可能だ。 魔法は失敗しかしない。 「いや、失敗魔法でもいい。アイツを吹き飛ばせ。」 「え?」 「いいか?攻撃と言うものは当たらなければ意味が無い。 いかに強力な攻撃も外れてしまえば脅威では無いということだ。」 「そうね。」 ルイズの失敗魔法は加害範囲が大きい。 さらに大人の女性を気絶させたと言う実績を持つ。 これだけの威力があれば奇襲には十分だ。 「やるか、やらないかはお前しだいだ。 ただ、俺はお前ならやれると思っている。」 自分で言い出しておいて難だけど、不安だわ。 見つからないとも限らない。罠も怖い。 ゴーレムに踏み潰されたりしそうで怖い。 フーケに気づかれて殺されたりしたら…。 怖い物だらけだ。 でも、これをやれたら少しはゼロじゃ無くなれるかもしれない。 少なくともスネークはゼロじゃないと思ってくれるだろう。 何より私はラ・ヴァリエール。 誇り高き貴族よ。 「やるわ。スネーク。」 私はステルス迷彩を受け取る。 これでもう逃げられない。 私は私の意志で、戦場に足を踏み入れた。 森の中を駆け巡るルイズ。 ところどころ木の根が飛び出ていてつまずく。 罠には気をつけながらフーケを探し続ける。 森には爆音が響き渡り、スネーク達の戦闘の激しさがよく分かる。 既に靴はぼろぼろになっている。手は泥だらけ…なのだろう。自分でも体が見えないから分からない。 息は切れ、心臓がバクバクする。 それでも足を止めるわけには行かない。 私をゼロじゃない、と信じてくれている人がいる。 これほど嬉しい事は無い。 「…見つけた!」 木の陰から呪文を唱えている黒フードの人影を発見した。 そっと近づき、その姿を確認する。 顔は見えないが、女性のようだ。 小声で呪文を唱える。 詠唱が聞こえないことを祈る。 「喰らいなさい!」 フーケの周囲で爆発が起こり、フーケが吹き飛ばされた。 倒れたままのフーケ。 「もしかして…死んじゃってたりなんてしないわよね?」 びくびくしながらフーケに近づく。 脈を計ろうとしたその瞬間、腕をフーケに掴まれる。 「あんた…!」 「うるさい、小娘が!」 腕をひねられ、杖を落としてしまう。 そのまま羽交い絞めにされ、動けなくなってしまった。